新規メンバーたちを逃がす加藤、モブオニAを加勢に来たオニたちを相手取る。
「はぁっ はぁっ はぁっ…」
両膝を掴み呼吸を整える。もう 動く敵は 居ないか…
首にかかった触手を摘まんで遠くへ放り投げる。内臓だったか、どーでもいいな。
ターゲットの唾液(?)で出来た浅い凹凸と長い触手の引っ掻き傷ですっかり荒れたエレベーター前の空間にはほかにも多くの星人が転がっている。
俺ひとりに殺到する異形たちを避け、捕まえ、殴り倒す間に改札へ続く通路から新手が湧き出し増えた分だ。比較的動作の鈍い相手ばかりで助かった。冷静になった今、脚の震えが止まらない。
…。
腰から下だけで掛かって来た奴がいたのは、夢だったのか現実か。
一般人はひとり残らず逃げ、坊主頭たち新規メンバー4人の姿も見当たらない。
戻って来ないということは無事だ。逃げた先に星人は居なかったんだろう、そう思いたい。
店内からのラジオ放送やプラットホームのアナウンスが大きく聞こえr
「きゃーっきゃーっ」「わ”ーっ」「いやーっ」「どっけっ うおっ おーっ」
騒ぎを見上げると一階上に増えてゆく人影。一般人か。
改札側ではなくスタート地点のほうから来ている。最後尾は警官、来た方向へ銃を構え
「と と ととと止まれーっ きさま!止まらんt
バチンッ
言い終える前に殴られる顔面。
胴との連結部が倍ほども伸びたあと千切れ床と平行な軌道で離れる頭部。
仰向けに傾き視界から消える残り。
柱の陰からゆっくりと進み出たのは星人。生身にとって奴らの触手は刃物以上の脅威らしい。
「動くなっ」
「先輩ぃっ なんですかっ こいつっ」
「しっ知るかっ」
「手をっ あっげろっ」
「うっ撃ちっますかっ?」
「待ってっ。うっ 動いたら撃てっ。」
(動いたらって…)(なんだ、あれ)(コスプレか?)
一般人と入れ替わりで警備員が到着。いや拳銃構えてるから警官?鉄道警察ってヤツかも。
刺又装備の2人を含め計6人が星人と対峙する。
『どっちだよ。どーやって動かずに手ぇ上げんだ?』
パンッ
先輩警官の命令にツッコんだ異形が軽い音によろける。
白い上着にじわじわと滲む液体。囲む一人の発砲だ。
「あっあっ動いたんでっ」
『いってぇー…。ちっ うっぜぇなぁ、お呼びじゃねぇよお前らなんて…
!』
…ガンッ ゴン ドン
仲間の視線に言い訳する警官。
射手を睨みながら触手を広げるオニ星人の胸に命中した弾丸は殆ど効果が無いらしい、
奴は台詞を遮った物体を目で追わず、投げた姿勢の俺を見付け破顔した。
…案外弾むな、ゴミ箱って。
=========
今回のボス・ターゲットである雷オニは強敵だ。
武器は落雷と素早さ。風より立派な体格のオニ形態で殴る蹴るもしてくる。
背中に生えた角の用途は不明。幹部と同じく溶解液を吐かない。
(手を掲げたモーション無しでも撃てる)雷が直撃するとガンツスーツは故障、を通り越して四肢が破裂或いは鼻と口から血を吐き気絶する。両目が潰れたり歯が殆ど抜けたり鼓膜(+内耳?)の損傷は無さそうだったので田中ロボの超音波を受けた結果よりはキレイな外傷。心臓麻痺と火傷はスーツが防いだのかも。
装備で強化していても追いつけない動きに、マンガの玄野チームは人数で対抗していた。
リーダーのソードと風の技を当てるため一斉に纏わりつくという戦法。特攻に近い。
とくに丸腰で掴みかかって退場未遂した2名の執念と献身には噴i…感動した。
オニ狩りパーティーの団結力は異常(…あほとへたれ以外。初参加の幼児はマスコット、いや声援で貢献していた)。
そんなボスが最初とは。
肉眼でも視える大きな円。横に広い階段に出来た池の位置には確かに奴が立っていた。
起き上がる兆しは無い。
…。
ボスクラスなのにZガン一回で終わりって…人間形態でくらったからかな?
