あべこべ幻想郷に落とされた一般(?)大学生   作:謎の通行する男Σ(シグマ)

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どうも、こんにちはこんばんはおはようございます。

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では、本編どうぞ!


9話

バン!

と音を立てて翔都は紅魔館といわれていた館の扉を開けた。真っ先に目に入ったのは床、壁、天井、そしてこの扉にも刺さっている大量のナイフ。が、

「…ここに誰もいないってことは…多分霊夢か魔理沙が勝ったな。」

 

霊夢も魔理沙も、だれも殺そうとしたりはしない。そもそもスペルカードルールに則っていれば死ぬことはない。血が床などにも付いていないことから恐らく、二人のどちらか、またはふたりが勝ったのだろう、と推測した。カーペット等も赤いが、血の赤さとは違う。

「…奥か。」

 

かすかに爆発音が聞こえる。どうやらあいては只者ではないらしい、と思った。が、

 

「守れるだけでも…守らなければ…か。」

そう呟き、奥に進んだ。

 

 

 

 

「あっぶないわね!もうちょっとで直撃だったわよ!」

 

「咄嗟にスペルカードが使えて助かったぜ…」

 

「アハハ!そうコナクっちゃ![禁弾]時を刻む時計!」

フランはそう叫び、十字の真ん中に球がある弾幕を回しながら飛ばしてくる。

二人がなんとか避けるとすぐさま、

 

「[禁忌]恋の迷路!」

と叫び、また躱しにくい一ヶ所だけ隙間の空いた弾幕を円形に何重にも重ねて撃ってくる。

 

「あーもう!反撃の余地がないわ!」

 

「アハハははははは!早くコワレチャエ!」

何とか避けきった直後、

 

「くっ…[霊符]夢想封印!」

一瞬の隙をついて、霊夢がスペルカードを放った。が、

 

「アハハ!じゃあそれ![秘弾]そしてだれもいなくなるか!?」

 

「まずいっ、霊夢!避けろ!」

魔理沙が叫んだが、霊夢はそれどころでなく…

 

『まずい…』

頭では分かっている。しかし、急すぎたためか、体が強ばって動かない。直撃する直前、

 

バァン!

「霊夢!」

 

霊夢は下に引っ張られ、青白い弾幕の軌道から外された。そして、

パァン

と弾けた音がして、青白い弾幕が黄色に吹き飛ばされた。

「…え、」

霊夢に見えたのは、見たことのある顔と、螺旋状に渦巻く電気のようなもの。目が金色に光っている男性。

 

「大丈夫か!霊夢!魔理沙!」

 

「し、翔都さん!?」「翔都!?」

 

「あはハ!次はあなたがワたしのおもちゃなノ?」

 

「…ああ、そうだな。相手してやるよ。」

霊夢の体が粟立った。明らかなまでに雰囲気が違う。いつもの優しい、柔らかな雰囲気とはうって代わり、人が変わったようにいる。

 

「でも…ちょっと疲れてきちゃってるから…スグニオワラセルネ?… オ ワ リ 。…[QED]495年の波紋!」

青い弾幕が球形に広がり、また別のところで弾幕が破裂し、新しい球形に広がる。しかし、

 

「……はっ!」

翔都が右腕を一度回し、左から右に一閃、横に振った瞬間、

 

バチバチバチバチ!

 

雷が横から飛んでいき、更にそこから縦にも弾幕が不規則に飛んでいって、青弾幕が消し飛ばされる。

 

「ワアッ!すごいすゴい!さっきノで壊れちゃウと思ったノニ!じゃあ…ホンキ![禁忌]フォーオブアカインド!…[秘弾]そして誰もいなくなるか!?」

先程の青白い弾幕が四倍、不規則に揺れながら飛んでいく。しかし、

 

「…[雷虎]白虎の猛進。」

翔都が右腕を上げると下から上へ、一閃の閃光が走り、その光の柱からいくつもの雷弾幕が飛び出ていき、フランの弾幕を相殺…否、圧倒していく。

青い弾幕から四人のフランに戻り、弾幕を展開しようとしたとき…

 

「…かかった。[雷力]轟雷。」

真っ直ぐ伸ばした右手の先にはフランの()()

 

「っ!」

そこから雷が分岐しながら飛んでいく。

 

「キャッ!」

ドドォーン…

 

