かつて彼女は英雄だった   作:初月

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第一話は主人公があんまり目立ってないのでよろしく。


プロローグ
海の守護者


燃え盛る貨物船

 

大爆発をおこして船体が折れた護衛のフリゲート艦

 

一体どの船のものかわからないカッター

 

地獄すら生ぬるい。

そんなことを思っているとまた一つ爆炎をあげてタンカーが沈んでいった。

 

悲鳴に似た声が近くのカッターから聞こえてきた。

多分今爆発したタンカーの乗組員だったのだろう。

 

 

その近くでは艦尾が水没した状態のフリゲート艦が未だに動いていた主砲を乱射していた。

あいつらはそれに気がついたのだろう。

 

直後大量の閃光弾が降ってきてフリゲート艦は跡形もなくなっていた。

 

 

遠くから段々と近づいてくる深海棲艦が見えてきた。

時々見える閃光弾がカッターや燃えながらも浮かんでいた貨物船にあたり水柱や爆発をあげていた。

 

ああ、死ぬのか。

 

 

そう思ったとき突然深海棲艦が爆発を起こし砕け散っていった。

 

 

 ◇

 

『房総半島南方20km地点付近を航行中の輸送船団からの救難信号を確認した。哨戒中の海上機械化歩兵は向かえ』

 

「こちら朝風、了解しました。春風とともに向かいます」

 

普段どおりの応対をしたものの突如入った通信に私は軽く緊張していた。

今まで私たち海上機械化歩兵部隊が行っていたのは精々日本列島近海に出没した駆逐艦級の排除であり、船団を襲撃しにくるような軽巡洋艦クラスのものとの交戦経験はなかった。

 

それ以前にこの機械化海上歩兵が必ず装備する特殊アーマー自体が操縦者をかなり絞られていて、適正がないと使えない代物らしい。まあおかげで使う人に合わせて作られるのでかなり使いやすいものなのだけれど。

 

まあ相手がそこまで強くない駆逐イ級の場合が多いので特殊アーマーについているエネルギーシールドを展開すれば無傷で済むのであまり苦に思うことはなかったが今回はどうだろうな…。

 

正直かなり怖いが、それでも人が助かるのなら行こう。

 

「春風、行くよ」

 

そう私のパートナーである春風に告げて全速力で救難信号の発信地点へと向かっていった。

 

 

 ◇

 

それから航行すること20分ほど、司令部からの誘導に従い航行していると突如私たちの周りに水柱が上がった。

救難信号発信地点から10kmほどのところだがらホ級とかへ級あたりの何かがいるのだろう。

 

まだ当たる気配はないが用心深く動いて損はない。

 

「春風、蛇行で接近するよ!」

 

そう告げると威勢のいい返事とともに水柱にはさまれた。

もう補足されてしまったようだが全速で蛇行する私たちには当たらない。

 

ただその自信が油断を招いたのだろう。

 

接近する白い航跡に気づけなかった。

 

それは私にまっすぐと向かってきたのだけれど、あたることはなくそのまま後ろへと流れていった。

 

「朝風危なかったな」

 

そういうパートナーのほうは軽々しく魚雷をよけていた。

 

「気づいているならいって」

 

危うく死ぬところだった、とはいわない。

 

雷撃に有効かは分からないが、気づかずに被弾してもエネルギーシールドを自動展開してくれるはずだから。

まああまりあてにはできない。

 

当たり所が悪ければエネルギーシールドなんかと関係なく吹っ飛ぶからだ。

実際それで大怪我した子もいるようだ。

 

 

敵との距離が十分縮まったと判断した私は遂に砲撃を開始した。

 

これもまた特殊な一品で、人に持てるサイズなのに大砲並みの威力がでるらしい。

なんでか聞いたら意味のわからない単語を羅列されたので気にかけないことにした。

 

春風に至ってはもはやそんなことを気にしていない様子である。

 

戦うことそれ自体を楽しんでいる節があると思うが、気にすることはやめた。

機械化海上歩兵であるかぎり戦うことから逃れられないから楽しんだところで問題はないだろう。

 

そんなことを考えながら撃った弾がカッターを沈めていた駆逐艦イ級の致命弾になった。

 

 ◇

 

突然爆発した深海棲艦の影に見えたのは、砲撃を行っている少女だった。

 

隣に居た三郎が

「あれが…噂に聞く艦娘なのか?」

と呟いた直後周辺が歓喜の渦に包まれた。

 

その姿はまるで天使のようだった。

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