メゼポルタ小話   作:通りすがりのめいりん君@すきょあ

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少しだけエグいシーンがあります。
少しだけ。


雪山の異常

「フローラちゃん!前に出すぎだよ!」

「わ、ご、ごめんなさい!」

「無理しちゃダメー!今日はチルカも一緒なんだからオモイ&ヤリーで狩りをするんだよ!」

 ここは雪山。1年を通して雪が無くなることのない豪雪地帯。

 フローラと、そのサポートに来たチルカは大量発生したフルフルを狩っていた。

「ビリビリしちゃっても離れてたら助けられないよっ」

「そ、そうですよね」

 既に100体近くを討伐した彼女らは体を休めるために一度、BC(ベースキャンプ)へと戻り武器の手入れを行った。

 特にフローラの武器は消耗が激しく、幾度となく砥石を使っているため刀身が痩せてきている。

「ねー。一度戻ろうよー。チルカ疲れたー」

「ダメですよチルカちゃん!このフルフル達が成長しきって巣立ってしまったら各地の生体が乱れてしまいます!」

「でもフローラちゃんも現界だよー!」

「私なら大丈夫です。武器だってちゃんと研いだのでまだ斬れますよ」

「でもー…」

「さあ、行きましょうチルカちゃん」

「ま、待ってよー!フローラちゃん!」

 余裕がないのか、サクサクと前に進んでいくフローラをチルカは慌てて追いかけた。

 彼女達が狩っているフルフルは、まだ完全な成体ではなくフルフルベビーと成体のフルフルの間くらいの小さな個体で、特殊個体もG級個体も居ないためレジェンドラスタである彼女達にとっては本来、驚異ではない。

 問題はその数が膨大だということ。

 暴風龍クシャルダオラの抜け殻で成長した300匹は居そうなフルフルベビーがランポスやブルファンゴを食い散らかし、共食いをしながら急激に成長し始めたのだ。

 共食いである程度の数を減らしてはいるものの、その数はおよそ200体。今はまだ雪山の中で収まっているが、これが沼地や火山に広がってしまえば生態系が狂うのは目に見えている。

 そのためフローラの言うように全て討伐してしまおうというのは間違いではない。

 だがフローラは自身の無理に気づかずに狩りを続けている。普段の彼女であれば痩せてきた武器など続けて使おうなんて言わないはずだ。

 ハンターにとって武器は己や仲間を守るための道具であり、相棒。

 そんな武器を疎かにした者の末路は想像に難くない。

 フルフルが首を伸ばして噛みつこうとするのをフローラが剣でいなそうとした瞬間。

 ―バキッ

 という鈍い音とともに剣が折れた。

「なっ!?」

 武器が折れた衝撃で一瞬だけ意識が目の前のフルフルから離れてしまったフローラは次の瞬間、ムチのように振り回されたフルフルの頭を、横合いからまともに食らってしまう。

「フローラちゃん!」

 盾を持つ腕が不自然に曲がり、吹っ飛んだフローラは受け身を取ることも出来ずに雪の上を転がる。

 そんなフローラを捕食しようとフルフルが近づく。

「やっ…。こないで…!」

 倒れたまま折れた切っ先をフルフルに向けるフローラの顔は恐怖に満ちていた。

「フローラちゃんに近づくな!!」

 フローラが吹き飛ばされたと同時にフルフルへ駆け出していたチルカが渾身の力でフルフルの頭に狩猟笛を叩きつける。

 殴った反動で少し狩猟笛が跳ね返るが、チルカは力技で反動を殺し、もう一度フルフルの頭に狩猟笛を振り下ろした。

「っ!!!」

 ぐにゃり、と肉の潰れる鈍い音がしてふるふるの頭が陥没し、フルフルは声もなく倒れ伏した。

 フルフルが倒れるのを見届けること無くチルカは狩猟笛を担ぎ直してフローラの元に駆け寄ると、モドリ玉と呼ばれるアイテムを使ってフローラと共にBCへ戻った。

「フローラちゃん!これいにしえの秘薬!飲んで!」

 狩猟笛をほっぽって、フローラを抱きかかえるとチルカは苦悶の表情で悶えるフローラの口に粉末状の薬を運んだ。

「ガハッ!?」

「お願い!飲んで!今すぐならまだ間に合うはずだから!」

 チルカはフローラに回復薬G2と呼ばれる最上級の液薬もフローラの口に運びいにしえの秘薬と一緒に流し込ませる。

 フローラはむせそうになりながらも何とか薬を飲みきり、いくらか苦悶の顔が和らいだ。

 そっとフローラをベッドに寝かせたチルカはすぐさま帰還の笛で気球を呼び寄せ、フローラをメゼポルタへと帰した。

 1人雪山のBCに残ったチルカの瞳には怒りと憎しみで濁っていた。

「フローラちゃんをあんな目に合わせて、絶対に、許さないっ!」

 その後、チルカは単独で雪山に挑み残りのフルフルおよそ100体を討伐し帰還した。

 帰還後のチルカを見た受付嬢達は一同にこう語る「チルカの向こう側を見た」と。

 

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