「あ…はハ…あはハはハはハハはは!」

狂ったように笑い、

 

「「「「[禁忌]レーヴァテイン!」」」」

4人のフランがレーヴァテインを振り回してくる。

それに対し、翔都は…

 

「[雷神器]トールハンマー・ミョルニル。…[逸話]討ち破かれし霜の巨人!」

巨大な雷を纏ったハンマーが現れ、それを振り回して、レーヴァテインをも一つ残らず消し飛ばす。そして追加で弾幕が分裂しながら飛んでいく。

 

すると、その効果が終わるのを待っていたかのように、四人が別々のスペルカードを宣言する。

「[QED]495年の波紋!」

「[禁忌]カゴメカゴメ!」

「[禁忌]恋の迷路!」

「[禁忌]レーヴァテイン!」

青い弾幕が広がり、緑の細かい弾幕に動きを制限され、円形に弾幕迷路が展開され、赤い剣と同時に赤い弾幕が軌道に沿って翔都に飛んでいく。が、翔都は避けようともせず、

 

「…[奥義]武甕槌大神の暴走」

目を閉じ、宣言した瞬間、翔都から大量の雷の線のような弾幕が縦横無尽に数百の規模となって高速で飛び回り、弾幕を次々に消し、レーヴァテインをも弾いていった。

 

「! !」

ドドドドドドド…

 

 

 

 

「す、凄い…」

 

「…翔都って…あんなに強かった…のか…?」

 

「いえ…私でも初めて見たわ。」

 

「私でも…って、何お前が一番翔都のことを知ってるみたいな風で言ってるんだ?」

 

「…ゴホン…それより、多分あれが母さんが言ってた翔都さんの能力…そうね、言うなれば……『守る程度の能力』といったところなのかしら…?」

 

「守る程度の能力…か。本来なら私達が守らなきゃいけない立場なんだけどな。…加勢、するか。」

が、加勢はもう必要なく…

 

「……………」

じっと翔都が見る方には、レミリアに抱えられたフランが。

 

「あ、」

 

「しー。」

魔理沙が何か言おうとしたとき、翔都は口に人差し指を縦にして、少し黙ってな、と魔理沙に言う風にでもした。

 

「お姉…様…」

 

「フラン…大丈夫だった?」

 

「うん…でも…でも!勝てなかった…負けちゃったよおぉ…悔しいよぉ……」

 

「……いや、」

翔都が口を開いた。

 

「…?」

 

「実際は…負けててもおかしくなかった。…まだ、フランは本気を出せてないはずだから。」

 

「フランは本気でやったもん!」

 

「いいや、全然本気じゃない。」

 

「違う!」

フランは首を振って否定する。

 

「なら、…何で能力を使わなかった。」

 

「! !」

 

「まだ上手く使いこなせてないんだろ?だから使えなかった。…いや…正確には使わなかった、か。下手をすれば()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「!!!」

フランが大きく目を見開いた。

 

「…これまで、()()()()()()()()と必死に一人で戦う事を強要されてきていた…()()()が表に出てしまえば、自分の意思とは関係なく殺してしまいかねなかった。…だからそれを自分の力で制御できるように、閉じ籠った…だろ。」

翔都は淡々と考察を話していく。

 

「な、何で…それを…」

 

「…フランの放った[QED]495年の波紋。QEDってのは証明の最終記号。そして、495年…ここで終わらせる。この戦いが…幽閉から495年経った時の成長した様…これこそが結末の証明なんじゃないのか?」

 

「……………」

 

「…まあ、あくまでもこれは考察だよ。…そして、それを変える事が出来るのはレミリアだと思ってる。…後はそちらに任せるよ。」

 

「…」

 

「姉としての…するべき事を見つけな。そして、誰も悲しまなくていい、全員が笑える場所を作って見せて。」

 

レミリアは、ふぅー、と息をつき、

「……はぁ…本当に…只者じゃないわね。」

 

「それはどうも。…じゃあ、次は…そちらがフランと話す番だよ。」

 

「…そうね……フラン…本っ当にごめんなさい。…散々寂しい思いをさせちゃったみたいで…本当にごめんなさいね。」

 

「…うん…私も…ごめんなさい。」

 

「…フランが謝ることじゃないわ。」

 