マンガのボスオニはモブオニと違って鉄山靠くらわなかったけど(たぶん)特別に技の無いメンバーの筋力+スーツアシストによる単純な関節破壊が効いてたから、玄野もボスの妨害に回っていれば風の必殺技でサクッと片付いてたのかも。
トータル0点のくせに身の程知らずにもリーダー詐称したへたれの体たらくを見ていないこっちの雷オニもマンガ同様ガンツメンバーへの舐めくさり発言吐いたんだろーなぁ…
断言すると覆されるお約束。フラグ回収早すぎ(笑)。大真面目に“対等”とか言ってるから不意討ちに対応できない。
まぁ終わったことはともかく、消防を呼ぶべきだろうか。ケータイ無いから呼べないや。
階段と周辺の煙と火がやばい。フラ■パン山みたいなってる。
血の池ができてすぐ大量の光点が一斉に現れ、幹部ひとりを中心に全方位へ放たれた。
その結果だ。
煙の中で流れ星みたいな光と火炎放射のような光がひっきりなしに瞬いているから未だ勝負は着いていない模様。
窓から入ったのかビル内を燃やす火はともかく階段を燃やし続け消える兆しの無い炎は何を燃やしているのか。ああいうもんなの? 壁に点いた(?)火も勢いを弱めない。
マンガでは火オニの火球を大量に投げ込まれた噴水が戦闘中ずっと燃えていた、あれと同じ現象か。恐らく術者をヤッつけないと消えない炎…
というか暴れる連中をどかさないと通常の消火活動すら出来ない。
いや判りきった考察並べる暇があるなら星人をどーにかするべきなのは解ってるよ?
強装備の囮を利用した狙撃が最適解。さっきから努力はしてる。
でも
…ロックオンできないので仕方ない。
ロックオン無しの狙撃も効果無し。
モニターの中心に合わせトリガ―引いてるのに、一向に破裂しない。だめだこりゃ。
狙撃出来ないなんて役立たずじゃん私~。(突撃☆星人交流会!的な意味で)カチコミいちばん乗りしたメンバーに任せるほかない。Zガンでオニボスぺしゃんとした奴だ。明らかに標準スーツではないものを纏っている。掌から光線出るヤツだよね?レーザーなら効くやも、頑張って当てるんだ。偽千手より高得点だと思ふ。
…。
予想はしてたけどマジかー。
マンガの火オニは想定外の超能力に視覚と機動力を潰されたので無警戒な頭上からの斬首で倒された水オニ同様「不意討ち」しか効かない系でまとめたのに「超能力」しか効かないとは。
そう思ってたなら桜井スカウトしとけって?ちょっとまえ遭遇したし?方法も確定してるし?
…ミッションの日時わかってても無しでしょ。
マンガの展開知ってたら出来ないよ、いくら私でも。
フードの奴(たぶん水オニ)の頭はふっ飛ばした。残りは倒れ燃えている。
帽子の奴(たぶん岩オニ)は側頭部が爆ぜたあと歩いて転げ、階段外へ落下。
吸血鬼連は帰ったみたい。火オニ狙撃に拘ってる間に消えた。ちっ。
異形なシルエットがぶつかり崩れる柵の一部。
(3m以上?)飛び上がって火球を撒く火オニ(形態はマンガと同じならニョロついた植物っぽいモブオニと違い長い角が一対生えてるだけのイケメン。ネコ科っぽい瞳孔はともかく鋭そうな歯と爪・悪魔めいた耳はコスプレの範疇)。火柱がたち大爆発。
(最初のブラ◇トボムで墜ちたままの)飛行ユニットを足場に跳ねる腕長スーツ(←誰なんだ?君は)。着地した火オニに振りかぶり、空振り。カウンターを全弾くらいつつ移動。
“強力な武器”としてひとつ上のランクなので飛行ユニットより頑丈なのは道理だが想定より耐久値ある印象。
そーいや標準スーツを捻じ切る念動力(?)に耐えてたな(余裕あったかは不明)。
スキャン画像が変だから火オニはヒト型の火になってそう、サラマンダーか(笑)イフリート?
奴は腕長スーツと違い肘ブレードやパンチ、レーザーを全て避けている。
…効かないなら避けないよな?至近距離なら物理も効くの?
火オニにはどっかの親分みたいな再生力が無い筈なので万が一に備えた保険かな?
