ゾク(C?)中島、ミッションに参加。
犬用ガンツスーツまで作る黒球メーカー。鳥虫用は無さそう、爆弾を設置できない大きさの生き物をメンバーから除外しているならば決め手は脳の大きさかも。
「うっ、またっ なんだ?こりゃ。どーなってんだ、おい」
徐々にスライスされていく美少女顔をみて眉を寄せるゾクA。
ダンッ
頭部の無い玄野が窓側へ跳ぶ。
ツルッ
ドタッ ドカッ ドンッ
転送された地点が車道の真ん中で、トラックにぶつかりそうになるんだっけ?たしか。
でもマンガと違ってガンツスーツ着てるから問題ないよね玄野側は…って、なんかマンガより激しーな。
「あっぶねっ!なんなんだよっ」
とか言いつつ部屋の端へ移動するゾッキー共。
うん、生身組は避難したほうがいいね。ぶつかったら痛いで済まないもの。
狭い部屋で飛び跳ねる玄野を高校生は呆然と見つめ、その場で衝撃に備える老婦人と子供。
ドンッ
首なし玄野の肩が天井へぶつかる。ぶつかったように視えた電灯は無事。
つーか転送途中で逃げようとしても無駄だよな?
黒球部屋に残ってるほうの身体をどんなに動かしても転送される位置は変わらないんじゃなかった?
「計ちゃんっ どうしたんだ?!」
駆け寄る加藤の手を押し返し肩まで消えた玄野が両腿に装備した武器を確かめるように触る。トラックが真横を通り過ぎたあとに1体目のターゲットと遭遇するんだったか、マンガ通りなら。もしかして彼が田中ロボ1号倒してくれるのかな?
頑張れ玄野、きみならヤれる。
「おばーちゃん、おばーちゃんっ」
子供を抱えた亀姿勢から起き上がる老婦人。消えていく祖母に抱きつく孫。玄野の次は彼女か。
「おばーちゃんっ」
「亮太っ」
「大丈夫だから むこうに出ても帰らないでくれっ そのままいてくれっ!」
目元まで消えた老婦人へ加藤が念を押す。
転送に害は無いと言いたいんだろうけど、マンガ通りなら向かう地点にターゲットがいることだし大丈夫か否かは玄野次第かと。
「おばーちゃんっ」
目の前で消え去った老婦人を呼ぶ子供を加藤と山田が心配そうに見る。
「うっ、なんだ?」
高校生くんも消えた。
続いて若い女性・犬・ゾクD・C・Bが転送され部屋から消失。
「次は俺か…」スカスカ
自らの頭頂部が無いことを左手で確認する加藤。
「じゃあ…」
いや、すぐ会うし挨拶とか要らないよ? 私は子供の横で加藤へ頷く。
「あっれっ?」
スッ
子供も消えた。身体が小さいぶん消えるのがはやい。
残りは私・山田・ゾクA。……転送まだかなぁ。
… … …
ガ――――ッ
電車が通過する音だ。
やっと転送されました。ここは、道路上?
今回も最後になるとは思わなかった、2度目じゃんっ。
「なんだ?今のっ」
「川に落ちてったぞっ」
(クェッ)
先に転送された野郎共が道路の柵…欄干にくっついて下を覗いている。
道路下は人口河川の筈だが何を視てるんだろう?面白いモンでもあった?
最初の田中星人っつーか田中ロボは、居ない。
…?
向こうの曲がり角入ったとこで倒れてんのか?
西も見当たらない。まぁ奴はミッション中つねにステルスしてるから…
…
まさか。
私も欄干へ飛び付いた。
ギョーンギョーン
ゴパァッ
発射音。そして川面が破裂する。
メンバー達の居る道路の下を通るコンクリで固められた人工河川。その中を妙に頭部のデカイ人間、に見えるロボが走り(?)まわっている。左右の脚を揃えたまま滑るよーな変な動きで。
ロボが顔を向ける先で乱れる川面。
ステルス西のXガンを田中ロボ1号が回避・反撃しているようだ。
彼はギョロちゃん踏んじゃったのね。
バシャッバシャッ
「何やってんだ?あのロボット」
誰にともなく訊くゾクA。
交戦する片方が消えてるからロボが独りで暴れてるようにしか見えない。
「一瞬、視えた…。アレ…あの中坊だよな」
「そう、だと思う…。あのロボットには視えてんのか?」
田中ロボが初めて啼いたとき、そして欄干の上へ目がけ啼いたときの計2回浮かび上がっては消えた人影について話し合っているのだろうマンガと同じセリフを吐く玄野たち。
なるほど~周波数を変えてターゲットを狙っていた西が小さい星人(ギョロちゃん(仮))を踏み潰してしまい、それに気付いて怒ったターゲットの攻撃をくらって橋の下、川へ飛び降りた。
その数瞬後に私が転送されたんですね。で、交戦中と。
…をい、なんでマンガと同じ展開になってんだ玄野。
倒しといてよ~マンガ通りに背後取ったんでしょ?
