クラブ前の通りへ戻ってきた加藤、白髪吸血鬼に質問される。
白髪「強い奴(和泉)はどこだ」
加藤「強い(武器を持ってる)奴(なら西か?どこだろう)?」
わからない、と答えると白い眉間に皺ができた。
「ちっ、遅かったか…」
無表情ながら明らかにがっかりする白髪吸血鬼。その頭部へ向けトリガ―を
?!
引く動作の変更が間に合ったのは奇跡だった。
耳の横で金属(?)同士が擦れ合う音が大きく聴こえる。
銃弾をばら撒く吸血鬼たちは居なくなっていないし耳元の凶器は存在感を増しているのに、無感動な瞳から目が離せない。冷たい汗が頬を伝う。
数mを瞬時に詰めた白髪吸血鬼は姿勢と身長差のせいで俺を見上げている筈なのに、
見下されている気分…
ドッキンッドッキンッドッキンッ
俺が怯えを振りきる前に離れる刃と吸血鬼。
首刈りの盾を果たしたYガンは、もう使わないほうが無難だろう。
ビュオゥッ
飛び込み前転の真上を薙ぐ刃。横へ強引に転がると左足首に衝撃。段差にぶつかった勢いで立ち上がって見ると、白髪吸血鬼はアスファルトを突いた姿勢のまま他を向いていた。
視線の先には……黒服の死体。ターゲット数体が折り重なるように倒れ一部潰れている。
グチャッ バシャンッ バチャッ グシャッ ドンッ ドンッ ドンッ…
音のたびに死体が壊れ液体が跳ね跳ぶが踏み歩く存在は見当たらない。
アスファルトに足跡が付かなくなった頃ターゲット達が反応した。
ガガガガガ…
マシンガンによる十字砲火が何者かの輪郭を顕す。
ガガガガガ…
いや銃弾を受けるたび周波数が変わっては戻るようだ。薄らと現れては消える姿は
いつかモニターに表示された模型。腕部の長い頑丈そうな装甲服。
ガガガガガ…
どこに当たっても問題無く弾いているらしく歩調は変わらない。
避けないのは鉄壁アピールか。
パァッ
地面と平行にあがる左腕部。先端が光ると同時に消失する吸血鬼。
続いて右腕部もあがり反対側のターゲットを一掃。
「ぉおい あっぶねーなっ おm
ドォンッッ
咄嗟に伏せていたのか起き上がった苫篠の抗議に爆発音が被さる。
掌レーザーが消し残したパーツを巻き上げる爆風。
レーザーと吸血鬼たちの直線上にあった何かが引火し建物内で爆発したっぽい。
やはり空へ向けないと余計な被害を増やすらしい。
街中で使う装備じゃないなレーザー兵器。
ガガガガガ…
再び弾幕を張る吸血鬼たち。
レーザーを防げず銃弾の効果がみえなくても撤退を選択しないようだ。
ガンツスーツ同様ガンツアーマーにも耐久値はあるだろう。
でも火力が弱すぎたら無意味なんじゃ…
チカッ
煌めきと同時に視えた影が左腕部下を通り背後へ抜ける。
え?
ドンッッ
伏せた白髪を強い光が覆い隠した。
==○◇■○◇==
「ちっ、見掛け倒しかよ」ドゴッ
白髪吸血鬼に蹴られた特典スーツが路上を転がる。左腕の半分ほどを失った強化服は動かない。
…?
なんか違和感あると思ったら、白髪の武器が無くなっている。手ぶらの丸腰。
もしかして刀を犠牲に特典スーツを無力化した?
一斉に銃弾を受けた装甲に幾つか傷が出来ていたとして、そこを突いたら壊せるものか?
それとも、レーザーの射出口にでも入れたのだろうか?
あそこに刃を突っ込めばレーザーが暴発し自滅を誘える、と。
どっちにしてもヤバいぞアイツ。
少しタイミングがずれてたらレーザーに当たっただろうし、ぶっつけ本番なんだから自滅の規模が分からない。それでも実行するなんて…。暴発時に拡散したレーザーで他の吸血鬼共は細切れだ。
吸血鬼全般が和泉の様な向こう見ずタイプかよ。違うってんなら刀使いの拘りってヤツなのか?
