(吸血ホスト)クラブ潜入。一般眼鏡男を救助(?)。元から騒いでいたターゲット達に無視される加藤たち。
実を言うと今回のミッションが一般周波数でスタートしたのは想定内だ。
判断材料は3日前にガンツメンバーが雑誌に載ったこと。
計ちゃんに呼ばれ集まった畳の一室で雑誌を広げたのは北条。
それを見せられた時は驚いた。載った本人たちに教えられたから心臓が止まりそうな動揺は短くて済んだけど。
誌面デビューしたメンバーは北条と計ちゃん。
池袋ミッションの終了間際爆心地から移動する途中でガンツスーツ姿の全身が防犯カメラに映り込んだらしい。共に行動していた桜丘さんは角度の関係で、サダコは髪型のお蔭で顔出しを免れた。白黒画像の横に大きく載った見出しは、
“テロリストは学生?”“現場付近で目撃された4人。爆破テロとの関係は”
テロ犯と思われたのはサダコのレッグホルダーにXガンが付いていたから、なのか?
知らない人からは爆弾に見えなくもない。
オニ星人たちは丸腰だったからか計ちゃんたちがビル倒壊の主犯扱いだ。
TVや新聞では“宇宙人”の仕業で通ってるのに。
北条はクラスメイトから記事の存在を知ったらしい。
北条と計ちゃんの爆弾が作動しない理由として、疑う一般人が「人違い」で納得したことをガンツが信じたか、ガンツ部屋の武器を使う画像を観られなければペナルティは発生しないという仮説を前提に一般人目線では防犯カメラ映像がコスプレ姿で出歩く若者でしかないからガンツに見逃された、てことで落ち着いたのだが、問題は前回のミッション中にメンバーたちの周波数が勝手に変わっていたことと、ビルの崩壊に計ちゃんたちが関わったと決めつけた記事。
今回のスタート時、人混みでいつもの転送をされなくてよかった。
一瞬で身元がバレたりプライバシーを広められるのも嫌だが今発表されている記事や噂を考えると器物破損や銃刀法違反等いくつ罪状を突きつけられるか判らない。
「とりあえず出ましょう」
山田さんが避難を促すと眼鏡さんは無言で従った。
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「何なんですかね、このクラブ。人の首を切って血を飲むなんて…」
「ぇえ、そんなことしてたのあの人達」
「してたんです。あの奥のほうに女性の御遺体が…僕がみたのは3人分」
「ぅわぁ…」
「…僕は…生きて帰れるんでしょうか?」
「安心してください。大通りまでなら付き添えますから」
「それは有難い。駐車場までお願い出来ませんか?ここからちょっと離れてるんですけど」
「えっと、どのくらい?」
「此処から西に300mくらい」
「えー…うーん…」
「あっ迷惑ですよね。すみません図々しく」
「いやいや、そーいうんじゃないんです!ちょっと不都合があるだけで…
行きましょうか!大通り迄ですけど」
マップを見ながら座っていると階段を上りきった2人が路上を見回したあと会話を始めた。
ガンツスーツ姿と一般人な服装のダブル眼鏡だ。
周波数を変えた私が居るのは彼らから数mほど離れた道向かい。背後は外階段付きの建物。
用が済んだら屋上へ戻るつもり。
「申し遅れました。僕はこういう者です」
芝居がかった所作で懐を探るとメカメカしい全身タイツ眼鏡へ紙片を差し出す一般人眼鏡。
彼らに近付き確認した文面は
“フリーライター 菊池誠一”
マンガの脇役と同じ肩書と氏名。ミステリーハンター御本人だ。
怪奇な噂の真実を求め、ヒトをクリ―チャ―にぶつけて見物するヤバい連中の秘密を嗅ぎ回っていたくせに吸血鬼に見つかっても無敵キャラと知り合っても無事に目的を達成した強運野郎だ。
余波で和泉と玄野兄(2機目?)弟、警察官含む一般人&国外の一般人を数十~数百人退場させたりと大活躍だった。
彼が吸血鬼の巣から出てきたってことは「ガンツチームと敵対する組織の建物」に(成り行き?で)突撃するイベント今日だったのか。玄野は何も言ってなかったから菊池は“くろのけい”に接触する前に此処へ…。
マンガ読んだときも思ったけど彼は自分が調べたことをあんまり信じてなかったんだな。謎の組織や星人にロマンを感じても血生臭さは連想しなかったらしい。クリ―チャ―専門の殺し屋集団に「敵対する組織」を武器無し単独で探すとか(例え取引材料を握っていたとしても)平和ボケとしか言いようが無い。
「これは御丁寧に…僕は、っと名刺入れは部屋だった…。山田と申します。山田雅史」
受け取った名刺を持てあまし結局首まわりの隙間にねじ込んでから自己紹介する山田。
…。
名告られたら名告り返すのは常識でありマナーだが、ミッション中に 本名を 告げるな(笑)。
おかしーなぁ。転送前に加藤たちと何やらわちゃわちゃと決めてなかったっけ?
