シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった   作:ぱんそうこう

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蒼雷の装者

 

時間はメカザウルスの襲来より少し遡る。

 

小銃を抱えた車弁慶ともう一人の華奢な少女。明らかに不審な二人を前に、緒川は警戒心を強めていた。

翼や竜にとってもそうであるように、緒川にとってもかつての惨劇は繰り返してはならない忌まわしい記憶である。故にこの場に似つかわしくないものを持ち込まれていることに、本人も無意識のうちに焦りと苛立ちを感じ始めていた。

すると、少女の方が慎次の顔を見て何かを思い出すように口を開いた。

 

「弁慶さん。もしかしてこの人が……」

 

「ああ。二課の緒川慎次だ。あー、緒川。ちょいと話を聞いちゃくれねえか?」

 

「であれば、まずはその物騒なものを手放していただけませんかね。自衛隊の方とはいえ、この場にソレは無粋に過ぎるというものでは?」

 

慎次が鋭い目つきで弁慶を睨みつける。それは不躾な闖入者への視線であり、同時に「二課としての自分」を知るらしい見知らぬ少女への牽制も含んでいた。そしてそれを感じ取った弁慶は、ここで事を荒立てるべきでないと思い、その手の銃を足下に置き、軽く蹴り飛ばす。

 

「……しょうがねえ。調も抑えてくれ。それでだな、取り敢えず言っとくが、俺たちにここを滅茶苦茶にする気はねえぞ。むしろ逆だ。そういう連中がここを狙ってきていてだな……」

 

だから、と言いかけたところで複数人の足音が聞こえてきた。見れば、スタッフの名札を首から下げた者達が真っ直ぐ近づいてきている。

——その足音には、一つの乱れもなかった。まるで行進しているかのように。

 

「やべえッ!」

 

三人が動くのは同時だった。弁慶は床の銃を拾おうとし、その弁慶を慎次が取り押さえようとする。だがその前に、少女が何処からか出したリボルバー式の拳銃を躊躇うことなく集団に向けて撃った。彼女は拳銃らしからぬ反動の大きさに、小さな悲鳴を挙げて銃を取り落としてしまったが、命中した弾はショットガンもかくやという威力で人体を貫通し、数人の命を纏めて奪い去った。

その信じられない光景を見た慎次は絶句し、ほんの一瞬、動きに迷いを持ってしまう。それ故に弁慶が速度で優り……その体格に見合わない俊敏さで銃を拾った彼は、迷わずソレを更に追加でぶっ放す。

 

ガガガガガガガ!と、小気味よい銃声が鳴る。銃弾は彼らの身体を過たず貫き、そしてその身体から「紫色の」体液を撒き散らせる。弁慶が取り押さえられたのはその直後だった。銃を叩き落とされ、あっという間に関節を極められてはうつ伏せのまま押さえつけられる。

 

「貴方たちはッ!一体何をッ!」

 

「そうじゃねえッ!あれをよく見やがれッ!」

 

弁慶を取り押さえた慎次が詰問する。その答えは彼が指をさす方角にあった。

それは確かに死体だった。しかしその死体から流れる血は赤くなかった。

よく見れば顔の皮が破れている者もいて、その下からはハチュウ類のような鱗が覗いている。

 

「……やっぱり。弁慶さん、これ、いつもの皮だけのやつだよ!」

 

「当たりみてえだな!連中、やっぱりマリアを始末しに来やがったッ!」

 

少女が死体から顔の皮を剥ぎ取る。刃物を使わず剥ぎ取れるそれはある種のマスクのように顔に貼り付けられていて、彼女の痺れた細腕でも剥がすのは容易かった。

一度剥がされたことでビロビロになった皮は人の顔の形を保ったまま彼女の小さい手の中に収まっており、たたたっと慎次に駆け寄ると手渡すように見せつける。

 

「これは、一体……!」

 

「頼む!離してくれ慎次!このままじゃマリアの身が危ねえんだよッ!それだけじゃねえ、奴らは多分、そっちの風鳴翼のことだって狙ってるに違いねえッ!奴等は、奴等はゲッター線に関わったやつを皆殺しにしたがってる筈だッ!」

 

「わたしからもお願いします。あいつらを許しちゃいけないんです!」

 

「……後で全部聞かせてもらいますよッ!」

 

