シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった   作:ぱんそうこう

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遅れてすみません。繁忙期で忙しかったのと何となく入れたウマ娘にハマってしまったせいでこんなことになってしまいました(後悔)
なのはの方も書き進めている最中ですのでもう少しだけお待ちください。

小説の書き方忘れた(n回目)のでクオリティがまた落ちてると思いますが許してください


変わりゆく日常

授業を終え、空が橙色に染まりだした頃。人気もまばらになった校舎の中ではいつものように人助けを買って出た響が荷物運びの手伝いをしていた。それ自体は今のリディアンにおいてさして珍しい光景ではない。しかしその隣には(他生徒にとって)まるで異色とも言える組み合わせが生まれていた。その異色ぶりと言えば、すれ違った生徒たちのほぼ全員がすれ違い様に二度見するほどであった。

 

「悪いな響。お蔭で手間が省けたぜ」

 

「お礼なんかいいですよぉ。趣味でやってることですから!それに竜さんには何かと助けてもらってますし、お礼みたいなものですよう!」

 

今、響の隣を大荷物を抱えた竜が歩いている。

リディアン音楽院はとにかく広い。敷地が広い分、竜が用務員として管理しなければならない部分もとにかく多い。そのため決して手が回らないというわけでは無いが、気付けば定時になっている、というパターンはザラであった。

加えてこの日は運び込まれた多数の機材や荷物を運ぶ作業が入ったことで、腕っぷしと体力に自信のある彼女にもお鉢が回ってきたのである。

そこへ通りがかったのが響だ。竜の腕の中でピサの斜塔の如く積み上がった荷物を見た彼女が慌てて手伝いを申し出た結果、今に至るのであった。

 

「借りは返すって訳か。嫌いじゃねえぜ、そういうの。つっても俺にもお前には借りがあるからなぁ……」

 

「借り?わたし何かしましたっけ……」

 

「聞いたぜ。お前が翼に発破かけてくれたんだってな。お蔭でやっとあるべきところに納まったように思うぜ」

 

「あれは翼さんと竜さんがやったことですよ。でも驚きましたよ?まさかあの翼さんが規則破ってまで竜さんと大ゲンカするなんて。緒川さんもびっくりしてたんですから」

 

「結局、あいつも俺も取っ掛かりは欲しかったんだろうさ。それを表に出せなかっただけでな」

 

つくづく素直じゃねえってこった、と自分を棚に上げて話す竜。和やかな空気の中で、時間はゆっくり過ぎていく。夕暮れの静寂の中に二人の足音だけが響き渡っている。

 

そこへ一つの影が歩いてくる。

影の正体は学生服を着た翼だ。翼は二人に気付くと、落ち着いた様子で近づいて二人の横に並び、同じ速さで歩き始めた。

 

「あら、二人ともこんなところにいたの」

 

「翼。レッスンはいいのか?」

 

「ええ。確かにもう予定は入れているけど、今日の分は夜からだから。今はフリーよ」

 

「もう予定入れてるんですか?ほへ~」

 

「短期間とはいえ、入院してたのもあったから。この間中止になったライブの代わり……というわけではないけれど。今度のフェスにねじ込んでもらったのよ」

 

お蔭でこれから忙しくなるわとこぼす翼。しかしその顔はとても嬉しそうで、もう待ちきれないとでも言わんばかりであった。

 

 

ーーああ、こいつもやっとその気になってきたって訳か。これでやっと、やっと奏に顔向けできそうだ。

 

 

奏を失ってからの二年間は大きく、一時は歌うどころではなかった翼が、今は前を見据え、自分の足で歩んでいこうとしている。それが竜にはとても嬉しく思えた。

 

「じゃあ今は何してたんだ?」

 

「学園を見て回ってたのよ」

 

「今更にか?」

 

「ええ。『私が守った光景』というものを目に焼き付けたくて。まずは一番身近なリディアンを改めて見ておこうと、ね」

 

そう言って窓の外に視線を向ける。その先では部活動に勤しむ生徒達が盛んに快活な掛け声を上げていて、翼は眩しそうに目を細めた。

 

「見るほどに私の知らないことばかり。ずっと通っていたはずなのにね」

 