とっても同意だけど、敵に慎重さは要らないよ。もっと油断してほしい。
他のやつ狙撃しよ。
===◇○○===
バチンッ
「がっ」「え?え?」「はぁっ? あああ あっ」「やめてっ やめてーっ」「いやぁああ」
バッチンッ
星人の長い腕(?)が振るわれるたび雑音が減り濃くなる血臭。やられてンのは一般人。
上半身しか狙わない振り回すだけの攻撃を避けながら動きの止まッた胴体を低い姿勢で撃つ。
今回のターゲットはある程度バラバラにしないと止まらないが喉さえ潰せば吐きモノを阻止できる。
オニ星人共は連れが何匹ひき肉になッても逃亡しない。
人間全てを殺すつもりらしい。
散開後、歩道で俺たちが視える集団と遭遇した。
通行人が邪魔なため場所を変え応戦しようと俺を先頭に広場へ。
今回こそ件のヴァンパイアかと思いきや見ない間にバケモンになッていて驚いた。過程を観たかッたような、そーでもないような…。
避けられそうにない一般人を跳び越えながら移動中、手をつないで励まし合う岡崎&浦中を見て聖ちゃんがニヤついていた。岡崎めいつの間に…。
車道を使おうかとも思ッたが事故ッても困るから歩道の範囲内で地道に避けた。こッちが視えない動物の避け難さ、ソコらの星人処理より難易度高いとか面倒な…
そッかバケモンに驚いて通行人が道を開けたから目的地付近は走り易かッたンだろう。
前回同様視える星人…。
芝生の茂るライトアップされた広場を台無しにするうちに一般人は増えた。
星人目当てだからギャラリーだ。居合わせた通行人が態々知り合いを呼び寄せたらしい。
…平和ボケッて怖い。
俺たちの立場で上手いコト野次馬を遠ざける方法を思いついていたワケじゃねーけど、キモい外見と触れたらヤバそーなモノ吐く以外はどーッてコトないターゲットだ、ッて危険度低いめと評価しギャラリーを放置したのもマズかッたのだろう。
長い腕(?)でポケットから器用にケータイをとッた一匹が叫ンだ途端奴らの笑いは消えた。
聞き取れた言葉は『ボスがやられた』『皆殺しだ』。
なンで奴らの『ボス』が殺られると『皆殺し』?。殉葬なら同類でやッてろ。
自動車に轢かれるとか警官に(ドコだか知らねーけど急所?を)撃たれたッて線もあるけど、一般人にヤられる程弱い『ボス』じゃないならメンバーが仇のハズ。通行人を巻き込むな。
つーか全然潜む気ねーよ“オニ星人”。
一時の衝動に身を任せるタイプの集まりなのか?それとも異形化は無自覚か?
本性を現し都民にケンカ売ッて、その後のこと考えてそーにはとても見えない。
ギャラリーに手ェ出さなきゃ多少変なのが居たッて何かのイベントと思われるかも知れねーのに。
考えてみりゃ前回からおかしかッたンだよな。見た目人間と変わンないからッて、狂人にしか見えないからッて星人が一般人に姿を見せるなンて。
捕食目的なら俺らみたく周波数変えて臨むほうが容易だ。一般人の反撃が通用するようなスペックなら尚更に。
海外ミッション以前のターゲットは自主的に隠れてたンじゃなくガンツがミッション用に隠蔽していたンなら野宿星人回から隠さなくなッたのは何故なんだ?
ガンツのルールはミッションを世間から隠し継続する為に在る、ッて認識が間違いなのか?
…ダメだ思考が迷走してる。
何にしても目立ちすぎの殺しすぎ。通行人・撮影会・警察官・報道マン関係無く血祭りだ。
歩兵じゃ治安維持できないッてトチ狂ッたお偉いサンの判断で爆撃とかされたら恐い。
「次は…あっちね」
「おうッ」
聖ちゃんたちと共に次のポイントへむかう。スタート地点の方向だ。
北西へ戻ると星人の群れが堂々と駅ビルに入るトコろだッた。
「あれ?」と首を傾げる岡崎をスルーし銃口を向けると最後尾の星人が歩かずに接近。仰向けに転がりビタンッと両腕(?)が床を叩く。跳ねて来たンじゃなく何かにぶつかり押されたようだ。
『あっ』
驚く視線の先には真新しいひき肉。
路上に広がる赤いシチューの手前に捻れた首・左右に寄生虫めいた触手・向こう側に露わな脹脛とくるぶしソックスを包むスニーカーが1セット。ソレの数メートル奥にも同じようなモノが視える。何だ先を越されたか。
ジジジ…
どうやら一足遅かッたらしく駅ビルに入ると唯一直立する一匹が消えてゆく場面だッた。
知ッている長身が俺たちに気付く。
「はぁっ はぁっ …」
「…」「…」「…」
荒い呼吸を繰り返すその口からは言葉が出ない。
お疲れ~、一人で全部殺ッたのか?