「ああッ!俺は、いや俺たちはそのために来たんだッ!お前らにこれからの事を伝えるためにッ!調ッ!おめぇは切歌と合流してマリアの方に行ってやってくれッ!雑魚は俺らが片付けるッ!……ハジだけはかくんじゃねぇぞッ!」

 

調は無言で頷いた。

そうして三人はそれぞれの戦場へ駆け出して行った。そして緒川慎次は初めて対面したのである。人類を狙う侵略者と、それが齎す惨状に。

 

 

 

—————————————

 

 

「マリア……お前は、一体」

 

「それは後で幾らでも、ね。……今中継が切られたわ。これで心置きなく戦える。違わない?」

 

翼は戸惑っていた。

メカザウルスなる巨大兵器、そして未知の「ガングニール」を纏うマリア。そしてそれを運用する未知の組織……しかしそれでも為すべきことは分かっていた。既に頭の中は防人としての己に切り替わり、光と共に剣を鎧う。

 

「……そうだな。人類守護は私の使命でもある。本職として、其方に負けてはおれん。何より、この晴れ舞台を台無しにされて頭に来ているのでな……!」

 

「その意気よ。……行くわよッ!」

 

アームドギアを携えたマリアが指を鳴らす。それだけで、既に一部が破れ、内部にミサイルを通し始めていた障壁は完全にその役目を終えた。

同時に雪崩れ込むメカザウルス。その出鼻を挫くかのように、剣を大剣へと変えた翼が居合をその鼻先へと放った。

 

「目だッ!」

 

しかして剣は放たれた。鍔迫り合いさえ必要無い。表皮ならばともかく、無防備な目に突き刺す刃を防ぐ機能はメカザウルスには無いからだ。そのまま刀身を僅かに引き抜けば、蓋を失くした傷口から血が流れ落ちる。

 

これは通る。

 

そう確信すると同時に、翼はエネルギーを刀身に込めて滑らかに引き斬る。質量差故に頭を真っ二つには出来なかったが、絶妙の手応えを感じた辺り、機能停止くらいには持ち込めたのだろう。双頭の片割れが痛みに悶え苦しむ。

 

 

(どうやら、相応の力があればこの大きさの差は覆せるようだな。ならばッ!)

 

 

「鼻ッ!」

 

 

次に鼻を潰す。それは目を潰すのに比べれば労力は遥かに大きいが、翼は既に質量差を覆す方法におよその検討をつけている。故に斬るまでに必要な労力はやや硬いその鱗と表皮を斬り裂くことのみ。そしてそれは僅かな鍔迫り合いの後に、あっさりと成し遂げられた。その容赦の無さと覚えのあるやり方には思わずもう片方の頭を相手取っていたマリアも、「『アレ』を天然でやるって、嘘でしょ……」と内心ビビっている。

 

「耳はここからは斬れないか。ならばこのまま首を落とすまでだ……!」

 

しかし翼の思惑を外すように、メカザウルスは双頭をあっさりと切り捨てた。

びちびちと打ち上げられた魚のように足掻くそれらが時間と共に動かなくなっていく一方で、司令塔と思しき機械からは何頭も翼竜が放たれており、未だ健在だと見せつけられている。

 

(おそらく彼方が本体。さながら飛行要塞型メカザウルスといったところか。……マリアは?)

 

見れば、マリアは落ちた頭を念入りに黙らせてから翼竜の相手をしていた。慣れた様子で槍を振るう様は踏んだ場数を言葉より雄弁に物語っている。

しかし、ここに来て戦局は膠着し始めていた。司令塔は頭を失くした分だけ小回りが効くようになり、放った翼竜を盾に爆撃を続けている。無論、翼竜を討つことくらいは容易いが、さりとて無視もできない。一匹たりとも外へ出すわけにはいかないが故に、そちらの始末を強いられることとなったてしまう。

 

しかも悪いことはさらに続く。

 

『マリア。どうやら新手が来ているようですよ』

 

「マム!そんな、一度に二体のメカザウルスですって!?」

 

「何だとッ!?」

 

新手のメカザウルス、それも今度は会場の外からである。

今度は人型、それも西洋の鎧じみた装甲を纏い、頭に二匹のトカゲを生やしているタイプ———人呼んでメカザウルス・ドバ———である。見るからに人型兵器として完成されたそれは、現れて早々に二人を会場ごと焼き払うべく、胸の装甲を開きミサイルを撃ち込んで来る。