一般人の目撃者用に偽名を考えてたよね?海外ドラマに出てきそうなコードネーム(笑)を。
そっち使えよ(笑)。劣化しにくい記憶力と似顔絵の腕、或いは後日再会する運を菊池が持ってないなら時間稼ぎにはなるでしょ。それとも気付いたのか?顔面丸出しで偽称しても意味が無いって。
私は上着のフードと使い捨てマスク(と光学迷彩)で顔バレ対策済みです。
それにしても菊池に遭っちゃったのは仕方ないとして、なぜ報道機関は“黒い球の部屋”とそれに登場する星人狩りメンバーの存在を隠さないのか。
メンバーの脳内に爆弾を設置してまでミッションに関する情報漏洩を防いでいたのはガンツだ。ガンツは(おそらく)黒球とセットで造られた存在。即ち情報漏れを防ぎたいのは黒球メーカー。マンガキャラの言動から推察する黒球メーカーとそのお友達の身分は権力者。(フィクションに登場する系の)手広く根を張るタイプの黒幕なら警察や報道機関に手を回し不都合な情報をいくらでも握り潰せる筈。
それにマンガとは状況が変わっている。
オニ星人ミッション中、通行人や野次馬が巻き添えになったのは同じだがマンガではオニボスこと雷オニが一般人たちを脅していた。目の前で警官の集団を蹴散らした後で。
そんな絶望の最中、颯爽と現れ傷つきながらも懸命に怪物と闘い奇跡の様に勝利したチームを英雄視し知りたがるのは必然。でも2週間前のミッションでは雷オニが早々にヤッつけられた&星人が全滅したあとオートステルスが終わり不可知化周波数が一般周波数へ変わった為オニ星人編の魅せ場は消えた
=全身タイツな謎の男女かっこいい祭り上げたい✕
クリ―チャ―とテロリスト怖い政府なんとかしろ○ になる筈だ。
“黒い特殊部隊”の存在を偶然知る機会をひとつ失った世間はガンツメンバーの情報を欲していない。
なのにマンガと同じ程度に事実が周知されている。
私小説風サイト“黒い球の部屋”に登場する“星人”と“ガンツメンバー”の敵対関係…
都内で発見される原因不明の破壊痕とミッション記録の符合…
世界中で目撃例が増え続けるクリ―チャ―…
黒い球を象徴とするドイツの宗教団体…
“くろのけい”として別人が紹介されている記事も再現されているのが救いか。
的外れな記事や「ミッション記録(西日記)=ノンフィクション」の図式に懐疑的な記者さん達にはもっと頑張ってもらいたい。
雷オニと対峙する玄野たちの画像はマンガだとTV局へ渡らず消えたのに2週間前の防犯カメラ画像(メンバー否定派・テロ犯呼ばわり)が記事になった。あれが態とだとしたら何の為に?
