愉悦部VS文芸部   作:睦月スバル

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次回から多分原作入る……と思う。続いたらだけども。


Bitter Bitter Not Sweet

 井上君はきっと当日現れない。

 唐突に何を言っているのかと言う話だが、まぁ聞いて欲しい。

 原作小説では今年の文化祭はクロスワードパズルという事になっている。だが、バタフライエフェクトと言うべきかは分からないが今年はバンドになっている。さて、ここで原作三巻の内容を踏まえつつ上記の考えに至った理由を解説しよう。

 

 まず、第三巻についてだが、まぁ文化祭の話だ。琴吹さんと色々とあったり大宮……じゃなくてAKTGWと喧嘩したり。AKTGWがメンヘラにへばりつかれた挙句病んで自殺しようとしたりするがそれは瑣末な話だとして。

 重要なのは井上君が遠子先輩の説得ナシだった場合サボっていた可能性が高い点だ。

 これに関してはAKTGWこと芥川君が苦しんでいるのが見ていられないというのがあるのだがつまり理由があれば井上君サボるんじゃね? と僕は考えた。

 

 だから、ここでちょっと選曲で仕掛けさせて貰った。『Bitter Bitter Sweet』……デュエットで、尚且つラブソングだよな?

 

 つまりこう言う事だ。井上君がサボればライブは破綻して、サボらなくても恋愛の古傷を抉れる。両親には予め撮影・録音をお願いしてあるから後でそれをヤンデレちゃんに送り付けるのも良い。

 いやぁ撮影録音が合法的に出来る文化祭……端的に言って最高かよ。

 

 とまぁ、そんなこんなで迎えた文化祭の当日。

 井上君の姿は……。

 

 無い、ヨシ!!

 

「心葉君……家まで迎えに行かないと」

 

「遠子姉何言ってるんすか!? リハまでもう時間ないっすよ」

 

「そもそも僕の方には井上君のご両親から体調不良って連絡あったから迎えも何も無いと思いますけどね」

 

 そう言うと遠子先輩は目に見えてしょんぼりとした。うんその表情良いよ。もっとやって欲しい。

 

「今回の曲ってデュエットの曲っすよね。どうするんす? はっきり言ってオレだとキーが合わないから無理っすよ。で、遠子姉は論外だから代役を立てるしか」

 

 尚、ここまで僕の想定内。だからちゃぁんと解決策も用意してある。

 それはズバリ遠子先輩を売って姫倉先輩に助力を――

 

「ん、縣君。久しぶり」

 

 ピシリと、聞き覚えのある声に身体が強張る。

 何で、何でここに居る?

 

「あなたは……もしかしてオープンスクールの日に縣君と一緒に居た黒部ちゃん?」

 

 ――なぁ、黒部子猫!!

 

「はい。縣君がバンドやるって聞いて、その学校サボって来ました」

 

 しかも学校サボってまで来るなんて!!

 考え得る限り最悪の面子だ……。天野遠子は勿論のこと、嘘や欺瞞に関しては人一倍敏感なちんちんも居るし、子猫ちゃんは言わずもがな僕の天敵だ。この場、敵しかいない。

 しかも今ので確実にちんちんが関心を持ってしまっただろうから繕おうとすればする程ドツボにハマる可能性も出て来た。

 厄日か、今日は!!

 

「それで、酷く動揺してたようだけど……どうかした?」

 

「それがバンドのメンバーの心葉さんが休んでライブが出来なくなったんすよ。代役を探そうにも今からじゃ時間もない有り様で」

 

「……曲目はBitter Bitter Sweet?」

 

 あ゛っ。

 思わずそんな声が漏れそうになった。しかしそれも仕方ないだろう。

 その昔イヤホンの片側を貸してもらってお勧めだと言う曲を幾つか聴いた事があった。その大半はベッタベタのラブソングが多かったのだが、その中にあったのだ。…… Bitter Bitter Sweetが、しかも丁寧にブックマークまでして。

 

「欠けがボーカルなら、出来る……と思う」

 

「本当!?」

 

 あ、あああああああっ!? 巫山戯るな!! 巫山戯るな!!

 

「じゃあこの際っす。それで行きましょう。縣サンもそれで良いっすよね。……縣サン?」

 

「そう、だね。うん。そうしよう」

 

 結局、僕はそう言うより他に選択肢は無かった。

 

 

♪ ♪ ♪

 

 

 結局、ライブはそこそこの成功で幕を閉じた。ギターを掻き鳴らしながら歌っていた時は心底楽しかったが、今思い返せばとことん苦々しい一幕だった。

 

「縣君、今日はゴメン」

 

「うん? 何が?」

 

「縣君、本当はずっと怒ってたから。だからゴメン」

 

「そんな事は……」

 

「それと、ありがとう」

 

「ありがとうって?」

 

「曲の事、覚えていてくれて」

 

 違う。僕は曲の事なんて子猫ちゃんが来るまで完全に忘れていた。この選曲も愉悦したいが為で他意は全く無い。

 

「……僕は忘れてたよ」

 

「けど、思い出した」

 

「……」

 

 ああ、本当に調子狂う。これだから嫌なんだ。僕を通して何かを見透かして来そうで。

 

「文芸部、入ったんだ。……うん、何だかしっくり来た。縣君、本を読むの好きそうだし」

 

 子猫ちゃんの発言の一つ一つが一々癪に触る。

 本が好き? まさか、とんでもない。

 本は人に夢を抱かせるだけ抱かせるが、夢とは往々にして覚めるものに過ぎない。夢破れた男が立ち直る方法を本は示してくれない。

 

 だから、僕は本なんて大嫌いだ。

 

「子猫ちゃん。勘違いしてるようだから言っておくよ」

 

 ただ、心の底から一番嫌いだと、そう思うのは、

 

「僕は本も、そして君も、どっちも心底大嫌いだ」

 

 他ならぬ、僕自身だ。

原作突入後はどっちが読みたい?

  • 主人公を井上君に変更。
  • 主人公そのまま。
  • 執筆速度落として良いから両方やって♡
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