シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった   作:ぱんそうこう

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第三話を投稿した12/2に、一瞬ではありますが全体日間ランキングで39位を記録しました。
こんな行き当たりばったりの作品をそこまで多くの方に見て頂けていることに、誇らしいやら気恥ずかしいやらで百面相してました。
他にもハーメルンで個人的に好きな作品を投稿していらっしゃる方々にもお気に入り登録されていたりともう何が何だかよくわかりません。
とりあえずゲッター線と一体化すれば全部理解できるかなぁと思いました(ぐるぐる目)。

前置きが長くなりましたが、この作品を読んで頂いている方々に厚く御礼申し上げます。
そして、これからも本作をよろしくお願いします。


お待たせしました。それでは第四話をお送りします。


特異災害対策機動部二課

「さ、着きましたよ」

 

緒川慎次に連れられてやってきたのは『リディアン音楽院』だった。

 

 

リディアンの内部を二人並んで歩いている。

 

「リディアン音楽院、ねえ。学校の中に施設があるのか?」

「ええ、正確にはここからエレベーターで地下に降りた場所が僕たち二課の本部になっています」

「へぇ。カモフラージュか何かか?」

「よくお気付きで。それもここに置かれた理由なんですよ」

「それも、ね……まあいいや。どこのエレベーターから下りるんだ?」

「こちらです。しっかり手すりに捕まってくださいね」

「手すり?……こいつか」

 

エレベーター内部の黄色いバーを掴む。何でエレベーターで手すりが要るんだ?と思っていると、その答えはすぐに分かった。

 

「うおおおおおおおおおお!!!???」

 

凄まじいスピードで下りていくエレベーター。想定外の速さに、竜は思わず目を閉じてしまった。

ようやくスピードが落ち着いたと思い目を開けると、ガラス越しの壁に極彩色の紋様が所狭しと描かれていた。

 

「なんだこれ……こんな凄いものが日本にあったなんてな」

「そちらに見とれるのも構いませんが、じきに着きますよ」

 

おう、と気の抜けた返事をする竜。あまりの情報量に、正直言って既にお腹いっぱいだった。

 

「これからもっと凄いことになるんですから、気をしっかり持ってくださいね」

 

しれっと内心を読まれた気がするが、竜は敢えてスルーした。

 

 

 

 

 

 

「よし、これでこちらの準備も出来たぞ」

 

ここは特異災害対策機動部二課の一室。そこにはでかでかと『二課へようこそ!流竜様』と書かれている幕を始めとする飾りに、白のクロスが敷かれたテーブル、その上には所狭しと料理が並べられていた。

 

「緒川さんからもうリディアンに到着した旨の連絡も来てますからね、もうすぐ来ることでしょう」

 

 

そう言ったのは二課オペレーターの一人、藤尭朔也である。今回のパーティ設営においては、その料理の腕を生かして調理を担当していた。

 

いよいよ後は迎え入れるのみ、と皆が安堵していた。

 

「では、俺と技術スタッフは研究室へ向かう。皆はここで待っていてくれ」

 

その言葉を契機に技術スタッフが外へ出る。パーティ会場の光景を見た後では残業のように感じられるが、これも命を守護るためとこれが最後と気合を入れていく。

 

 

そうして一行が廊下を歩いている中、一人だけ所在なさそうにしている人物がいた。二課技術者の櫻井了子である。

 

「どうした?了子くん。随分落ち着かない様子だが……もしや緊張でもしてるのか?」

 

「まさか。私はいつどんなときでも緊張なんか数えるくらいしかしたことないわよ。それよりももっと大きな問題なの」

 

問題と聞いて眉をひそめる弦十郎。はて、何か不手際でもあっただろうか。

 

「問題?」

「ええ。とっても大事な」

「それはまずいな。言ってくれないか?」

「すっごく言いにくいのだけれど」

「構わない。なんでも言ってくれ」

 

 

 

 

「あの子、ホントに適合するのかしら」

 

 

 

「……なんだって?」

 

 

弦十郎の顔から血の気が引く。

 

 

「だって、シンフォギアの適合者ってすっっっっごい貴重なのよ?いくらあの御大が見出だしたからって、その子が本当に適合するかどうかはまだ分からないんじゃないかしら」

 

(まずい)

 

その時、風鳴弦十郎の内心は荒れていた。

落ち着いてよくよく考えれば分かることではあった。しかし、あの風鳴訃堂がいかにも自然当然、適合するのが前提といった具合で強引に話を進めていたことに加え、その候補が自分のよく知る少女であったことも冷静さをいくらか奪う要因となっていた。さらに、訃堂が大至急迎えを寄越すようにと言うのですっかり考える余裕を失っていた。

 

もしこれで適合しなかったらどうする?どう彼女に説明する?しかもここまでの準備をしておいて、新しい仲間が増えることを前提に話を進めておいて、何もなかったら?

