マクシミリアンさんは、ゲームを始めてから静かに見ている。
楽しいのかな??
私一人で楽しんでたら申し訳ないなぁ。そんなことを思いつつ、次のイベントを起こすために、魔術や勉強のスケジュールを組んで行う。
イベントそろそろかな〜、なんてニコニコとゲームの操作をしてしまう。ゲームは久々にやるけど、楽しいなぁ。
次はお祭りにヒロインと行くイベント!
今回は悪役令嬢ビアンカも顔を出してこないから、満喫できるイベントだ。
「マクシミリアンさん……、良かったら私と夏祭りに行きませんか?」
頬を染めながら、ヒロインのシュミナはマクシミリアンに声をかける。
「構いませんが……」画面上のマクシミリアンがそう返すと、シュミナは嬉しそうに微笑んだ。
「では次の休みに!」
「ではまた」
そう別れを告げる声を聞くと、次の休みまで時間をすすめる。
マクシミリアンさんの声にやっぱり似てるなぁ。
ふと、彼の座っている所に視線を向けると、目があって無表情だった彼の顔にふわりと笑みが溢れる。
やっぱりふとした表情とか好きだなぁ…。
私なんて相手にしてもらえる訳ないけれど。
楽しかった気持ちが萎んでいきそうなって、ふるふると頭をふり、気持ちを立て直す。
「ふぇ?」
背中全体に温もりが広がって、何が起きたかわからない私は、後ろを振り返ると唇が触れ合いそうな程近くにマクシミリアンさんの顔があった。
抱きしめられてる上に私の肩に顎を載せてるとか……。
本当に距離が近すぎないかな。
「嫌ですか?」
嫌なわけはないけど、恥ずかしいしズルい……。
余裕のない私は、そうしてゲームを進めていく間にも、彼の表情がどんどん抜け落ちていくのに、気がつかないままだった。
ドキドキしちゃうし、期待してしまいそうになる……。
そんな気持ちを飲み込んで、ただのぬいぐるみ扱いだから。飽きたら離れてくれるだろう。
そう思い込むことでこの場をやり過ごした。
ゲーム……、夏まつり……。
西洋風のお洒落な屋台にクレープやケバブ…、に飴細工、美味しそうなお店を前に、ヒロインと楽しげに過ごす最推し。
フルーツとクリームがたっぷり入ったクレープをヒロインに手渡す。
マクシミリアンが受け取ったのは、スチルからもわかる程チーズ以外、肉々しい……物ばかり挟んであった。
本当にお肉好きなのよね……。
人気の少ない場所に移動し、普段の執事服とは違うラフなジャケットから、ハンカチを取り出しベンチに敷く。
「ここにお座りください」などと、席を用意してくれて格好いい!
「このイベント好きすぎる! この態度とか!! 冷たそうに見えるのに紳士的だとか! 洋服の裾を握らせて移動とか、ピュアさも垣間見えて、本当に好きなんですよ〜!」
ん? 気のせいかな? 後ろで私を抱きとめていた、マクシミリアンさんが、ビクリと反応したような…。