公的機関への不満を逸らす目的で見逃した或いは提供したんじゃね?と陰謀説ズキが思いそうな展開か?
オニ狩り~ラストミッション期間の(情報漏洩に伴う)罰則について、マンガのメンバーは日常で装備を使わず有事はステルスを併用するか服や鞄で覆い隠して使っていたので機能していたのか判らなかった。
でもマンガ通りの順番なら次回にあたるミッションエリアに居た一般目撃者が(外部に情報を洩らしたりエリア外へ出ず)ボスの大暴れで全滅したとは思えないし、ゆびわ星人狩り時の屑はミッション中に爆ぜていた。それにミッション主催者の目的はメンバーの爆死ではなくターゲットの駆除な筈、サイバーパンクな殺し合いの勝敗予想と観戦が主目的だとしてもスーツ丸出しの山田が菊池と往来で駄弁っている現状、ミッション中のメンバーを一般人から隠す気が無くなったんならガンツから一言ほしい。(これが全国的な仕様変更なら他都道府県メンバーの一部もそうだが)今の東京(練馬?)メンバー、へたに退場させると困るのは黒球メーカーも同じだよ?
「そいつから離れろ!!」
ちょっぴり錆びた階を数段飛ばしで駆け上がっていると知人の大声が聴こえた。
===□□□===
僕たちの会話を遮り鋭く響き渡る警告。
発したのは
「北…条くん…? えっ…と、なにg
「そいつは星人だ!油断するなっ」
「?!」「!!」
険しい表情でXガンを構える北条くんが睨む先には僕と、もう1人しか居ない。
「そいつ」って菊池さんのこと?
僕の横で彼が息を呑む。
何も弁解せず、というより一言も発さず何度も僕と北条くんを往復した視線が止まる
バァンッ
と殆ど同時に破裂音。
僕の後頭部と背中を叩く細かい飛沫が道路を染める。
ああ…そんな…
振り返ると予想通りの光景。
仰向けに倒れた人間。光るボタンのスキンスーツ、首から下に外傷は無い。
首から上は…
…。
アスファルトが迫り左掌で表面を押す。喉まで上がった酸っぱいものを何とか留めると少しの間視界をぼかしてくれていた液体が頬を滑り落ちた。
まだ高校生なのに…こんなことって…
ぁあ悔やんでいる場合じゃない。彼が教えてくれたのに動けなかったら無駄になる。
でも、北条くん。菊池さんが何をしたのか判らないんだ。そんな相手から逃げる算段が浮かばない。
生き残る自信が無いよ…
僕以外の手が視界に入ったので見上げると彼は口を開いた。
「今のはあなたのお仲間ですか?」
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(山田さんが無事なんです、味方ですよね?大丈夫ですよね!撃たれませんよね?!)
(…。…?)
