シンフォギアにゲッター系女子をinさせてみたかった   作:ぱんそうこう

7 / 52
読んで頂いてありがとうございます。

今回はとても難産でした。正直暴走回は今やることじゃなくね?とか思いながら書いてました。今回からゲッターがようやく本領を発揮し始めるかと思います。


それでは第6話をどうぞ。



ああ!待って!石を投げないでください!お願いします!


解放

「ぐ、く、おおおおおおおおおお!」

「気をしっかり持て竜くん!自分を強く意識しろ!!」

 

翌日。奏の立ち会いのもと、竜の訓練が始まった。

 

訓練の仕組みはこうだ。

 

1.まず竜がギアを起動する。

2.その後シミュレーターで訓練を行うが、この時に完全に暴走した場合弦十郎が強制的に竜を沈める。

3.立ち会いの装者や技術者から、何かしら気づいたことがあればそれを伝える。 

4.1に戻る

 

 

という形である。要するにまずはとにかく回数を稼いでギアの制御を図るというものであった。

 

 

「うおおおおおおおお!」

「ぬう、やむを得んか……ふんッ!」

「がああああああああああああ!」

 

記念すべき最初の撃沈である。ゲッターのエネルギーを制御、あるいは竜が増幅された闘争本能を克服することを目的としたこの訓練は最初から熾烈を極めていた。

 

 

「奏。何か気づいたことはないか?」

「まだまだ数が足りないと思うな。次行こう次」

「分かった。よし、次行くぞ!」

 

念のため言っておくがこの訓練は竜の提案である。曰く、「実戦でやった方が早えだろ」とのことである。

 

その場にいた翼は内心そんな無茶して大丈夫なのかと若干不安だったが、二人があまりにも乗り気だったので考えるのをやめた。一方奏はノリノリだった。それは早速こんな台詞を吐いている辺りからでも窺えるだろう。

 

 

「次いくぞー。竜起きろー」

頬を軽く叩いてのきつけ。少しずつ強めながら叩いていけば、すぐに「うおおっ!」と飛び起きた。

 

 

この後も特訓は続いた。しかしこの日は正気の時間こそ増えたものの、完全制御とは行かなかった。

 

 

 

 

二日目。この日は一度特訓の場を弦十郎の家に移し、映画を見ることになった。テーマは「本能の克服」。自分の中の破壊衝動を武で以て克服する系のアクション映画だった。テーマこそピッタリだったものの、どうも竜には合わなかったようで、あまり反応も芳しくなかった。

 

 

なお渾身の案が不発に終わった弦十郎はとても悔しがっていた。竜は「当たり前だろうが」と鼻を鳴らしていた。

 

 

 

三日目。これまでは押さえつけていた衝動を、今度はあえて抑えないことにした。奏と翼のコンビ相手に2対1で模擬戦を行い、ただただ全力で戦うだけ。途中で暴走してもお構い無しだったが、これが最も好感触だった。竜もそれに気づき、しばらくはこの方法を採用することになった。

 

 

 

 

そして四日目。

 

「鎌倉から資料だと?」

「はい。どうやらゲッターに関する研究資料のようです」

 

 

鎌倉の風鳴本邸からゲッターの資料が到着した。それを受けて今日はそちらの解析に回し、訓練は休養も兼ねて一日休みということになった。

 

 

 

「ふぃ~。久しぶりの娑婆ってやつか?これが」

久しぶりの外出。無論近くに黒服もいるが、それでもこうして一日中体を休める時間があるのは有り難かった。

 

(結局、俺に何が足りねぇんだ?心で抑えるのは柄じゃねぇから、間違いなくこれはボツだ。かといって衝動に身を任せるのもダメ。何か掴めそうなんだがその何かが分からねぇ)

 

「あークソ!何かモヤモヤするぜ」

 

まるでそれは喉の奥まで物が出かかったような感覚。あと一歩で答えを出せそうなのに出せないもどかしさがあった。

 

 

所在ないままに町を歩く。

 

もう少しで隣町、といったところでラフな格好の男が声を掛けてきた。

 

「うん?竜くんじゃあないか。久しぶりじゃないか?」

「ああ?誰だお前。」

 

相変わらずのノータイム返答。

「ほら、鎌倉の風鳴本邸で会っただろう?見送りだってしたじゃないか」

 

