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191X年 X月Y日 少将昇級 騎馬一頭贈呈 憲兵司令部司令官を解任
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名ばかりも此処に極まれりだな。
遂に左遷だよ。
いや、漸くと言った方が正しいか。
あの報告書を提出した次の日に出張と称して俺は現場の捜査指揮に引っ張り出されることになった。
現場っていうのは首都圏一円、その中のど田舎と今回の事件と似たような前例が古い記録として発見された奈良方面への出張だ。
ま、実質捜査本部は半月間足らずで解体されちまったわけだ。
奈良なんて仕事で行くのは初めてだな。
何たって昔住んでたからな。
…懐かしい記憶ではあるが、今はいいだろう。
それに、俺にとって大事なのは馬に乗れるってことだ。
これは嬉しい!部下は上手く"特別な権利"をもぎ取ってきてくれたらしい。
はぁ、二度目の将官昇級には期待していなかったが馬に乗れるというなら悪くないかもしれんな。
お高い椅子で寛いで1日が終わる、そんな司令部での日々を懐かしむまではのんびり働くとしよう。
「ふわぁぁ……。まずは、家に帰って寝ないとな。」
いくらなんでも徹夜で十一連勤は辛かった。
二十年分の記録を調べ上げるのはもう懲り懲りだ。
お上から頂いた馬は明日家に持ってくるよう指示したから良いとして…家族になんて説明しよう?
ついて行く!っていう気がするんだよなぁ。
お前と息子に苦労はかけたくないから、家で静かに待っていなさい。
そういうつもりなんだが、そう簡単に折れてはくれないだろうな。
コンコン!
思考に耽りながらも馴染んだ執務室に別れを告げようと荷造りを進めているとドアが鳴った。
「入れ!」
「はっ!斯波中尉失礼いたします!」
「何事か?」
「はっ!件の裁判が始まったとのことです!」
なぁにぃ?
「ずいぶん早いな!」
「いかがいたしますか?」
「馬をもてい!今すぐ行く!」
早速馬が活躍だな。
東京圏内で助かったわ。
それにしてもやたらめったらやることばかし増えるなんて災難だぜ。
まだ家に帰ることは出来なさそうだ。
「調書は鞄に入れてくれたか⁉︎」
「はい!確かに!」
「よぉし!こう見えて俺は奉行仕事も上手いからな!ちょいと行ってくる!ま、今回は代理弁護人だけどな。」
「はっ!お気をつけて!」
「あ、…すまーん!「すまない今日も帰れそうにない子供達を宜しく。」そう"琴葉"に伝えといてくれ!」
「奥方にでございますね?」
「あぁ!手ェ出すなよ!」
「閣下に誓ってー!」
「それじゃ言ってくる。任せたぞ斯波ァー!」
俺は言い切ると本部の扉を蹴破る勢いで駆け出した。
ドドドドド!
家にこそ持ってきていないものの憲兵本部にくくりつけてあった貰い物の馬に跨った俺は、街路の凡ゆる障害物を飛び越しながら目的地に向かった。
「待ってろよ俺の僧友!」
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「これより、裁判を開廷する。」
「被告人 悲鳴嶼 行冥。被告は"日の出山殺人事件"において男性一名を極めて残酷に殺害し、その遺体を遺棄した罪に問われており、今裁判の弁護人が欠席しt「異議あぁりっっ!!!!」…閣下、昇級おめでとうございます。だいぶ遅い到着でしたな。」
「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!…え、ぇぇえ!少々手違いがありまして!少将だけに!」
シーン。
「…ゔっうん!それでは、本裁判の弁護人が確認されましたので、改めて開廷を宣言します。」
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…
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……………
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「よって、被告人は有罪であると判断すべきです!」
「遺体が欠片も残さずに消えてしまったなどということは荒唐無稽な作り話に違いありません!」
「それは誰よりも貴方がご存知なのではありませんか?当時の事件の現場指揮を行い、周辺の捜索、警備責任者をされていた運大佐…おっと失礼しました。運少将閣下!」
