シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった 作:ぱんそうこう
――――――目覚めろ。
男の声が聞こえる。
――――――目覚めろ。■■■■に選ばれし者。
聞き覚えがあるような気がするが、どこで聞いたか見当が付かない。不審者か何かか?と当たりをつけながら落ち着いて聞いてみる。
『目覚めるんだ、流竜。■■■■■はお前を待っている。進化の時は近い。』
うるせぇ。俺には関係無ぇだろうが。
思わず声が出てしまった。どうやらただの不審者だったらしい。
『奴等が来る。数多の世界を滅ぼさんとする者が。この世界の人類を守れるのはお前だけだ。』
んなもん俺の知ったこっちゃねぇ。もしそうだとしても俺は生きたいように生きる。てめぇの思い通りにはならねぇ。
第一てめぇは一体何者なんだ。
『俺は■■■。お前と同じ、■■■■に選ばれた者だ。』
こいつはただの不審者だ。そうでなくちゃ困る。
そう、だから―――目の前で巨大なロボットが宇宙戦争やってる光景は、俺と関係なんか、あるわけないんだ。
「黙れストーカー野郎!…………ん?」
少女が質素な布団の中で目を覚ます。いささか古臭さを感じさせる和風の建物だが、見る人が見れば何かの道場かと分かる場所だ。
(夢……か?妙なものを見た気がするぜ……)
もしかしたら最近鍛練にばかり時間を費やしていたせいで妙な気分なのかもしれない。今日は遠征してみるのも悪くないか……などと考える。
「ともあれ、まずはあのオッサンをぶっ倒してからだがな。」
頭の中に違和感を覚えながら、死んだ父の好敵手だった赤い髪の偉丈夫の顔を思い出す。
――――――少女の目覚めはまだ遠い。
「聞こえるか?我が友よ。」
――――――老人が映像の中で話している。灰色混じりの白髪に白くなった髭をたくわえていることから、相当に年齢を重ねていることが分かる。
「あの日、わしは世界の破滅を垣間見た。」
しかしその目は未だ力強く、ともすれば殺しても死なないのでは、と思わせる謎の力を感じさせる。
「あれをなぜ暴走事故の際に見たかは終ぞわしには分からなんだ。しかし、あれが決定した未来であることだけは朧気ながら理解できた。同時にそれを覆し得るのが■■■■だけであることも。」
あるいは、これこそ■■■■の意思なのやもしれぬ、と続けている映像の背後では所々で銃声が響いている。危険を示すベルも鳴っていることから、どうやら現在進行形で襲撃を受けているようだ。
「もしお主がわしの言うことを信じてくれるならば、これを大切に保管して欲しい。必ず適合者は現れる。仮に如何程の犠牲が出たとしても、これが残っておる限りわしらに敗北は無い。必ず奴等から未来を奪い返す筈だ。」
「わしは最低限のレールだけは作った。後の未来は、お主らの手で切り開け!」
「さらば!!!!」
老人の高笑いとともに映像はそこで途切れていた。映像を見ていたのはこれまた一人の老人。映像の老人と同様に髪も髭も年齢を感じさせる色をしているが、その肉体は筋骨隆々で未だ衰えの色を見せていない。
「…………相も変わらず勝手なことばかり言う男よ。」
「だが、良かろう。この風鳴訃堂、確かにお主の意志を受け取った。後のことは任せて眠っておれ。」
「――――――よくやった早乙女。これでこの世界は救われる。」
老人の手の中には赤いペンダントが入ったケースがあった。
そこにはこう刻まれていた――――――"SG-00 GETTER"と。
――――――男は世界の運命を見た。朋友は、かの運命を覆さんと足掻き続ける。
ここはリディアン音楽院の地下に本部を置く特異災害対策機動部二課。世界で唯一、人類の天敵たるノイズを撃滅させ得る戦力、"シンフォギア"を保有する人類守護の砦である。
「それでダンナ。こいつは一体何なんだ?どう見ても新しいシンフォギアみたいだけど」
一つのギアペンダントを前にして疑問を発したのは第三号聖遺物"ガングニール"の装者、天羽奏である。
対するは二課司令、風鳴弦十郎。シンフォギア装者のよき理解者にして、装者を様々な魔の手から守護る大人たちの筆頭とも言うべき存在だ。
「む、奏はこれを見るのは初めてだったか。これは第0号聖遺物"ゲッター"のシンフォギアでな、第一号聖遺物"天羽々斬"よりも前に製作された代物だ。」
「天羽々斬よりも?てことはもう実戦に投入されたのか?」
「いや、まだだ。残念ながら、こいつだけは適合者が見つからなかったんだ。おかげで、ギアが製作されたというのにずっと埃を被っているも同然といった有様なのさ。」
「ふーん。なら何でこいつが先だったんだ?確か、翼が昔天羽々斬を起動させてたんだろ?だったらそっちが優先されるんじゃないのか?」
