シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった   作:ぱんそうこう

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今回は思ったより長くなってしまったので二話構成になりました。


衝動

早朝、人が少しずつ寝床を抜け出し始めた時間帯。司令の風鳴弦十郎やシンフォギア装者の立花響、風鳴翼を始めとする特異災害対策機動部二課の職員は本部前に集合し、作戦前のブリーフィングを行っていた。

 

「作戦内容は至ってシンプルだッ!広木防衛大臣暗殺の犯人検挙の名目で検問を張るッ!そして空白になった市街地を記憶の遺跡目掛けて一気に駆け抜けるッ!」

 

「名付けて、天下の往来独り占め作戦よ~!」

 

「これまでの敵の動向から鑑みて、本作戦には敵による熾烈な妨害が予想される!無論それにはノイズが利用されることも疑いようがない。だからこそ、あえて言わせてもらおう――必ず!生きて帰るぞッ!」

 

『了解ッ!!!』

 

この作戦に参加する二課の職員達がわずかな一言でその高い士気を示す。自分たちが守るものが人類の希望、その一角であると知っているからだ。しかも今回は装者たちと肩を並べる絶好の機会である。日頃から装者たちだけを前線へ向かわせていることを苦々しく思いながら、「ノイズに対抗できない」の一点のみで後方に下がることを強いられていた彼らが奮起しないわけが無かったのだ。

 

このようなことになった原因は数日前に遡る。政務を終え、帰宅する最中の広木防衛大臣が何者かに暗殺された。広木防衛大臣は二課の後ろ楯として時に賛成、時に反対をと立場を使い分けながら彼らを守り続けてきた人物である。そのため二課首脳陣は犯行声明を発した複数の過激派革命グループの全てを黒幕の隠れ蓑であると看破。その背後にいる組織的なナニカの存在を察知し、それが頻発するノイズ災害やネフシュタンの少女と何かしらの関係があることを念頭に調査を進めていたのである。

 

そんな中、日本政府はこの事件を二課に保管されている「デュランダル」を狙ってのものと断定。二課本部周辺で頻発するノイズ災害をも考慮すればデュランダルをそのままにするのは危険だと判断し、その移送を命じたのである。この命令を受けた弦十郎はノイズを操る敵の目的が二課ではなく日本政府を揺さぶりデュランダルを二課の外へ出すためのものであると気付くも、政府の命令には逆らえぬと移送の際の危険を可能な限り排除すべく本作戦を提案したのである。

 

 

「響くんは了子くんの車に同乗しデュランダルの護衛を頼む。おそらく最も危険な役目になるだろうが、今の君になら出来る筈だ。――修行の成果、存分に見せてくれ」

 

「わかりましたッ!」

 

「翼は俺と一緒にヘリで上空から監視だ。いざというときの遊撃戦力として待機してもらいたい。病み上がりでまだ本調子ではないだろうから決して無理はするなよ」

 

「委細、承知しました」

 

二課の職員たちに続いて、この作戦の肝となる装者たちへ声を掛け、その役割を確認する。弦十郎としては翼は肉体的にも精神的にももう少し休ませておきたかったが、ネフシュタンの少女による襲撃が予想される今、戦力は一人でも多い方がいいと本人が申し出たために状況に応じて出撃する予備戦力という形で作戦に参加することとなったのである。

 

「翼さん!身体は大丈夫なんですか?」

 

「問題ない。それよりも、立花は自分の心配をすることだな。人類の希望を奪われるわけにはいかん」

 

必ず防人れ――そう言うと翼は足早にヘリに向かっていった。

 

この時、翼を突き動かしていたのは焦りだった。夢の中とはいえ奏に会えたことはとても嬉しいが、その言葉の意味が分からない。私達の未来に待っているものとは?奏が遺したものとは?三つの心とは?――その答えを見つけるために、戦場へ走る。

ネフシュタンの少女による襲撃が確実視されていることも焦らせる要因の一つだった。二年前に続いて今回の件と、一度ならず二度までも醜態を晒してきた。これ以上は他でもない、己自身が許容できない。今度こそ己の手で成し遂げなければならないのだと、その強迫観念に突き動かされるままに翼は戦場へと駆り立てられていた。

 

(私がやる。私でなければならんのだ。二度とあのような輩に遅れは取らん)

 

 

でなければ、こうして生き恥を晒している意味がないのだから。

 

 

 

 

 

そんな翼の姿を響は後ろから見ていた。

 

(翼さん……やっぱり、この前のがまだ……)

 

まるで焦っているような、何かに突き動かされているような姿に不安を覚える。原因はあの夜のことだろうか。

「また生き残らせるつもりか」――翼の叫びはまだ響の耳に残っている。きっと、あれこそが翼の心を最も端的に表していた言葉だったのではないか。

 

(今の翼さんは放っておけない。また、あの時みたいになってしまいそうな……そんな気がする)

 

修行を始めてからも何度かノイズは発生しており、その全てを響は一人で終わらせてきた。その中で翼たちの戦いの過酷さを改めて認識し、二人の負担を少しでも減らしたいのだと決心を固めてきた。

守られたことへの負い目はある。だからこそ、今度は自分の手で大切なものを守りたい。それが守られた人間のやるべきことだと信じて。

 

(わたしが頑張るんだ。死を前提とした絶唱(あんなこと)を、もう二度と繰り返させないために。)

(翼さんを一人にさせないために。竜さんが安心して目覚められるように。)

 

 

守ってくれた二人に、行動で応えるために。

 

 

 

 

 

そしてデュランダルを積み込む車両の主、櫻井了子はというと、ここまで事が上手く運んでいることに内心ほくそ笑んでいた。

完全聖遺物を扱うプラン、及び"カ・ディンギル"のためにデュランダルを手の内に収め事前に起動させておきたいものの、二課の地下奥深くで保管されている以上やすやすと手出しは出来ない。自身が設計した人類守護の砦だけあって、さながら厳重に鍵が掛けられた分厚い金庫のようなものだ。

それを外から抉じ開けるのはあまりにも労力がかかりすぎる。であれば、答えは一つ――中から開けてもらえばいい。そして了子は日本政府との我慢比べに勝った。あの風鳴弦十郎を始めとする二課の面々はこちらの狙いに気付いていたが、所詮は政府の一機関。上の決定を覆すことはできない。

 

護衛役の立花響は最近修行をしているようだが、それでも付け焼き刃では完全聖遺物に敵うはずもなし。風鳴翼がもう動けることは想定外だったが、見る限り相当精神的にキているようで、あれではギアの性能を十全に発揮できないどころかギアが拘束具となってしまうだろう。であればもはや恐るるに足らず。余程の想定外の事態が起こらない限り事は簡単に進む筈だ。

 

(この戦い、勝つのは私だ。誰にも邪魔はさせん)

 

 

全てを踏みにじってでも、私は私の未来を手に入れるのだ。

 

 

 

 

 

一つの戦場に、三者三様の思惑が絡み合う。審判の時は、もうすぐそこに。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

『二号車脱落!』

 

『続いて三号車、脱落しました!敵は地下から攻撃してきていますッ!』

 

『下水道だッ!ノイズは下水道を通ってこちらへ仕掛けているんだッ!脱落車の職員は脱出を優先しろ!すぐに回収チームを向かわせる!了子くん!そちらはどうなっているッ!?』

 

「旗色がいいとは言えないわね。しかもこの先は薬品工場よ?もしそこで爆発でもあれば……!」

 

『まずデュランダルは失われるだろうな!だが護衛車を的確に狙っているところを見るに、敵の狙いはデュランダルを傷ひとつ付けず確保することだ!ならば敢えて危険に飛び込み敵の攻め手を封じる算段ッ!』

 

「勝算はあるのかしら!?」

 

『思い付きを数字で語れるものかよッ!!!』

 

その言葉に従い、了子の車はスピードを維持したまま工場の敷地へ突入してゆく。しかし半分だけ埋設されたパイプにタイヤを引っ掛け、車がひっくり返ってしまう。

 

「こ、これ……重……」

 

どうにか、という体で脱出する二人。特に響はデュランダルのケースを抱えており、その重みで身動きがとれないとまではいかずとも非常に動きが鈍くなってしまう。

 

「じゃあ、いっそこれだけ置いて逃げちゃいましょうか☆」

 

「そんなぁ!ダメですよそんなの!」

 

「ま、そりゃそうよね」

 

そうして話しているうちにも状況は刻一刻と悪くなっていく。ノイズが迫り、次第に包囲網を狭めていく。歌う隙は与えぬと言わんばかりの布陣、了子もフィーネとしての力を使うことを考慮したその瞬間、状況をひっくり返す一手がここに打たれる。

 

 

「破ァァァーーーーーーーッ!」

 

天ノ逆鱗

 

上空のヘリから独断で飛び降りた風鳴翼が単身で吶喊。その衝撃で着地点周辺のノイズは数を減らしていく。それに遅れて分裂した剣――千ノ落涙――が残った群れへと襲いかかり、その駆躰を炭化させていく。

 

「翼さん!」

 

「必ず防人れと……言った筈だッ!」

 

その言葉と共に新たな群れへと突撃、アームドギアを携え手当たり次第に斬り捨てていく。しかしその動きには普段と比べどこかぎこちないものがあった。

 

「待ってください!わたしも戦いますッ!」

 

――Balwisyall nescell gungnir tron――

 

翼に少し遅れて、ギアを纏った立花響も急いで戦線に加わった。

深呼吸を一回挟み心を研ぎ澄ませ、ヒールを邪魔だと折ってコンディションを整える。足を肩幅に開き両手を前に出す独特の構えでノイズと相対する。ノイズもそれに呼応するように体を伸ばして響を炭化させんとするが、最初の一体を一撃で爆散させたのを皮切りに全て最低限の動きで捌ききっていた。

それに確かな手応えを覚えた響は続けて力強い足取りで踏み込み、正拳、裏拳、膝蹴り、回し蹴り、手刀、肘打ち、震脚―――およそ彼女が考えうる全ての技を駆使して包囲状態から大立ち回りを繰り広げていく。

 

 

それを見ていて面白くないのがノイズを操る主、ネフシュタンの少女こと雪音クリスだ。

 

「あいつ……戦えるようになってんのか?」

 

これまでとは別人のような響の体さばきに驚きを隠せない。何が彼女を変えたのかは分からないが、少なくとも戦い方と戦う意志を確立し、自身にとっての確かな脅威として戦場に立っていることは間違いない。

 

車の爆発で発生した黒煙のおかげでまだ自分の居場所は露見していない。ならばチャンスは一度きり、この一回で確実に潰す……と考えたところでふと思いつく。一度きりならば、先に与しやすい方を潰す方が効果的なのではないか?

あの人気者(風鳴翼)を見れば、明らかに前より動きが悪くなっている。ギアの性能も落ちており、不意を打つならばこっちを殺る方が確実で安全だ。二対一をしにいくよりはずっといい。

 

「何ッ……ぐああああああ!!」

「ッ!翼さん!!」

 

そうと決まれば早速、と完全聖遺物のスペックを生かした機動力を存分に発揮して上空から翼の顔面を蹴り飛ばす。そのまま追い打ちをかけるように顎を殴って意識を揺らし、鞭で強く打ちこんでいく。

 

「ぐ、うううう……貴様ァ……」

 

「悪いな。隙だらけだったからつい手ェ出しちまったぜ」

 

「ぐ……くくくくっ。そうか、貴様の方から出てきたというわけか。これで探す手間が省けたというもの……!」

 

「そうかい?だったら第二ラウンドと洒落こもうや。とっとと終わらせて、その剣はもらってくぜ」

 

互いに睨み合う二人。クリスは鞭を構え、翼は剣を支えにゆっくりと立ち上がろうとする。しかしそこに割って入る影があった。周囲のノイズを片付けた響である。

 

「待ってください翼さん!」

 

「立花!この期に及んでまだ戦場でバカなことを言うつもりかッ!」

 

「違います!……ここは、わたしにやらせてくださいッ!」

 

「なんだと……ッ!」

 

「わたしにだって守りたいものがあるんですッ!それに、もう守られてるだけじゃいられないからッ!」

 

「ッ!待てッ――」

そう言うや否や真っ直ぐに立ち向かっていく響。大きく消耗した今の翼は後の言葉を紡ぐことができず、その後ろ姿を見ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

「へっ。前よりはマシになったみたいだな。けど、こんなのであたしに勝とうなんざ百年早ええんだよ」

 

「……ねえ。ホントにこれでいいの?」

 

「あん?何が言いてえ」

 

「わたしたちは分かりあえるはずなんだよ!なのに、どうしてこんなことするの?ノイズを操ってまで!」

 

「うるせえ!そんなこと、お前には関係ねえんだよッ!だいたいな、人間ってのは分かりあえるように出来ちゃいねえんだ!なんにも分かってねえくせに寝言言ってんじゃねえッ!」

 

その言葉と共にクリスが鞭を打ち込む。響はそれをかわしながらさらに問答を続けようとする。

 

「そうだよッ!わたしは何にも分かってない!だから教えてよッ!あなたのことをッ!あなたの言葉でッ!」

 

「敵と話すことなんかねぇッ!それがお前だったらなおさらなッ!」

 

「ッ!それってどういう……!」

 

「お前は黙ってあたしのモノになってりゃいいんだよッ!」

 

「お前だったらなおさら」――それが初めて見えた彼女自身の感情。そこに僅かな光明を見出だしたのも束の間、三度四度と鞭を打ち込んでくる。あの夜に竜を手こずらせた中距離中心で間合いに入らせない戦法だ。

 

(いくら強くなったとしてもあいつは肉弾戦しか出来ないッ!なら近づけさせなきゃ完封出来る筈だッ!)

 

しかし今の響には今までの彼女よりも思い切りがあった。

 

(近づかせないつもり!?だとしてもッ!)

 

被弾上等と言わんばかりに腰のバーニアを使って愚直なほど真っ直ぐに突っ込む。想定以上のスピードにクリスも少し驚いたが、突っ込んでくるなら逆に好都合だと鞭を動線上に置くようにして当てに行く。

しかし鞭と拳が交錯しようとしたその瞬間、その場の空気が変わり、二人は思わず距離を取った。了子の近くに置いてあったトランクケースが突如震えだし、ケースを破って中からデュランダルが飛び出したのである。

 

「これは……まさか、起動しようとしているというの!?」

 

デュランダルの起動。それはこの場にいる誰にとっても予想だにしていなかった事態だった。

そも完全聖遺物の起動にはそれ相応の莫大なフォニックゲインを必要とする。でなければ二年前のネフシュタン起動の際、ツヴァイウィングのライブを隠れ蓑になぞしないだろう。仮に一人の力だけで起動させようともなれば、それこそ年単位でフォニックゲインを充填しなければならない。雪音クリスがソロモンの杖起動に半年という時間を必要としたことからもそれは明らかだ。

この明らかな異常事態に真っ先に動いたのはクリスだった。勢いよく跳躍し、デュランダル回収に動く。それにやや遅れて響も反応した。腰のバーニアを使ってデュランダル目掛けて跳び立ち、その確保を目指す。

 

先にデュランダルを掴み取ったのは――響。掴み取ろうとしたクリスを押し退け、見事空中での競り合いを制する。しかし競り合いを制した筈の彼女の様子がおかしい。

目の色が変わっていく。牙を剥き、唸り声を上げ始める。胸を起点に黒いナニカが響の体を侵食していく。

 

「これは、一体何が起こっている……?」

 

「シンフォギアの、暴走」

 

「知っているのですか櫻井女史!?」

 

「ええ。竜ちゃんの暴走とは異なる……いえ。こちらの方が正しい意味での暴走ね。複数の聖遺物同士が干渉したことによる反発作用……それが響ちゃんの破壊衝動を増加させているのよ!」

 

「く……ならばあのデュランダルを引き剥がさねば被害が!」

 

「無茶言わないの!そんなコンディションで、デュランダルのエネルギーを受け止められると思う!?まだここを動いちゃダメ!」

 

二人が問答をしている間にもデュランダルは加速度的に輝きを増している。デュランダルがその刀身に目映い黄金を取り戻した時、皮肉にもその担い手はドス黒い闇に呑みこまれていた。

 

「そんな力を見せびらかすなァァァァァ!!!」

 

クリスが激昂して響に襲いかかろうとする。響はその声に反応したかのようにクリスへその血に飢えた獣のごとき目を向ける。その正気を失った目と発せられた威圧感に思わず怯んだ時には、もう遅かった。

 

「グルル……ガアアアアアアア!!!!」

 

デュランダルをクリスへ向けて躊躇いなく振り下ろす。莫大な破壊のエネルギーがネフシュタンの鎧を破砕し、鎧に包まれた肉体を壊さんとする。そのままクリスは光の中に飲み込まれ、その奔流に紛れて逃亡することしか出来なかった。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

息を切らし、消耗を顕にしている響。衝動のままデュランダルを最大出力で撃ち放ったことで一気に疲労感に襲われていたためである。

 

「響ちゃん!無事かしら!?」

 

了子が響に駆け寄ってくる。その後ろからはギアを解除した翼がどこか厳しい表情でゆっくりと着いてきていた。

 

「はい……怪我は、してませんけど……それより、わたし、今何を……」

 

「聖遺物同士が干渉しあった結果ね。こればっかりはしょうがないから、帰ったら早いとこメディカルチェックしちゃいましょ☆」

 

「わかりました……」

 

仕方ないことと了子は言う。しかし響はまだ浮かない顔をしていた。相手を撃退したことよりも、デュランダルを守りきったことよりも、自分が巨大な力を破壊衝動のまま人間相手に躊躇いなく振るおうとした事実に目が行っているからだ。

 

「もう!そんな顔しないの!みんな無事だったんだし、今は素直に喜びましょ?」

 

はい……と返したところでゆっくり向かってきている翼に気付いた。そこで気持ちを切り替えるためにも「翼さん。体は大丈夫ですか?」と尋ねる。

 

そんな言葉を掛けられた翼の内心は穏やかではなかった。この戦闘で一番役に立たなかったのが自分だと思い知らされたからである。無論、客観的に見れば響と了子の窮地を救い、逆転の余地を生み出すという値千金の活躍をしたことは疑いようがない事実である。彼女が居なければデュランダルは確実に奪われていただろう。

しかし今の翼にはそれに気付く余裕はない。むしろ敵とまともに戦うことさえ出来なかったという醜態にばかり目が行ってしまう。

 

「翼さんがいなかったらどうなってたことか……本当にありがとうございます!」

 

止めろ。これ以上は私が惨めになるだけだ――。その感情のままに口を開こうとしたその時、通信機から大音量で弦十郎の声が鳴り響いた。

 

 

『お前たち!今すぐそこから離れろォォォ!!』

 

 

三人に迫る黒い影。戦闘が終わった直後、全員の気が一瞬緩むこのタイミングで、その忌むべき姿を表した者がいた。二課本部はその反応を余さず捉え、緊急性が高い案件として即座に弦十郎へ伝達。ヘリの上から目視でその存在を確認した弦十郎は、未だ気配に気付かぬ三人に大急ぎで警告を発していたのだ。

 

 

 

 

――ブラックノイズ、出現せり――

 

 

 

 

 

 




カルマノイズ「お待たせ」
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