シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった 作:ぱんそうこう
これからも本作をよろしくお願いします。
そしてお待たせしました。
アークが始まる前に何とかキリのいいところまで行きたいですね。
「今日こそてめえに引導を渡してやるぜッ!」
黒いノイズと竜が火花を散らす。竜がで四肢で一方的に攻め込み、ブラックノイズは防戦するばかりのように見えるが、しかしその実は違う。ブラックノイズはその並外れた再生力で以て全ての攻撃に適応しており、竜はひたすら攻め続けることを強いられていた。その様子はさながら、如何なる攻撃も無意味だと言わんばかりでもあった。
響が現場に到着したのはその時だった。
「うおおおおおおおおッ!!!」
「うおおおおおおおおッ!?」
ノイズを殴ろうとしていた竜の横をすり抜けて、響の拳がノイズを揺らす。が、そこまでだ。先程までの焼き直しのように急速に再生され、ダメージも無かったことにされる。
そしてそれよりも。
「馬鹿野郎どこに目ェつけてんだッ!危ねえだろうがッ!」
戦いの最中に変なタイミングで介入されたと竜が不満を露にする。
「うえっ!?す、すみません!!……ってそうじゃないですよ!何で竜さん出てきてるんですか!師匠カンカンでしたよ!」
「ノイズ共が湧いてきたんならぶっ殺すのが世のため人のためだろうが!それに文句は言わせねえぞ!」
「確かにノイズは倒した方がいいですけど!!」
違う、そうじゃないと響は叫ぶ。正直突っ込みどころが多すぎるのだ。ノイズを倒す倒さないの前にそもそも竜さん入院中の怪我人じゃありませんでしたっけ?
「メディカルチェックの結果が出るまで出撃禁止って言われてたじゃないですか!!」
「うるせえ!とっくに治ったんだ、んなもん知ったこっちゃねえッ!」
「待ていッ!」
吠える竜に翼が水を引っ掛ける。
響がやっぱり翼さんは頼れるんだと感激して思わずその名を呼ぶ。しかし不幸にも響は知らなかった。――翼は竜の無断出撃を煽った側である。
「お前だけに任せるのも癪だッ!そろそろ私も混ぜてもらおうかッ!!」
「ってそうじゃないーーーーーーー!!!!!」
「?どうした立花。どこかおかしいところでもあったか?」
翼が本気で目を白黒させて首を傾げる。
おかしい。明らかにキャラがおかしい。自分が未来と色々やっている間に何があったのか気になって仕方がない響である。
「一から十までおかしいところしか無いですよね!?今のはふつう竜さんを止める所じゃないんですか!?」
「はっはっは何を言う立花。言ったところで此奴が止まるはずがあるまい。ならば敵を倒す一助とした方が良かろう」
「よく分かってんじゃねえかァッ!」
先程までの殺伐とした空気はどこへやら、気の抜けたやりとりをしながら竜が一度ブラックノイズを蹴り、その勢いで一度距離を取る。
――仕切り直しだ。
「チッ……しぶとさは超一流ってのは変わらねえな。つくづくゴキブリじゃねえか」
「故にこそ我々は二度も敗北を喫したのだ。これ以上は許されん。それはお前も分かっているだろう?」
「たりめーだ。ヘマすんじゃねえぞ」
「フッ……誰に物を言っている。それに前とは状況が違うだろう?――今は頼れる後輩がいる。違うか?」
不敵な顔で応える翼。竜は翼に好戦的に笑い、それを暗に肯定してみせる。
「はん……そういうことかよ。おい響!覚悟は出来てんだろうな!無様な戦い見せやがったら承知しねえぞ!」
「は、はいッ!よくわかんないですけど、やってみますッ!」
何はともあれまずは目の前の敵に集中するのだと響も両手で頬を叩き気合いを入れ直した。
対するブラックノイズも既に例の瘴気を周囲にばら蒔いており、三人は自分の体が心なしか重くなるのを感じた。特に響は融合症例であるために他の二人よりも強くその影響を受け、デュランダル攻防戦の時のように地に膝を着かされている。
「気を付けろ。これが件の人を狂わせる瘴気だ。生身で受ければひとたまりもない。時にはギアを纏っていても尚、という程の代物だ」