翼が自嘲するように笑った。対照的に、響はとても嬉しそうにしていた。竜にはその意味が分からなかったが、大方どこかで何かあったのだろうと思い考えるのをやめた。

 

「そういえば翼さん、今日はいつもと喋り方違いますね?」

 

ふと、響が思い出したように翼に尋ねる。

思えば、初めて会ったときから翼は厳しい口調だった。戦う最中の言動もなかなか物騒で、響の中の翼のイメージと大きく違ったことには驚いた。

それが今はどうか。物腰も柔らかで、とても女性らしい口ぶりで話している。しかもそれがとても自然な様子で、響も違和感を覚えなかったほどである。

 

「翼はこっちが素だぜ。前は奏によく甘えてたもんだ」

 

それに答えたのは翼ではなく竜の方だった。

昔を懐かしむその姿は、確かに翼と共に歩んだ者であることを響に改めて認識させた。

 

「あれは……弱い自分との決別のつもりだったのよ。私の弱さが奏を殺した。だから変わらなければならないと思って……。でも安心して。今はもう自分に決着を着けたから。どちらも私であることに変わりはないわ。そうね……スイッチのオンとオフの切り替えのようなものと思ってくれればいいわ」

 

「しっかしよ。だからって口まで悪くすることは無かったんじゃねえか?急に口汚くなりやがって、流石の俺もビビったぜ。確かにノイズ共への殺意は高い方だとは思ってたが」

 

ぶはっ、と翼が吹き出した。何せ思い当たる節しかない。響も響で初めてギアを纏った日のことを思い出し、「そういえば根絶やしにしてやるとか色々言ってたような……」と若干遠い目をしている。

 

「そ、それは、その……な、何だっていいじゃない!」

 

突然わたわたと顔を赤くして慌てる翼。

その挙動不審ぶりに少しの心当たりを得た響は、それはもうイイ笑顔で、ニヤニヤしながら翼を追い詰める。

 

「もしかして実は竜さんの影響だったり?分かりますよぉ、いっつも隣にいるとついつい口調が移っちゃいますもんね!」

 

「なっ……そ、そんなわけないでしょ!……そんなに口が悪かったかしら……」

 

その通りである。普段はいい。言葉遣いが若干古いだけのイケメンで済む。しかし戦闘となると当然のように「根絶やしにする」「地獄に送ってやる」などと口走り、殺意をどストレートに表現している。初見の響も衝撃だったのだ、普通のファンが聞けば卒倒は不可避だろう。

 

「全く、奏が聞いたら『どこでそんな言葉遣いを覚えたんだ』って血相変えて走ってくるぜ」

 

あいつお前のことは散々甘やかしてたからなぁ、と竜が遠い目をする。その点については翼も自覚があったので反論の余地がない。ただただ恥ずかしそうに顔を赤くしている。

 

「ううっ……奏を引き合いに出すのは卑怯でしょう!そもそも、もしそうなったら真っ先に貴女を問い詰めに行くはずよ!」

 

「なあにが卑怯だ!どう考えたって俺は無関係だろうが!、第一、俺だってあそこまで口は悪くねえぜ」

 

「それは貴女が言っていい台詞じゃないでしょう!」

「それはちょっとどうかと思いますよ竜さん……」

 

「ケンカ売ってんのかお前らァ!」

 

二人の的を射た物言いに竜がキレる。しかしそれは本気ではなく、ちょっとしたじゃれあいのようなもの。こうして取り止めのないことで騒げることが無性に可笑しくて、嬉しい。

そしてそれはこの二人も同じこと。この馬鹿馬鹿しさが、この下らなさが、とてつもなく楽しい。仲間とはこういうものだったか。友とはこういうものだったか。

久方ぶりに味わう時間は、とてつもなく甘美だった。

 

 

さて。三人は無事に荷物を送り届けることができた。三人の関係性を知らない一部の教職員も目を見張りこそしたものの、特に何かを言うわけでもなく三人に礼を言うとそのまま仕事に戻っていった。

三人も作業が終わったからには長居する理由もない。部屋を出ると、何処へ行く当てもなくぶらぶらと歩き始めたのだった。

 

「ところで、気付いてるか?翼」

 

「ええ。六、七……いえ、まだいるわね」

 

