凡キャラでGANTZ   作:フランディーニ

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前編のあらすじ:
(超能力者無しの)オニ星人ミッションクリア。わりと手に負えなかった火オニ。延長戦無し。

現在の加藤チーム:
犬、中学生2、高校生6、教師、老人、小学生、DJ、外国人、大学生、幼児、サラリーマン5、年齢職業不詳2(サダコと桜丘)




ホスト編①

 

高層マンションの一室。

ガンツの歌(?)が終わり球面に指令が表れる。変わらない、いつもの手順。

…今日も知らないミッションだ。

 

 

“てめえ達は今から この方をヤッつけに行って下ちい 

 

 ホスト星人(白髪の男。白シャツに黒いネクタイと上着)

 牛寺徴   モテる

 好きなモの 強いヤツ グラサソ 彡酉 

 こ㋻いも@ おひちま 

 □>”せ  コイツはつえー”

 

 

画像の顔は知ってる。

 

 

 

今日は7月4日。

池袋がえらいことになったあのミッションから3週間経つ。

オニ星人共は電車内でもやらかしていたそうだ、雑誌(を読んだ小島母の世間話)で知った。

未だ多くのメディアで取り上げられている。多数の出版物(←小島母の蒐集品)は暇潰しになった。

 

黒球メーカー達にとって世間へ流していい情報の範囲とか一般人の確認怪奇現象に対する認識とか(マンガで他のチームが担当していたものが加藤チームに回ってきたのなら星人は増えていないけど)ミッションが増えたりクリア過程が違ったりメンバーが違う&増えても本筋との乖離は少ないんだな、とか思っていたのに此処で吸血鬼狩り解禁(というより強制イベント)なのね。

無駄になったか、近々接触してくるであろう迷惑野郎を使った嫌がらせ案。

 

マンガに出た拠点はひとつ。

渋谷に出るへんなホストを尾行するだけで見つかるっぽいので私独りでも特定出来そうだが(多くても都内に居る総数の10分の1以下だろう)少数を駆除する為に(警戒と)恨みを買いたくない。

しかし数百人単位の集会とかするのだろうか?吸血鬼。

マンガでガンツミッションや黒球部屋にカチコミを仕掛けていた辺りオニ星人より賢そう。

嫌な予兆を感じつつ部屋を見渡すと前回からの新規メンバー2名が顔を見合わせた。

 

「ホスト星人…?」

「これ人間じゃねーの?」

「人間にしか見えねー」

 

飽きたよ、その会話。

 

 

 

===□○◇===

 

 

 

「クラブ…?」

 

近藤が呟く。

他のメンバーも問題の入口である下って左折する階段をマップと見比べる。

入口の周りには何の看板も無いが間違いない。この下だ。

俺たちはターゲット潜伏場所へ続く地上入口から10m程の路地に転送されたらしい。

通行人は無し。

 

「けっこう居るな」

「出入り口って此処だけ?」

 

これから向かう空間に収まるマーカーを数え感想を述べる北条。首を傾げる山田さん。

準備がいいなら突入するぞ。

 

「あ、なぁリーダー」

「何だ?ホルン」

「……その呼び方やめねえ?」

「じゃあホm

「やめろっ」

「どうしたの?ルンくん」

 

何か言い掛けて怒りだした北条へ山田さんが続きを促す。

転送前に決めた偽名の頭文字を略しては最早誰だか判らない。

 

「…やめねぇか?入るのは」

「? そーいうわけにはいかないだろ」

 

表情を改めた北条の提案。一瞬なに言ってんのか解らなかった。

それって、ミッションを放棄したいのか?

エリア内で反応があるのは此処だけだ。

“おひちま”を恐がるターゲット…吸血鬼が棲んでる地下室に入るのは俺も気が進まないけれど、

 

「や、ミッションがどうこうじゃなくて、地上に誘き寄せるほうが有利じゃないかって。

 この出入り口大人数は通れないし此処で騒いでれば気付くだろ」

「騒ぐって…」

「そっか!天井から轟音すれば出てくるよな、この辺に特典武器うてば…

 待てよ? いっそ埋めちゃわねぇ?壊すなら同じだし」

「壊しちゃ駄目でしょ。武器に手榴弾無いのが惜しいよね、煙とか催涙ガスが出るヤツ」

「埋めて全滅させた場合、点数どーなんだ?」

「それは知らねーけどさ~。正面からやりあうよか楽じゃね?」

 

苫篠と岡崎も加わり話が進む。

「なんか人間みたいで気持ちわりーしー」との意見には同意だ、それに地下室ごと埋めるなら俺たちは安全そう。しかし

 

「悪いが却下だ。賛成出来ない」

「え~?」「…」

「星人が建物や道路を壊すのは仕方ねぇけど俺たちが壊すのは違うだろ。

 それにあの特典武器で電気系統やガス管とか避けて壊すのは無理だ、火が出たら危ない。

 何より…吸血鬼以外も居るかもしれない」

「あー…」「そっか、そーだよな」

 

この下にマジで吸血鬼しか居ないなら特典武器で建造物ごと押し潰す、その傍迷惑な選択肢に一考の価値はある。でも一般人の不在を知る方法が無いんだよな。

レーダーにターゲット以外は表示されないから。

 

「リーダー」

「え?」

 

計ちゃんが手を挙げる。今更だけど計ちゃんにリーダー呼びされると恥ずかしい。

…とか思ってる場合じゃないな。何だろう?

