かつて彼女は英雄だった 作:初月
この小説は1~2ヵ月に一話更新を予定しているのでご了承ください。
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「それではデブリーフィングを開始します。」
私たちのオペレーターの冷たい声でデブリーフィングが始まった。
「朝風、春風両名の行動により駆逐イ級2の撃破及び軽巡洋艦ホ級の中破が確定しました。
第一目標である房総半島方面通商破壊艦隊の弱体化は成功です。
新人にしてはよくやりましたね。」
そういうとスクリーンの戦力ゲージが半減した。
いくらなんでも本土近海、大きな戦力は即座に発見され、対艦ミサイルの餌食だろう。
直後スクリーンに表示される戦力ゲージが変わった。
「第二目標である船団救援は失敗です。
イ80船団は護衛のフリゲート艦が5隻、商船16隻が沈没したため横須賀へと撤退しましたが、そこで再編され一週間後には再度出航し硫黄島への輸送任務へ向かいます。
その時に護衛任務が降りるかもしれません。準備をしておいてください」
またスクリーンが変わる。
今度は伊豆諸島の地図であった。
まだ何かあるのだろうか?
そう思っていたらまたオペレーターが話しはじめた。
「また今回の被害に伴い伊豆諸島近海の通商破壊部隊の間引き作戦が承認されました。
この作戦は明日から三日間にあわせて実行し、その間は伊豆大島簡易基地及び横須賀軍港を根拠地とする汎用駆逐艦くろしおに拠点を置くこととなります。移動の準備を行ってください。
それではデブリーフィングを終了します」
電気がつき、スクリーンが収納された。
被害については軽く触れられるに留まったものの、イ80船団の戦力ゲージは三分の二ぐらいになっていた。
休みもほとんどなく間引き作戦が発令されるということはかなりまずい事態なのだろう。
無理だとはわかっていてももっと助けられなかったのかと思ってしまう。
でも慣れなきゃいけないんだ。
ここまで大きな壊滅は最近では少ないが、それでも壊滅することはある。
反省はするべきだが気に病むのはいけない。
それは自分を壊してしまうかもしれないから…。
◇
デブリーフィング終了から64時間後、私は春風、松風、旗風とともに出撃準備を行っていた。
本来ならば私たちは普通の水兵さんたちと一緒に乗り込むのだが、新人だということで着艦作業の訓練をかねて海上から行くということになった。
「着艦か…。訓練以来だな」
という春風。
事実そうなのだが、いくら新米の私たちとはいえども寸分の狂いもなく行えるようになっていたはずだ。
「いくら新人でも私たちをなめているとしか思えないわ」
私が思ったことを松風が代弁してくれた。
だが同時に思ったことがある。
「まあ、実戦で失敗するよりはましでしょ」
失敗すれば高速で動いている母艦に体当たりするかバランスを崩して溺れてスクリューの餌食だろう。
前者ならどうにかなるが後者ならそれ即ち死である。
久しぶりになる着艦なんだから慣れておいて損はない。
そう思いつつ装備を身につけ私はカタパルトを足に装着した。
電磁によってそこそこな速さになったところで私たちは打ち出された。
目指すは汎用駆逐艦くろしおだ。