付き纏う視線と向けられる気配。それらを敏感に感じ取った竜は、自分の感覚が間違っていないことを翼に確かめる。

どうやら翼も同じ物を感じていたらしく、暗黙のままに同意した。

一方響は何も感じなかったようで、目を白黒させて二人を見比べている。

 

「へ?何の話ですか?」

 

竜がつかつかと直近の教室に近づき、そのドアを開けた。するとドアに張り付いていたらしい、何人もの生徒がぞろぞろと廊下に倒れ込んできた。どうやら三人の会話を遠巻きに眺めていたようで、少しばつの悪そうな顔をしている者もちらほらと見える。

その中には響にも馴染みの深い顔ぶれ――同級生の板場弓美、安藤創世、寺島詩織である――も含まれていて、そちらは響に対して若干畏怖の混じった目を向けている。

 

「え、ええええぇぇ!?なんでみんなこんなところに……!」

 

「だってこの組み合わせ、すっごい珍しいんだもん……!」

 

弓美の呟きは全員の総意だったようで、周りの生徒もうんうん、と頷いている。

現に、顔ぶれは一年生が多くを占めてこそいるものの、所々三年生も混じっており、翼にとっても見覚えのある顔が見受けられていた。

 

「ていうか!アンタいつの間に翼さんとも用務員さんとも仲良くなってるの!?何というか……」

 

「何というか?」

 

「あたし、生まれて初めてアンタのこと尊敬したわ」

 

「酷いよ弓美ちゃん!?」

 

「しっかし盗み聞きは良くねえな。聞きたいならもっと堂々と聞けばいいじゃねえか」

 

「堂々とって言われても……」

 

「あの場に入っていくのはナイスとは思えませんわ……」

 

「そうかあ?」

 

「それで私の方に向けないで。反応に困るのだけど」

 

竜が翼に顔を近づけて「お前はどう思う」と言わんばかりに反応を見る。

だが翼の反応は至って淡白で、そっぽを向いてすげなく切り捨てられるだけだった。

しかし、だ。ずっと二人の仲睦まじい様子を見ていた生徒にしてみれば、こうして隙あらば絡んでいる様子はある種イチャついているようにも見える。となればその質問が飛ぶのも必然であった。

 

「そう!それです!」

 

「あん?」

 

「風鳴さんと用務員さんってどんな関係なんですかっ!」

 

「どうって、なあ……」

「どうと言われても……」

 

二人同時に見つめ合い、はて困ったと腕を組んだ。シンフォギアのことも二課のことも話すわけにいかず、かといって簡単には説明しづらい。そも、二人して今の自分たちの関係を言語化できていない以上説明出来ないのも必然ではあった。そう、たとえ端から見ればどれだけ距離感が近くても、である。

 

―――任せろ。

―――承知。

 

同時に目配せだけで会話をする。直後、翼には竜が悪い顔をしたように見え、無性に嫌な予感がしたが流石にそこまで変なことは言わないだろうとその良識を信じて待つことにした。

そうしているあいだにも竜は翼の肩に手を回していて。

 

「深くは言えねえが、深い関係だとは言っとくぜ」

 

『……はい?』

 

翼の肩を抱いたまま、イイ笑顔で臆面もなくそんなことをのたまうものだから翼は思わず吹き出した。

 

言い方ァ!というかこれわざとやってるのかァ!

 

そう叫ぼうとした翼だったが、時既に遅し。既に周囲では「え、風鳴さんってもしかしてこういう人がタイプ……?」だの「私達いまとんでもないこと聞いちゃったんじゃあ……?」だのとざわめいている者、色めき立って走り出しそうになっている者、あわわわと目を回している者で溢れ、完全に混沌の坩堝と成り果てていた。

 

「ちょ、ちょっと竜!誤解を招くようなことは言わないでよ!」

 

そして翼もテンパりすぎて思わず何時ものように名前で呼んでしまう始末。意図せずして投げ込まれた爆弾に、色恋事が大好きな花の女子高生が食い付かない訳がない。

 

「あの風鳴さんが既に名前呼び……!?」

「いや、でも良く見ればイケメン気味だしありなのかも……?」

「テンプレ気味だけど美女と野獣みたいな……?」

「いやいやここは敢えて風鳴さんを飼い主にしてしまえば……!」

「ううっ……新しい扉開いちゃうううう!」

「翼さんも竜さんもいつの間にそんな関係になってたんですかぁ!?」

 