「ああ。俺も感じるぜ……ヤバそうな気配がビンビンしてきやがった」
「うっ……く……」
「立花も、無理はするな。先の件でもそうだったが、今のお前の体は絶妙なバランスで成り立っている。ともすれば、それが崩れることにもなりかねん」
「大丈夫、です……!これくらいへいき、へっちゃらですッ!」
「いいぜ、その意気だ!俺達がぶっ壊れるのが先か、あいつをぶっ殺すのが先か……勝負と行こうじゃねえかッ!」
その声を合図に三人が同時に飛び出した。
一番手は竜。小回りの効く腕甲を構え、刃の手数でノイズの駆体を切りつける――が、駄目。殴り付けた勢いのままゲッタービームを放つも、手応えは浅い。
そしてブラックノイズとてゲッターを見逃す筈もなく。多少のダメージを再生によって無為とせしめ、ゲッターを誅殺せんとする。
「!?」
しかし、能わず。その場に縫い付けられたように駆体が動かなくなり、竜をすんでのところで取り逃がす。
【影縫い】
「やはり勢いだけでは勝てぬか……ならばッ!」
二番手の翼が放った小刀がノイズの足下、その影に突き刺さっていた。
ノイズはそれを知ってか知らずか力ずくで拘束を脱するも、その間およそ二秒。速さにおいてこそ本領を発揮する翼と天羽々斬には二度斬り裂いてなお、お釣りが来るほどの間隙である。
「散華せよォォォォッ!」
【蒼ノ一閃・燕返シ】
翼がブラックノイズの駆体を肩口から袈裟懸けに斬り裂き、返す刀で斬り上げる。通常ならばアームドギアから斬撃として放出される蒼ノ一閃。そのエネルギーを纏わせた剣はその名の如く蒼い輝きを宿し、通常のノイズならば群れの一つや二つなぞ優に消滅せしめるほどの威力を有していた。――が、これも駄目。
「ええい、しぶといッ!」
「だったら、この拳でええええええッ!」
響の咆哮を聞いた翼は反射的に後ろへ下がる。そして響が交代で三番手として戦場に参入、今一度再生を始めている刀傷に拳を捩じ込む。刹那、腕のバンカーユニットが起動し、融合症例特有の大火力をその傷の内部へと直接叩き込んだ。
――手応えあり。それに気付いた三人は再生を阻害するためにさらなる火力を重ねる。
「うおおおおおおおッ!」
「ゲッタァァァァビィィィィィムッ!!!」
「はああーーーーッ!」
三人の同時攻撃で煙が舞い、視界を覆い隠す。再生されるのであれば再生される前に殴り倒す……先手必勝の精神を形とした、単純であるが故に有用な殺り方である。
無論、手応えはあった。ノイズの肉を抉る感触だけではない、目視でもゲッタービームが直撃していたのは確認できているし、その位置に寸分の狂いもなく剣が降り注いだことも全員が確信していた。
「……殺ったか?」
竜が呟く。まだだ、煙が晴れ、死体を確認するまでは気を抜く訳にはいかない。手斧を、剣を、拳を構え、息を呑んでその時を待つ。
ゆっくりと煙が晴れていく。
――同時に、竜と翼が揃って吹き飛ばされた。
「ぐはッ!」
「ぐあああッ!」
「翼さんッ!竜さんッ!」
二人に駆け寄る響。二人はそれに構わず、煙の向こうを睨み付け続けている。
その視線の先にあったものは。
「馬鹿な……二体目、だと……!」
二年前のライブ以来、一度として認められなかったブラックノイズの"二体同時出現"。そして一体目は当然のごとく無傷を保っている。
翼は目を疑った。次に疑ったのは己の感覚。二年前を除き、以来一体ずつでの出現しか確認できていない以上、二体同時出現には何か条件があるのではないか――無意識の内にそう考えていたのだろうか。それとも二体同時に現れてはどうしようもないのではないかという己の疑念がそう考えさせていたのか。
――否、いつかは起こりうると予感はしていたのだろう。ただ、それが今だったというだけのことなのだ。
二体目のブラックノイズが重ねて瘴気を撒き散らす。重圧はさらに力を増し、ついには竜と翼も若干体が言うことを聞かなくなりはじめる。
だが、それ以上に響の状態が深刻だった。
