神台村…道が整備されたが、都市に行くまで、車でも時間かかる山奥の村である。
自然豊かだが、冬になれば、雪に閉ざされ、雪が融けるまで外に出るのにも一苦労するそんな村だった。
今年中学に入学する
「釣れないなぁ」
今は、村の真ん中を通る川に糸を垂らしてのんびりと釣りをしていた。透き通った川の水を覗き込むと、確かに魚の姿はあるが、釣りを始めて30分、ヒムの竿には、何もかからない。
今日は誰とも都合が付かなかった為、仕方なく始めた釣りだったが、ここまで釣れないとは、思わなかったのだった。
「ねぇ、釣れてる?」
「ッ!?」
突然かけられた声に跳び上がる。慌てて振り向くと、まだ4.5歳の女の子がいた。女の子は、ヒムの返答を待たずに、川を覗き込み、からっぽの網を見て、ため息をついた。
「全然じゃん」
「う、うるさい。これからだ、これから!」
いきなり腹立つガキだなと、睨んで釣りを再開する。女の子は、何が楽しいのか、ニコニコしながらヒムの隣に座り、一緒になって川を見つめた。
(変な子だな……あれ? でも、こんな子供いたか? こんくらいの子供って曷さんちのケンとジュウだけじゃなかったっけ?)
「なぁ、おまえ、どっから来たんだ?」
「ん? あっち」
指差す先は、山の中に青い屋根の一軒の家だった。村からも少し離れたところにある。
よくあんな所から来れたなぁと感心しながら、釣りを続けた。
日が傾き、夕焼けに照らされながら、ヒムは釣りの片づけを始めた。
「結局、一匹も釣れなかったね」
「うるさいよ。そんなことより、家まで送ってやるよ。今から帰ったら、夜になっちまうしさ」
そういって手を差し出すと、女の子は、うれしそうにその手をとった。その手は、子供特有の温かい物ではなく、少し冷たかった。
(冷た!? って、ずっと、外でじっとしていたもんな)
二人は手をつないだまま、山道に入り、ずんずんと進んで行く。思いのほか、険しい山道ではなかった為、日が沈む前に家にたどり着いた。
「お兄ちゃん、ありがとう」
「ああ、悪かったな。一匹も釣れなくて」
「ううん、楽しかった」
「今度は、抱えきれないほどいっぱい釣ってやるからな」
「期待しないで待ってる」
最後まで可愛くないガキだと思いながら、家に向かって走っていく女の子を見送る。
家の柵をこえる直前に、女の子がポケットからハンカチを落とすのが見えた。
「おい、何か落としたぞ!」
ヒムがすぐに声をかけるが、女の子は気づかなかったのか、戻ってくる様子はない。しょうがないなと思いながら、歩を進め、ハンカチを回収して家の敷地内に入って声を張る。
「おおい、ハンカチ忘れてんぞ!」
だが、女の子の返事は帰ってこなかった。
(どうなってんだ?)
