シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった 作:ぱんそうこう
なので今回はものすごく短くなってます。
「何でよ……どうしてよ。なんでそんなにあっさり命を投げ捨てられるのよお……」
「目を背けちゃだめ。皆、まだ戦ってる」
「戦ってるって……もう響しか残ってないじゃない!しかも……あんなにボロボロで、腕だって折れてる!立つことだって出来ないのに、これ以上何をどうしろって言うのよ……!」
「分かんないよ!何でそうまでして戦うのよ!?怖い思いして、痛い思いして!死ぬために戦ってるの!?」
「分からない?」
「本当に、分からない?」
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「おのれッ!おのれェッ!私の数千年に渡る悲願をよくもッ!」
「カ・ディンギルは私の夢ッ!あのお方と並び立つために造り上げた我が望みッ!人類をバラルの呪詛から解放するための我が希望だったというにッ!それを貴様はッ!貴様らはッ!どこまでもどこまでもどこまでもどこまでもどこまでもォッッッッ!」
了子さんが荒れている。けどわたしはもう動けない。全身ボロボロで片っぽの腕も折れて、振り絞った最後の力は、さっき組み付いたときに全部使い果たしてしまった。
そして、いつも助けてくれた人たちは……もういない。
「私は……ッ!統一言語を取り戻し、あのお方へこの胸の想いを伝えるために!その為に数千という時を……おお……」
了子さんの慟哭が聞こえてくる。それともわたしに聞かせているのかもしれない。
でも胸の……想い?まさか、今までのものはそのために……
「だか……らって……」
「是非を問うだとッ!?恋心も知らぬ小娘がッ!」
「……ッ!」
お腹を蹴り飛ばされる。もう呻く声だって出やしない。お腹の中からせり上がってきた酸っぱいものを吐き出しながら、のたうち回るしかできない。
それでもはやく、はやく立たなきゃ。まだ戦いは終わってない。
諦めたくない。諦められない。わたしが諦めたら、三人が命を賭けた意味がない。だから動いて。わたしの身体。
あと少し。あとほんの少しでいいんだ。
竜さんの意志に応えるために。
翼さんの心に応えるために。
クリスちゃんの夢に応えるために。
じゃなきゃ、わたしはなんのためにシンフォギアをやってるの。
「……とは言え、他の装者は全て排した。残るは貴様ただ一人。貴様さえ殺せば、全てが終わる。その後に『ドラゴン』を造り、ゆっくりと計画を進めよう」
「故にここで死ね。これはお前への救済でもある」
「救、済?」
死ぬことが救いなんて、そんなことはあり得ない。わたしはそう思っていても、了子さんは本気でそう言っている。
分からない。分からないから、思わず聞き返した。
「そうとも。帰る場所を失い、寄る辺を失い、仲間を失い、友を失い、そして今戦う力さえも失った。これ以上、何のために戦う?」
そしてそれをすぐ後悔した。
ダメだ。聞いちゃいけない。それだけはダメだ。
わたしにはもう何も残ってないなんて、そんなことない。ない、はずなのに。
心が揺れる。たぶん、わたしの目も揺れている。そして動揺している間にも、了子さんはゆっくり近寄ってきて、わたしのそばで膝をついた。
——今度こそ殺される。そう思ったけれど、そうはならなかった。むしろその逆。
「
慈しむように頭を撫でられる。「了子さん」と同じ、優しげな笑顔と優しい声で。
「欠片でしかないギアの力で、上位互換であるネフシュタンとカ・ディンギルを退けた。性能を考えれば十分すぎるほどの成果よ。本当に、本当によく頑張ったわね」
頰に手を当てられる。今までわたしを痛めつけていたとは思えない、優しい手つきだった。その時、その瞬間だけ、いつもの了子さんが戻ってきたような気がした。
「もうこれでいいでしょう?これ以上苦しむ必要は無いのよ」
「辛かったわよね?苦しかったわよね?でも、もうその必要はないわ。貴女が辛い思いをすることなんかないの。もう戦う必要なんか無いの」
「心配はいらないわ。人類の呪いは必ず解いてみせる。貴女も望んだ、人と人とが分かり合える世界……私が絶対に実現してあげる。いつかの時代、どこかの場所で。どれだけ時間がかかっても、必ずやってみせるわ」
やめて。それ以上は。
涙が出る。心が温かいもので包まれていく。安心してしまう。
違うんだよ了子さん。わたしが欲しいのはそれじゃない。
お願い。そんな声で話しかけられたら。
でもわたしの信じる心は。もう了子さんに心を委ねはじめていて。
「だから……お眠りなさい、安らかに。他のみんなだって待ってるんだから、ね?」
わたしの首に刃が触れようとする。
息が荒い。ちがう。ちがう。まだ終われないのに。
どうして。どうして力が入らないの。どうして安心しちゃうの。
わたしは、何もできないの?もう…………
『違うだろ』
『まだ終わってない』
『お前が諦めない限り』
『お前の
その時、空の彼方から『槍』が一本、フィーネの背中を貫いた。
「がはッ…………何だと?馬鹿な。これは、アームド、ギアか?それに、これは、この槍は……信じられん。こんなことが……」
口から血の塊を吐き出して、貫かれた腹部に手を添えながら了子さんが呟いている。血が少し顔にかかったけれど、わたしはそれどころじゃなかった。
槍はゆっくりと光となって消えてゆき、蓋を失った傷口からさらに血が噴き出る。それをネフシュタンの高速再生で癒しながら、了子さんは周囲を見渡していた。
『間に合ったみたいだな』
どこか、ノイズが混じった声が響く。その声に、わたしは聞き覚えがあった。
でも同時に、有り得ないって思った。だって、だってその人は、二年前に確かにわたしの目の前で———
けれど、確かに足音がする。
けれど、確かに息遣いが聞こえる。
けれど、確かにその姿が見える。
その人に抱き抱えられ、了子さんから引き離される。
そうしてようやくはっきりと姿を見た。
記憶に焼きついたものに似た橙色のギアには少しだけ翠色の光が走っていたけれど、それ以外は記憶と全く同じだった。
幻なんかじゃない。触られたから、きっと幽霊でもない。こういうのを奇跡って言うのかな。
目の前に立った、鮮烈な夕日色は、間違いなく———
「馬鹿な……有り得んッ!」
「貴様は二年前、確かにその身を塵と散らせたはずッ!」
その人は記憶と僅かに違うアームドギアをもう一度展開し直してわたしを護るように立ち、了子さんに向かって槍を突きつけた。
その人の名前は—————
「何故この世界に現れたッ!
奏さん、再登場。これまでの展開からしてこうなる事を結構察してた人も多いんじゃないでしょうか。
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