私は本屋で買ってきた書籍をその手に、持ち胡蝶の恋をプレイしてみればわかるよね。
「ゲーム機がおいてあるお部屋に案内しますね!」そう言い、私は歩き出す。
私はマクシミリアンさんが入れてくれた緑茶を、部屋まで持っていくと言って言ったんだけど、なんだかんだと理由をつけられ、マクシミリアンさんがもつことに。解せぬ……。
いいもの!私はお宝本運ぶもの。
後で素敵スチルをたくさん見せつけてしまおう。
布教のチャンスだし!
そんなことを思いつつ、良く入り浸ってる部屋前に到着した。
「ここです!」と言って扉を開いて入っる私。
ちょっと暗いから空気の入れ替えもしたいし、カーテンと窓あけよう!
ふと見ると、ちゃぶ台の上にマクシミリアンさんはお盆を置いていた。
暗いのでカーテン開けますね〜と、声をかけ光を入れてうんうんと頷いた私が、マクシミリアンさんを振り返ると、何やらぽかんとしたお顔をしている…。
イケメンはどんな表象しても、イケメンですね。
あ、ポスターとかフィギュアとか、めっちゃ貴方似のものたくさん貼ってありますしね。
二次元でストーカーされてる気分になった!?
やらかしたな…。
なんだかポスターを見ているうちに彼の表情がなくなっていく。たまにクールを通り越してこわいお顔になる事があるのよね。
特に全員の姿が描かれているポスターに目をやったあとの変化は痛々しく見えた。
無表情に見えるけど、なにか泣いてるみたいにみえてしまったから、つい彼の頬に手を添えた。
「大丈夫ですか?」
私は、おどけてなんと声をかければいいのかわからずおどけて言う。
「オタク部屋過ぎて、びっくりさせちゃったかな?それに今日この島に来たばかりなら疲れてますよね……。ご飯まで作ってもらっちゃったし…」
「ありがとうございます、確かに圧倒はされましたが、問題ありません」
頬を緩めて笑ってくれるけど、なんだか顔色が悪い。
「でも少し休んだほうが良くないですか? けど、この部屋にはクッションとか置いてないんですよね…。膝枕とか…、あはは…なんてね。憧れシチュエーションなので言ってみましたが恥ずかしいですね!何言っちゃってるんだろ…。クッション持ってきます!」
そう言って立ち上がった私の手首をマクシミリアンさんが掴んだ。
「貴女に…甘えても良いですか? 何故か貴女に触れていると心が安らぐのです。初対面の男にこんな事を言われても、貴女は困るのでしょうが…」
心做しか、掴まれた手首から体も少し震えているように感じる…。
私は、手を広げて抱きしめて背中を撫でる。
少しでも気持ちが楽になるように。
「何かわからないけど、ずっと辛かったんですね。大丈夫ですから…。きっと解放されますから……」
気休めにもならないし根拠もないこと言ってるな……と思うけど、少しでも元気になってくれればいいなって、私にはそれしか考えられなかった。
もしかしたら辛い事を抱えているんだろうな。
見ず知らずの私にだったから、抑えてたものが溢れちゃったのかな。
ここに来たのはきっと気晴らしの旅行だもの。
夢なんか見ないほうがいいんだ、きっと。
私は彼に愛されたらって、ほんの少し夢を見てたけど、その思いは口に出さずにしまい込もう。
迷惑かけたくないから。
ひと時、傍らで笑っていてくれたら、それで諦めるから。
ちょっとだけ、瞳に涙が溢れそうになるけれど、彼の前では明るくしていたいから、泣いちゃ駄目……と私は自分自身に何度も言い聞かせていた。