「あ、ああああああああ!!」
「おいッ!どうした!」
「これ、デュランダルの時と同じ……!」
「気をしっかり持て立花ッ!呑まれては仕舞いだぞッ!」
黒い感情が響の胸から体を侵食し始める。破壊衝動が響の心を支配し始める。
そして比例するように、竜と翼にも重圧は次第に重くのし掛かっていく。
心臓がより強く、より早く鼓動を刻んでいく。血液が破壊衝動を全身に運んでいく。
「う……ウウ…………うあアア あ ア」
「ぐ……おいッ!響!返事しろッ!……ぐうッ!」
「うく……はあ……立花……!がはっ……!」
ブラックノイズが再び二人を襲う。その一撃は重く、胸部を打たれた翼が肺から空気を全て吐き出して倒れた。
そしてそれが最後の引き金となった。
「グル……ルオオオオオオオオオオオ!」
響の暴走、そしてブラックノイズ同士の共闘。考えうる限り最悪のシナリオが始まった。
―――――――――――――――
孤軍奮闘。現状はその言葉が最も相応しいだろう。
翼は暴走した響の相手をし、竜は二体のブラックノイズと戦っている。分断され、連携もとれないまま消耗を強いられるという構図は奇しくも二年前と良く似ていた。
そして何より二人を追い詰めていたのはブラックノイズが発する重圧だった。竜も翼も顔から冷や汗を垂らし、必死で破壊衝動に耐えている。その精細を欠いた動きで真っ当に戦える筈もなし。
「グルアァアァァアアア!!」
「ぐぬっ……止まれ立花ッ!己の使命を誤るなッ!」
翼は暴走した響を相手に苦闘を強いられていた。
完全に破壊衝動に呑まれ、黒い獣と成り果てた響の拳の軌跡は単純であり、歴戦の翼であればその技巧で以て受け流すことは可能だ。しかしその力任せの威力は翼の想定を優に超えていた。
流した腕が痺れを覚える。重い一撃は息もつかせぬ連撃へと移行し、翼の上半身を滅多打ちにする。
それでも剣を手放さないのは流石と言うべきか。しかし手が出せなければ剣を握る意味も無し。
「ウアアアあアああア!!」
「くっ……まだ届かぬか……ッ!」
(しかしどうすればいい?ああなった立花を、どうすれぼ止められる?仲間を止めることさえままならぬとは……何と不甲斐ない!)
「おのれ……またも私に無力を突きつけるつもりかッ!それほどまでに我らが憎いかッ!」
翼が怒りを滾らせる。
剣を握る手に力がこもり、腰を落として響を正面から見据え、視線を離さず次の攻撃に備える。
響は唸り声を立て、地に手を着いた獣の姿でその様子を窺っていた。
そして瞬き一つの後に。
「ガあッ!」
「好機……取ったぞッ!」
響が出力任せに飛び出し、右手を鋭く翼の肩を切り裂くように突き出した。剣を地に突き立てた翼は、響の手首を掴み体を押し倒すことで拘束せんと試みる。
翼に地面に押し付けられながらも、息を荒げて力任せに暴れる響。その最中、掴まれている右腕の肩の関節が外れたが、痛みも感じる素振りさえ見せない。数分もの間暴れた末に、のし掛かって固く拘束していた筈の翼を無理矢理撥ねのけてしまった。
「フーッ!フーッ!」
「ぬううっ……!よもやこれほどの!」
「フシュゥゥ……」
響が歯を剥き出しにして威嚇する。関節が外れた右腕はダラリと無造作に垂れ下がっていたが、それを邪魔だと感じたのか、左手を肩に添えるとごきりと音を立てて関節を接いでしまった。
「痛みさえも感じていないとは……。立花、お前は本当に獣と成り果ててしまったのか……?」
翼が悲愴な顔で呟く。それを知ってか知らずか、響は獰猛な顔でニタリと笑う。まるで翼の疑念を肯定して嗤うかのように。
――もう元に戻すことは出来ないのか。
弱気な考えが頭に浮かぶ。やはり立花のように上手くはいかない。そも、防人として己を剣と鍛え、戦場しか知らぬ身では力を以てする他なく、あるいはその命を断たねば止めることはできないのだろうか。
時間がない。覚悟を決めるなら早くしなければならない。迷っている暇は無い。己の為すべきことを為せ……防人としての生き方が翼に決断を迫る。
――防人ならば、敵は倒さねばなるまい?