玄野にYガン渡しとけば良かったなぁ、最初は躊躇ってたもんね、大きな生き物殺すの。
コンビニ袋を持ったまま戦う田中ロボ1号。ずぶ濡れだ。
バシャッ
跳ねて 啼く。
振動で内部破壊する超音波、が出るんだっけ?あれ。
クエ――――――――――――――――ッッ
ザパアッッ
一際大きな水柱が立つ。
舞い上がった水滴が雨のように落ちる中、その宙空に無数のスパークが散る。
川に浸かる足の方から彩色するように小柄な人影が現れた。
「出て来たぞっ。やっぱそうだ」
「あっあの中坊だっ。ほらっあいつだっ」
足元へ向かって徐々に小さくなりスパークは消えた。
対峙し動きが止まる西と田中ロボ1号。
西がコントローラーを左手で弄った後、姿を消さず右手を上げ銃口をロボへ向ける。
ギョーンギョーン
ザザザッ
Xガンを避けるため素早く横移動するロボ…
バキャッッ
バッシャン
田中ロボの肩から上が爆散し残りが川面へ倒れた。数瞬後、離れた川面に水柱が立つ。
「おおっ!!爆発した!?」
「なんだったんだ?」
「頭なくなったぞっ!!」
「何だ!?何やってんだ!?」
何が起きたか理解してないゾッキー共。
お前らもこれからアレやるんだよ~。スーツのアシスト無しだけどガンバッテ~。
「倒したッ、スッゲ。アイツ…1人で倒したぜッ」
「これで終わりなのかな…」
「…ああ…帰れるのか?コレで」
「だと思うけど…あれ?こっち見てる…」
「ホントだ」
玄野・山田・加藤は川へ降りる階段へ向かった。
… …
私が川へ降りたとき、4人は岸へ引き上げた田中ロボ1号を囲んで観察していた。
…ぅわぁ、グロ。マネキンの中に腐った生ゴミつめたらこんなカンジか?
誰だよ~持って来たの~。
「うえッ何コレ、くッさ~」
「…生き物が入ってんのか」
「でも、スゴイよこれ。…本当に宇宙人なのかも」
玄野と加藤は鼻の辺りを押さえている。山田は物珍しそーだ。
クリ―チャ―観察もいいけど、これで終わりじゃないし新規メンバーは1人以外戦力にならないからミッションに戻ったほうが身のためだよ?