 

「いず…じゃなくて、アイツもう下りてッた」

「…」「…」「…」

 

出入り口を指し申し訳なさそーに計ちゃんが告げると静かな路上に罵声が響いた。

 

 

 

===■◇■===

 

 

 

地下クラブ。

2.5階層分ほど吹き抜けになった天井にミラーボール。スピーカーもいくつか。

右手にはボトルが並ぶ棚を仕切るカウンター。磨き上げられた床は控えめな照明を映している。

段差は判るが奥までは見通せない。ダンスフロアらしいギミックが見えるのだろうか?

 

黒服共が犇めいていなければ。

 

「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」…

 

異様に息の合った唱和が空間を震わす。

2階通路の柵越しに見えるたくさんの人影も合わせた「殺せ」コールは始まったばかり。

奴らの目線からして奥のほうに処刑される奴が居るのだろう。

 

ヒュッ

 

とりあえず手近な頸を刈る。

 

「?!」

 

振り向きかけた首も宙を飛ぶ。

 

ヒュン ザッ ズバッ

 

一歩踏み込む間に5匹の首無し体が膝をつく。

 

…「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」「殺せっ」

 

一連の異音は唱和に紛れたのか奴らは未だ俺の侵入に気付かない。

これじゃ草刈と同じだな。

居ないとみていいのだろうか、見張り役や監視役、

 

「っ」「なっ」「しn」

 

4歩目でやっと奴らに気付かれた。バーテンダーと数匹の頭部が床を鳴らす。

転倒に巻き込まれる瓶やグラス。割れモノが奏でるまとまった騒音でやむ唱和。

カウンターへ注目する間に増える死体。

刃を伸ばしもう一閃。

奥の様子が見えてきた。

 

ザワザワザワ…

 

黒服十数匹に囲まれ振り返る眼鏡男とその足元に倒れる死体、あと金盥。

服装からして眼鏡と死体は一般人、3体の首無しは全て女物の服装。着いたときに気付いた臭いはあれの血か。でかい盥2つを満たし床を汚す濃い色の液体は人間の血液…

 

「ハンターかっ」

 

長髪の黒服が身構えると処刑役だろう唯一刀を持っていた黒人の黒服が空けた右手で一般人の襟首を掴む。「殺せ」コールの対象はあの眼鏡…

黒服共の食事を目撃して口封じ、いやその辺の道端じゃあないんだ、そんな偶然ありえない。

獲物を解体する過程の慣習か?

 

考察しながら腕を振る。バタバタ倒れる黒服共。

ギンッ

頭上への落下物を弾いた直後、腰に衝撃。

体勢を整え、俺を蹴ったであろう相手を探すと新顔が脱いだ上着を黒服の1人へ投げ渡していた。

 

「よ~こそハンター。歓迎すんぜ」

 

「呼んだ覚えは無ぇけどな」と付け加えたそいつは丸腰など気にしない仕草で両腕を広げる。

濃いグレーのシャツに黒いスラックスを合わせた男の容姿はラテン系。癖のつよい髪は長い。

奴が吸血鬼のトップか?

クラブ内ではリーダーなのか、ギャラリーと化したその他大勢が奇声をあげ囃したてる。

背後も確認するとすっかり囲まれていた。

幹部っぽいラテン男を観察していた短い間に片付けたらしく俺と奴を囲む人垣の内側にさっきまであった死体や盥は消え、血液も拭いた様だ。

こちらを奴が指すと同時に黙るモブ。

 

「お前、知ってるぞ。死んだと思ってたわぁ見つかんねぇから」

 

眉尻と指を下げ言葉を並べるラテン男。

 

「生き残ったのかぁ、あいつらとやりあって。くく くっくっくっくっ…

 おぉい、大津!」

「なんだ?」

 

「あいつら」は前回のターゲットのことだろう。

奴が呼ぶと2階から返答。サングラスを掛けた坊主頭がのぞく。

 

「あいつら来るってー?」

「知らね。連絡はした」

「じゃあ仕方ないよな」

「そーだな」

 

次の「あいつら」は此処に居ない“ホスト星人”のことか? それとも“オニ星人”の生き残り…

点数にならないとしても向かってくるなら殺る迄だ。

坊主頭がひっこみ、やっとこちらを向くラテン男。

 

「様子見無しで本気で来いよ、すぐに終わりじゃつまんねぇ」ニヤリ

 

それはこっちの台詞だ。

 

 

 

===□○◇===

 

 

 

「なンだ…?」

 

先頭で下りた計ちゃんの呟きが聞こえる。

視線の先は人垣。手振りを交え大声で騒ぐ彼らの後ろ姿は黒の上下。

手前の床で横たわる、大事なパーツを欠いた者たちと似た服装だ。

…ん?