 

「この……ッ!やはりお構いなしとはッ!どちらが野蛮だッ!」

 

メカザウルスの拳が、トカゲの尾と舌が、二機分のミサイルが二人を追い詰めていく。同時に、会場も滅茶苦茶に破壊されていく。

 

「手数が足りないッ!これではジリ貧だぞッ!」

 

「分かってるわッ!まずは頭の鞭みたいなトカゲを何とかしないとッ!」

 

手強い敵。足りない味方。孤軍奮闘とも言うべきこの状況下にあって、翼の頭を占めるのは怒りだった。

 

風鳴翼の夢。世界へ届ける歌。今日のステージはその第一歩となる筈だった。

 

崩れゆく会場の姿が二年前を思い起こさせる。瘡蓋になったはずの傷がじくじくと疼き始める。それが翼を苛むごとに、悪夢がフラッシュバックしそうになる。次は何を失う?再び夢を失くすのか?それとも、ステージを共にする歌姫か?あの日と同じように……。

 

——認められないそんなもの。嗚呼そうだ、夢を奪い去る者は、どんな奴も許さない。

 

(そうだろうッ!天羽々斬ッ!)

 

身体を覆う相棒に内心で語りかければ、懐かしい感覚が蘇る。

フィーネにギアを強制解除されながらも、その干渉を跳ね除けた時と同じ聖遺物との同調。あるべきカタチへの回帰。怒りを増すごとに、それはまた強くなっていく。

そして叫ぶ。

 

「許さん……断じて許さんぞ、恐竜帝国ッ!」

 

 

 

 

 

「そう!その通りデスッ!」

 

 

 

その時、戦場にはいっそ似つかわしくないほどの明るく、少し幼さを感じさせる声が響いた。

 

 

「アタシたちはちょっぴり荒っぽいのデースッ!」

 

「すくらんぶる、だーっしゅ」

 

 

緑とピンク。二色の装者が息を合わせて飛び降りてくる。そのどこか気の抜けそうな掛け声に反して、手に握られた得物(大鎌とチェーンソー)は物騒にもぎゅいんぎゅいんと殺意に満ちた音を掻き鳴らしている。

そして二人はそのまま片方の頭に刃を入れ、びちゃびちゃと飛び散った体液を浴びながらその頸を刈り取った。

 

「今に見ていろ恐竜帝国……!」

 

「全滅デースッ!」

 

「調!切歌!良かった……無事だったのね!」

 

びしっ、と決めポーズを決めながら着地する二人。マリアも待ちかねた仲間との合流を喜んだ。尤も、身体にべっとりとついていた液体は見なかったことにしていたが。

 

「その二人も仲間なのか?」

 

「ええ。私と同じNISARの装者で、月読調と暁切歌よ」

 

「よろしくデス。こう見えてアタシたちは戦闘のプロ。ばんばん頼ってくれていいデース!」

 

「プロは言い過ぎだよ切ちゃん。少なくとも、あいつらを殺す分には十分戦えると思います」

 

(斃す、でなく殺す、か)

 

翼はその言い回しに若干の違和感を感じたが、それ以上の詮索はしなかった。

 

「増援、感謝する。こちらはどうにも遅れているようでな……」

 

空を見る。夜空の黒の中、輝くはずの星は戦火に焼かれて見えはしない。

だが気付く。爆炎と黒煙に汚された中に在って尚、燦然と輝く紅い閃光に。

 

 

 

 

「てめえらはノイズ以下のクズだ!生きてちゃいけない存在だって理解しやがれッ!」

 

 

 

 

翼の元に、とても頼もしい、それでいて待ち望んでいた声が聞こえてきた。

 

 

「ゲッタァァァァ!トマホゥゥゥゥゥゥクッ!!!!ラン、サァァァァッ!」

 

 

空から真紅の流星が落ちる。それは勢いのままメカザウルスが飼うトカゲのもう片割れを力任せに叩き斬ると、身の丈を超える大きさの大斧を担ぎ瓦礫の上に降り立った。

 

「よくもここまでやってくれたなッ!だがな!俺様が来たからには好き勝手出来んのもここまでだッ!」

 

「竜ッ!全く……来るのが遅いぞッ!」

 

そう悪態をつきながらも、翼は笑っている。

 

「うるせえ!岩国からここまでどれだけあると思ってんだッ!ったく……俺が遅れるわけねえだろ。地獄からだって駆けつけてやる」

 