「何故立花までそっち側なの!?」

 

予期せぬ響の裏切りにおのれ許すまじと全ての元凶を思いっきり睨み付ける翼。しかしそれもどこ吹く風で当人はげらげら笑い転げていて、まるで意に介していない。

 

「笑ってないで少しは何とかしなさいよ!!!」

 

思わず思いっきり竜の胸ぐらを掴んでがくんがくんと前後に揺らすが、鍛え上げられた体幹のバランスを崩すことは叶わず。力の流れを上半身だけで受け流されて、その馬鹿みたいな高笑いを止めるどころか真っ赤になった顔を他の生徒たちに見られ、周りの目線がどんどん生暖かくなっていく。

 

しかもこの時点で既に殆どの生徒はこれが竜が発した冗談であることを察している。要するに彼女たちは既に翼の反応を見て遊んでいる段階に移行しているのであった。

 

「ちょ、ちょっと本当じゃないわよ?これは竜の戯れ言だから、ね?だから本気にしないでほしいのよ。ね?」

 

元凶を何とかしようとしても暖簾に腕押しでしかないことを悟った翼は、今度は周りに向けて弁解を始める。しかし当然ながら、彼女たちはそんなこと百も承知だ。

しかし敢えて黙っている。だってこんな風鳴翼は見たことないから。いつもクールで、澄ました顔をして、孤高の歌姫という外面を崩さなかったあの風鳴翼がどうやら昔馴染みらしい一人の用務員によってここまで表情を崩し、ぱたぱたと乙女のように顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。いや実際乙女なのだが。

と、それはさておき。

 

―――なにこの生き物かわいい。

 

響や竜を含め、その場にいた全員の心が一つになった。今ならきっとここのメンツで「ゲッターの真髄」だって発揮できるに違いない。

 

「ああもうどうやって収めるの!貴女も笑ってないで早く誤解を解きなさいよ〜〜〜!」

 

流竜と風鳴翼。リディアンで最も近寄りがたかった二人の印象は、少しずつ変わりつつあった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

「……痛でで。翼の奴、本気で張り倒す事ねえだろ」

 

「自業自得という言葉はご存じですか?」

 

二課の本部にやってきた竜の頬には赤い紅葉が咲いていた。横に並んで歩いている緒川は呆れた様子でため息をついている。

 

あの後、逃げるように二課本部に着いた翼は鼻を鳴らしてさっさと行ってしまった。しかも行き掛けの駄賃とばかりに追ってきた竜を張り倒してからである。念入りに同じ箇所を二度張り倒した挙げ句、二度目をきっちりグーで決める辺りその本気具合がうかがえるだろう。

その経緯を一から十まで聞いた緒川が本気で呆れ返るのもむべなるかな、と言うべきか。

 

「んだよ慎次はつめてーな」

 

「からかうにしても限度というものがありますから。むしろその場で張り倒さなかっただけ、相当に自制なさっていたと思いますよ」

 

口を尖らせる竜を正論でバッサリと切り捨てる。

しかし、と。内心で緒川は嬉しく思っていた。

何せ二人の関係を一番近くで見ていたのが彼だ。二人の間柄が少しずつ壊れていく過程を余さず見続けて、しかしいくら足掻いても何も為せない己の無力を呪っていた。

 

(ですが竜さんの覚悟と響さんの尽力が、翼さんの心を動かした)

 

そして今の二人がいる。それだけじゃない。翼自身も少しずつ変わり始めた。少しずつ、少しずつ。それは奏が死んでからの、過去の自分を否定するような方向性ではなく、これまでの軌跡を肯定し、より高みへと飛び立とうとするように。そして何よりも、これまでより笑顔を見せることが増えた。

――あるいは、それこそが緒川にとっては最も喜ばしいことであった。

 

「にしても翼の奴、随分変わったよな」

 

「ええ……本当に」

 

緒川が考えていたことを察したのか、竜がその話題に切り込んでくる。

無論、それに気付いているのは皆が同じであり、皆が好意的に受け止めている。特にその筆頭は緒川と弦十郎という、幼い頃の翼を知る人間たちだった。

 