鎌倉。見送り。少し前にそんなこともあったような……

 

「ほら、寝起きに変態呼ばわりしてた……」

「お前あの時の黒服か!!!」

 

あの時と全く服装が違うので分からなかったが、ようやく思い出した。いや、それよりも、

 

「お前自分のことは忘れてもいいって言わなかったか?」

 

その言葉に男は目に見えて声を詰まらせる。

 

「ま、まあ別にいいじゃないか、ちょっとした格好つけってやつだよ。それよりも今日は訓練じゃないのか?」

 

ゲッターの制御訓練の話はどうやらこの男の耳にも入っていたらしい。それは必然、自分の醜態のことも耳に入ったということでもある。

またこれか。嫌なものを思い出してほんの少し不機嫌になる。そこで、少しばかり意趣返しをすることにした。

 

「ああ。今日は休みだとさ。そっちこそどうなんだ?こんな真っ昼間に私服で出歩くなんてよ」

 

「俺も今日は非番なんだ。折角だ、どこかでゆっくり話さないか?」

 

「おいおい、へったくそなナンパかよ。誘うならもっといい言葉を選びな。その時は股間蹴り潰してやるからよ」

 

「物騒だな!?いやいやそもそもナンパじゃない!ただ単に君がゲッターのことで悩んでないかと思ってだな……」

 

 

相も変わらずこの男をからかうと本当に面白い反応をしてくれる。それに純粋にこちらの心配もしているらしい。やはりいい奴だと思う。とはいえこれは自分の問題だ、相手の手を煩わせるものじゃない。

 

 

「ありがとよ、好意だけ受け取っとくぜ。だが生憎とこいつは俺の問題なんでな」

 

「まあそう言うな。そろそろ行き詰まって来たんだろう?だからそんな風に町を歩いてる。違うか?」

 

違わない。こいつはなぜこんなに察しがいいのか。

 

「よく分かったな」

「いやいや、考え事しながら歩いてただろう?これぐらい想像はつくさ」

 

どうやら簡単に見抜かれる程度には立ち振舞いに出ていたらしい。こうなりゃ賭けだ、と竜は考えた。名案も愚案も思い付かない今、もしかしたら目の前の男から何か得られるかもしれないと思い、

 

「わかったよ。ただし、何にも得られなかったら承知しねえからな」

 

だから一々物騒なのはなんなんだー!と叫ぶ男。

こういう軽快なやりとりは今の竜にはとても心地よかった。

 

 

 

場所は移り喫茶店。ナンパじゃねえのかこれ、と思いつつ席について飲み物をちびちびやりながら話す。

 

「さて、じゃあ自己紹介といこうか。俺は佐々木達人(たつひと)という。決して変態ではないから、よろしく頼むよ」

 

「おう、知ってると思うが流竜だ。よろしくな」

 

 

そうして竜は達人にここまでの流れについて話す。

自分がやらかしたこと、ここまで何かに掴めそうで掴めていないこと、今自分に何が足りないのか考えていることだった。

そしてもののついでとばかりに、ずっと気になっていたことについても聞いてみることにした。

 

 

「そもそも俺は何で選ばれたんだ?日本中探せば適合者くらい他にも何人かはいるんじゃねえかと思うんだが」

 

「なるほど、そこからか。じゃあ順を追って一から話そう」

 

そう言って達人は。あれこれと説明を始めた。

 

「まず事の発端は訃堂様がゲッターの装者を探していたことにある。俺もそれに関わっていてな、条件があまりに厳しいからどうしようかとなってたんだ」

 

「条件?」

 

「『強靭な肉体と精神力、それに一定以上の知能を併せ持つ装者候補』それが条件だ。ただでさえ装者候補というだけでも厳しいんだ、ここにこんな条件を加えられちゃたまったものじゃない」

「だけど君はその条件に見事合致していた。まるでゲッターを扱うために生まれてきたかのようにな」

 

「肉体と精神力、ねえ……肉体はともかく、精神力は微妙じゃねえか?こうも暴走ばっかさせてればよ」

 

「そうでもない。常人なら殺し屋を三人差し向けられた時点で死のプレッシャーに負けてとっくに死んでいるからな」

 

