この話は、璃奈回の裏側です。
裏で何があったのかや、前の話で謎だなと思ったところが少しでも解消できたらよいなと思っております。
では本編をどうぞ。
死神ってのは、よく黒いローブを纏っていて顔が骸骨で大きな鎌を持っているって言われているらしい。
まあ、実際にそうなんだけどさ。
俺は、茅野春樹。
今は天王寺家にお世話になってる人間だ。
唐突だが、天王寺璃奈は、世界一かわいい!
これは誰がなんと言おうと変わることがないことだ!
そんな天王寺璃奈のことが大好きなんだけど、最近気づいたんだよね。
璃奈も俺のことが好きだって。
俺は、趣味が料理ともう一つ、精密機械を扱うのに長けているみたいなんだ。
みたいってのは、最近気がついたことだからだ。
俺はその腕前を使って璃奈の部屋に盗聴器を仕掛けたんだけど、そこから聞こえてくるのは、俺が好きだと言う独り言と、愛さんなる人への感謝の言葉だった。
俺は、璃奈の気が俺だけに向いてないことに、嫉妬したと思う。自分の気持ちなのに思うってのは変だけど。実際のところは、ぼんやりと愛さんって人にイラッときただけなんだよね。
そして、俺は、宮下愛を、料理室準備室に拘束した。
何で拘束したかって? それは、話を受け入れてくれなかったら、最悪痛めつけてでも、聞いて貰おうと思ってね。
GPSで、璃奈の場所を確認したがまだ教室にいたし、今日の晩飯当番は、彼女だから早く帰るだろう。
俺はそんなことを考えながら、目の前の椅子に全裸で座る宮下愛に目を向けた。
金髪の髪、白い肌、163cmぐらいの身長。
まだ気絶していて目覚める気配がない。
俺は璃奈以外の女に興味が微塵もない。
彼女さえいれば、他はなんにもいらないと思えるほどに。
そんなことを考えてる間に、彼女は目を覚ました。
「寒っ! ここどこ? え、ちょっと待って動けないんだけど。誰か助けて」
璃奈とは対称的によくしゃべる人だな。第一印象は、そんな感じだった。
「寒かったか、それはごめん。ここは料理室準備室だよ。動けないのはちょっと我慢してね。言うこと聞いてくれればすぐ解放するから」
そう彼女に答えてあげた。普通なら感謝の1つや2つ貰ってもいいだろう。
けど、彼女はさらに質問を重ねた。
「貴方はだれ? 何が目的? 」
俺はそれが気にくわなかった。彼女の綺麗な白い肌に、横一線に赤い線を書いた。
「いたいいたいいたいいたいいたいいたい」
まるでコワレタCDプレイヤーのように同じことしか言わなくなってしまった。
ちょっと、これじゃ話が進まないと思いを、彼女が落ち着くまで待つことにした。
だいたい、5分ぐらい待っただろうか。彼女は疲れて静かになった。こんな調子で最後までもつのだろうか?
