あべこべ幻想郷に落とされた一般(?)大学生 作:謎の通行する男Σ(シグマ)
最近寒いです…僕は公立校(中学生です) なので土曜がないのが救いです…(帰宅部。正確にはテニス部だけど幽霊部員)
翔都「部活行けよ…」
からだ動かすのあんまり好きじゃないんです…じゃあなんでテニス部入ったんだ、ってことになりますけど。
では、どうぞ。
「はあ、はあ、はあ…絶対こっち来るなよ…」
翔都は、路地に身を隠していた。なぜこうなったかは10分ほど遡る…
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「…………あれ?」
霊鐘と別れてから、人里に入った翔都だったが、一回見てまず思った事。
「………タイムスリップですか?」
どう見ても翔都がいた所とは時代感が違いすぎる。全て木造建築で、馬が車を引いていた。時代劇の中に入り込んだ感覚だった。そこと、もう一つ。
「……?」
何か色んな所から視線を感じる。ここの人がチラチラとこちらを見ているのは分かった。だが、その中に、明らかにおかしい視線があった。
「あら、お兄さん。見ない顔ね?」
「イケメンじゃない…!」
「ねえねえ、こっち来てよー!」
…四方から何か声をかけられる。視線が確実に危ない気がするし、翔都からすればとても綺麗とは言えない顔であった。
「えーと、すみません…さらばぁっ!」
「! ! !逃げた…私たちから…?」
「追うわよ!」
「「「「待ぁてぇーー!」」」」
ドドドド
それで何故かどんどん追う人が増えていき、翔都の後ろを30人強の女達に追われることになっている。翔都は、そんなに足が速いわけではない。むしろ、少し遅いぐらいだ。
「くそぉ…今ばっかりはこの足の遅さを恨むっ…」
その時、走らない方法も思い付いた。
「こうなったら…賭けだっ!」
ダッ
家々の隙間に入り込んで撒く作戦だ。もうちょっと無かったものかと少し思う。
が、このお陰かどうかは置いておき、何とか撒いた。
そして、現在である。
「はぁ…はぁ…はぁ……ふぅー…何とか逃げ切ったか…さて、どうしたものか…」
撒いたは良い。撒いたのは。ここからどうしようか、といったところだ。
「誰か助けてくれる人はいないものだろうか…?…とりあえず、ここつたってどこかに出るか。」
そうして五分後。
「うーん…出れそうな所無いなぁ…あ、ここなら人通りも少ないかも。」
スッ キョロキョロ
「よし、ここなら…」
「ここならなぁに?」
「出れるってえぅえ!?」
いつの間にか横に女の子がいた。黒い服に金髪、赤いリボンを着けている。
「いつからそこにいたんだ…?」
「んー?さっきからなのだ~。」
全く気配すらも感じなかった。と言うかほんとに今気づいた感覚。
「お兄さんは誰なのだ~?」
「僕は片桐翔都。君は?」
「ルーミアなのだ~。…そういえば、翔都は私を見ても逃げたりしないのだ~?私は妖怪だぞ?」
翔都は、あれ、妖怪って全部
「…もうすでにヤバい方の妖怪に会ったからね。なんと言うか…普通の
「…?可愛いって言ったのだ~?」
「?ああ。言ったよ?」
するとルーミアはちょっとづつ顔を赤くして下を向き、言ってきた。
「可愛いなんて初めて言われたのだ…翔都って言ったな?」
「?あ、ああ。」
「嬉しいのだ…だから…」
何やら急に嫌な予感がしだした翔都だったが、間髪いれずに内股になりながらルーミアは言った。
「セッ○ス……して良い?」
「へ?」
周りが闇に包まれた。
「え?ちょ、待てぇ!」
ダッ
もうどこに行ってるのかすらわからない状況だが、とりあえず走る翔都。翔都の脳が、全身が言っている。こいつ、ヤバい!と。
「逃げられると思ってるの?」
だが、何か楽々並走してるルーミア。どうなってんだ。
「あーもう!どうすりゃ良いんだぁ!」
「私と気持ちよくなったら良いんじゃない?」
「それだけは確実に最適解じゃない!」
とは言ったものの、どうしようもない状況。翔都は全力で走っている。なのにルーミアは普通に浮いて追いかけて…浮いて?