疑問に思いながらも、庭の方へと足を向ける。雑草が生い茂った庭を歩き、縁側にたどり着く。
「お~い!」
「誰?」
声を張ると、奥から、妙歳の美しい女性が現れた。
「こ、ここの子がこれを落としたまま、帰ったんで、と、届けに来ました」
まさか、こんな美人が出てくると思っていなかったヒムは、頬が熱くなるのを感じながら、ハンカチを差し出す。
女性はハンカチをチラッと見てから、ヒムの方を向いた。
「そう…今度は、あなたなの……」
「え……」
女性の黒い瞳と眼が合った。ヒムは、その瞳に吸い込まれていくような感覚にとらわれた。
「おい、坊主、こんなとこで寝てたら、風邪ひくぞ!」
「ッ!?」
頬の痛みに眼を開くと、目の前には、毛深いおっさんの顔が合った。
「うわッ!」
思わず飛びのき、辺りを見回すと、すでに日は沈み、暗くなり、ヒムが寝ていたのは、釣りをしていたあの川だった。
「ここの魚は賢くて中々釣れねえから、退屈になって寝ちまうのはわかるけど、気をつけないと風邪ひくだけじゃなくて、熊にくわれんぞ」
ガハハと笑ってヒムの肩をたたくと、男は、自分の家の方へと去って行った。
しばらく、その場にいたヒムも、釣り道具を抱えて帰路についた。
その翌年、両親が交通事故で亡くなり、ヒムは母方の祖父母に引き取られ、それ以降、神台村に足を踏み入れることはなかった。
「今日から、君達と一緒に勉強する転校生の
担任の隣立つ少年を見て高校二年になったヒムが最初に思ったのは、ライオンだった。鋭い目と、タテガミを思わせる髪。制服の上からでもわかる体格の良さ、それらが教壇に立つコウという少年に強者の風格を感じさせた。
「飛虫コウです。よろしくお願いします」
そう言って、教室内を見回したコウの視線とヒムの視線が重なった気がした。その瞬間、ヒムは睨まれた様な気がした。
担任の指示を受け、コウが開いている席に向かう。
(俺、あいつになんかしたっけ?)
自分よりも後ろの席に行くコウの後姿をチラ見したが、相手も気がついたように振り返ってヒムを見た。
(なんで、転校生に目を付けられてんだよ、俺!?)
心の中で、絶叫したヒムだった。
いつ、あの転校生にお呼び出しされるか、ビクビクとしていたヒムだったが、そんなこともなく、一日が過ぎた。
翌日の放課後、掃除で出たゴミをゴミ捨て場に運ぶ為、校舎裏に行こうとした時、ヒムは数人の不良と称される生徒たちに囲まれて歩くコウの姿を見た。
「おいおい、マジかよ…」
本来ならば教師に知らせるべきだが、好奇心が勝ってしまったヒムは、こっそりと後をつけることを選択した。
コウ達は、校舎の死角となる辺りで立ち止まった。ヒムも、校舎の陰で立ち止まった。
ヒムの位置では、よく聞こえないが、不良たちがコウに難癖をつけているようだ。
「どうしたんだ? ヒム」
「ッ!? って、脅かすなよ。イノコ」
突然、背後から声を掛けられて、跳び上がって振り返ると、友人の
「なんだよ。誰かの告白シーンか?」
そう言いながら、のぞき込み、そんな色っぽい話じゃ無いことを理解したらしく、青い顔をして振り返った。
「おい! これって!?」
「シッ! 気付かれるだろ」
騒ごうとするイノコの口に手を当てて、黙るようにジェスチャーする。しばらくもがもが言っていたが、大人しくなった為、手を放して、二人揃って裏を覗き込む。
「そういえば、転校生が、三年の鈴元をぶちのめしたって噂を聞いたぞ」
「鈴元って不良の?」
「ああ、だから、報復なんじゃないか?」
不良たちが、怒鳴っているが、コウは黙っている。痺れを切らした不良の一人がコウの腹に拳を叩きこんだ。
しかし、痛がっているのは、拳を繰り出した不良の方であり、コウは微動だにしない。
それを皮切りにコウを囲んでいた不良たちが殴る蹴るの暴行を始めた。
「やばくないか、これ…」
「あ、ああ…」
コウは一切反撃することなく一方的に殴られ蹴られ続けた。だが、痛がる仕草もなく、頭部を守る以外は、総ての攻撃を受けるに任せていた。
効果がないことに気がついた不良の一人が懐から、ナイフを取り出した時、ついにコウが動いた。
一瞬で間合いを詰めてナイフを持つ腕を掴んで捻り上げる。痛みで叫ぶ不良の手からナイフがこぼれ落ちる。それを踏んで圧し折り、不良を解放した。
不良たちは、コウに何かを叫ぶと、ヒム達がいる方へと走り出した。二人は慌てて、身を隠す。不良たちが走り去った後、そっと顔をのぞかせると、制服についたほこりを払ってコウが歩き出した。
ヒム達の方に来た為、今来ましたといった体でいると、チラッとヒムを見るだけで何も言わずに去って行った。
「なんなんだ、あいつ」
「良くわかんないけど、硬派な感じだな」
「ああ」
コウの後姿を見つめながら、二人は頷き合った。
それから、しばらく、コウが不良たちに呼び出されることが続いたが、一ヶ月もすると、それも無くなった。
「♪~~♪~~」
コウが、不良たちのお呼び出しを受けなくなってから、しばらく経ったある金曜日、鼻歌を歌いながら、下駄箱を開けて上履きを取り出すと、下駄箱から、封筒がひらひらと落ちてきた。
「ッ!?」
それを大急ぎで拾ってカバンの中に隠して、慌てて男子トイレの個室に駆け込んだ。
(こ、これはもしかして、あれか!? ラブレターという、伝説のアイテムか!!)