跪いて周囲を警戒する菊池と無言の山田。早口&挙動不審な強運眼鏡は高所からの狙撃を疑っているっぽい。
2人に無視されているヒトは動かない。
頭部を破壊されたソレは色白で痩せ型な…どう見ても全裸。黒い全身タイツではない。
「北条」が首から上を失いうつ伏せに倒れると暫くしてから肌へ吸い込まれるようにスーツと武器は消えた。
「北条」を倒した攻撃に驚き集中しているうちは思いつかないだろうけど、ガンツメンバーが絶命すると服装が変わるのか?と菊池は誤解しそう。
今までミッション中の犠牲者は星人もメンバーも時間切れの後…だいたい生き残りの採点が始まる辺りでどっかへ転送(或いはデータ化もしくは削除)されていたと思う。メンバーはデスペナ用爆弾を起動された後で。
溶けて乾燥し風に運ばれるまで遺体に不可知化をかけ続けるとは考えにくい。腐乱や白骨化を観察する趣味をもつ輩が主催者やその客に居たとしても異常な周波数をノ―コストで維持出来るとは思えないし何時か誰かが踏んずけちゃう。装備だけを回収する意味は無い(そーいや次回の公開ミッション、マンガの退場者は回収されたのかな?)。
脱落による服装チェンジと一緒に容姿も変わる、とは思わないよね?さすがに。
ミッション用の容姿設定があるとか光学迷彩より(ガンツスーツ機能にねじ込むのが)難しそう。
あ、「北条(の振りしていた全裸野郎)」の頭部をふき飛ばしたのは私ではない。
菊池へ銃口を向ける「北条」を上から眺め、へんなことになってる~とか思っていたとき地下から現れたメンバーの仕業(クラブで保護した菊池のお守は山田のみらしい)。眼鏡ズと同じ登場口に関わらず偽北条へ奇襲を成功させた状況で皆さん御判りかと思う、西センパイだ。
クラブに居る筈の知人が先を歩いていたので撃ったのだろう。
ガンツスーツを着たメンバーならXガン一発で爆ぜないと証明済みだし。
特徴的な発砲(?)音を聞いた筈の偽北条は不審な動きをした。回避モーションが奇抜とかではない、正しくはXガンの銃口が不審な動きを。具体的に言うと4つへ割れる前の部品が前方へ伸びた。有機的ににょろっと。それは中途半端な姿勢で菊池を見る山田の左耳を目指していた。「北条」は偽物だ、と私が確信したのはその時点。
今更だが、サダコさまがお憑きあそばせていない単独北条を見て気付くべきだった。センパイが動かなければ手遅れだっただろう。北条のフェミ心が仕事し隠れさせていたとしても彼女なら顔の半分くらいは覗かせてそう。サダコは北条ウォッチングに余念が無い(いつ飽きるんだろう?)。北条以外(の敵と味方が)全滅したにしては山田たちに追いつくのが早いし、加藤たちが下りてから消えた1体(とその前に和泉が減らした分)以外の星人反応に変化無いし。
て言うか新事実だな。吸血鬼にも他人に化けたり身体の一部を触手化する奴が居るなんて。
水オニかよ。
ガンツスーツだけでなく武器まで自前(手に持っている物だから腕の延長?)なところも奴っぽい。
…本当に水オニだったりして。
3週間前、私は確かに奴をヘッドショットしたけれど水オニなら来るとわかっている狙撃を無効化できる。マンガでは皮膚で包むように爆発を隔離していたが敵に気付かれない無効化方法もありそうだ。例えば立ち姿の外皮だけ残し主要部分は地面に変身してやり過ごすとか。あの時は雷オニに不意討ちした直後だったから警戒した筈。センパイは「北条」の処理方法に捕獲を選択しなくて正解だった(変化でワイヤーをすり抜けるだろうから)。
吸血鬼に変身能力あるほうが困る。ターゲット以外の星人はマップに表示されないし、
メンバーや知人はたまた周りを飛ぶ虫まで一々疑ってられん。
階段上りを再開するため立ち上がると眼下の彼らも移動を始めた。
山田たちの中では解決したのか頭をさげ合ってから大通りへ足を向ける。
無事に帰宅できるといいね。
(吸血ホスト)クラブ・サービス一覧:
①高身長の美形(吸血鬼)とお喋り。訊けば何でも答えてくれる(一部愛想が無い)。
②美形(略)の半裸ステゴロ鑑賞(某闘技場の如き熱気と迫力)。解説付き。
③ドリンクバー(大抵飲む暇は無い)。
初回料金は全身の血液。御利用有難う御座いました(斬首)。
「北条」に変身した奴=水オニ:
オリ主に脳を破壊された岩オニに半ば同化して巨大化させたり自爆させたりした後ひとりで逃亡。クラブに幹部吸血鬼を訪ねていた時ちょうど菊池が連行されて来た。
和泉に潰される直前の火オニに電話してきたのもコイツ。