「そ、それはズルくないか…」
飛んで追いかけてくるのから逃げるのは無理があるだろうましてや周りは暗黒状態で全く見えない。そして逃げている翔都は50m走のタイムが大学生で8秒95。
「うっそだろ…」
もう半分詰みゲーだろう。それでも何となく諦めるのは癪で走る。ルーミアも並走はするが、襲ってこないし。おふざけだったのかもしれない、と翔都は思ったが、とりあえず走る。すると、
「あっ、」
全く見えないお陰で何かに躓いてこけた。倒れた瞬間、さっきまでの疲労が一気にのし掛かってきた気がした。
「ぐ…」
「んー♪この時を待ってたのだ♪」
ルーミアは、相手を疲れさせ、動けなくなったところを襲うつもりだったのだ。
「ち…悪い…、許せっ!」
ダンッ
「きゃっ!」
飛びかかってきたルーミアに仰向けになってキックを食らわせた。ルーミアと共に黒い所も翔都から離れていく。
「あんな…感じなんだ…」
ルーミアのいる所には真っ黒な闇の玉があった。
「はぁ…はぁ…早く逃げないと…というか、ここどこなんだよ…まあ良い、それよりも逃げないと…」
タッ
「待てぇー!もう怒ったのだー!」
すごいスピードで、またあの黒い玉が追いかけてきた。
が、前に大きめの建物が見えた時、すぐに止まった。誰かが翔都達の方に来たのが見えたのと同時に。
「だ、大丈夫か!?」
「はぁ…え?…」
「ルーミア!お前か!」
「うぅー…」
青い髪に所々銀が混じっている赤い目の女の人だ。
「た、助…助かり…ました…はぁ…」
「いや、まだ助かってない位疲れてるみたいだが?」
「体力の…無さを恨みます…」
まあ、ともあれ何とか助かった翔都。少しの間ここ、寺子屋にいさせてもらうことになった。
彼女の名前は上白沢 慧音。ワーハクタクという妖怪とのハーフ。ただ、正確には後天的なもの、つまり、生まれつきではなく、後から半人半妖になった者。頭突きが得意。
ルーミアは慧音からの強烈な頭突きを食らっていた。
「いや…ほんとに助かりました。結構危なかったですよ。」
「申し訳ない…ルーミアが変に迷惑をかけてしまって…私は寺子屋の教師、
「片桐 翔都です。」
「悪いな、こんな汚い者の所で…」
「?汚い?いやいや、ちゃんと掃除もされてて、綺麗じゃないですか。というかそもそも、ここが寺子屋なら汚かったらダメでしょ…」
翔都は、寺子屋という言葉には引っ掛かったが、まあ、そこが子供の勉強する「学校」と同じようなものだとは知っているため、返答した。
「いや、そうじゃなくて…私の…姿がってことだ…」
「??いやいや、何を…慧音先生はお綺麗ですよ?」
「ふえっ?」
実際慧音はかなり恋愛やらには奥手である。そもそも、普通に男の人と話すことだけでも緊張する。しかも、目の前にいるのは超絶イケメン。自分など相手にもされないと思っていたが、突然言われた言葉を理解できなかった。
「え、え?え?あ、い、今…何て…」
「ですから、慧音先生はお綺麗ですよ、と。」
どこからともなく、ボフン、と音が聞こえた気がした。翔都の前で、慧音は真っ赤になってフリーズ、そのまま硬直して倒れた。
「…ふぇっ!?ちょ、け、慧音先生!?」
「き、綺麗…か…翔都殿…私はここで…おしまいのようだ…」
「はい!?いや、え、誰かー!?」
ドタドタドタ
「どうした…ってほんとにどうした慧音!?」
白髪のまた美人が入ってきた。
「ど、どうしましょう…」
「……まあ、ほっとけば気がつくかな?」
「いや、そんな雑で良いんですか。」
「まあ、多分な。あ、そういえばまだ名前を言ってなかったな。
藤原 妹紅。蓬莱の薬を飲んで生と死の境界が無くなった元人間。ちなみに蓬莱の薬は
「片桐翔都です。」