恐る恐る封筒を開けて手紙を出す。
女の子っぽい丸っこい字で、「あなたの事が気になって見ていた。どうしても会って話がしたいので、今日、空き教室に来てほしい」と書いてあった。
(間違いない……これは、幻と言われたラブレターだ!! ついに俺の時代が来たんだ!!)
叫びたくなる気持ちをぐっとこらえ、便器のハンドルに何度も踏みつけてじゃあじゃあと水を流し続ける。
個室から出て手洗い場にある鏡で自分の顔を見ると、だらしなくたれた顔が合った。それを自分の手で整えて格好付けたポーズをとってみる。なんだか、自分が凄くかっこよくなった気がした。
それを飽きることなく、予鈴がなるまで続けてもトイレに誰も来なかったのは、最大の幸運だったのかもしれない。
ヒムにとってその日一日の時間の流れがとても遅く感じた。心境はまさに一日千秋だ。
やっと放課後になった時、飛び出したくなる衝動をこらえ、出来るだけ、落ち着いて席を立ち、教室を出ようとした。
「ヒム、この間、お前が見たいって言ってたプロレスの試合のビデオ手に入ったんだけど見に来ないか?」
「フ、悪いなイノコ、俺は今、そんなことよりも行かなきゃいけない場所があるのさ」
そう言って、誘ってきたイノコの肩を叩いて教室から出ていく。
「変なヤツ」
訳がわからないと肩をすくめるイノコだけが教室に残された。
指定された空き教室の前に立ち、ガラスに反射する自分に変なところがないかを確認して深呼吸してから、空き教室に入った。
「手紙をくれたのは……あれ?」
空き教室には、誰もいなかった。
「ちょっと、急ぎ過ぎたか? 放課後としか書いてなかったしなぁ」
手ごろな椅子に腰かけて誰かが現れるのを待つ。外から部活をする生徒たちの声が聞こえる。
「……もしかして、いたずらだったのか?」
ふとそんなことが頭によぎる。一度そう考えてしまうと、もう、止まらない。一体だれが自分をハメたんだと、疑心暗鬼してしまう。
そんな時、扉が開けられた。振り返ると、飛虫コウがいた。
「待たせたな…」
「お、おまえが、俺を呼んだのか!?」
「ああ、俺は、字が汚いから、知り合いに代筆を頼んだ」
なるほど、この男があんな女の子っぽい字を書くなんて、悪夢以外何ものでもない。
「で、何なんだよ」
「……いつまで、正体を隠しているつもりだ? ここで何をたくらんでいる?」
敵意全開で睨んでくるコウにヒムは、思わず、後ずさりする。
「正体を隠す? たくらむ? 何の話だよ。SF小説の読み過ぎで夢と現実がわかんなくなったのかよ」
「あくまでも隠すのか? なら別にかまわない。死ね」
手に持っていたカバンを投げ捨て、コウの顔が変化する。顔に筋が走り、顎が割れて虫の口のようになり、眼も大きくなり、赤い複眼となった。額からは二本の触覚が生えて中央に赤い眼の様なものが生まれ、服が内側から破け、肉体は虫を思わせるモノとなり、皮膚も深い緑色へと変わった。
「ば、バケモノ!?」
「バケモノ? 貴様らが、どの口で!!」
驚異的な脚力で、教室の隅から隅まであったはずの距離が一瞬で詰められ、鋭い爪の一撃がふるわれた。ヒムがとっさに回避できたのは、奇跡だった。
「ヒィっ」
「変身しなければ、死ぬだけだぞ」
「何言ってんのかわかんねえよ!!」
変身したコウに椅子を振り下ろすが、それよりも速く、コウの手刀がヒムの持っている所から先を斬る。
続けて繰り出された拳に、反射的に自分の前で手をクロスして受け止めた。
そう、受け止めたのだ。
恐る恐る、ヒムは眼を開くと、コウの手とよく似た形に変化した腕があった。
「何なんだよ……なんなんだよ、これ!?