「昔は奏にべったりの末っ子だったのが、すっかり先輩風吹かすようになっちまってよ。後輩が出来たせいだろうな」

 

「ええ。良い意味で、もう昔のようにはいられない、ということでしょう。ですが竜さんがいることも一因だと思いますよ」

 

「俺がか?いや、確かに翼がいるお蔭で俺も張り合いってモンがあるけどよお」

 

「それは翼さんも同じだということです。確かに一番長く苦楽を共にしたのは奏さんでしたが、竜さんとは良くも悪くも濃密な感情のやりとりをしていましたから。やはり、同じ感情を共有した者として感じるところがあるのでしょう」

 

「へえ。……まあ、そういうことなら悪い気はしねえや」

 

両手を頭の後ろに回し、上機嫌で今にも鼻歌を歌い始めそうな気分になった竜が早足で歩いていく。

緒川はその後ろ姿を見ながら物思いに耽る。

 

(変わったのか、変えられたのか。きっとその問いに意味は無いのでしょう。あるいは、貴女も同じように変わる日が来るのかもしれませんね)

 

 

「遅えぞ慎次!早く行ってさっさとおっ始めようぜ!」

 

「はいはい、一戦だけですからね」

 

脇目も振らず走り出す竜を、苦笑いしながら緒川が追う。

しばらくの間、トレーニングルームからは打撃音が響き続けていたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日、竜は珍しく実家に足を踏み入れていた。

 

「やれやれ。ここに帰ってくるのも随分久しぶりな気がするぜ」

 

事実、竜が実家に帰ってくるのはおよそ一年ぶりである。

生活圏をリディアン周辺に移したとはいえ、実家の道場は今もなお(オンボロのまま)健在であった。実のところ、風鳴訃堂による拉致によって滅茶苦茶にされた道場について、引っ越すに当たり弦十郎から新築の提案を受けていた。しかし竜はその提案を断り、敢えて復旧することを選んだ。いくらオンボロでも長年住み続けた愛着というものはあるし、空手を除けば父親の唯一の遺産だ。まあ大事にはしてやるかぐらいの気持ちはあった。「俺はこっちのが好みなんだよ」とは当時の竜の談である。

 

立て付けの悪い引き戸を丁寧な手つきで開けていく。彼女はこの二年間の戦いを経て自分の身体能力が上がっていることを自覚していた。だからこそついつい破壊してしまわないように注意を払うことが習慣となっていたのである。

そして戸を開けた時、何者かの気配を感じて瞬時に身体を強張らせた。

家の中に誰かがいる。盗まれて困るものは古い鍛錬用の道具しか無いが、それでも一人暮らしの女として、空き巣というものに対しては敏感になるものである。

 

息を殺してゆっくりと奥へ進んでいく。玄関を出てすぐのところが道場であるから、隠れるところは殆どない。従って本命はさらにその奥、台所を始めとする居住区画。おそらく「敵」はそこで物を漁っているのだろう。

 

 

 

ーーーーーーと、思っていたが、答えはいとも容易く目の前に現れた。

 

 

 

部屋を隔てる敷居をゆっくりと跨ごうとした瞬間、強くなる殺気。

撃ち出される拳を咄嗟に受け止め、勢いそのままに捻って投げる。天井ギリギリを舞うその「銀」に、竜は見覚えがあった。同時に湧き上がったのは疑問。

何故こんなところにいるのか。

そもそもどうやって入り込んだ。

言いたいことは山ほどあるが、それを言葉にする前に「銀」が焦った様子で真っ直ぐな敵意を向けてきた。

 

「お前ッ!なんでここが分かったッ!あたしのこと尾けてきやがったのかッ!」

 

その名は雪音クリス。フィーネに捨てられ、今もなお行方が知れない筈の重要参考人が、何故か竜の実家の道場に居座っていたのだった。

 

 

 




ニコ動に結構ウマ娘ゲッターMADあるしシンデレラグレイは殆どゲッターだし誰か書いてくれないかな(他力本願)

サイレンススズカに「俺はボインちゃんが大好きなのさってどういう意味ですか?トレーナーさん?」と迫られる神隼人の幻覚を見てしまったので誰かお願いします
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