自分たちだけが骨折り損のくたびれもうけで済むならいい。しかしそこに無関係の人間が関わってくるとあらば話は別だ。

弦十郎の背中に冷や汗が流れる。元公安としてあるまじき失態、あるまじき失念。何を腑抜けている風鳴弦十郎!いくら相手がよく知る少女で動揺していたからといって、いくらなんでもこれは無い。

 

 

(頼む。何事もなく終わってくれ)

 

僅かに早足になる弦十郎。了子にはその頼れる背中が心なしか小さくなっているように見えた。

 

 

 

 

 

「さ、ここです。長い間お疲れ様でした」

「ああ。わざわざありがとな」

「いえいえ、当然のことをしたまでですから」

 

研究室の前に到着した二人。そのままの流れで緒川は部屋の中へ入っていく。

 

「やあ。数時間ぶりだな、竜くん」

 

中で待っていたのは見慣れた男の顔とその他見慣れない人間の顔。そしてガラスケースに包まれた赤いペンダントだった。

 

「やっぱりオッサンだったかよ。違ったらどうしようかと思ったぜ」

 

「む、気付いていたのか?ここに俺がいることに」

「まぁ、慎次との話の中で薄々だけどな」

「もうそんなに親しくなったのか、良いことだ」

 

いつも通りのとりとめのないやり取り。

であれば、いつも通りすぐ本題に入るべきだろう。

 

「それで、俺はこれから何をすればいいんだ?」

 

「そうだったな。竜くんにはこれからこいつを起動してもらう」

 

「まさかこれが噂のシンフォギアってやつか?思ってたのと随分違うが」

 

「そのまさかだ。これを歌の力で起動し、鎧として身に纏う。それによってノイズを討つ戦士となるわけだ」

 

「歌の力……ね。俺にそんな力があるとも思えねえが」

 

「それはこのギアが決めることだからな。気楽にやってくれればいいさ」

 

「そういうもんかね」

 

そう言って竜はペンダントの元へ近づこうとする。

と、その行く先を塞ぐように立つ一人の人物。

 

「貴女が噂の流竜ちゃんね~!私はできる女と噂の櫻井了子。このシンフォギアの開発者で、その根幹である櫻井理論の提唱者でもあるの。よろしくね」

「あ、ああ……よろしく」

 

テンションの高さに少し気圧される竜。

 

「これからギアの起動について説明させてもらうわ。ギアを纏うには特定振幅の波動、つまり歌が必要なの。それもただの歌じゃなくてそのギアに合った歌でなきゃいけないのよ。ここまでは分かるかしら?」

「まあ、何とかな。要はそれが歌の力ってやつか」

 

察しがいい子は大好きよと明るく答える了子。

 

「それでね、ギアの適合者はその歌が自然と胸に湧き上がるようになってるの。反応が無ければ適合せず、適合すれば自然と口が歌を口ずさんでくれるはずよ」

「要は、自然体で居りゃあいいってわけか」

「そういうこと。それじゃあ早速ギアの前に立ってちょーだい!」

 

促されるままにギアペンダントの前に立つ。竜にはこれがどう見てもなんの変哲もないペンダントにしか見えなかった。

 

「それでは、SG-00"ゲッター"の起動実験を開始します」

 

研究員の言葉とともに部屋の中を緊張感が襲う。しかし、なにも起こらなかった。

 

「あー、これってもしかして失敗か?」

「いえ、まだよ。もう少しアプローチを続けるわ」

 

 

今しばらくの時が経った。

 

時には位置を変え、時には歌いと様々に条件を変えて試すが、ゲッターは何一つとして反応を示さない。

 

もう無理だろうという空気が流れ出した時、いよいよ竜が痺れを切らした。

 

「なあ」

「どうしたの?」

「帰ってもいいか」

「うーん……もうちょっとだけ待ってもらえるかしら」

「俺はまどろっこしいことは好きじゃねえ。そんなにこいつに歌を聴かせたいんならもっといい方法があるぜ」

「あら。どうするつもり?まさか、ギアペンダントに直接聴かせるとでも?」

「へっ……そのまさかさ」

「ゑ?ちょっと待っ……!」

 