心の中の冷徹な部分が囁いてくる。お前では彼女は救えないのだと。如何に命を防人ることを至上とすれど、戦うことしか知らぬ身に、倒すことしか知らぬ身に、一体何が出来ようかと。
(本当にそうか?私は、本当にそれしか出来ないのか?)
呼吸を整え、深く裡へと落とし込む。己の真を本能に問いただす。
己の軌跡を思い出せ。己が歩んできた足跡を。友と歩んだこの道を。
『本当は全部分かってるはずだろ?』
夢の中の奏の言葉が浮かんでくる。
『生きていてくれて、ありがとうございます』
投げ掛けられた立花の言葉が手を伸ばす。
『お前に歌っていてほしかった』
竜の言葉が道を照らしている。
――そうだ、全ては簡単なことなのだ。奏は心に向き合い、心に従えと言った。立花には教えられた、救えたものはあったのだと。竜が指し示してくれた、戦う以外の己の道を。地獄の中で折れ果てた、己の羽根を。
後は、私が変わればいい。恐れることは何もない。奏だけじゃない、皆がくれた翼があれば、どこまでだって飛んでいけるから。
(そうだ。私は、
二年前、片翼を失ったあの日を二度と繰り返さないために。己を闇から救ったその恩義に報いるために。もう一度、友と歩いていくためにも。
「まだだッ!まだ……終わらせるものかッ!諦めてなるものかッ!もう二度と失わぬためにも、二度と繰り返させぬためにも!お前は必ず救い出すぞッ!あの時お前がそうしてくれたようにッ!」
心を奮わせ、今一度立ち上がる。
この悪辣には二度と屈しない。もはや二度と奪わせない。
取り戻すのだ。奪われた誇りを、失った時間を。今度こそ守り抜け、愛すべき仲間を。
そのためにも、奴とはここで必ず決着をつける。
ならば答えはひとつ。
「さあ来い立花ッ!私はここだッ!その握った拳、必ず開かせてやるッ!」
無手のまま構え、響と相対する。
響も翼が闘気を高めているのを本能で感じたのか、腰をやや落として下半身に力を込め始める。
「ウガァッ!」
若干のにらみ合いを挟み、先に飛び出したのは響だった。翼の首筋に狙いをつけ、爪で肉を抉ろうとする。無論、翼とてそれを黙って食らうほど甘くはない。鍔迫り合いの要領で手首に手首を合わせて捌く。
それを見た響は二つ、三つとさらに打撃を重ねていく。手応えはある。翼は響の攻撃を一切避けようとしていない。致命傷に繋がるものだけを捌き、それ以外の多くは腕や体で受け止めていた。
「そうだッ!それでいいッ!お前の胸の裡をッ!お前のその衝動をッ!余さず私にぶつけてこいッ!全て……全て受け止めてやるッ!」
翼にとってその時間はとても長いように思えた。
この数分間、響はずっと翼を殴り続けている。翼は響に語りかけながら、その猛攻をひたすらに耐え続ける。
口の中を切ったせいか、口の端から血が溢れた。ギアインナーの一部が破れ、顔や腕に切り傷ができる。ギアの装甲もところどころ欠け始めた。
翼は自分が満身創痍に近づいていることをはっきりと感じた。しかしその目はまだ決意の炎を宿している。
――今は待て、転機は必ず訪れる。立花の心の叫びを聞け。獣の衝動の裏にある、本当の姿を見付け出せ。
「まだだッ!私は倒れんぞッ!獣の叫びではない、立花自身の歌を聴かせて魅せろッ!!!」
「ウ、ああアああああああ!」
これまで幾度繰り返された流れだろうか。響が翼に飛びかかり、それを翼が受け止める。しかし、今回だけは毛色が違った。
「これは……」
顔に僅かな飛沫を感じる。見れば、響の目元から一筋の光が流れていた。
(そうか……!お前も、戦っているのだな。己の中の獣と……!)
