凡キャラでGANTZ   作:フランディーニ

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前回のあらすじ:
ラテン顔幹部を追ってクラブをとび出す和泉。つづく加藤たち(ターゲット達も)。



ホスト編④

===□○◇===

 

 

 

「はぁ?」「えっ何?何?」「ケンカ?」「やっだぁ~」「何だ?」「酔っ払いかぁ?」

 

追いついた場所は交差点。

半裸と和泉はさっき見た恰好のまま殴り合っている、いや互いに一発ももらってないから避け合いか。

歩道ではなく広い車道の横断歩道上で続く攻防。信号はとっくに赤だが車両に譲る気は無い様だ。

ドライバー達の視線も含め、予想通り見世物になっている。

ギャラリーに合流した俺たちへ注目は無い。ターゲットたち黒服集団は……あれ?居ない。

人だかりの後方にも居ないようだ。頭一つ分くらい突出するだろう長身たちの姿は見えない。

計ちゃん達も居ないぞ。なんだ、俺ともう1人だけか移動したの。

 

前回のミッションと同じく見物人は撮影してない人のほうが少ない。

和泉の爆死を心配するところだけど、奴と半裸の動きが速すぎる。カメラで捕えられるかどうか…

 

ゴシャッ

 

とか思っていると片方が自動車へ接触した。…和泉!

進路妨害された挙句ボンネットを凹まされフロントガラスに罅まで入れられた運転手は不運だ。

背中をガラスに預けたまま和泉は動かない。

半裸星人がまっすぐ向かう!

 

ガンッ

 

炸裂する蹴り。和泉の埋まッた車両が退がる。

…ことはなく蹴りを太い腕が受け止めた。風のぶ厚い筋肉だ。普段より更に膨張版の。

俺は和泉の脈をみる。

 

「おいっ 寝るなっ」

 

返事は無い。いつもの無視ではなくマジで意識不明らしい。代わりにギャラリーから疑問の声。

「今の音、何が鳴ったんだ?」ってどういう…

あぁ半裸星人の蹴りを風が防いだ「音」しか一般人に認識されなかったんだ。

俺と風は問題無く周波数を変えれたらしい。即ち野次馬にとっての透明人間。

 

「あ!! なーんだ、消えてんのか。びっくりさせんなよぉ~」

 

半裸星人は一足飛びで風から離れると左手でポケットを探る。

妨害したかったけど距離がありすぎた。

半裸裸足にサングラスを足した星人が風に迫る。選手交代でストリートファイト続行だ。

 

 

「おぼっ」

 

地響きの直後、聴こえた声。

放置したら救急車を呼ばれそうな和泉を(骨折箇所とか判らないまま)なんとか背負い…

振り返ったことに後悔した。

風の攻撃をくらい四散した半裸吸血鬼の声だったらしい。

顔中の孔から血を噴きだし胴体が爆ぜ四肢が方々へ飛び散った人間(っぽい星人)を見た感想だろう、跪いたり腰をまげては歩道や植え込みを汚す野次馬たち。街路が破壊と死者で溢れてしまった前回と比べるとすれば圧倒的に平和なのに絵面的に大惨事。

目撃者の殆どが一生覚えていそうな光景だ。

それに死因が不審すぎる。気持ち悪さで細かい所は気にならないと思いたい。

ガンツソードで斬り傷を付けるよりは透明人間の存在を隠せたか?

Yガンで処理できれば壊れた死体が残らず立体映像みたいな消えかたを見た数人はTVか何かの企画と思ってくれただろうが、仕方ない。星人が一般人へ危害を加える前に処理することのほうが俺たちの都合よりも優先だ。巻き添えが出る前に倒せたことを喜ぼう。

 

いつものように吐き気を飲み込み、俺たちはスタート地点へ戻ることにした。

 

 

 

===◇○○===

 

 

 

ダダダダダダダダダ…パララララララララ…タタタ…タタタタ…ダダダダダダダダダダダダ…

 

喧しすぎる銃声が夜の街路に響き渡る。

看板の裏に飛び込ンだ俺の近くを削る跳弾。左肩を預けた煉瓦に埋まるこの鉛(?)玉も吸血鬼由来なのだろう、手の変形だか分裂だか知らないが生成途中で発砲している奴がちらほら。