あれは同僚たちの間でもかなり評判が悪かった、と愚痴る達人。竜はやはり黒服はもう少しまともな感性をしているんだなと考え、やっぱ頭おかしいんじゃないかあのジジイという感想を抱く。

 

「やっぱ頭おかしいんじゃねえかあのジジイ」

 

「声に出てるぞ」

 

やべ、と慌てて口を閉じる。壁に耳あり障子に目あり、どこからジジイの耳に入るかは分からないのだ。

 

 

「それはさておき、そういう経緯で君は選ばれたというわけなのさ。後は君も知っての通りだ」

 

「つくづく迷惑な話だぜ。それで、後は俺がゲッターを制御できねえことについてなんだが……」

 

「そのことだが、一つ聞きたい」

 

竜の話を遮って、真剣そのものといった顔をした達人がこちらに振ってくる。その内容は竜にとって想定外のものだった。

 

 

「君は、ノイズ災害をその目で見たことがあるか?」

 

 

 

 

「?何が言いてえ」

 

「ノイズに炭化させられる人を見たことは?その人が発する最後の悲鳴を聞いたことは?炭化させられる直前の、あの絶望しきった表情を見たことはあるか?ということだ」

 

「……ねえな、まだ」

 

竜は直感的に一言も聞き逃してはならないと悟り、真剣そのものといった表情で聞きはじめた。

 

「だろうな。経歴にもそんなことは書いてない。せいぜい教科書で見たか人伝に聞いたくらいしかないだろう」

 

あとはシミュレーターで倒したものくらいのものか、と付け加える。

 

「つまりそういうことなんだと思う。まだノイズという、自分が倒さなきゃならない相手への理解が足りないから、実感がないんじゃないだろうか。」

「実感は大事だぞ。いざって時最後の最後で自分の力になるのは気合だ。その時に戦う理由がはっきりしてる奴ほど強いからな」

 

「実感……か。」

言われてみればそうだ。確かに戦うとは言ったし、徹底的にやるとも言った。だが肝心の戦う相手はシミュレーターの魂がこもらない再現だけだ。これならまだ人間相手に戦った方がマシじゃないかと思う。

 

「俺が好きな作品にな、丸太で特訓する主人公に対して師匠が叱りつけるシーンがあるんだ。こんなものは特訓じゃない、この丸太に、お前を憎み突き刺す心があるか……ってな」

「俺はこれが今の君によく合うと思う。ノイズに意志があるかは知らないが、自分に殺意を持って向かってくる緊張感はシミュレーターでは分からないものなんだよ」

 

 

今の君に必要なのは訓練じゃなくて実戦なのかもな……と呟いた。

 

蒙が啓けたような気持ちだった。なるほど確かにその通りだ。そうと決まれば早速。

 

「ありがとよ。お蔭で何をすればいいか見えてきた気がするぜ」

 

「ああ、力になれたようで嬉しいよ」

 

こいつは礼だと言い、二人分の金を置いて店を出る竜。その後ろ姿を見た達人は、

「慌ただしい子だな」

と苦笑いしながら店をゆっくり出るのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――

(きっとこれなんだ!!俺に足りなかったのは!!)

町を走る竜。望むものを見つけた嬉しさで足取りはとても軽快だ。このまま一気に二課本部まで行こうか、としたそんな時である。

街中でサイレンが鳴ると同時に、二課でもらった通信機が音を鳴らした。

 

 

 

『聞こえるか竜くん!今君の現在地の近くでノイズの出現を確認した!今地図を送るのですぐに現場に急行してくれ!奏と翼もじきに合流するから決して無理だけはするなよ!』

 

 

 

 

そこは先程の喫茶店の近くだった。

 

 

 

 

踵を返して走り出す。走る。走る。走る。

達人と別れてからそんなに時間は経ってないのですぐに現地に着いた。そこでは達人が逃げ遅れた民間人の捜索をしていた。

 

「おい達人!こいつは……」

「竜くんか!丁度いい、君に必要な実戦の場があっちから来てくれたようだぞ!」

「んなこと言ってる場合かよ!お前も早く避難しやがれ!」

「俺は命を守るのが仕事だ!命が惜しくて防人が務まるか!そんなことより見ろ!この炭の山を!」

 

周りには大量の炭。もしや。

 