あ、あ、ああああ……がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
ヒムの絶叫に反応するかのように服が裂け、両腕から全身が変化していく。コウの深い緑よりも明るい緑の皮膚、鋭い三本の指の手と、脇から左右一本ずつ、二本の腕が生え、額から触覚と青い眼が現れ、複眼の色はオレンジ。
「それが、おまえの姿か…」
「GGGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
絶叫と共にヒムがコウに襲いかかる。鋭い二本の腕を避け、拳を繰り出すが、脇から生えたもう一組の腕がその手を掴んだ。
「何っ!? グハッ!」
腕を引こうとするが、掴まれた腕はビクともせず、止まった一瞬の隙を突かれてコウは殴り飛ばされた。いくつもの机と椅子をなぎ倒して、転がり、身体を起こしたコウが見たのは、手当たり次第に爪を振り回すヒムの姿だった。
「GUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!!!」
「…暴走している? 脳の強化を受けていないのか? だったら!」
ヒムが背を向けた瞬間に跳びかかり、四本の腕を抑え込んだ。
(クソ、なんてパワーしてんだ! 振りほどかれないようにするだけで精一杯だ!)
コウの額にある第三の眼が点滅する。
それに合わせてヒムはより一層暴れるが、しばらくすると青い第三の眼がコウの点滅する眼と同じように点滅し、段々と大人しくなった。
暴れなくなったのを確認してコウがゆっくりと離れる。
「ったく、敵の構成員かと思ったら、不良品かよ……」
「……お、俺は…」
腰をおろして、ため息をついたコウは、ゆっくりと起きあがったヒムに舌打ちする。
「質問だ。おまえの名前は?」
「き、王白ヒム」
「歳は?」
「16」
「性別は?」
「男」
「家族は?」
「両親は、交通事故で死んで、今は、ばあちゃんたちと一緒に住んでる」
「最後だ。おまえはどこで改造された?」
「かい、ぞう?」
「そうだよ、今のお前の姿は、どこで改造されたんだ?」
そう言って、近くに落ちていたガラス片を床に滑らせてヒムに投げた。
ヒムの前で止まったガラス片には、バッタを思わせる怪物になったヒムの姿が映っていた。
「な、なんじゃこりゃ!? うわ、手が四つある!? な、何!? 何これ!?」
「知らなかったのか…」
「し、知らねえよ!! 何なんだよこれは!!」
「……本当に知らないみたいだな。とりあえず、戻れよ。説明はそれからだ」
そう言うと、コウの身体が、先ほどの逆再生のように人間の姿へと変わっていく。全裸のコウは、最初に投げ捨てたカバンから新しい制服を取り出して着替える。
その様子を呆然と見つめているヒムに気がついたコウは、少し考えてから、聞く。
「もしかして、戻り方がわからないのか?」
コクコクとヒムが頷くと、コウは、大きくため息をついて。頭だけ、再び変身した。
「俺のテレパシーで導いてやるよ」
コウの第三の眼が点滅し、ヒムの第三眼も同じように点滅する。そして、ヒムの身体が、段々と、人間の物へと戻っていく。
「服もねえんだろ? とりあえず、これ着とけ」
そう言って投げつけられたジャージに大人しく袖を通す。
「じゃ、帰るぞ」
「え?」