 

ッたく、星人ッてヤツラはムチャクチャしやがる。

百人以上で銃乱射とか数分待たずにパトカー来るぞ団体の。隠れ家を放棄する気満々か。

 

大騒ぎな此処は今回のスタート地点付近。

数m先にクラブ・ホスト星人の出入り口が見える。

和泉と半裸の星人がクラブを出て行ッたときは、他の吸血鬼に追われるカタチになッていたし、ぶッちゃけ俺も加藤と風について追いかける気になッていた。

でも血臭に慣れた鼻が外気を吸ッたとき気が付いたンだ。

 

このまま吸血鬼共を連れ回したら、前回と同じに成ンじゃねえ?

ミッションと無関係な死者だけで百人以上を数えたあの地獄と。

 

それでこの状況だ。

結局クラブ内のターゲット共(のおそらく)全てを往来に解き放ッちまッたが数十mの範囲に留めている。平和ボケな野次馬や運の無い警官が来るまでに片付けたい。

星人が生成(?)した銃弾は、スーツに効くのかどうなのか…

数発は耐えてくれると助かるなッと

 

ドンッッ

 

不可視の槌が路面を打つ。黒服は飛び退いたものの銃身を巻き込めた。

ほぼ同じ場所に数発目なので陥没が深まり少し気になる(この下に何も無いことを祈りたい)此処が、俺たちが担当する防衛線の最終ライン。

クラブの出入り口に接する街路の南側は岡崎たちが担当し、和泉たちが駆け去ッた側にあたる北は俺と数人が通せンぼッてカタチ。出て来た黒服共の殆どが北を目指すので半分囮だな。

 

聖ちゃんとJJ・苫篠が黒服共に殴り込み、俺と近藤が援護。それを突破あるいははみ出した奴を北条たちが潰している。クラブに居た一般人に俺たちが視えていたからこッちは全員ステルスしているが、岡崎たちも周波数を変えたンだよな?

南担当は幼児と小学生・婆ちゃんとミッション2回目の初心者含む顔ぶれだから敵を逃がさないでくれたら充分だけど…

もッと攻撃して欲しいかも。姿を見せないぶン出来れば派手に。挟撃の圧力が増えれば星人でも焦るはず。隙が増えれば処理が捗る。

そう思いつつ数人をロックオンすると視界の隅に彼女が見えた。

完璧な脚線がロン毛吸血鬼の額を砕き滞空したまま2匹目を葬る。アスファルトと平行に開いた脚を戻しながら縦回転。金髪吸血鬼の頭頂部を口元まで凹ませ反動で次へ。

 

…リミット無けりゃあ余裕かも。

 

 

 

===□□□===

 

 

 

ギョーンッ

 

よっつへ分かれ光る銃口。

 

ギョーンギョーンギョーン

 

着地するまでに更に撃つ。

 

軽業師さながらに動きまわりXガンを連射するのは吸血鬼少年。その標的は僕じゃない。

彼に狙われたなら一度だって避けられる気がしない。

肝を冷やした一射目は僕を逸れて放たれた。

 

「は?は?何が起こってn うわっ」

 

菊池さんの声が耳をうち破裂音は遠ざかる。暴れないでっ 退避します!

 

「舌を噛みますから黙って 大通り沿いでいいんですよね!」

「え?え?」

 

駆けながら投げた念押しに菊池さんは混乱ぎみ。

いや当初の目的ですよ、駐車場に停めた車で帰るんでしょう?

吸血鬼少年が仕掛けた相手は一発も被弾無し。即ち同じ吸血鬼。恐らくは、彼が負けを認めた上位者のひとり。

あなたが惧れていた危険が来たのだ特大の はやく帰って!

 

タタタ ダダダダ ガガガガガ ドンッ

 

…なんてこった。遠くからアクション映画みたいな音が聞こえる。

行き先にも居るっぽいよ吸血鬼。

持っていた菊池さんを路上へ降ろしレーダーを確認。

予想に反して大通りではないが脇道のひとつに沢山いる。吸血鬼クラブに接する通りだ。

クラブ内のターゲット反応がひとつにまで減っているのはどういう状況?