「ううん。わたしも…悪かったわ。言うことも聞かなかったし…迷惑ばっかりかけてたし…」

フランがそこまで言うと、レミリアはフランをギュッと抱きしめ、

 

「迷惑なわけないでしょう?私の大事なたった一人の妹なのよ。…これからは…私もフランのためにも頑張るわ。」

 

「…ありがとう、お姉様…。」

そう言うとフランはレミリアに抱きついた腕に力を込め、わあわあ泣き出した。

レミリアもうっすらと目を潤ませていた。

 

 

「ふふ…やっぱり…仲は…良かった…んだよ…ね……」

ドサッ

 

そう言うと翔都は目を閉じ、倒れ込んだ。

 

「! !翔都!?」

 

「…大丈夫。少し眠ってるだけみたいね。…そりゃそうだわ。元々一般人程度の霊力であんな子の相手をしてたんだもの、無理もないわ。」

 

「ここの部屋を一つ、お貸しします。」

 

「ああ、ありがとうね。咲夜。…何でそんな恐る恐るな訳?」

咲夜の肩がビクーン、と跳ねた。

 

「い、いいえ、だ、大丈夫y、よ。」

 

「あ、噛んだ。」

 

「も、もうっ!良いですからっ!」

 

そう言った瞬間、いつの間に来たのかあの門番が

「咲夜さんは男性に対して本当に奥手でちょっと待っ翔都さんを持ってますから!ナイフを装備したら翔都さんが落ちちゃいますからっ!」

余計な口出しをして咲夜にナイフを投げられそうになるが、翔都を盾にして何とか抑えさせた。

「…そうね。お説教(身体に叩き込む型)は後でした方がいいわね。」

 

「どうかそのまま忘れてください…」

 

「無理ね。そもそも貴女、敵前で寝てたのよね?」

 

「うっ…」

門番は項垂れた。

 

「…で、あんたいつまで翔都を王子様抱っこしたままでいるのよ?」

 

「はっ……」

一瞬咲夜の目が揺れた。

 

「あっ、いやっ、その…」

珍しくあたふたする()()()()()()()()()を前に、先程来た小悪魔とパチュリーもクスッ、と笑っていた。

 

「もっもう!連れていきますからねっ!?」

と言った瞬間に咲夜が消えた。まあ時間を止めただけだが。

 

「ふふっ、あの子も初心ね。」

 

「そういうパチュリー様だって精神安定剤が無かったらここに来れてないじゃないですか。」

 

「そ、そうだけど…」

語尾がモニョモニョなるパチュリーにまた小悪魔が笑い、金具付きの魔導書で脇腹を抉られていた。

 

「はぁ…本来私達が守らなきゃいけない人に守られちまったな…」

 

「…私達だけじゃないみたいだけどね。」

 

「?…あぁ、そうだな。」

手を繋いで眠った二人の吸血鬼を見て、霊夢と魔理沙、二人が肩をすくめた。

 

 

 

 

ー廊下ー

「………私で良かったのかしら…」

咲夜は独り言を溢していた。無論、翔都の事である。

 

「…目が覚めるまでいた方が良いのかしら…でも、こんな不細工にそんな権限はないわね…でも、目が覚めた時に一人だったらどう思われるかしら…ああ…どうしたら…」

考えても最適解が出ない。その時、

 

「…あの…」

 

「……あぁ…やっぱり私なんかが部屋にいたら気持ち悪くて危害を加えてしまうかしら…それに拒絶されてしまったら私どうすれば…」

 

「あのー…」

 

「…ええ、少し待って下さい…今答えを出しますので…え?」

声の主は…

 

「あの…もう、歩けるので下ろしていただいても…」

五秒フリーズ。

 

「…きゃぁぁぁぁぁぁああ!?」

バコッ

 

「うげ」

驚いた拍子に咲夜は翔都を落としてしまった。

 

「すっ、すみません!しゅみません!すぐに失せますからすみませんでしたぁっ!」

 

「ち、ちょっと待ってください!」

 

「すみません…本当にごめんなさい…」

先程から謝ってしかいない気がする。

 

「いえ…えーと、お名前…」

 

「あっ、はっ、い、十六夜咲夜と申しますっ!」

普段の三倍速でものを言う咲夜。

そのため、

 

「…え?」

翔都には、「い───咲夜」と聞こえており、うまく聞き取れなかったために咲夜に一歩近づき…

 