「これ全部がやつらに殺された人間の成れの果てだ!いいか、よく目に焼き付けろ」

「敵を見たら考えるな!すぐ倒せ!敵はお前が考えるほど甘くない!」

「竜!彼らの死に様をよく見ろ!俺たちが戦う敵の恐ろしさを見ろ!!ノイズ共がどんなふうに罪のない人間を殺したか見ろ!!」

 

「もしお前が躊躇ったり迷ったりしたとき、命を落とすのはお前だ!そして」

 

 

 

「人類全体なんだ!!!」

 

 

 

そう言い終わるや否や、二人にノイズが襲い掛かる。竜は急いで聖詠を唱えギアを纏うが、達人を守るものは何もない。

 

「くそったれ!!!」

 

咄嗟に前に出て達人を庇う。アームドギアを手に何とか防ぐが、元々守りに向かない手斧では数の暴力は防ぎきれない。

 

そして――――――

 

 

 

あ、と呟いたのはどちらだったか。分からないが、その声は妙にはっきり聞こえた。

 

 

 

視界がスローになる。目の前で達人が次第に炭に変換されていく。

 

 

しかしその顔はまだ死んでいない。

「いいか……俺の死に様をよく見ておけ……」

「ノイズが俺をどう殺したかその目に焼き付けるんだ……」

 

 

 

 

そう言い残して達人は完全に炭と成り果てた。

 

 

 

 

 

 

「達人ォォォォォーーーーッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

そうか、ノイズに殺されるとこうなるんだ。

死体の一つ、衣服の一辺さえも残らない、完全な炭素への変換。

信じられない。この炭が、さっきまで談笑していた男の姿?実感というものがまるでない。

 

 

だけど、()()()()。こいつらは生かしておけない。

達人の敵討ちとか、()()()()()()()()()()()()

人を、人としてではなく、ゴミとして殺すこいつらは、存在を許してはいけない。

だから――――――

 

「ノイズ野郎!皆殺しにしてやるッ!!」

 

 

――――――――――――――――――

 

 

力がみなぎる。魂が燃える。体が熱い。

ここ数日で散々感じた、暴走の前兆。

 

――――――ふざけるな。こんなもので俺を縛るつもりか。

 

 

闘争心が膨れ上がる。本能が刺激される。

 

――――――てめえ、この流竜様を舐めてんのか。いや、現に舐めてる筈だ。なんせ今まで散々暴走してたんだからな。

 

 

目の前が赤くなる。戦いたい。戦いたい。

 

 

 

――――――もうあれこれ考えるのはやめだ。第一そういうのは柄じゃねえんだ。一発でかく当たって後は流れで行けばいい。

 

 

 

戦うのは、こんなにも――――――

 

 

――――――違う。違う違う違う違う違う!!!

 

 

「ふざけやがってえええええええ!!!!」

 

 

「いい加減にしろよこのポンコツがァ!エネルギー制御の一つだって出来やしねえのか!!」

「俺はな、こんなところでこんなもので足踏みしてるわけには行かねぇんだ!」

「あいつらは……ノイズ共は生かしておけねぇ!皆殺しにしなきゃならねぇ!!そのあるかも分からねぇ頭に、人間の恐ろしさを叩き込んでやらなきゃ気が済まねぇ!!!!」

「いい加減てめぇみたいなポンコツに構ってる暇はねぇんだよ!!!だから……」

 

 

拳を作った左手の手首を右手で掴み、前にゆっくり突き出す。左手にエネルギーで出来た炎が集まっているように見える。

 

 

「大人しく俺に使われやがれェェェェェーーーーッッ!!!」

 

 

 

 

手で自分の胸を叩く。それとともに鳴り響く轟音。体に取り込まれていく炎。

 

―――もう、闘争心はすべて胸から湧いたものに塗り潰されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「おらおらおらァ!!来やがれノイズ共!ぶち殺してやるぜ!!」

 

咆哮する竜。もはや奴らを皆殺すのにアームドギアさえ必要ない。腕甲に装着された刃を使えば、走り回るだけでノイズは炭と化していく。

 

(足りねえな……速度が足りねえ!だったら!!!)

