「みことはこのあと忙しいのですか?お時間があれば、私とお茶にでも付き合ってもらえると嬉しいのですが…」
こんなにふわりとマクシミリアンが笑いかけてくれるのはヒロインでも後半の方だったはずなのに、なんて都合のいい夢なのかしら。
「はわっ!推しがめっちゃ笑顔でお茶に誘ってくれるとか……。課金…!課金…どこにすればいいのっ!?」
この財布をマクシミリアンさんに課金するしか!?そう思い、財布を差し出そうとしたら、マクシミリアンさんに怪訝そうに見られた気がして、お財布を引っ込めた。
「推しとはなんですか?」
無意識に口に出していたみたいで、キョトンと首を傾げたマクシミリアンさんが、それはもう可愛くて格好良くて、私本当に悶絶しそう…。
「ふぁ〜…、聞こえてますよね。ごめんなさい。大好きなゲームの大好きなキャラクターにマクシミリアンさんがとても似ていて……、ゲーム画面からそのまま出てきたって言われても、信じてしまうくらい似ていて、なんかテンションがおかしくなっていてごめんなさい……。こんなこと言われても、その……引いちゃいますよね……?」
マクシミリアンさんは、私のそんな言葉を聞くと、やら考え込んでしまったみたい。
変な事をいってる自覚はあるのだけれど、彼が考え込んでしまう様な事を言ったかしら?
思い当たるフシが見当たらなくて、私も考え込んでしまう。
「胡蝶の恋とか言う作品ですか?」
まさかマクシミリアンさんの口から、大好きな乙女ゲームの名が飛び出してくるとは思わず、同志同志なの!?勝手にテンションが上がってしまう。
「ご存知なのですか!?その中に出てくる悪役令嬢ビアンカの従者のマクシミリアン・セルバンデスが〜、私本当に大好きで!! マクシミリアンさんは、雰囲気だけではなくどことなく声も似てるし、雰囲気も似てるし名前まで似てるから、すごくビックリしました!」
マクシミリアンさんは少し逡巡してから言った。
「知人から聞いた事があるだけなんだよ。だけど少し興味があってね」俺がそう言うと、みことは嬉しそうに笑った。
うわ〜!
ゴージャスだなぁ!最推しによく似た人と、マクシミリアンのいたゲームの話が出来ちゃうとか!!
しかも外国でも人気って聞いてはいたけど、本当なんだと嬉しくなる。
普通じゃ遭遇できないイベントが、てんこ盛りすぎて…! うわー、うわー!!脳内が大変なことになってる自覚はある。少し落ち着こう私……。
少しの間黙っていた彼が、口を開いた。
「そのゲームだと、ビアンカ嬢が毒殺される展開なんてあったりしますか?」
なんだか真剣な表情で聞かれたので、私も記憶を引き出そうと試みる。あれは確か……。
「はい!確かパラディスコ王国って国の王女ミルカに毒殺される展開があった気が…!マクシミリアンさんもお好きなんですか!? 乙女ゲームっ!意外だけどなんだか嬉しいです!」
まさかのマクシミリアンさんが、乙女ゲーム知ってるとか誰得なの!?あ、私が嬉しいか。色々話してみたいなぁ。
「ゲームのマクシミリアンは、魔法を使えたりするのでしょうか?」
何故か真剣な顔で更に質問されたので私は答えた。
やった事無くたって興味持ってくれるなら一緒に遊べるかもしれないしっ!
マクシミリアンさんに失礼かもしれないけれど、私の中では同士のような存在になっていた。
「確かマクシミリアンの魔法は…、闇と火と風だったと記憶してますけど…。 でもマクシミリアンの幼少期の回想シーンで、あの闇魔法で黒い犬が影から、たくさん出てくるんですけど! あれが子犬や子猫で出てくるなら、もふもふ天国で素敵だなぁって思ってました! それに恐れられる魔法だって使う人の心次第でしょう?」
マクシミリアンさんは、少し驚いた顔をしていたけど、なにか考え込んでしまったみたいだった。