了子の制止よりも先に竜はガラスケースを正拳突きで叩き割り、緊急の赤いランプとアラームが鳴るのを気にも留めずペンダントを掴む。

 

 

 

 

 

 

その瞬間、竜の全身に翠色のラインが走るとともに意識はどこかへ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

『まずは一つ、か。覚醒にはまだまだ遠いがまずは扉を一つ開けたわけだ』

『■■■■■はお前の進化の果てにある。今はただ、強くなれ』

 

 

 

 

 

 

 

――――――raging getter spark tron(怒りの炎で命を燃やせ)―――――

 

 

竜が気づいたときには周りで研究員が驚いた顔をしていた。ある所からは、「あんな強引な方法で適合するなんて……」と戦慄した声が聞こえてくる。

 

 

 

 

ギアは確かに装着されていた。深紅をベースにした上半身の鎧と腕甲、そこに白のギアインナーがよく映える。足には黄色い装甲を着けており、背中には大きなマントが装備されている。

 

だがそれよりも。

「……熱い」

 

力がみなぎる。魂が燃える。体が熱い。まるで、自分の本能を直接刺激されているような。

 

 

その様子に、弦十郎は密かに胸を撫で下ろす。

(適合してくれたのか、決して良くはないが、良かった……)

 

そこに声を掛ける竜。

「悪いオッサン、頼みがある。」

「どうした?」

「俺と戦ってくれ。体が熱くてしょうがねえんだ、火照りを冷まさせてくれねえか」

「……いいのか?怪我は……」

「んなもん唾でも付けときゃ治る。それより今はこいつを何とかしてえんだ。体が疼いて仕方ねえ」

「いいだろう。皆、このまま実戦テストに入る。あともう少しの辛抱だ、頑張ってくれ」

 

そう言って二人は研究室を出ていった。それと入れ違いになるように入ってきたのは拳銃を構えたオペレーターの友里あおいとシンフォギア装者二名である。

 

「無事ですか!?今警報が鳴りましたが……」

「あら、あおいちゃん!ちょうど今起動実験が無事に終わったところよ~」

「無事に……ですか?」

「ええ。ちょっとした想定外はあったケド、竜ちゃんはちゃーんとゲッターを纏ってくれたわ」

「そうでしたか。無事なら何よりです。」

 

周りを見れば、翼と奏が研究員の無事を確認して回っている。この様子だと問題ないか……と考えたところで、はたと違和感に気づく、

 

「司令と竜さんはどちらに?」

「そうだいけない!二人ともトレーニングルームに行っちゃったのよ!これから実戦テストをするからついてきて!」

「は、はい!」

 

 

そうして外へ飛び出していった。これを皮切りに、呆けていたスタッフも次々に部屋を離れる。

そしてそれはこの二人も例外ではない。

 

「どうするの?奏」

「決まってんだろ?ゲッターの実力とやらを拝みに行くのさ」

「分かったわ。私も奏に着いてく」

 

そう言って二人もトレーニングルームに向かっていった。

 

 

 

 

場所は替わってここはトレーニングルーム。立っているのは竜ただ一人。

「俺と戦う前に、まずは対ノイズ戦のシミュレーションを行う。こちらで設定した敵を出していくからどんどん倒していってくれ」

「わかった。メインディッシュは後からって訳だな」

 

「それでは……実戦テストを開始する!」

 

 

胸から湧き上がる本能に従って歌う竜。

 

 

穏やかな海が  爆音で渦巻く  炎が上がる

 

 

歌と共に拳を振るう。不思議なことに、まるで長年使い続けたかのように戦い方がよく分かる。

 

 

黒煙の空で  死神が微笑む  大地が割れる

 

 

何かが足りない、と思った瞬間、直感的に叫んでいた。

 

「ゲッタァァァァァトマホォォォォォク!」

 

腕甲と足の装甲の一部が分離、変形する。そして二振りの手斧のアームドギアを形成した。

 

こいつは丁度いいと言わんばかりに次々と手斧を振るい、時にはブーメランのように投げつけてノイズを殲滅していく。

 

 

 

 

【ゲッタートマホークブーメラン】

 

 

 

 

 

「もうアームドギアを形成したというの!?」

「へー。なかなかやるじゃん、あいつ」

 

驚きを隠せない翼と素直に称賛する奏。

弦十郎も同意するように、

「ああ。まさかここまでとはな」

「これなら、もう少しレベルを上げても問題なさそうだ」

 

 

そう言って手元のレバーを操作する。その口元はこれから戦うという楽しみで吊り上がっていた。

 

 

 

熱き怒りの  嵐を抱いて  戦うために

飛び出せ 

 

 

 

「ゲッタァァァァァ!」

 

気合を入れてノイズをぶん殴る。同時に拳から光線を放ち、直線上のノイズをまとめて殲滅する。

 

 

 

【ゲッタービーム】

 

 

(戦うのは、こんなにも……)

(楽しい!!!)