マンガ通りなら2か所に居る筈だけどもっと分散してたら一時間以内に全部倒すの厳しいかも。やっぱ乗り物欲しかったかなぁ?ゾッキーに教えたくなかったのよガンツバイク。
って、とにかく観察は後にしろ。1体に時間かけすぎだ君たち。時間無くなっちゃう。
「…」チラッ
なんかセンパイがこっち見とる?玄野にも視線を向けてるなチラチラと、
まぁいいか。時間足りなくなると困るので私から話を振ろう。
「おい、オカシーぞ。全然移動、始まンねーじゃねーか」ペシペシ
玄野が自分の頭頂部を叩きながら言う。
ターゲットをヤッつけたのに部屋へ転送されないのが不思議らしい。
別におかしくないよ~。ターゲットは一体のみ、なんて指令のどこにあったのさ。
「なんでだ…」
「…もう1匹居るんじゃないかな?前回みたいに…あ、それ」
山田が私の持っているコントローラーへ視線を向ける。
玄野らも手首に付けているのに何故か開こうとしないので、私は4人に見えるように差し出す。
「はい。まだ居るみたいですねターゲット」
「えッ…うげッ。マジかよ、こンなのが未だいるの?」
玄野がそれを受け取る。私が持ってると位置が低すぎて見辛いからな。加藤とか加藤とかに。
「2匹目か」
「捕まえねーと帰れないのか…」
「待って下さい、こっちも」
私は手を伸ばしてマップの縮尺を変え、もう1つのポイントを指す。
「!」「!?」
「…3匹…」
加藤が呟く。
マンガと同じならもうちょっと多いよ、残りターゲットが2体ではなく2ヶ所に集結してるってことだね。エリア全域表示に切り替えても2つしかポイント無いから、ほぼ確実に。
マップをもっと細かくすれば正確な頭数分かるだろ―けど、向こうから群がって来るんなら言う必要が無い。
「わわっ」
「そ…れっ…。鳥?」
「? !!」
「なっ何だっ!?」
ギョロギョロ ギョロ
突然山田が声を上げた。彼を見ると西の足元を指して驚いている。
センパイの足元、仰向けに横たわる田中ロボの周りに、ちっさい生き物が集まっていた。
ハムスターくらいの大きさだ。2頭身で血走った大きな瞳の雛鳥。コレも星人である。
うほ~ギョロちゃんだギョロちゃん。ふわぁ~ホントにブサイク~。
おいで、おいで~踏まないから~
…逃げる背中はプリチ―。
「うわッなんだコレ?」
「…」
ダンッ ブチッ ダンッ ダンッ ブチュッ ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ ダンッ
「ちっ」
ズザッ
ポチャッ ポチャチャッ パチャパチャ
(ギエーッ)(ギュイィ)ブクブクブク
「お、おい…」
突然湧いた奇妙な生き物を避ける野郎共の中でひとり行動した奴へ何か言い淀む加藤。
ギョロちゃん達を無言で踏み潰し終いに川へ蹴り入れた西は彼を睨む。
「おいっ。次行くぞ」
「?…あ、そうだね」
「なンだよ…。なに焦ッてンだ?」
「…」
あ~ぁギョロちゃん1匹欲しかったなぁ。
…なんて思ってる場合じゃない。
「西くん。ここに出てる時間てタイムリミットですよね。どうなるんですか?
オーバーすると」
「え」「時間って…」「そーいや1時間だッけ。制限時間」
「…ああ。…。時間切れしたことは無い、けど…」
「けど…なンだよ?」
「最悪、死ぬかも」
「死ぬ!?」「ええっ!?」「はァ?またいい加減なコト…。……マジで?」
「…」
「な ンで…そンな…。なンでそう思う?」
「違反すると殺されるルールが他にもあるから」
「!」「!?」「ルールってそんなの…」
「説明されてないし約束してない…か?おめでたい奴ら…。
この前言ったろ、部屋のこと誰かに話したら頭破裂するって」
トントンと自らの側頭部を示す西。
「は 破裂っ!?」
「あー…アンタ先に帰ッてたから…」
「…言っても誰も信じないだろ」
「はは、は…破裂って…爆弾でも入ってるの?頭に?」
「!」「ハァ?」
「たぶん」
「マジかよ…」
「とにかく時間切れはマズイ。ペナルティが何も無いならカウントする理由が無いはず。
そう思わない?」
「…」
「時間は…あと39分か」
「やってみるしか…ないね」
ブルッとひとつ震えた後、山田がメンバーを見回す。
「行くか…とりあえず」
「そーだな」
マンガでは玄野単独ミッションで時間切れをしていた。
作戦失敗である。タイムアップのペナルティは点数没収。だから合計0点の3人&1匹と1点の私は困らない…って考えるのは楽観すぎか。没収される点数が無いメンバーは爆死かもしれない。玄野は46点失ってたから40点とか45点以下だとアウトってこともありえるが、ちょっと半端な数字だ。