先程も同じような会話をした気がした翔都だったが、まあ気にしないでおいた。
「翔都か。…おっと、そろそろ授業が始まるから慧音に起きてもらわないといけないんだが…」
「…完全に伸びちゃってますね…どうします?」
二人の前には顔を真っ赤にして慧音が全く起きそうもない状態で倒れている。
「…お前、男だろう?」
唐突に妹紅が翔都に聞いた。
「?はい。そうですが…?」
「一回ぐらいならヤっても良いんじゃないか?」
…そして、特大のダイナマイトを投下した。
「…何でそうなるんですか…」
「?睡姦は嫌いか?」
「いや、そうじゃなくていや、好きなわけでも無いんですけどとりあえず起こすのが先なのでは?」
必死に理性を保つ翔都。不意打ちに対して吹き出しそうになったがこらえた。
「そうか、やっぱり顔か…いや、体型も含め、か。」
「はい?」
「まあ、そうだろうとは思ってたけどな。」
「あのー?なんの話を…?」
「?お前は私も含め、慧音が醜いから襲わないんじゃなくて?」
「僕、そんな獣に見られてるんですか…?というか、全然醜くなんかないですよ?むしろお二人ともお綺麗ですよ?」
「でも、起きそうにないしなぁ…あ、翔都は人に物を教えれるか?」
一気に顔が赤くなったが、隠すように話題を変える妹紅。
「…まあ、できないことはないですけど…あとどれ位でですか?」
「あぁ、ま、あと二、三十秒だ。」
いや、いくらなんでも、ね?秒単位で素人に任せますか?
「いや、急すぎますよ!何するかすら聞いてないんですよ!?」
「じゃ、頼んだ。」
そして妹紅は、逃げるように部屋から出ていった。
「え、えぇ~…」
どうしようか、と割と本気で悩んだ翔都だった。
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「う、ううん?」
「起きたか?慧音。」
寝起きの慧音の目の前に妹紅が。
「はっ!?私は…?」
「大変だったぞ?二時間寝てたんだからな。」
「二、二時間も…そ、そうだ、翔都殿は!?」
「今寺子屋で教鞭を振るってるよ。」
絶賛、翔都はリバース寸前でこらえながら教鞭を振るっております。
「そ、そうか…迷惑をかけてしまったな…」
「何があったんだよ?ただ睡眠不足とかじゃないだろう?」
「なっ、何でもないッ!」
「?」
やはり恋愛やらには奥手な慧音であった。
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「はぁ…お、終わった…」
部屋の片隅で翔都は安堵のため息をついていた。
子供たちがどこをやっているのかを教えてくれたのと、大学生だったのがうまくいってくれて、何とか乗りきり全員を無事見送った。
「中々やるじゃないか。教師に向いてるんじゃないか?」
「残り二、三十秒でこっちに振ってくるのもどうかと思いますけどね?」
「ま、臨機応変って奴だったな。」
そんな状況になった原因の妹紅に言われて翔都は一瞬イラッときたが、とりあえず静めておく。
「あ、そういえば慧音先生は大丈夫ですか?」
「あー…大丈夫と言えば大丈夫だけど…大丈夫じゃないと言えば大丈夫じゃない…かな。」
「?」
「まあ、見れば分かるさ。実際、私も何でこうなったか分からないんだ。」
「は、はぁ…」
まあ、原因は翔都の発した「綺麗」という言葉なのだが。
この後、翔都の寺子屋採用が決定したとか何とか、慧音や言われての私情が入っているとか何とか、色々噂が出てきたが、事実であった。
何か無理矢理になりました。すみません。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました。