シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった 作:ぱんそうこう
やっぱりみんなゲッターロボ大好きなんですね。
というわけで何故か続いた第二話です。
処女作なので至らぬ点も多いと思いますがお付き合いお願いします。
運命のはじまり
流竜は巨大な武家屋敷の前に来ていた。
表札に「風鳴」と書かれている門の、脇にあるチャイムに手を伸ばし、慣れた様子でボタンを押せば、
「よく来たな、竜くん。さあ、中へ入ってくれ。」
出てきたのは家主の風鳴弦十郎である。
竜と弦十郎が初めて出会ったのは5年ほど前。あの誰よりも強く厳しいながら、家では酒ばかり飲むダメな父親、流一岩が珍しく酒を飲まず、一心不乱に自分の鍛練をしている日が何日も続いた時。不審に思った竜が久しぶりに外出する父の後をこっそり尾けた時の事だ。
―――――――――――――――――
「おおまた来てくれたのか!何度でも歓迎するぞ!」
「うるせえ。俺はきさまをぶっ倒したくてうずうずしてるんだ。さっさと始めようぜ。」
「それは構わないんだが、いいのか?」
「あん?そりゃどういう意味だよ。まさか、俺じゃ絶対負けるって言いたいのか?冗談じゃない。無敵の流一岩さまが負けっぱなしなんざ、笑い話にもなりゃしねえ。」
「いや、後ろから女の子が見ているだろう?お前さんによく似ているが、もしや娘さんか?」
一岩が振り向くのに気づくのが遅れ、見つかったと思って踵を返そうとしたときにはもう遅かった。
「竜きさま!家で待っていろと言ったはずだ!」
「そりゃあ親父の様子がおかしかったからな。まさか余所で女でも作ったかと思ったのさ。」
弦十郎を見て、
「まさか、男の家に入り浸ってるとは思わなかったけどな。」
「きさまには関係のない話だ!今すぐ帰れ!俺だけの
「おいおいそんなにムキになるなよ。まさか親父、このオッサンに負けたわけじゃねえよな?」
「…………ああそうだ。俺はこいつに負けた。だからどうした?お前に俺のことを気にする余裕はあるのか?」
「まあまあ落ち着け。」
と、弦十郎が止めに入る。
「わざわざ娘が応援してくれるんだ、無下にすることもあるまい。」
「応援、だと?」
竜が呟く。
「冗談じゃない!誰が親父の応援なんかしてやるもんか!せっかくだ、俺は親父が負ける姿を見て目一杯笑ってやるぜ!!!」
「なんだときさま!もう一度言ってみろ!二度と泣いたり笑ったり出来なくしてやる!」
「だから落ち着けと言っているだろうが!!!」
弦十郎の気迫と大音声でビリビリと木造の門が震える。
「喧嘩をするなら余所へ行くか、せめて家の中でやってくれ。でないと俺が近所に睨まれちまう。」
そして二人を睨め付けながら、
「それとも、今日はやめにして二人揃って帰るか?」
「「チッ」」
表面上落ち着いた親子は互いにガンを飛ばしながら、
「妙な真似するんじゃねえぞ、竜。」
「へっ。親父こそ、せいぜい娘の前で無様を晒すこったな。」
二人並んで門の中へ入っていった。
「全く仲がいいんだか悪いんだか……」
―――――――――――――――
結局その日、一岩は最後まで弦十郎に勝てなかった。竜は、そんな父の姿を見ても一度として笑わなかった。それ以上に父親のあまりの真剣さに目を奪われていたからだ。
(信じられねえ。あの親父が、まるでガキみたいにあしらわれてやがる。)
竜にしてみれば信じられなかった。
竜にとって父親は越えられない壁だった。幼い頃から「強くなれ」と自分に空手を仕込み、泣こうがわめこうが一切許さなかった程に厳しかった。
ある時には小さい手がグローブのように腫れ上がることもあったが、知らぬとばかりにそれを塩水に浸して砂箱突き、またある時にはどこからか野犬を連れてきて戦わされることもあった。今思えばよくもまあ生きてこられたものだと自賛する。
また、父親の哲学もみっちり仕込まれた。曰く、武道において真に必要なのは強い相手であり、そいつをぶちのめすまでが修行なのだ、という。
事実、物心ついたときから父親は随分荒れていた。周りの反応を見る限り、空手界を干されて道場破りを繰り返すようになったときからそうなったらしい。
あれはおそらく、周りが弱すぎたために自分に見合う相手が居なくなってしまったからだろう。
それがなんだ?目の前の父親はいいようにあしらわれながらも、まるで欲しかったおもちゃを買ってもらった子供のように輝いた目をしているではないか。
そして目の前の偉丈夫の強いことといえば!