 

そう思ったとき、マントは大きなバーニアへと変化、同時に右手の腕甲が変形し、ドリルが形成される。

 

 

「ゲッタァァァドリルッ!!」

 

 

ドリルを構え、ジャンプと同時にバーニアを吹かす。そうすれば面白いように前方のノイズが消えていく。

 

「ついでだ!ミサイルも持っていきやがれ!」

 

着地と同時にバーニアがさらに変化、ミサイルとなって飛んでいく。バーニアがあった場所には再びマントが生えていた。

 

 

爆発音。これでおおよそ殲滅したが、まだちらほらと残っているのが見える。

 

「逃がしゃしねえぞ!」

一喝し、マントを自分の身を包むように纏うとノイズのいる方向へ跳んでいき、

「ゲッタァァァ!ビィィィィィム!!」

マントの中で光線を放つ。するとマントで乱反射した光線は不規則な軌道でノイズへ向かっていき、爆発。

 

 

奏と翼が着いたとき、もうそこにノイズは一匹たりとも残っていなかった。

 

 

 

――――――――――――――――――

その声は全て二課にも届いていた。

 

「ゲッター、戦線に到着しました!」

「よし、回線を繋げ!すぐに竜くんを支援する!」

「竜ちゃん?竜ちゃん?聞こえる?……ダメです!こちらの声が聞こえていません!」

「何だとォ!?」

 

 

 

 

「これは……司令!竜ちゃんのバイタルが暴走時のものに近づいています!」

「くっ……こんなところでか!奏!翼!竜くんが暴走寸前だ!急いでくれ!」

二人の了解、という声が聞こえた。

弦十郎が「頼む、間に合ってくれよ……ッ!」と呟いた

 

その時である。

 

『ふざけやがってえええええええ!!!!』

 

あまりの大音声に機材がハウリングする。司令室の全員が思わず耳を塞いでいた。

 

『いい加減にしろよこのポンコツがァ!』

 

『大人しく俺に使われやがれェェェェェーーーーーーーッ!』

 

 

 

「これは……ゲッターのエネルギー数値、正常です!竜ちゃんのバイタルも元の正常値に戻っています!」

「まさか……この土壇場で制御したというのかッ!」

 

 

この知らせは二課スタッフにとっては嬉しい誤算だった。

加えて、

 

『ゲッタァァァドリルッ!!』

 

「アームドギア、形成しますッ!」

「まさか新しいアームドギアの形態ッ!?」

 

驚愕する了子。アームドギアが放つ技に応じて変形することはよくある。翼の蒼ノ一閃や天ノ逆鱗なぞはそのいい例だろう。

しかし今回は違う。手斧のアームドギアは格納していた。今回のこれは、ともすればギアの限定解除、あるいは新しいアームドギアの発現ではないだろうか。

 

(これはもしかして、鎌倉からの資料にあった、人の意志にゲッターが反応することの実例ということかしら……?もしそうなら実に興味深いわね…

 

了子は人知れず、まだ見ぬゲッターの力に、強く魅せられていた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

二人が到着したとき、竜は余裕綽々といった風で瓦礫の上に座っていた。

 

「よう、二人とも。ずいぶん遅かったじゃねえか。とっくに全部ぶっ潰しちまったぜ」

 

「竜!貴女……制御出来たの!?」

 

驚愕する翼。まさか行き詰まった次の日に突然出来るようになっていたとは夢にも思わなかったのである。

 

「まあな。随分遅くなっちまったが、これでようやくまともに前に立てるってもんだ」

 

翼も奏も、竜が戦士に変わったことを感覚で理解した。ゆえに心から笑う。新しい仲間の、新たな装者の、真の誕生を祝って。

 

「いいじゃんいいじゃん!どうやって制御したんだ?」

 

 

「そりゃあ勿論」

 

一拍置いて。

 

 

 

「気合だ!!!」

 

 

 

 

 

 

このときの竜の笑顔はこれまでになく爽やかだった。




早乙女レポート⑤

ゲッター線を研究していて私は一つの仮説を立てた。研究中、人の強い意志に反応してエネルギー量を増加させる、という作用が一度ならず何度か発生していることから、ゲッター線は人の意志に反応するのではないか、ということだ。実に興味深い。

また、地球の多くの事象にもゲッター線が深く関わっているのではないかという説も研究チーム内で生まれており、現在はこれらについての論文をまとめたいと考えている。



――――――もしも強すぎる意志を持った者がゲッターを扱えば、一体何が起こるのだろうか。



―――――――――早乙女賢博士より報告
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。