どうして場所を移したんだろ?

道へ出たターゲットがクラブに居た分ではなくエリア外からの増援ならば時間制限が心配だ。

終了ギリギリで増えたらどうしようもない。

 

「申し訳無いんですけど菊池さん。僕が送れるのは此処までです。

 道を…駐車場までの安全そうなルートを教えますから急いで帰ってください」

「は?」

「さっきのクラブには行かないで、危ないので絶対ですよ」

「此処から、ひとりで?」

 

周りを見回しながら菊池さんが訊き返す。吸血鬼と遭遇したら終わりだから恐いのは当然だけど、レーダー貸すのは流石にまずい。

 

「はい、ひとりで帰ってください。この辺に隠れるより離れるほうがマシだと思います」

「…」

「帰るならすぐで。隠れるならあと15分、いや銃声とか変な音がやむまで待ってから移動するほうが安全かも判りませんけど、どうかな、どっちにしても運でしょう。

 奴らに見つからないように…頑張って」

 

別行動をどう解釈したのか菊池さんは俯いた。武器ひとつ貸せず置いて行くのは心が痛むけれど、彼より危ない目に遭っている子を何とかしたい。すぐ動けるのは僕しかいない。

 

僕は元来た路を全力で駆けた。

 

 

 

… … …

 

 

 

倉庫のある裏道。

派手な頭の黒服と対峙する長身少年。

 

「どうした。ハンターごっこは終わりか?」

「はぁっ はぁっ はぁっ」ガチャッ

「…ふ」

 

黒服が瞬く間に距離を縮めると少年は後方へ避けた。

はらりと着地する黒い布。長身少年の上着の一部だ。

刃で逆袈裟の軌道を描いたのか斜め上へ伸ばした両腕と姿勢を戻し首を傾げる黒服。

指令の星人に似た容姿、同一人物かな?あの白髪男。

 

「何度も間違えるなよ。次は手首おとすぜ」

「…今日は休みじゃなかったのか」

「ん。ああ、その予定だったけど借りたヤツがハズレでな、暇つぶし」

 

外野の僕まで寒くなりそうな口調の脅しを受けて関係無さそうな答えを返す吸血鬼少年。

彼を見つめる白髪吸血鬼は咥え煙草を空いた右手で摘まみ紫煙を吹き出す。

 

「期待してんだお前には。ほら、言ったよな練習しとけって」

「ちっ」

カシャンッ

 

再び何かを催促する白髪吸血鬼。その無表情は玩具を期待する猫を思わせる。

吸血鬼少年は片手でポイッと銃を捨てると右手を広げた。

 

…あれが吸血鬼の武器生成…

 

右掌から地面へ向け鋭利な物体がせり出てゆく。

やがて柄になった端っこを握り、両手持ちで構える吸血鬼少年。

 

……

………。

 

路地裏で始まった斬り合いを見物し思う。

無理だ。

折角戻ってきたのに、援護したいのに、あれに割り込むヴィジョンが見えない。

手元に戻ったXガン…さっきより2人の距離が近いので誤射しそう。

ガンツソード…僕に剣道の才能は無い。ていうか竹刀の振り方とか覚えてない。

そもそも僕より動ける少年がXガン使って無理だったことを覆せるワケがない。

 

お互いに斬りつけようとしても刃と刃をぶつけ合ってはいないようで聴こえてくるのは足音のみ。憔悴してゆく少年を何も出来ないまま眺める。

再びお喋りを始めれば白髪の動きは遅くなるか止まるはず。その時しか機会は無い。

次に休むきっかけが少年の致命傷でないといいけれど

 

「氷川!」

 

裏道に声が響く。

 

「例の奴が来ているよっ」

「!」

「がぁっ?!」

ボタッ

 

黒服より奥まった位置から何者かが再び話し掛ける。その台詞に被さる苦鳴。

ついで落ちてきたのは長ひょろい物体。

 

「マジかよ。どこだ」

「はぁー…やっぱり見てない。スクランブル交差点、らしいよ15分前は」

「へっ」タンッ

 