「ああ、ああッ!そうだ、そうだとも。お前が居てくれるなら敗れる道理はない。共に征こう、今こそ我らの力を見せる時ッ!……ところで、立花たちはどうした?一緒ではないのか?」

 

「ああ、あいつらなら……」

 

少し頬を紅潮させながら問うてくる翼に、彼女は上を向くことで応えた。それにつられて翼が視線を同じ方向に向けると、遅れて一条の光が彗星のように流れて墜ちた。

 

「ちょっと竜さん!イキナリ空の上で投げ捨てないでくださいよおッ!」

 

「悪い悪い!両手塞がってちゃぶった斬れねえんでな。だいたい、不意打ちのチャンスをフイにする馬鹿はいねえだろ」

 

「何上手いこと言ったつもりになってるんですかあッ!もう、いくら翼さんのところに早く駆けつけたいからって……」

 

「そんなんじゃねえ!余計なこと言ってるとはっ倒すぞッ!」

 

「どうでもいいからはやくあたしを下ろせバカッ!」

 

 

生命を賭けた戦場であるにも関わらず、ぎゃあぎゃあとバカみたいに騒ぐ三人。

しかし、その意識は確かにメカザウルスに向いていた、少しでも動きがあればすぐにでも動けるように。だからこそ、翼には三人をそれを微笑ましく見るだけの心の余裕がある。無論、それはそれとして嗜めはするが。

 

「はいはい痴話喧嘩はそこまでにして頂戴。よく来てくれたわね、二課の装者たち。大体のことはもう聞いてるわよね?」

 

竜は首肯で以て答えた。

 

「色々言いたいこともあるでしょうけどね。あの人、強引だから……」

「だけど、護りたいという願いは同じだと信じているわ。敵は二体、こちらも二組。手分けして撃滅、でどうかしら?」

 

その答えに言葉は要らなかった。

 

「ならお前ら、『アレ』をやるぞ」

 

「「「『アレ』?」」」

 

「決まってんだろ。……絶唱だッ!」

 

 

絶唱。使用者さえ傷つける諸刃の刃であるそれは、今やS2CAという戦術として確立されていた。

ルナアタック時に確認された、「ゲッターの真髄」を始めとするフォニックゲインの収束現象……月の破片さえ破砕せしめたそれを分析、体系化することで誕生したその戦術は、響と竜のどちらかを核として発動する事ができ、威力を飛躍的に増幅させる効果と絶唱のバックファイアの軽減という二つの特性を併せ持っている。

 

二人で発動するS2CA・ツインブレイク。

響を中心にし、圧倒的な破壊力を撃ち出すS2CA・トライバースト。

竜を中心にし、エクスドライブにも匹敵する自己強化を齎すS2CA・トリニティドライブ。

 

そして、月を破砕した奇跡を、奇跡以下へと落とし込んだソレの名は。

 

「S2CA、クアッドストームッ!」

 

「スタンバイ、ゲッタァァァァシャインッ!」

 

 

四人分のフォニックゲインをその手に宿し、受け止めた響。虹の光を宿した腕はガクガクと震え、脚はジャッキをアンカー代わりに無理矢理縫い止められている。そして巨大なエネルギーに身体ごと吹き飛ばされそうになりながら、しかしその目は真っ直ぐ前を見据え、翼とクリスに後ろから支えられながらも竜の背中を視線に入れてその時を待っている。

これから起こるのは、文字通り全エネルギーを絞り出している彼女に向けて虹の嵐を撃ち放ち、シャインスパークとの相乗威力で全てを破壊する究極の四重奏、S2CA・クアッドストーム。

 

しかし、リスクも大きい。S2CAに共通の特定一人に負担が掛かりやすい点に加え、僅かでもタイミングが狂うと四人分のエネルギーを直接受け止める竜の生命にも危険が及ぶ。シャインスパークを使うのは威力を高めるだけでなく、莫大な破壊の嵐を纏う事になる彼女の身体を守る目的もあるのだ。つまりこれは、まさしく四人の心を一つにしなければ成功し得ない正真正銘最後の手段なのである。

 

 

「こいつでトドメだッ!シャインッ!」

 

「「「「スパァァァァァァァクッ!」」」」

 