「こんなところにいたら、何言われるか、わかんないだろ」
言われて周囲を見回すと、チェーンソーでも使って暴れたかのような無数の傷と、拉げた机といすがあった。
ヒムはコウに促されるままに学校を出た。
学校からほどなく離れた廃ビルの中に二人はいた。
「なんで、こんなところに…」
「仕方ないだろう。家に連れて帰って、てめえが暴走したら、こっちが迷惑なんだよ」
埃っぽい床にどっかりと腰を下ろしたコウに続いてヒムも腰を下ろす。
「で、説明してくれるんだろう?」
「ああ、まず、この世界には、悪の秘密結社みたいなもんがいる」
「みたいなもん?」
「俺も良くわかっていない。そんな組織が存在しているけど、名前や目的なんかは分からない。
んで、その組織は、人間を改造する技術がある。それによって改造されたのが、おまえや俺みたいな改造人間だ」
「改造人間…」
「その組織が改造した存在に付けた名称だ。そして、その改造人間には、段階がある。
第一段階は、肉体の改造。肉体と神経を強化して変異した肉体にならしていく段階らしい。
第二段階は、脳の強化。第一段階の肉体を完璧に使いこなせるように強化し、第一段階でならした神経と脳を接続させる段階だそうだ。
そして第三段階、脳を改造して、組織に絶対的な忠誠心を持つようにする。
俺は、第二段階の際に俺の改造ベースとなったバッタの統制である超能力のおかげで、逃げ出すことが出来た。
その時に手に入れた資料からある程度だが、知識が手に入った」
「お、俺は?」
「さぁな。
でも、変身できることも知らなかったみたいだし、変身時に暴走したってことは、第一段階だったってことじゃないのか?」
不安そうに聞くヒムに俺が知るかよと言いたげな投げやりな返答をした。
「俺、何時の間に改造なんて……」
「施設にいたとか、無いのか?」
「ないよ…」
「どういうことだ? 肉体改造だけしてポイ、なんてするのか?」
「でも、どうして、俺が改造人間だって思ったんだ?」
「さっき言ったように俺には、バッタの超能力が備わっている。で、俺のテレパシーの領域に、テレパシー垂れ流しのおまえが引っかかったんだよ。
連中が何か企んでいるのかと思ったら…」
「な、なるほど…
そういえば、この身体って、もとの人間に戻るのか!?」
「ムリだろ」
すがるように聞くヒムにあっさりとコウは首を振った。
「人間に必要な部分を抜き取られてんだぞ。それを入れ直したとしても、たぶんできないんじゃないか? 専門的なことは知らんが」
「そんな……飛虫は、戻りたくないのかよ!?」
「それ以前に、こんなことしてくれた糞どもをぶっ潰さねえと気がすまねえ」
「そ、そうなんだ……」
「で、おまえ、これからどうするんだ?」
「どうするって?」
「そんなふうになれることがわかった。まぁ、俺の勘違いっていうのもあったけど、普通に暮らすなんて無理だろ」
「あ……」
「まぁ、急に言われても、すぐにはこたえなんてでねえわな。
ゆっくり考えろ」
そう言うと立ち上がって、コウは廃ビルから出ていく。慌ててヒムも追いかけたが、外に出ると、すでにコウの姿はなかった。
自身が、改造人間という人ならざるモノであったことを知った王白ヒム。
動き出した時計の針は、彼の心を置き去りに物語を進めていく。
現れた敵にヒムは、コウと共に戦場に立つ。
次回 Double Guardian 第二話「共闘」