貯金が(ほぼ)無くても即爆死は無い、と仮定して問題なのは次回ミッションに付く限定ルール。決められた点数をとってクリアしないと“死に”ってやつ。
玄野の時は“15点以上”だった。ノルマが一定であるかは不明。
そのとき玄野以外は全員新規メンバーだったしターゲットが多かったので平和的にクリアできた、が生き残ったメンバー多数で限定ルールに臨んだら悲惨だ。
フツ―にメンバー内で殺し合いになるだろう。
配点がマンガと同じなら今回のミッションをクリア出来ず次回のミッションに限定ルールが付いた場合、首尾よくボス(点数不明)を倒してなおかつ点数分配が上手くいっても2・3人しか生き残れない。
ただでさえ次回のミッションは厳しいのに難易度あがるとかありえんわ。
絶対阻止ね。
ゾロゾロと5人で橋の上…最初の道路へ戻ると新規メンバーが誰も居なかった。
マンガでも観戦に飽きて途中で帰ってたもんな~。すっかり忘れてた。
帰れずに戻って来るだろーけど、ここで待つのは時間の無駄。不満聞かされるだけだし~。
あら、犬も居ない。
「あいつら居ねーぞ…どこ行った?」
「帰ったんじゃないの?フツ―に帰れるのか分からないけど」
「…そーだ。ソレだよ!」
加藤へ返答する山田を指して大声を出す玄野。
「えっ どれ?」「計ちゃん?」
「前回あのオッサン…帰るッて言ッて別れたンだッ」
「何が?おっさん?」
「ほらッ前回いた鈴木ッてオッサン!」
「えっ と、ああ、癌で死んだとか言ってたおっさんか。でも、それが…」
「だからッ!爆弾だよッ。
ヤクザ達と別行動してたオッサンまで戻らなかッたのが不思議だッたンだ…
帰ッた奴ら…ヤバイぜ」
玄野が自らの頭を指し加藤を見る。
「!? おい西っ」
「…正解。エリア外へ出ても破裂する。範囲はマップに出てるよ」
「エリア…移動制限…」
「ってことは…」
「帰れないのか、やッぱり」
「くそっ」
ダッ
タッタッタッ
「! ッ加藤!?」
「おいっ あんな奴らほっとけ!」
「あいつら止めてくるっ!計ちゃん達はっ田中星人を頼むっ!!」
タッタッタッタッタッ…
「あ…」
「ちっ 偽善者が…」
玄野と西の制止を聞かず加藤は走り去った。
大丈夫かなぁあいつ。「ターゲットにタックルするな」って言う機会無かった。
絞め落としは有効だけどロボが複数体相手の場合危険だ。マンガでは超音波の集中砲火受けてスーツ壊れてたしターゲットに抱き付いて踏ん張るとか只のマト。マンガのようにギリギリセーフ、となる保証は無い。まず退場コース。
帰った奴ら止めた足で田中星人の巣へ行かないといいが。
……いや、行っても問題無いな。信頼できる援護があれば。
「じゃあ二手に分かれましょうか」
「佐藤?」
「西くん・山田さん・私の班と、玄野くんの班で」
「え~っ更に分散するの~?」
「俺ひとりかよッ」
「大丈夫ですよ(ガンツスーツ着て逃げ回れば。とりあえず瞬殺はされない)。
ターゲットが1体なら(負けないと思うが一度に遭遇する数は多くて7体)。
私達はこっちを担当しますから
玄野くんは加藤くん達と合流してからもう片方(のボスこみで7体いる田中星人の巣)
をお願いします」
嘘は言ってない。
「どーかな…この前はアイツに4人がかりで勝てなかったし」
左手のXガンを見つめる山田。親ねぎの迫力を思い出しているのだろう。
「なるほど、そーゆーコトなら。アイツ危なッかしーもンな~」
うんうんと頷いてから加藤が走り去った方を見る玄野。負けるとか全く思ってないねこいつ。ま、お前と加藤が組めば何にでも勝てるさ。
期待してるよ~今度こそ。
「さっきのより強い奴かも…ブツブツ」
「あ、それとあのターゲットの鳴き声ですけど、危なそーだから注意して下さい」
山田の独り言をスル―し助言してみる。
正確な回数は分からないが音波(?)を6回以上くらうとガンツスーツが壊れるかも。
生身だと1回で瀕死。
「アノ星人啼くだけだッたけど啼く度に水飛沫スゴかッたな。衝撃波か何かか?」
「ロボが故障するから殴ってこないのかも…」
「おい どっちでもいいだろそんなこと!奴らは銃で殺せるんだ。
二手でも何でも良いからさっさと行くぞ」
「…?」「…」
西の発言で優先事項…目を逸らしたい現実を思い出した私達は担当するポイントへ向かった。
狭い密室でスーツ着たメンバーが「慌てる」と、たしかに危険。
西くんのスーツは「オシャカ」一歩手前。