「15分前だよー」と念を押す声に答えず駆け去る白髪吸血鬼。副流煙が鼻をつく。

少年は跪いている。欠けた腕の断面を抑えながら。

その足元でバシャバシャと濃い色の液体が水溜りをつくる。

 

「あれ?」

 

裏道の奥から現れ少年に歩み寄るのは女性。凛とした声のイメージ通りな黒髪美人。

彼女の服装はどこかへ行った白髪吸血鬼と同じ白シャツに黒の上下。唯一の違いはスラックスに収めていないYシャツの裾。

 

「アキラ…だっけ」

「…」

 

女性の問いに答えず壁へ拠りかかる少年。背を滑らせ座り込む。

 

「うわー。痛そう…

 え?待って。さっき斬られてたのアンタなの? なんで?」

 

少年の正面にしゃがみ首を傾げる女性。顔を覗き込んでいるのだろう。

 

「帰れ」

「…」

「此処は…危険だ。今すぐ…帰れ」

 

言い終えた少年の額が膝へ着くと、長い髪をはらい女性は立ち上がった。

 

「ねぇおじさん。何か知ってる?」

 

 

 

===□○◇===

 

 

 

「ひi ジジジ ジジジ…

 

褐色の口元が消え青白い光が顎を侵食してゆく。

JJに向いていた銃口は吸血鬼を数体転送したあたりで俺へ集まった。

ステルスを見破る道具の話を思い出しながら柵を越える。コンタクトレンズの有無は見ても判んないからサングラス装備を優先的に狙うべきだけど、そんな器用な真似は難しい。

大きめに退がると銃弾は追いかけて来ず、耳が靴音を拾った。

…。

あいつ今どっから現れた?俺の後方に居るってことは大通りのある方向からか?

クラブのある通りから脱出し計ちゃん達を振りきって大通りへ行った吸血鬼なら俺と風が戻る時に遭っているはず…

 

「おい」

 

ミッションエリア外から来たっぽい吸血鬼の第一声。周りの騒ぎなんて関係無いって顔だ。

微風に白髪と黒服の裾を靡かせ無造作に歩むと煙草を口から離し煙を振り撒く。

フィルターを摘まんでいないほうの手で握る得物が妖しく光った。

 

「お前ら、リーダーは?」

 

…は?

 

「お前らのリーダーはどこだ。答えろ」

 

俺が答えないことに苛立ったのか片眉を上げる白髪吸血鬼。要求を言い直す。

そんなこと訊いてどうするんだ?リーダーを倒せば俺たちが退くと思っている?

残念だけど時間切れまで退けないぞ、こっちも命が懸かってる。

ていうか吸血鬼はリーダーを倒せば退くってことか?

…あれ? 奴らのリーダーっt

 

「ゴキブリは頭の位置も知らねーのか。おい、聴こえてねーのか」

 

俺が、リーダーだけど…。

 

「…」

 

…。

 

「いちばん強い奴はどこだ」

 

奴も気まずかったのか、夜空を仰ぐ動作を挟み質問が変わった。

次は「お前ら」の中で「いちばん強い奴」を訊いてるんだよな?

誰だろう?ガンツメンバーで「いちばん強い奴」…。

いちばん点数獲ってるのは西だけど、あいつより風やJJのほうが断然つよい。

あ、でも特典武器を使えば勝負になるか。ガンツアーマーはチートだ。

 

西の居場所なら、知らないな。




半裸吸血鬼が透明人間の腕を蹴った音を指摘した一般人は、和泉へ向けた加藤の言葉をギャラリーたちのモノとしてスル―。

クラブに残っている一人は坊主グラサン幹部(大津※捏造苗字)。

白髪吸血鬼(氷川)vs吸血鬼少年(玄野アキラ)の現場へ、山田は周波数を変えて戻った。
結局何もしてない。

黒髪美人(きるびる)はステルス看破コンタクト装備。捏造苗字は夕張でいいかな。

某スクランブル交差点に行ったら人集りと死骸しかなかったのでクラブへダッシュした氷川。
(和泉がクラブに来たことを幹部たち+きるびるへメールした)大津が送ったメールは尚も未読。

ロングコートぎょろ目幹部と斎藤は元々欠席。
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