左掌で左膝を押して上体を支えつつ右甲で顔をこすると頬に赤い跡が付く。スーツの膂力で殴る蹴るは銃撃より早いけど汚れるのが難点だ。
あ、破裂した同類に押され無様にこけていた星人は岡崎が処理したから心配無い。
ちゃんとターゲット反応も消えた。次のポイントは…
西口方面の広場か。
草臥れた様子の加藤が見ている先には警官の後ろ姿。同じ服装が集まって揉めている。
新規メンバー達はどうなッた?
… … …
(4足メンバーと戯れていた奴らのパーツで)噴水の周りを散らかしたあと南へ向かうと右手に大きな建物が視えた。街灯その他で鈍く光る代紋。此処でも夢に見そうな光景が広がッている。
臓物をぶちまけた肉の塊・蹲る人間・呻く通行人と警官・明らかな硝煙の臭い・ボンネットの隙間から白煙を洩らすパトカー・公園よりは少ないバケモン…
ルーフが無くなッたパトカーには誰も乗ッていない。運転席のドアが半開きだから逃げきれたのか。弾痕はあッても倒れている星人は皆無。鉛玉の効果が薄いからパトカーぶつけてカウンターくらッたッてトコ?
警察署ッて爆弾系置いてないの?手榴弾なら一発で殺れそうだ。
「あっ」ダッ
駆けだした加藤は壁際でジャンプすると両腕を伸ばした。
空中でキャッチされる大きめの物体。
建物の入口を目指す星人の1匹が、着地した加藤たちに気付き進路を変える。
遅い!
バンッ
ババンッ バンッ
円柱を回り込む前に破裂する頭部。続いて別の星人共も部位が爆発・四散する。
アイツら走ンねーからマジで遅い。こッち見てなかッたし。
触手の先端や角だけを失ッた奴もいれば一瞬でミンチになッた奴も。建物の被害は無い。
やッぱ使うなら標準装備だ。嵩張らないしホルスター使えるし。ソレに比べ…要らねーなァ特典武器。持ッてるだけでかなり邪魔。いつもの指令、ターゲットの嗜好なんてトリヴィア要らねーからサイズとエリア情報を載せろ。特典武器はでかいターゲットを単独で倒す用だから街中エリアで人間サイズ相手じゃ使い途が無い。雑魚処理にいちいち目立つ痕跡を残すのは躊躇う、税金で直すンだし。
3階の窓から落ちて加藤にキャッチされた物体は細身の警察官。
腰に届く長髪でスカート穿いてたから女だろう。ソレを担いだまま壁から離れる加藤。
降ろされた位置で地べたに座ッたままの女は口を半開きにし無言。自分の無傷が信じられない、という表情に見えなくもない。両掌で自らの口元を覆う。
星人だッた物体を軽やかに跳び越え出入り口へ突撃する加藤。
気持ちは判るが少しは躊躇え。
待ち伏せを警戒しろッて意味は勿論だが俺が言いたいのは一般人に触れたコトだ。
バケモンが消えたり勝手に破裂するのは見たコトも聞いたコトもない生物に攻撃された動揺で有耶無耶になッて不思議じゃねーしXガンで撃った破裂は警察や自衛隊の狙撃、Yガンで転送され消えるコトさえ見間違いと片付けるかも知れない。
でも触るのはダメだろ。視えない存在とその関与を疑われてしまう。
一度ビシッと言うべきか、うん言うべ、と思いながら入ッた建物内は無人。
受付にも廊下にも人影が無い。被害者すら居ないッてコトは上階へ逃げたのか。
さッきの女は3階で追いつかれたから窓を開け脱出した?
…。
いい加減惨状には慣れたけど…すすンで見たいモンじゃない。
「静かだな…」
「さっきの人だけだったのかな」
「え?」
「逃げられた人」
「…」「…」
「ねぇ、呼ばれてる」
エレベーターに駆け寄ッた聖ちゃんが指摘する。無言で退がり武器を構える俺たち。
ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ ドッキンッ…
♪ピーンポーン♪
「…」「…」「…」「…」
「ふうっ ふうっ ふうっ …ひどい目に遭った…」
ホームドアの向こう側にいたのは星人でも加藤でもなく知らないオッサンだッた。
加藤にくっついていた内臓はオニ星人の触手がオニ星人を斬った際被った物。
それと加藤のパンチで爆ぜた物。
Yガンを使う合間にオニ星人を何度もどつくうち加藤の左ストレートは必殺技に昇華した。
池袋駅に居る単独行動のハンター(=加藤)を狩りにきたオニ星人は加藤にゴミ箱をぶつけられた。
知らないオッサン:
警察署の偉い人。オニ星人に遭遇したが勝手に爆ぜたので無傷。帰って汚れた制服を着替えようと自家用車へ向かう。