よく見たら黒服じゃない奴も居る

 

(…!…!)パクパク

 

落ち着いた色のジャケットを着た眼鏡のそいつは俺と目が合うと左腕を少し上げた。

強張った表情で俺たちをガン見している。

星人たちは何かに夢中の様だから奇襲出来るかと思ったが、そう上手くはいかないか。

あっ

隣に居た黒人が振り向くと眼鏡が顔から床へ倒れた。

黒人が脚をかけて倒した様だ、そうとしか見えなかった。眼鏡男は背中を踏まれ苦しそう。

 

「一般人じゃないの?あの人」

 

山田さんの指摘に納得する。そうか、ターゲットじゃないから服が黒くない。

さっき寄こした目力は助けを求める視線だったか。

でも想像と違うなぁ“ホスト星人”って呼称だから連れ込まれているのは女性かと…

いや、そうじゃない。

そんなことを考えている場合じゃないというのもあるが問題はそこじゃない。

 

ボンッ

 

黒人吸血鬼の頭部が爆ぜて飛び散る。メンバーの誰かが撃ったのだろう。

破裂音に怯えたのか頭を庇ってから大口を開ける眼鏡の男性。悲鳴のかわりに聞こえるのは

 

オオオォォォオオオオォォォォ!!

 

地下クラブ内を圧す歓声。

…歓声?

さっきから何を騒いでいるのか。新しい犠牲者に気付かないテンションで。

あの奥で何やってんだ…って、おいっ

 

人垣へ歩み寄った苫篠が1人の肩を叩く。それ星人だぞ!

しかし争いは起こらない。黒服は苫篠の手を弾くのみで振り返らず敵だと気付かなかった様だ。遅れて来た仲間とでも思ったのかな…

 

黒服越しでも判る太い腕を振り回しはしゃぐ(?)星人の横から戻ってくる苫篠。

「タイマンだって」と言ってから近藤のチョップをかわす。

…。

連中が俺たちを無視し熱中している見世物、ケンカかよ。

 

「うわぁー…大丈夫ですか?」

 

山田さんが声を掛けた相手はさっきの眼鏡さん。自力で起き上がりこっちへ歩いて来たので背中と顔面のダメージは軽い様だ。

眼鏡男性の頭髪や服に血とか色々くっついているからか間合い広いめの山田さん。

男性も一定の距離を保っている。

ヘンなスーツ着て、なにより銃器を装備した集団は妙なテンションの黒服連中よりも近寄り難いのだろう。って言うかフツ―に視えているんだよな?俺たち、…なのに一般人。

 

「ええ…お蔭さまで」

 

山田さんの問いに答える眼鏡さん。「お蔭」は吸血鬼の頭が爆ぜた件だな。

爆ぜると言えば、目の前で装備使ったのに平気そうだな頭の爆弾。

今のところメンバーの誰も破裂してない。クラブへ共に下りたメンバー全員の顔を確認出来た。

 

2ヶ月前ゆびわ星人のミッション中に破裂した新規メンバーの罪状はレーダーをいじって消えるところを一般人に視られたこと。

この仮説が正しいなら黒服の頭をふっとばしたメンバーが無事なのはおかしい。

部屋の装備を使ったメンバーを丁度眼鏡さんが見ていなかったとか?

…たぶん彼に視えていないメンバーが撃ったのだろう。俺たちも周波数を変えておくべきだったか。今までのミッションと元の周波数が違う場合手順が変わるのかな?

今更な後悔と装備の用法はひとまず脇へ置くとしてペナルティ不発の理由がルールの変更なら制限が緩くなるのは歓迎だ。身バレし易い状況は困るけど。




(今更考えた)作戦中の偽名:北条=ホルン、加藤=リーダー

罵声:勝手に先行した和泉への悪口。おもに北条と苫篠由来。

クラブで和泉を蹴った吸血鬼:
幹部。かっぺ星人ミッション終了間際の初登場時見開き画でいう左から2番目のイケメン。
2階(地下1.5階)から飛び降りるついでに和泉の頭を狙った物は酒瓶。

大津(名称捏造):
幹部。同見開き画でいう1番右の高身長。グラサン坊主。常識のある頭脳派(だったら素敵)。

眼鏡()を踏んでいた吸血鬼を狙撃したのはステルスしたメンバー()。
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