「えーと、すみません、上手く聞き取れなかったので…」

パタッ

咲夜を気絶させた。

 

「…え?」

二回目の、え?である。まあ、意味は違っているが。

男性にめっぽう弱かった咲夜は翔都に一歩近づかれてオーバーヒートを起こしてしまい、気絶したのだ。

 

「…どうしよう…とりあえず皆のところに…皆のところってどこだろう…?」

以前も間取りがわからないくせに走って出て結局部屋に戻るはめになったことがあったが、今回はとうとう元の場所すら分からない状態である。

 

「…仕方ない…この人が起きるまで待とうかな…?…いや、流石に床に眠らせるのは…」

流石に地面が固いだろう、ということで翔都は咲夜をお姫様抱っこして、廊下を歩いていき、目についた部屋に簡素な字で「咲夜」とかかれているのを見て少し躊躇ったが、そのまま入らせてもらい、ベッドにそっと寝かせておいた。よく見てみると咲夜さんめちゃくちゃ美人だなぁ、と思いながらも流石に部屋に居座るのは気が重いため、ドアの外で待つことにした。

 

 

 

 

「…ふぇ…」

目が覚めてまず一回。どこだろう、ここ。

何というか…清々しいような、暖かいような夢を見ていた気がしていたが、気のせいだったろうか。

先程は…妹様と翔都様が勝負をして…疲れきったのか倒れた翔都様を空いている部屋に案内していて…

等々そこまで思い出してまた顔が赤くなっていく。

翔都に近寄られて頭がオーバーヒートを起こして倒れたのだ。

じゃあなぜ今咲夜が寝ているのか。もしかすれば翔都がレミリアのところに戻って来たのかもしれない…が、さっき気付いたがここは紛れもなく咲夜の部屋。レミリアは人の部屋に勝手に入るようなことはしないが…もしかすると………

 

 

コンコン

そこまで考えるとドアを叩く音がした。お嬢様かしら、と思い、はい、と答えると、ドアは開かれずに声だけ、

 

「あぁ、大丈夫ですか?急に倒れたものですからどうしたら良いのか分からなくて…元来た道も分からなかったので、目についた部屋に…」

紛れもない、翔都の声である。また意識が飛びそうになるが、耐える。

 

「あ、は、はい。もう…大丈夫です…」

 

「…調子が悪いようなら寝ていても大丈夫ですからね?」

 

「は、あ、ありがとう…ございます…」

つまり、ここに連れてきたのは翔都であり、連れてきてもらうためには触られなくてはいけなくて、しかも先程までスペルカードルールに則った戦闘をしており、汗もそれなりにかいているわけで…

 

「う、うぅぅ…」

とりあえずこのままではいけない、と早く自分を落ち着かせ、部屋から出ようとする。が、どうも足が動かない。

 

「……」

拒絶されるのが怖いのだ。

優しくしてくれたとは言えどもこの顔。化け物扱いされても無理はない。否、恐らくされるだろう。今まで自分を罵ってこなかった男はいない。が、だからといってそのままにしておく訳にも行かない。恐怖心を振り払ってドアを開ける。

 

「あ、もう大丈夫なんですか?急に倒れるから少しびっくりしちゃいましたけど…」

咲夜自身ともあまり背も変わらない、むしろ少し高めの所から声が聞こえる。

 

「は、はい。ご迷惑をお掛けしました…。」

 

「いえいえ、そちらが大丈夫なら良かったです。」

 

「…では、戻りましょうか?」

 

「あ、はい。」

が、いつまで経っても拒絶の言葉も罵倒も聞こえてこず、優しい声が聞こえてくるのみ。たまらず咲夜は聞いた。

 

「…あの…醜く…ないんですか?」

唐突だったか、と若干悔いた。が、

 

「?…あ、そうか。いえ、全然。咲夜さんは綺麗ですよ。」

 

「ふぇ…?ほ、本当…ですか…?」

 

「はい。とても綺麗な方に見えてますよ。」

 

「そ、それは良かったです。」

 

「(あれ、何か気に触ること言っちゃったかな?)」

内心咲夜は飛び上がっていた。口角が上がってしまうのも必死に耐え、出した言葉がかなり無愛想になってしまった。結構本気で悔やんだ咲夜であった。




次からちゃんとあべこべの本分を書きます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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