まぁ飛び道具による効果を見た限り、吸血鬼の用意出来る武器で特典スーツを破壊する唯一の方法だったのだろu
ギョーンッ
「ぅぐっ」
屈んでX弾(?)を避けた白髪吸血鬼は射撃したメンバーの腹を蹴った。
ふっ飛ばされ近藤にぶつかるメンバーは苫篠。どっちも驚愕の表情だ。
近藤の驚きは星人に蹴られたのに痛みが無かったこと、ではなく相手の動きが視えなかったからだろう。
腹の衝撃を知った後に避けられたことを認識したのかも。
転がる2人を踏んづける革靴。
再び距離を詰めた白髪吸血鬼による体重の乗った踏みつけと逆の足裏が苫篠を襲う。
マトは顔面。
!
俺が行動する前に視界から消える白髪。
超スピードを見失った、のではなく遮ったのはメンバーの背中。
加藤だ
ガンッ
加藤は白髪の裏拳を前腕で防御し
ガッ
弾いて回した相手の蹴りを肩にくらう。いや加藤の力を利用した白髪男の回し蹴りか。
数m離した加藤へ放たれる礫。(速くて見逃した)何かを避けた対象へ踏み出さず跳び退く。
ドンッッ
へこむ車道。白髪の爪先すれすれで出来た陥没の深さは30cmくらい。直径は2m超
「!」
危機一髪を避けきった直後にしては退屈そうに細められていた目が開かれる。
漆黒の壁が奴に迫った。
===◇○○===
ドンッッ
まるで天災のような振動が地面を襲う。
俺よりも震源地に近い加藤たちは風圧を感じたかも。
やッたのは風。そーいや和泉が見当たらね―けど半裸を倒して合流だよな?
鉄山靠ポーズで落ち着く暇無く上体をひねる巨漢。白髪の攻撃を避けたようだ。
刀を失ってから白髪吸血鬼は武器を生成していない。
動きを止めて集中しないと刀や拳銃を出せないのかも。
若しくは、一日に具現化出来る量に限りがある?
ガンツの転送みたいに武器を他所から掌へ移動しているンじゃなく、マジで吸血鬼ボディから鉄の塊ひり出してンの?
今のうちに倒すべきだな。風のリーチが白髪を上回ッているうちに。
残り時間が3分きッてるし。でもルールが変わッたのか気紛れか、最近のミッションは制限時間を蔑ろにする傾向なので杞憂かも。
野宿星人の時みたく今回もメンバーを1人だけ残し(デス)ペナルティ無しでミッションが延長するのだとしたら居残りは風になるような気がしている。
吸血鬼を部屋へ呼ばない為に。
ミッション前の招集時と同様メンバーに触れている星人が帰りの転送に巻き込まれたなら、
そしてガンツの存在を知ッたなら、するコトは一つだ。
加藤の時とは違い延長ミッションに成功報酬があッたとしても俺は居残りを遠慮したい。
だッて特典スーツをアッサリ壊し範囲攻撃をスルッと避けるようなターゲットと1対1とか絶対に面倒くさい。無いと思うけど婆さんや犬を選ぶのもやめてほしい。ボス討伐失敗で全員の爆弾が作動したら嫌すぎる。
あ、でも聖ちゃんを選ぶンなら俺を選ンでいいぞガンツ。
手出しできない場所で帰りを待つくらいなら死神に体当たりするほうが、いくらかマシだ。
=========
♪ち――――――――――――――――――ん♪
“それぢわ ちいてんを はじぬる 00:00:00”
黒球部屋。
今夜も無事に採点へ辿り付けた。
犬の“0てん”画面を眺めながら思う。今回のミッション、不評だろうなぁ。
ミッション視聴者…黒球メーカーとそのお友達連中は(姿行動共に)意外性抜群のクリ―チャ―と人間が殺し合う臨場感と賭け事を楽しみたいはず。“星人”が銃と刀装備の人間(そっくりな吸血鬼)じゃいつもの半分も楽しめまい。
吸血鬼は伝承やフィクションによって設定が異なり、たいてい日光で消滅する偏食人間だ。
今回のターゲットは「日光で致命傷を受ける」「主食は人間の血液」という特徴があるため“ホスト星人”=吸血鬼と(メンバー内で)認識しているし、奴らが其処ら辺のビルで催していた(転化したて相手の)セミナーでも自らを吸血鬼のモデル、と紹介していたところから納得済みの呼称なのだろう。
死んだはずの一般人が夜な夜なクリ―チャ―を狩ったり狩られたりするマンガ“GANTZ”に登場した超能力者と吸血鬼は別の作品で出す筈のキャラだったらしい。
連載が続いたから味方キャラや敵キャラとして使ったのだとか。
みたかったなぁ、桜井やアキラが主人公のマンガ。終局を生き残って帰れればワンチャン…
…。
それはともかく、別の作品として考えていたなら当然ある筈だ。
それなりの裏設定が。
吸血鬼の裏設定…
マンガで無かった今日のミッション、吸血鬼狩りにはそれが関わっているのだろうか?