その踏み込みは力強く、拳の一振りはわずかな余波だけで池の水を揺らし、泳ぐ魚を驚かせている。さりながら力一辺倒でなく、その下地には確かに凄まじく高い技量が根付いている。
ほら、今度は親父の正拳突きを拳圧だけで相殺している。だというのに、殴ったはずの親父の方がダメージが大きい。どう見ても親父に勝ち目はない筈だ。
それでも父親の目は輝いていて、そのときの竜にはどうしようもなく眩しく見えた。
――――――強くなりたい。
竜はこの時初めて、父親からの強制でなく、本気で「強くなりたい」と渇望した。
父親もそれを察したのか、弦十郎の家には必ず竜を伴うようになった。
父親はその二年後に死んだ。長年の深酒がたたったらしい。弦十郎もどこで聞き付けたのか、弔問に訪れた。
その時、竜は初めて父親のことで泣いた。
竜の中で一岩はもはやただのダメ親父ではなく、良き師匠となっていたのであった。
それ以来、竜が弦十郎の元を訪れる頻度は落ちた。弦十郎が多忙になったことで予定が合わなくなってきたこともあるが、何よりも自身に課す鍛練をより厳しくしたからである。
そしてこの日は、二週間ぶりに二人が対面する時なのだ。
「前に来たときより、さらに腕を上げたようだな。」
「当たり前だ。親父が最後まで勝てなかった奴に挑むんだ、何度やったって最高にわくわくするぜ。」
「ふっ……同感だな。俺もあいつの一人娘とこうして戦えることが楽しみでならん。」
「んじゃあさっさと始めようぜ。」
「ああ。どこからでも掛かってこい!」
激突する。拳擊を合わせる。蹴撃を合わせる…………
この戦場は休憩を挟みながらも、中天の日が夕日に変わるまで続いた。
「見たか」
「ああ……こりゃあすごい。あの弦十郎様とここまでやれるとは、これはとんだ掘り出し物じゃないか?」
「あの娘なら訃堂様の希望する人材にぴったりだ。」
「では……」
「ああ。あの娘を推薦しよう。」
「それで、この娘が候補と?」
「はい。この歳でご子息と長時間渡り合い、息を切らす程度で済むほどの体力と武力、並大抵のものではありません。」
「ふむ……いかに不肖の息子とはいえ、あやつの武力は本物なれば……」
「良かろう。儂が見に行こうではないか。」
「は……?ご当主御自ら、でございますか!?」
「その通りよ。ゲッターの装者となる可能性を秘めた者だ。儂自らが見極めねばなるまい。」
「もう下がってもよいぞ。」
「は。失礼いたします。」
「ふふ。では、いささか小細工を弄すると致そうか……其奴がどれだけやれるか見ものじゃな。」
そう言って、どこかへと連絡を入れるのであった。
「やれやれ、今日も勝てなかったか。」
帰宅した竜は、一息ついていた。帰宅する道中で急に降りだした雨に当たってしまい、急いで帰宅したからである。いかに竜とて弦十郎を相手にしてから全力で走って帰宅するのは堪えるようで、道場の板の間で寝そべっていた。
ピンポーン
「あん?こんなときに客かよ。もうすぐ晩飯時だぜ?常識って言葉を知らねえのか。」
ぶつくさ言いながら玄関を開ける。
そこにいたのは長身にサングラスを掛け、杖を持った和装の男と小柄なリーゼントの男。
「お客さんですか。なにか?」
しかし和装の男は竜の姿を目にした途端、杖から刀を抜いて竜に襲い掛かって来たのである。
「うわっ!何しやがる!」
思わず壁際へ後ずさる。竜は、この男達に襲われるようなことをした覚えはない。従って、父親のことで襲ってきたのだろうと即座に解釈した。
「さてはきさまら親父へのお礼参りだな!?ふざけたことしやがって!」
壁際で体勢を立て直そうとすれば、今度は壁を突き破って大柄な黒人の男が家に入り込んで来た。
加えて、
「イヤホーッ!」
という掛け声とともにナイフを投擲してくるリーゼントの男。ナイフ投げに長けているようで、一度に四本、五本と投げてくる。
竜も何とか五体をフルに活用してナイフを弾き続けるも、捌ききれなかった一本が右肩に突き刺さる。
そして痛みで怯んだ一瞬を見逃すほど相手も愚かではない。即座に黒人の男が渾身の右ストレートを竜の顔面に叩き込み、竜は部屋の壁に叩きつけられる。
「くそっ!なんの恨みか知らねえが来やがれ!この流竜、一筋縄ではやられねえとこを見せてやる!」
―――――――――
そうして竜が気合いを入れ直すところを、黒服と老人の一団が陰から見つめていた。
「訃堂様、あの者達は一体……」
「ふ……あれは儂の手の者よ。あやつの力を計るならば丁度良かろう?」
「なっ!?見るにあの者達は専門の殺し屋でしょう!?いかにあの娘が手練れだとしてもあれでは死んでしまいます!」
「良いではないか」
黒服の男は耳を疑った。目の前の男は折角の有望な装者候補を「死んでもいい」と言ったのか?
