あおいまち、あかいうみ、はいいろのそら   作:タクネモ・シグレ

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序章『電子記録 [作:霧江 光 最終更新日:2029/11/24] 』

進化【しん-か】

[名詞]

1 生物が、周囲の条件やそれ自身の内部の発達によって、長い間にしだいに変化し、種や属の段階を超えて新しい生物を生じるなどすること。

2 社会が、未分化状態から分化の方向に、未開社会から文明社会へと変化発展すること。

3 事物が進歩して、よりすぐれたものや複雑なものになること。

(『Weblio辞典』より引用)

 

生物の進化とは、常に「外部からの変革」によってもたらされてきたものだ、と私は思う。

単細胞生物から多細胞生物へと変わり、目を持ち、手足を持ち、生命が地表に進出してからどれほどの時が流れたのだろう。私は、考えずにはいられない。

そして、その長い歳月の中で、生命は常に「外部からの変革」に晒されてきた。

強力な外敵の出現、火山の噴火、隕石の落下、大気成分の変化、気候の変動・・・その他、様々な要因があったことだろう。

我々人類が地球上を支配してからたった数千年。人間の社会活動によって大気は汚染され、気温は上昇し、自然環境も尽く変わる。

いや、誤解しないでほしい。

私は何も、「エコに努めよう」だの「自然を大切にしよう」だの、そんな甘ったるいことを言いたいわけじゃない。

ただ、君たち・・・そう、今これを読んでいる“君”に問いたいのだ。

 

忘れていないかい?

我々人類が、今の繁栄を手に入れるために進化したように

他の生命も、進化できるんだ。

 

“それ”に気づいたのは去年のことだ。

私の先輩である川田教授と共にミャンマーで調査をしていた。

現地の方々は皆、異国の人間である我々を温かく迎え入れてくれた。とても、感謝している。

さて、その調査の最中、私は奇妙なトカゲを見つけた。

それは、夜、1人で煙草を吸いに外に出た時。外の柱にトカゲがくっついている。いや、ヤモリじゃない。私も最初はそう思ったさ。だが、よくよく見てみると「くっついている」というより「爪で踏ん張っている」といった感じだった。更によく観察する。体調は5㎝ほど。背中の前脚の上辺りに奇妙な突起が1対。背骨に沿って1列だけ鱗が大きく発達していた。後脚の筋肉が前脚に比べて発達し、ちょっとジャンプできそうな感じ。こんなトカゲ見たことが無かった。だが、私の専門は昆虫類。私が知らないだけかもしれない。幸いにも、一緒に来ていた川田先輩の専門は爬虫類。

「捕まえて先輩に見せよう。」

その程度の気持ちで、そのトカゲを素早く掴んだ。

次の瞬間、妙な感覚が体を襲った。恐怖に似た感覚が体中を駆け巡った。明らかに動いていたんだ。背中の2つの突起が。まるで、羽の付け根みたいに。

そこで冷静な判断が出来なかったのが、私の未熟さだろう。思わず放り投げてしまったんだ。そのトカゲは闇夜に消えていった。

すぐに先輩のもとに戻って説明した。あまり真剣に受け止められてはいなかったが、しかし、私が嘘をつくような人ではないことも先輩は知っていたので、最後まで聞いてくれた。

だが、それ以降そんなトカゲは見つからなかった。

先輩曰く、「そういうのはいるのかもしれない。筋肉の異常発達か何かだろう。」とのことだった。

でも、あれ以降、そのことが引っ掛かり続けた。

実物は未だに見つからないので、こうして個人的に書き留める次第である。

まるで、進化の最前線に触れたような感覚。

私にしか、分からないと思うが。

あれは、そう、例えるなら・・・ドラゴンのご先祖様だろう。

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