そんなことを考えたが、すぐにそれはどうでもよいことかと切り捨てた。
彼女につけていた、目隠しをはずしてやることにした。
開けた視界で俺をみた彼女は、
「あ、君は、璃奈の、彼氏さんの」
と力なく言った。俺は気分が良くなった。
「ああ、やっぱり彼氏に見える? 嬉しいな~」
その言葉を聞いた彼女は、なにやら希望を手にしたような目になった。
「うんうん、みえたよ! もうそれは立派な璃奈に釣り合う完璧な彼氏にね」
そう彼女は、俺の言葉に続けていった。
気分が良くてこいつを許そうと思ったその時は、頭痛がした。
そして、思い出したかのようにこう聞いた。
「死神ってみたことあるか?」
俺は静かにそう言った。
彼女は怯えながら、
「みたことない」
そう答えた。
俺はその答えを聞いて彼女にある昔の話をすることにした。
俺と、死神の出会いの話を、
あれは、確か今から2年前のことか。
俺は、母さんと二人で暮らしたいた。
ある異変が起きたのは、小学五年生の時だ。
家に帰ると母さんがいつものように待っていた。
そして、いつもと同じ口調でこう言った。
「あら、お帰りなさい。あなた」
はじめは何を言っているのか全く訳がわからなくなった。けど、すぐになぜそんなことになったのかはわかった。
母さんは、普段は一切飲まない、お酒をその日は飲んでいた。後日聞いた話なのだが、このお酒は、璃奈の両親がいつもお世話になってる礼として、渡したものらしい。
お酒は、母さんの全てを壊した。
母さんは、お酒にめっぽう弱かった。
俺も母さんに飲まされて、酔ってその日は早くに床に入った。
夜中に起きると、母さんは俺の上で運動していたと思う。正直お酒で酔っていたせいでよくわからなかった。
正直、そのことが夢なら良いと何度思ったことか。
そして、14のある日の夜、俺の前に死神が現れた。
彼は、母さんの首から赤い絵の具を吹き出させ、そして眠らせた。
ベットの上に残ったのは、2色の液体と、俺の手のなかにある赤い絵の具のついたナイフだけだった。
そして、次の日、母さんは、死んだ。
どうやら自殺らしい。
俺は死神がやった、と何度も言ったが信じて貰えなかった。
そして、その日からだったかな。
璃奈の家にお世話になることになったのは。
これが俺の全てだと彼女に言った。
すると、彼女は涙を流していた。
そして、こう言った。
「結局君の目的は何? 出来る限りの協力するけど」
そう言ってくれた。
俺はそんな彼女にこう言った。
「璃奈と友達でいることをやめろ」
彼女は涙を流しながら首を縦に振った。
そして、小さな声で言った。
「あなたの心はもうコワレテしまっているんだね」
翌日、俺はクラスメイトの風間秋に呼び出された。
俺を呼び出した、彼女はこう言った。
「あなたが好きで好きで、ここまで追いかけてきました。私はストーカーです。だから、あなたの前から消えます」
なんて一方的でどうでもよいことなんだ。
その時俺が言ったは、たいして覚えていない。
ただ、そのときの感情に任せて、多分ひどいことを言ったのだろう。
俺がその場から去るとき彼女は泣き崩れていたのだから。
俺が、そんなことをやっているとき、同時進行ぐらいで、愛さんと璃奈の話が始まっているだろう。
俺はその場へと向かった。
どうやら話しは終わった後だったらしい。璃奈は泣いていた。離れたところに愛さんもいた彼女も泣いていた。
まずはじめに、愛さんに声をかけた。
「あーあ、璃奈のこと泣かせた~。いけないんだ~」
すると、こっちを睨み付けてきたのですぐに退散することにした。
次に璃奈に話しかけることにした。
「どうしたの、璃奈。大丈夫?」
そう言うと彼女は安心したのか再度泣き始めた。
そして、愛さんとの会話の内容を教えてくれた。
俺は最初の手はず通り、用意していた言葉を口にだした。
「ねえ、璃奈。絶対に言うタイミング違うと思うけどちょっと、言いたいから言うね。璃奈、好きだ。付き合おう」
俺は相手が弱っている。誰かを頼りたいタイミングに漬け込んで、璃奈へ告白した。
両思いなのは知っていた。けど、それだけじゃ彼女が自分だけのものにならないと思った。
だから、愛さんと言う友達を失わせ、俺しか頼れない状況を作った。
俺はもう遠い昔にコワレモノだった。
でもこの俺が今日まで生きていたのは、恋の力とか言う下らないものだ。
本当は全部知ってる。
知ってるけど、脳はそれを知らないこととして処理したいらしい。
だから俺は、死神と言う虚像を作った。
全ては、璃奈と一緒になるために。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
茅野春樹くんについて、補足回みたいになってしまいましたね。
あと、愛さんチョロくね?って思った方がいるかも知れないので、一応私の中の宮下愛ってキャラの認識でも話しておきますか。
私は、宮下愛を優しい人だと思っております。なので同情等は誰かを助けるためなら自分が犠牲になっても平気。みたいな人だと思っています。
最後になりますが、本当にここまで読んでくださりありがとうございます。
次回がいつ投稿になるかわかりませんが、気長に待ってくださると嬉しいです。