マクシミリアンが現世に転生した場合   作:皇ひびき

11 / 27
11

今日出逢ったばかりのみことの家に上げてもらえる事になり、かなり俺は浮かれているらしい。

 

けれど、この調子で家に男をあげているなら、こんな可愛い生き物が襲われないはずないのでは?と、心配になり聞いてみると、「普段はしませんよ!これは夢オチ展開なので!」と胸を張って言われた。

 

夢オチとは?と思ったが、後でスマホで調べよう…。この無防備さがなくなるのは、俺としても困るのだ。

 

「ここに座ってちょっと待っていてくださいね?」

 

みことにそう言われ、おとなしく案内された部屋のソファに座り、先程気になった『夢オチ』とやらをスマホで調べてみる。

 

『……。彼女は今を現実の事だと信じてないから、こんなにガードが甘いのか…。前世の俺が好きな彼女。前世の俺だけ呼び捨てなみこと……、少しゲームの俺に嫉妬してしまうが…』

 

調べた瞬間に彼女がそばにいなくて良かった。

つけ入る隙きを見つけた俺は、うっそりとした笑みを浮かべた。

 

みことに言われ、おとなしく待つこと数分、何やらみことが向かった先で凄い音がしている。

 

心配になりそちらへ向かうと、お茶を淹れようとしてくれたのかもしれないが、緑茶らしき物が床にぶちまけられていた。

これは……周りがキッチンに立たせない訳だ。

 

 

「みこと?私がお茶を淹れましょう。あなたはいい子にそこの椅子に座っていてくれますか?」

 

そう言うと、視界に入った掃除用具で床に散らばった茶葉を集め始める。確か賞味期限の過ぎた茶葉は、肥料の代わりになると見た。後で畑に撒くか。

 

「でもお客様だし……」

頬にキスを落とすと、動揺した彼女は「ふぇ?」っと声を漏らし、静かになる。

 

「そうですね…。私が作る料理やお茶がお口に合えば、私をあなたの婚約者にしてください。 貴女に一目惚れなんです、お嬢様。 それともご褒美にキスをこの駄犬にくださいますか?」

 

みことの耳元に唇を寄せ、わざと低めの声で囁くとみことの身体はビクリと跳ねた。

 

「マクシミリアンとキス……婚約……。夢でも幸せそうですねぇ。現実ならひとつ返事ですよ〜。こんなの目が覚めたときにつらいな…。推しの色気が辛い…」

 

ふむ、無意識に呟いたらしい言葉から察するに、恥ずかしいだけでキスも嫌がってはいないのか…。遠慮はしないで頂くよ。

 

みことの後頭部に手を回し、俺は彼女の顔を引き寄せ、啄むようなキスを柔らかな唇に何度も何度も落とし、仕上げたとばかりに彼女の下唇をなめ上げた。

緊張のあまり息を詰めていたのか、はふはふと荒い息をしている彼女も愛らしい。

 

少し潤んだ瞳で俺を見つめるみこと。

「続きはまた後で…」そう言うと、みことは恥ずかしそうに下を向いた。

もっと触れ合いたいけれど、彼女を空腹のままにしておくのは可哀相だ。

 

「まずは食事を作りましょうか。待っていてくださいね」

 

買ってきた材料も合わせて、野菜たっぷりのポトフを煮込み食材に火が通ったら、火を消して味を染みわたらせる。ずっと加熱するより味が早く染み込む。

 

家にある調味料でドレッシングを簡単に作り上げ、仕上げにパスタソースの作成にうつる。

 

鍋に水を張り、沸騰するまで盗み見るようにみことを見てみると、頬を染めながら唇に指で触れたり、両手で顔を覆って動きが挙動不審になっている。

 

そんな彼女に喜びを感じつつ、俺は料理を完成させ、彼女に料理を振舞うのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。