「果敢無き哉……。」
「よいか?これより後、ゲッターを扱うならばあれしきのことは乗り越えられねばならぬ。」
「仮にここで死ぬならばそこまでだったというだけのこと。むしろ今死なせてやっただけ親切というものよ。」
「し、しかし……」
「黙って見ておれ。あやつが儂の見立て通りならばあるいは……」
訃堂には奇妙な予感があった。その少女の名を聞いた時から、「ゲッターを鎧い纏わせるならば彼奴しかいない」と確信していた。
だからこそ、この方法を選んだ。死ぬならば己の勘が鈍っていただけのこと、しかし仮に生き残ったならばあるいは……
そしてそれはすぐにわかるだろう。
決着とともに。
―――――――――――
襲い掛かる三人組。その中でも黒人の男はその見た目に反しとても素早く拳を振るってくる。
それを上手く両手で受け止め、勢いを利用して顔面を蹴り飛ばす。どうやらいいところに入ったようで、男の鼻から大量の血が流れている。
しかしそれも怯ませるどころか、相手の戦意を煽る結果になってしまったらしく、血を舐めとると笑いながらすぐにまた向かってくる。
次に来たのは最初の二人組。和装の男が刀を振るい、その背後からリーゼントの男がナイフを投げて援護をしてくる。どうやらリーゼントの男はこれまで本気を出していなかったらしく、「ぴゃほほ」という笑い声とともに投げられるナイフの数が次々と増えていく。
その尋常でない様子から、思わず狂ってやがると悪態をついてしまう。
「わけもわからず……こんな連中に殺されてたまるかッ!」
だからこそ、竜はこんな理不尽への怒りを燃やして果敢に立ち向かっていく。しかし多勢に無勢とあっては旗色が悪く、今度は黒人の男に壁ごと家の外まで吹き飛ばされてしまった。
「もらった!」
転んだ竜に向けて刀を振り下ろす和装の男。さらに背後からは好機と見た黒人の男が向かってきている。体勢が崩れた竜は、もはや回避は不可能と断じ、一か八かの賭けに出た。両の手を刀を挟むような形で突き出し、白羽取らんと試みたのである。
そして竜は賭けに勝った。
振り下ろされる刀を白羽取ったことに驚くあまり、一瞬刀を握る手が緩んだ隙を突いて刀を和装の男ごと引っ張り、黒人の男の顔面に突き刺した。
その鬼気迫る様子に怯んだリーゼントの男に、すかさず返す刀で刀を投げつける。回転しながら飛んでいった刀は見事に男の利き腕を通過し、一瞬の間の後に腕を斬り落とした。
まごう事なき決着。
黒人の男は顔から血を流して失神、残る男たちも得物と利き腕を奪われ、怯えた様子で逃げ去っていった。
息を荒くして生き残ったことに安堵する竜のもとへ、老人が近づいていく。
老人は竜に近づくなり開口一番、
「ようやく見つけた!こやつこそ儂の探し求めておった者よ!」
狂喜した様子で叫ぶ。
「あ、あんたら一体……」
もしやこいつが黒幕かと睨み付ける竜。それを尻目に老人は踵を返し、
「早く連れて来るのだ。その出血では立っているので精一杯であろう。」
そう言うなり黒塗りの車に乗る。黒服たちも安堵し、竜の肩に刺さったナイフを抜いて気絶させた後、手慣れた様子で車に乗せて走り去って行った。
早乙女博士のレポート①
聖遺物"ゲッター"は常に謎の放射線を発していることが判明した。これは人体には無害である一方、わずかな量から凄まじい効率でエネルギーに変換できることから、新時代のエネルギーとしての役割が期待できる。
私はこの放射線を聖遺物の名にちなみ、"ゲッター線"と名付けることとした。
―――――――――早乙女賢博士の調査レポートより
12/1 いつの間にか短編日間ランキング4位になってました。ありがとうございます。