マンガでスル―した吸血鬼共を標的とした理由は?
無事に終わったから気にしない、というワケにはいかない今回は。
だって氷川に逃げられたから。
…。
本当いい加減にしろよガンツ及び黒球メーカーの〇□✕○□◇っ。
吸血鬼共に黒幕が襲撃されたとかされそうとかいう理由なら知らんし、勝手に■んでろ。
奴らの殖え方からして何回ミッションしようが根絶出来ないんだから刺激させるな。迷惑だ。
ちび星人のように学校来ても知らないから、逃げるからね(篠崎は任されるから足止め宜しくミッション狂い)。
いや私は努力したよ。チート白髪ホストざむらいのヘッドショットを狙い続けたさ、モブそっちのけで。…視界に現れたときは心臓が止まるかと思った。
寧ろ止まったかも一瞬。ていうか目が合う度に。
信じられます?あの白髪、ロックオンしようとする度に合わせてきたんだけど目を。
恐怖体験すぎてハゲそうだよマジで。
お蔭で今回0点すよ佐藤さん。この役立たず、と目で言うな玄野。
「あーっ!!」
「?」
大声をあげたのは山田。目線は玄野の顔面。
吸血美女に追われて氷川の後ろを通りすぎた時より強張った表情。
あぁもしかして…
見つめられる茶髪は自らの頬を軽く撫でつつ桜丘をチラ見。
「玄野くん、て兄弟とか、いたりする?」
「…は?」
「いや、そんなワケ無いよね…」
「できすぎてる」と俯く挙動不審眼鏡。
「2人兄弟よね、たしか」
「あー…うn
「名前は?!」
「ゔァ ア…キラだけど、それが何?」
情報を得て興奮する山田にドン引きしつつも玄野が答える。
その事実があまりの衝撃だったのか妙にゆっくり跪く眼鏡。
フローリングを見つめるメンバーを放置し「おねーさんの番だぜ」と言う苫篠に促され画面を見る桜丘。
最後、クラブ前の通りから狩りエリア枠へ向かうターゲットマーク以外の反応はひとつもマップに表示されていなかったから、そういうことだよなぁ…
「1匹1点かよ、しょぼー」と呟く西の意見と同じような台詞が飛び交ったり飛び交わなかったりしつつ採点は終わった。
役立たず云々はオリ主の邪推。
玄野「(マップの)境界線を見張ッてたのかな?」
採点詳細:
婆・リーマンA~D・タケシ TotaL0てん
犬 0てんTotaL1てん
ガキ 0てんTotaL10てん
メガネ 0てんTotaL16てん
浦ちゃん 0てんTotaL23てん
とましの 0てんTotaL34てん
佐藤(?) 0てんTotaL90てん
ミリオタ 1てんTotaL32てん
サダコ 1てんTotaL26てん
コンタ 1てんTotaL58てん
北条 2てんTotaL33てん
空手家 2てんTotaL53てん
きんにくらいだー4てんTotaL10てん
かとうちゃ(笑) 5てんTotaL21てん
くろの 107てんTotaL107てん
あねご 32てんTotaL85てん
和泉くん 105てんTotaL105てん
西くん 129てんTotaL129てん(水オニ分の得点は無し)
※幹部含めホスト星人の点数は一律1点=「しょぼい」。
★ストックが尽きましたので次話投稿は2週間~1ヵ月後になります(>_<)★