竜の号令と共に響が拳を解放する。そしてそれと全く同時に竜が前へと踏み出し、破壊力そのものを身に纏い直接敵に叩きつける。虹の光は炎さえも眩く塗りつぶし、炎も瓦礫も残骸も、全ての惨劇を塵へと塗り替え、消し去っていく。

メカザウルスにそれを耐え切る力は存在せず、端から次第に全身を分解させられていく。そして光が収まった時、そこには最早塵さえも残ってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

「あっちは派手に行ったみたいね。……敷島博士!用意はッ!?」

 

『わしゃそれを待っとったんじゃあ〜〜〜〜ッ!ほーれ今週のビックリウッフンウェポォォォォンッ!』

『ふんぎぎぎぎぎ……………うぎゃあ!』

 

そしてその頃、マリアは付近で待機していたバックアップ役へ支援を要請していた。無論、支援と言っても爆撃だの何だのという火力要請ではなく、彼女達のギアの切り札の射出を求めるものである。

 

NISARの装者たちは既に何度かの対メカザウルス戦を経験している。そこで感じたのは質量差を覆すことの困難さだった。

そもそも、平均しても40mはあるメカザウルスと1.5mを超えるのがせいぜいのシンフォギアでは人間と虫ほどのサイズ差があり、これを覆すには相応の火力を叩き出さねばならない。一時はサイズ差を逆用した、攻撃を受けない戦い方も模索されたが、これは周囲への被害も無尽蔵に大きくなることから採用には至らなかった。結果、大火力を持つ決戦兵器を開発する必要性が生まれ、それはルナアタックにおけるフォニックゲインの収束現象のデータを以て完成を見ることとなったのだ。

 

無論、幾つものフォニックゲインを一つに束ねることは困難だ。音階も音程もバラバラのメロディーを束ねても不協和音にしかならないように、それには調和と調律が必要となる。竜たちはその役割をガングニールの「手を繋ぐ力」と「ゲッターの真髄」によって成したが、彼女たちにそれはない。

 

そこで誕生したのがフォニックゲインをプラズマエネルギーに変換する調律ユニットだった。早乙女研究所のゲッター線関連技術に旧F.I.Sの研究が合わさって生まれたそれは、何十回、何百回にも及ぶ実験とマリアの尊い犠牲によって完成した。

 

 

その名を、新プラズマ式強化調律装備(ネオゲッターユニット)。壱號機〜参號機がそれぞれ青、赤、緑の三色で構成された、F.I.S製シンフォギア専用の装着型外部強化装備である。

 

 

 

「装着良しッ!調律良しッ!調、切歌ッ!エネルギーをガングニールにッ!」

 

「オッケーマリア!」

 

「三つの心を一つにするデース!」

 

調と切歌がマリアの背中に手を添える。生まれたバイパスからマリアのガングニールにエネルギーが流れ込み、その全てが両腕に集まっていく。

その時、マリアは自らアームドギアを解き、再び腕甲へと戻した。そして高い音を立てて両手を合わせると、向かい合わせたままゆっくりと開いていく。その手の間には既にプラズマが走っており、次第にそれは稲妻の槍として成形されていく。

 

「この一撃で、仕留めるッ!」

 

その時、調と切歌は送り込むエネルギーを一気に増やし、マリアはその手に宿る槍を撃ち放った。最大の覚悟と気迫を込めて。

 

その名は、その名は。その名は!

 

 

 

「「「プラズマッ!サンダァァァァッ!!!」」」

 

 

 

蒼い雷槍がメカザウルスの腹に突き刺さる。そしてそのまま腹を突き抜けた後、頭から下までをさらに容易く貫通する。

雷で内部を文字通りグチャグチャにされたメカザウルスは、そのまま力尽きて爆発。ここに、恐竜帝国との前哨戦はシンフォギアの勝利に終わったのだった。

 

 

 

 

「改めて、名乗らせていただくわ」

 

「私たちは『NISAR』。特異災害対策機動部二課と、源流を同じくする兄弟」

 

「そして私はNISARの装者、マリア・カデンツァヴナ・イヴ———」

 

 

 

 

「———ここから先、貴女達に地獄を見せてあげる。嫌って言うほどに、ね」

 

 

 




白状するとF.I.S.組のプラズマサンダーがやりたかっただけです。
多分この後きりしらが小声で「マリアが神さんみたいなこと言ってる……」「きっと緊張して格好つけちゃったんデース」とか言ってます。



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