さて、メンバーに心当たりがあると言ったが、これがぶっちゃけると我らが天野遠子と縁深いキャラだったりする。
「と言うわけで」
放課後、井上君と先輩を連れてスタジオに突入すると案の定その人物は女の子を口説いている真っ最中だった。
「僕の知人の」
と、そこまで言ったところで急に先輩が「ああっ!!」と大きな声を出した。しかしそれも仕方あるまい。
「げぇ、遠子姉ぇ!?」
彼の名前は櫻井流人こと、孕ませ堕胎強要ちんちん丸。略してちんちん。何と天野遠子の実の弟にして愉悦対象である。
あだ名が酷い? だが事実だから仕方ない。
近い未来コイツはあの姫倉を孕ませた挙句、妊娠が発覚するなり「そいつ絶対俺の生まれ変わりだから産むな!」と意味不明⭐︎な供述をしたりするのだから。
あ、因みに外見については、背は高め、肩幅がっちり髪型服装カジュアルって塩梅。いかにもモテそうとは原作二巻の井上君の言だ。
そんな訳で彼は一見すればただの行動力あるタイプのチャラ男に見えるのだがそれは世を忍ぶ仮の姿。実際は幼い頃に良かれと思ってコーヒーにそうとは知らず毒を盛ったり、自分が転生者だと信じて疑わないガチの狂人であり、真性のマゾヒストだ。ここまで来ると属性モリモリ森鴎外と言いたくもなる。
勿論名前が違っているのもちゃんと激重背景があるのだがそこは割愛。
で、何でそんな人物と知り合いになったかと言うと……まぁ、端的に言ってガバの産物だ。ギター弾けたら良いなぁと思って通ってたら何か居て、で、制服から学校がバレてそこからは芋蔓式。
ギターの練習に付き合って貰ったり、転生談義をしたりとまぁそこそこな仲を築くに至る。ま、愉悦するんだけどね。
「縣サン、どうして遠子姉がここにいるんすか!?」
「いや、ホラ。ちょっと力を貸して欲しくってね」
カクカクしかじかマルマルうまうま。
「って、時間全然無いじゃないっすか!? 無理っすよ流石に。縣サンならまだしもそっちの心葉さん……は兎も角うちの遠子姉が演奏が出来るわけないっす」
それに対して遠子先輩は頬を膨らませながら「酷ぉぉぉい!!」とぷんすこ怒り出した。
「私は古今東西の物語を読み尽くす文学少女よ。村上春樹のノルウェーの森だってつい最近読んだばかりだもの!!」
「ノルウェーの森って音楽小説ですらないじゃないですか!?」
「あら、心葉君知らなかったのかしら。ノルウェーの森はビートルズの曲から着想を得た作品なのよ。だから音楽との関連性はあるわ!」
「殆ど屁理屈じゃないですか!?」
井上君の絶叫じみたツッコミが響き渡る。そこで大きな声を出し過ぎたのを自覚してか井上君はコホンと咳払いをした。
「取り敢えず、遠子先輩は保留するとして。縣君はギターでえっと……」
「流人で良いっすよ、心葉さん」
「流人君は……?」
「俺は基本ドラムっすね。と言っても縣サンとは違って嗜む程度ですけど」
「縣君って、ギター上手かったんだね。知らなかった」
「まぁね」
まぁ、うん。何だ……練習が思いの外楽しかったからのめり込んでしまった結果だ。仕方ないだろう。このストレスフルなコンクリートジャングルで生き残るには愉悦とは別に吐口が要るのだ。
ここまで通い詰めたのはヤンデレちゃんの病院に行く途中にあったからでもあるのだが。
「にしても……これが例の心葉さん」
あ、やっべ。
ちんちん君が井上君をしげしげと観察し始めた。井上君は値踏みするような視線にちょっと引いている。
そう言えばちんちん君は遠子先輩と井上君の過激派カプ中だった。今変に手出しされると……まぁ、身から出た錆か。原作に突入したら改めてその辺りは考えよう。
「にしても期間短いから今から楽器の習得は望めないし、二人の担当はDJ、タンバリン、ボーカル辺りが妥当そうだね」
「DJってあの? あのDJ?」
「そう、そのDJ。とは言っても着ぐるみ着てセットの前で盛り上げてればそれで大丈夫だからそんなに心配は」
「着ぐるみ!?」
れっきとしたハロハピ式DJスタイルなのだが井上君にはウケなかったらしい。
にしてもバンドリ、久しぶりにやりたくなって来た。あれは楽しかった。やっているうちは就職失敗の現実を見ずに済んだし。
「じゃあ、遠子姉がDJで心葉さんがメインボーカルで良いんじゃないすか?」
「だね。その上で曲を何にするかだけれど……」
すかさずレスポンスして井上君の発言権を奪ってやる。これで逃げられまい。さて、問題はここの選曲だ。Ying Yangとか出来たら面白いだろうがそれは流石に無理なので。
「Bitter Bitter Sweetとかどうだろ?」
原作突入後はどっちが読みたい?
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主人公を井上君に変更。
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主人公そのまま。
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執筆速度落として良いから両方やって♡