「異議あり!」
「運弁護人の異議を認めます。」
「先ず、被告人の有罪を明確に示す証拠は物的証拠をふくめて全くありません。検察側が示している証拠はあくまで当事者以外の人間による証言に過ぎません。」
「その証言もまた人を激しく殴っているのを見た、と言うことと子供が怪我をしていたという目撃情報のみです。」
「しかし!これらには大きな矛盾があります。それは何か?簡単です。何故、子供が怪我をしているにもかかわらず一人として命を奪われた者がいないのか!また、被害者とされる男性は本当に被害者なのか?という事です!」
「私が今回持参しましたこの"調書"には、現在法廷に示されていない証拠がございます。これはある意味決定的なものといえます。」
「弁護人にその証拠の提示を求めます。」
「はい裁判長。どうぞ、こちらです。」
「…これは供述書類ですか?」
「はい。それをレコード盤に録音したものがこちらになります。」
「録音⁉︎それは証拠として認められるのですか⁉︎」
「前例がありませんが…確かに証拠としての質は高いと考えられますので、証拠としてレコード盤の提示を許可します。」
「常識はずれだ…。これだから英雄殿は…。」
「…それでは、どうぞお聞きください。」
運ばれてきたレコード再生機器にレコード盤を載せると、運は慎重に針をおとした。
………………ジジ……
「それでは、沙代ちゃん。これから行冥さんに関してお話ししてくれるかな?」
「は、はい。」
「怖がらないで。こんな固い服装をしてはいるけど一応会ったことがあるだけどなぁ。覚えてないかな?」
「あ!あの時一緒に遊んでくれた?」
「そうそう!僕もお坊さんだったからね。」
「行冥さんと一緒だね。」
「そうだね。僕は彼ほど徳を積めたないんだけど…」
「ふふふ。面白いお坊さん。」
「あの日、僕が沙代ちゃん達のところに着くまではどんなことがあったの?」
「えっ…えっと…。…お、鬼。」
「鬼?(ここでも鬼?)」
「鬼…こ、怖いの。」
「うん。ゆっくりでいいんだ。でも、どうか行冥さんのためにも僕に何があったのか教えてほしい。」
「…行冥さ、ん。行冥さん、が、私たち、を……」
「うん。うん。ゆっくりでいいよ。」
「みんなを、襲ってきた鬼を…」
「うん。うん。」
「行冥さんが…グス…行冥さんが!みんなを、私を鬼から守ってくれたの!」
「私、なのに怖くってみんなも、私も怖くって…それでッ!…ゥゥうわぁぁんっ…うぅぅ…ごめんなさい!ごめんなさい!」
「守ってくれ、守ってくれたのにぃっ!私、行冥さんがひ、人を、殺したって!言っちゃったの…でもっ違う!違うの!」
「ごめんなさい…。」
「…あ話してくれてありがとう。もう無理はしなくていいよ。泣いていいんだ。」
「ひっぐっ…ひっぐ…うっ、うんっ、グスッ…」
「もうお休み。ゆっくり眠りなさい。あとは僕に任せて、ね。」
「お、お願いします!行冥さんをっ。わたじっ行冥ざんに…謝りだいっ…!」
「大丈夫、その時は一緒に謝ろうな。だから、さぁもう今日はみんなの所に行って眠ろうな。おやすみなさい。」
………………ジ……
「被告人。今の沙代というのは貴方の関係者として間違い無いか?」
裁判長は気付けば滂沱の涙を流していた被告人に問うた。
「…間違い…ありませんっ。間違おう、はずがっ!ありませんっ!」
「…鬼というのは子供から見た今事件で被害者だと思われていた男を指す言葉だと考えて相違ないでしょう。頭の両脇に蝋燭をくくりつければ幼児からしたら鬼にも見えましょう。いえ、そんなことをしなくとも、命を脅かされる恐怖から鬼に見えたと考えても責められることではありますまい。」
「…検察官、異議申し立てはありますか?」
「いえ。ありません…。」
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「では、判決に移る。」
「被告人 悲鳴嶼 行冥 を無罪とする。今回は不可解な点がかくも多かったことを除いて概ね検察側の尚早な判断への改善を求めたく思う。行冥殿、あなたの僧侶として以上の猛々しい勇気は賞賛されて然るべきでしょう。冤罪を回避することができたのは閣下と少女沙代の功績としましょう。」
「それでは、これにて閉廷!」
何と言うか鬼滅は描きやすいかも。
鬼滅の世紀は二話三話ストックが出来たので、出来ればfateの方を明日中に投稿できるようにします。