肩のあたりから「あいつがピュア……?あれが?」と納得できないような事を、呟いているマクシミリアンさんの声…。 え? 私そんなに変なこと言ったかな?
「え…、だって王子達とはこの頃には、もう手を握ったり腕組んだりしてるのに。 お洋服の裾を掴ませるって……! 後半そんな彼から触れてきてくれるんですよ!? なんかグッ!ときませんか?」
そう感じたことを伝えると、何故か「ぐっ……」と小さなうめき声が聞こえてきた。 男の人だとまた感じ方が違うのかな〜…、悪いことしちゃったなぁと思いつつ、イベント発生に必要な勉強の選択実行をこなしていく。好感度を上げるために勉強を教えて貰いに行ったり。
悪役令嬢にいじめられたり。慣れ親しんだ作業を進める。
私は何度かスチルをコンプリートしたくて、ハーレムルートもやったけど…。 やっぱり私は一人に一途なシュミナちゃんの方が好きだなぁ…。
あ!条件をクリアしたみたいで、放課後にイベント画面に切り替わった。
「マクシミリアンさん次のイベント来ますよ〜」
そう伝えると嫌々と表現するように、肩に頭を擦り付けてくる彼。 ふわりと爽やかなミントの香りが鼻をくすぐる。 好きになっちゃ駄目だよって思うのに…。 胸が高鳴る。
すごく素敵だけど…、こんな風に距離感近くて、優しくされたら私みたいなモテない子は誤解しちゃうよ? 誤解させる態度を無自覚に取る彼は、罪な人だなって思う。
学園の庭園内でマクシミリアンとシュミナの二人きりでデート。
不意にマクシミリアンが振り返り、シュミナを抱きしめ余裕なく口づけるキスイベント!!
「はわー、何度見ても好き〜! 普段クールな彼が気持ちを抑えきれなくて!って感じで!! その後やってしまったと言うみたいに、動揺して口元を覆い隠すの!!」
マクシミリアンさんは、私の肩に顎を乗せ無言で私を抱っこしたままだ。
「どうかしましたか?」
顔が近いのを忘れて、問いかけながら振り向く私。
マクシミリアンさんが、ゲーム画面を見つめたまま、チベットスナギツネのようなお顔をしている……。 イケメンが台無し…とはならないのはずるいな。
そして顔の近さと、一瞬唇に触れた気がした、柔らかいものに顔が火照っていく。
『あれ? 男女でこういうの見るのは、普通に居心地悪いよね!? あれ? これ私がセクハラしてたりするの!?』
今まで気がつかなかったけど……!
「ごめんなさい。 こういうの人と見るの苦手だったりしますか? 私なんにも気がついてませんでした…」
趣味に没頭して、嫌な思いさせちゃったのかもしれないわ…。 ちょっと自己嫌悪で泣きそう。
「ん?」
私の変化に気がついたのか、ゲーム画面から視線を外し私を見る彼。
「みこと…!? 私がなにかしましたか?」
急に焦った様に、私を抱き上げ彼のお膝に横座りに座らせる。「泣かないでください!あなたに泣かれると俺はどうしていいか、わからなくなる…っ」
マクシミリアンさんはそう言いうと、私の頬に手を当て、両手で気づかないうちに溢れていた涙を拭い取っていく…。
「ふぇ……!? お膝に乗せるとかは彼女さんの場所では!?」
思わず大きな声で言ってしまい、「顔を洗ってきます」そう言ってこの場から逃げ出した私だった。