「ならば負けるなッ!奏から受け継いだのは、そのガングニールだけではあるまいッ!」
響の瞳が確かに揺れた。刹那、翼は確信する。まだ人の意識が残っているのだと。まだ引き戻せるのだと。
その時、初めて翼が自分から動いた。響のもとへ駆け、構えた両手を掴んで止める。
響も抵抗しているが、翼は止まらない。
「思い出せッ!奏から受け継いだ想いをッ!お前が拳を握る理由をッ!」
その時、響の動揺が目に見えて表れた。腕から力が抜け、一瞬だけ呆然とする。そしてその忘我を翼は見逃さなかった。
一度手を離し、動揺する瞳を真っ直ぐに見据える。そして。
「振りかざしたその手で、お前は何を掴む!?答えろおおおおおおッ!」
右手を振りかぶり、頬を思い切りブン殴った。
殴られた場所から、響の身体に、意識に熱が伝わっていく。ゆっくりと後ろへ倒れながら、黒く染まった意識が色を取り戻していく。
「ああ、ア、あ、つば、サ、さン……」
「おっ……と。危ないところだったな」
それを支えるように翼が受け止め、抱きしめた。その表情は先程までとは打って変わってとても優しかった。
「私が分かるか?立花。分からないなら、何度でも語りかけよう。何度でも手を伸ばそう。お前がそうしてくれたようにな」
「わタし……は……」
「だから立花も応えてくれ。その胸に宿ったものを思い出せ」
「わたし、は……!」
「そうだ、諦めるな。今こそ自分自身を越えてみせろ……!」
「わたしは――!」
黒い感情が、破壊衝動が消えていく。胸のガングニールに吸われるように、目から狂気が抜けていく。光を取り戻していく。
目を覚ました響が荒い呼吸のまま翼の顔を認識する。その瞬間泣きじゃくり始め、翼の腕の中で後悔を口にした。
「翼さん……わたし、わたし……翼さんのこと、本気で、殺そう、と、して……」
「死んでいないのだから良かろう。もし不徳と思うならさらに強くなれ。心・技・体ともに鍛え上げた姿を見せてくれればそれで良いとも」
「ごめんなさい。ごめんなさい……」
何度も何度も、慚愧のままに謝罪を繰り返す響。翼はただただ頭を優しく撫でるだけだった。
「その必要はないと言った。それよりも、立花の身体に大事がないことの方が私は嬉しいさ」
「翼、さん……でも……」
「そんなことよりも、悠長にしている暇はない。すぐに竜を助けるぞ。些細なものとはいえ、悔いるのはその後でも構うまい」
「さあ行くぞ。我ら装者の、人間の意地を!あの不届き者どもに見せつけてやろう!お前の信念を踏みにじったことを地獄で後悔させてやれッ!」
「――はいッ!」
闇を払い、涙を払い。立花響が翼に応える。
命を燃やし、魂を燃やし、蘇った羽根で風鳴翼は再び飛び立つ。
どこまでも満身創痍。されどどこまでも意気軒昂。
絆を繋げ。魂を繋げ。結んだ心を力に変えろ、残るピースはあと一つ。
命ある限り立ち上がれ。
夢見た明日を、必ず捕まえるために。
次回、決着(したらいいな)。
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