 

その顔には、翠のラインが走っていた。

 

 

 

 

 

最初に異変に気付いたのは弦十郎だった。

周囲はその戦闘力の高さに夢中で気づいてないが、戦い方が次第に荒々しくなってきていると感じたのだ。

 

(……妙だ。らしくないぞ、竜くん)

 

普段なら蹴りだけで済ませるところを、態々手斧で細切れにする。拳の一発で済むところを、態々首を掴み地面と背のマントが変化したバーニアを使って轢き潰す。

何故?なぜそこまでする必要がある?昔の奏ならまだ分かる。だが、竜にノイズへの恨みや憎しみは無かった筈だ。

 

様子がおかしいことに気付いたのは翼も同じだった。

「……おかしいわね」

「どうした?翼」

「見て、奏。動きが段々荒くなってきてる」

「テンションが上がってるからじゃないのか?」

「ううん。それにしては無駄な動きが多すぎる。あれじゃまるで」

獣みたい、と呟く。

 

姪と意見が一致したと感じた弦十郎の行動は早かった。即座にシミュレーターを停止させ、竜の元へ向かう。

 

「なんだよオッサン。今良いところだったってのに」

「竜くん……正気に戻ってくれ」

「ああ?なに言ってやがる。俺は素面だぜ」

「いいや、君は酔っている……血と闘争にだ」

「何がなんだか知らねえが、ぶっ飛ばしてやるぜえええええ!」

 

竜が弦十郎に襲いかかったところで、ようやく周りも異常に気付く。

「テストは中止!全員避難を!」

友里の一声で全員が外へ出る。ここまで来れば弦十郎が竜を止めてくれることを祈るばかりだった。

 

 

弦十郎に襲いかかる竜。しかし、その動きは全て読み切られ、容易にいなされ続けていた。

 

「クソッ!なんで当たらねえ!」

「所詮は獣の動きだ。普段の君の力量ならばこうはいかん」

「だまれええええええ!」

 

さらに攻撃を激しくする。時にトレーニングルームにも被害が及ぶが、それでも全ていなされる。それどころか、時折カウンターでいいものを貰ってしまう。

 

「ぐおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「完全に闘争本能に呑まれたか……ならばッ!」

「少し我慢してくれよ竜くん……これが俺の全力だッ!」

 

そういうと震脚を合わせた拳で竜の体内へ直接衝撃を加える。

そして怯んだ隙を利用して気を極限まで高め、そのままアッパーで顎をカチ上げる。

 

 

 

 

 

【俺式 断空裂破掌】

 

 

 

 

その凄まじい威力に、弦十郎の周囲は彼の気に包まれた。

 

 

そのまま竜はアリーナの天井に突き刺さり意識を失った。それによってギアも強制的に解除され、竜が全裸になる。

「まったく。しょうがない奴だ」

そう言って弦十郎は通信機で了子に竜の介抱を頼む。そのままアリーナを出ると、奏と翼が話しかけてきた。

 

「ダンナ、あいつ、大丈夫かよ?」

「ああ。ギアの保護機能のお陰でそこまでの重症にはならない筈だ」

「いや、そうじゃなくてさ」

「このままでは彼女は実戦に出せません。仮にこの暴走が繰り返し起きるようであれば……」

「それは俺も同意見だ。だからこそしばらくはギアの制御に専念させるつもりだ」

もっとも、この辺りは技術部との相談も必要だろうな、と言って締める。

 

その目には、ゲッターに対する危惧の色が宿っていた。

 

 

 

 

 




早乙女レポート③
無事に私の警告が受け入れられたようで安心した。これで心置きなく研究に専念できるというものだ。

ゲッター線を研究していて分かったことだが、どうやらゲッター線は大気中に普通に存在しているらしい。かつて人類以外の生物に照射するとその体を溶解させると報告したが、あれは照射するために圧縮されたゲッター線であるが故であり、大気中のわずかなゲッター線では溶解させるには至らないということなのだろう。
このことから、"ゲッター"にはこのゲッター線を増幅させる作用があるのではないかと考えられる。

――――――――――――早乙女賢博士のレポートより
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