不思議そうな顔をする天羽奏。
そこへ、研究室の扉の音がした。
「奏、ここにいたのね。緒川さんが探してたわよ。叔父様もお疲れ様です…………と、そのギアはもしやゲッターですか?」
入って来たのは第一号聖遺物"天羽々斬"の装者、風鳴翼だ。
「お、翼!もしかしてこいつのこと詳しいのか?」
「詳しいも何も、風鳴の家では有名な話よ?お祖父様がゲッターに執着してるってことはね。」
「しかも、ゲッターなんて名前の聖遺物、考古学上見たことも聞いたこともない、どこからそんな名前が出てきたのかしらって、櫻井女史も随分首をひねってたわ。」
「お祖父様ってことはダンナの親父さんだろ?前にここの司令やってたって言う、あの。」
「その通りだ。何でも、親父は天羽々斬よりもゲッターの製作を優先しろと言って聞かなかったらしい。」
そう言って弦十郎はいささか困ったような顔をする。
「一体何だってそんなことを?」
「さて、な。親父の考えることは俺にもわからん。特にこの"ゲッター"に関してはな。」
あの時だってそうだ、と前置きして、
「奏は、ゲッターが一度暴走事故を起こしたことを聞いたことはあるか?」
「暴走事故?いや、聞いたことないな。そもそもギアって聖遺物の欠片なんだろ?完全聖遺物ならまだしも、そんなことあるのか?」
「ああ。聖遺物の研究中にゲッターが突如暴走を起こし、膨大なエネルギーが施設内に溢れたことがあった。この時の衝撃で死傷者、行方不明者ともに多数の大事故になったらしい。原因を調査しても何も分からなかったというのに、その後も親父はゲッターの開発を強行したそうだ。」
「その件なら私も聞き及んでおります。当時の研究員がいつまた暴走するかと怯えていたせいでなかなかギアの研究に着手出来なかったって、櫻井女史がぼやいてたのを聞いたことがあるわ。」
「おいおい、そりゃ穏やかじゃないな。何にも分かってないのに続けさせたのかよ。」
「ああ。親父が二課司令の座を降りざるを得なかった決め手は確かに"イチイバル"の紛失にあるが、この一件によって職員の不信も買っていたことも原因の一つになっている。しかも、辞任する際もゲッターだけは風鳴機関に持っていくと強硬に主張したらしい。」
尤も、通るはずがなかったがな、とだけ言い残す。その声色には呆れよりもむしろなぜそうまでしてゲッターにこだわるのか?という弦十郎の疑念が強く表れていた。
その後もとりとめのない雑談をしてから、三人は部屋を出る。明かりが消え、闇に閉ざされた研究室の中で、ゲッターのギアペンダントはわずかに翠色の光を点滅させていた。
―――それはまるで、何かを探しているような。
「訃堂様にも困ったものだ。ギアの適合者というだけでも条件が厳しいというのにさらに細かく注文を付けてくるとは。」
「まあそう言うな。装者さえ見つかればいいんだ。むしろこういう人探しなら我々の専門分野だろう?」
「そうは言うがな、流石に今回は理想が高すぎるんじゃないか?『強靭な肉体と精神力、それに一定以上の知能を併せ持つ装者候補』なんて、一体どこの超人だよ。いっそ訃堂様か弦十郎様が戦った方がいいんじゃないか?」
「それ以上はやめろ。いくらあのお二方が超人だとしてもノイズには勝てんのだ。うん……勝てないはずだ。」
「お前もちょっと自信がなくなってるじゃないか!気持ちは分かるけどよお。それに、もう日本中のめぼしいところは大体リストアップしたぞ?それ全部『これ以上という言葉はありはせんのだ!強い意志と体力を併せ持つ者でなければ防人は務まらん!』なーんて言って却下されたんだ、少しは堪えるさ。」
「うーむ、他にとなると…………あ、」
「心当たりがあるのか!?」
「俺の記憶が正しければ、弦十郎様のところに出入りしている少女がいたはずだ。あの子はまだ報告してなかったと思ったが……どうしたものか。」
「一体何にそんな躊躇してるんだ。要は良さげな候補がいるということなんだろう?だったらそれを言えばいいじゃないか!」
「とはいえ、弦十郎様からは友人の一人娘で一般人だからあまり巻き込んでくれるなというお達しなんだ。少し気が引けるんだよ。」
「だとしても、こっちだって背に腹は代えられないんだ。ダメ元でいいから報告するに足るだけの力があるか、見てみるべきじゃないか?」
「そう、か……わかった。是非もない、俺も腹をくくるとしよう。確かその子は『
――――――役者は揃いつつある。少女たちの運命とゲッターが交わる日は、近い。
流竜馬(CV.石川英郎)
風鳴弦十郎(CV.石川英郎)
早乙女博士(CV.麦人)
風鳴訃堂(CV.麦人)
これだけで思い付いた一発ネタ。
つづかない
11/30
つづきます
第二話執筆のため風鳴弦十郎との関係性を修正