涼宮ハルヒと千反田えると雪ノ下雪乃が入れ替わった 作:時夜 蒼真
なし
閉鎖空間内
涼宮ハルヒ キョン 千反田える 折木奉太郎 雪ノ下雪乃 比企谷八幡
北高エリア
校庭
キョン「校庭まで来たのはいいんだが。もう神人のせいでめちゃめちゃだな。ハルヒのやつは、いた! 野球のネット側! あそこまで行くには大量の神人を掻い潜らなければいけないが!」
ドォン!!
キョン「あぶねっ! そう簡単にはたどり着けそうにないな」
総武高校エリア
校庭
八幡「寒っ! なんだこれ! 今の時期こんなに寒くないはずなのになぜ。まあ、どうみたってこの吹雪の壁が原因だよなあ。名前に雪多めだからってちょっと多くしすぎじゃないですかね。これじゃバナナで釘打てるぞ。」
(あいつの抱えてる問題。あいつが元の世界を捨ててでも手に入れたいなにか。それが何か俺にはわからない。)
神山高校エリア
校庭
奉太郎「さて、蔵の前まで来たが、千反田いるのか」
千反田「折木さん……ですか?」
奉太郎「ああ。ちょっとめんどくさいことになってな。」
千反田「折木さんは……なんで私がここにいるのか知っていますか?」
奉太郎「いや、知らない」
千反田「そうですか……私は、私は籠の中にいました。」
奉太郎「……」
千反田「生まれた時からずっとその中にいたんです。」
北高エリア
キョン「ハルヒ!! 聞こえてるんだろ!!」
ドォン!
ドォン!!
キョン「クッソ! あのやろう的確に俺だけを狙ってきやがる。あいつ自分でこいつらを動かせるようになったのか!?」
ドォン!
キョン「拉致があかねえ!」
(こうなったら最後の切り札を……いやしかし……)
総武高校エリア
八幡「中はもっと寒いな。目の前真っ白でなにも見えねえし。あー早く帰って小町が作ったあったかいご飯食べてぇ。具体的には麻婆豆腐。」
(もし雪ノ下が俺に理由を話した時、俺はそれを否定する権利はあるのだろうか。世界という巨大な代償を払ってまで手に入れたいもの。それに向かっている彼女を果たして俺が止めていいのだろうか)
八幡「寒いと思考能力落ちるな。今さっきから何回も同じこと考えてる気がする。無限ループって怖くね。」
神山高校エリア
千反田「どれだけ籠の中を飛んだとしても最後に留まる止まり木は決まっていた。でも私はそれでも構わなかったんです。いえ、もしかしたら心のどこかで嫌だったのかもしれない。でも……受け入れるしかなかったから……」
奉太郎「そうか……」
千反田「そんな私に折木さんは今まで色々なことを教えてくれました。私が思いつきもしないようなことを色々教えてくれました。だから……だから教えて欲しいんです。続きを、あの時聞けなかったことを。私は、私はどうすればいいんでしょう。自由に生きろって言われても……好きな道を選べって言われても……そんなこと言われても」
奉太郎「……」
千反田「いまさら翼といわれても、困るんです。」
北高エリア
ドォン!
キョン「ハルヒ! 不満なら聞いてやる! 一日中不思議探索に駆り出されても文句も言わねえ!! 喫茶店ぐらいなら奢ってやるから!! 話を聞いてくれぇ!!」
ドォン!!
キョン「くそっ! ダメだ! 全く話にならねえ!」
ドォン!!
キョン「ええいこうなったらやけくそだ!! 世界がどうなろうと知ったことか!!」
ドォン!!
キョン「ハルヒ!!」
ドォン!!
キョン「四年前の七夕! あの日お前は校庭に忍び込んで出来損ないのナスカの地上絵を描いた! 夜の学校に忍び込んだのはお前だけじゃなかったはずだ!」
ドォン!
キョン「くっ! その時、女の子を背負ったおとこがいっしょだっただろう!」
ドォン!!
キョン「うぉっ! お前はそいつと絵文字を描いた! そしてその内容は多分! 私は、ここにいる!」
ピタ
総武高校エリア
八幡「あーさっむ、てかそろそろ感覚なくなってきちまったぞ。これ風呂入ったら痛いだろうなぁ。探しても探しても雪ノ下はいないし、吹雪は落ち着く気配もないし。はぁ、おーい!! 雪ノ下!! いたら返事しろ!!!」
雪乃「比企谷くん、、なぜ来たの。あなたもしかして私のストーカー?」
八幡「え、なにこれ頭に直接呼びかけてんの? どこいんのか全然わからないんだけど」
雪乃「いいから出でいきなさい。このままだとあなた、低体温症で死ぬわよ。」
八幡「じゃあ止めてくれないこの吹雪。」
雪乃「嫌よ」
八幡「あっそ。で、なぜこんなことに」
雪乃「私がしたことじゃないわ」
八幡「始めは涼宮だったのかもしれないが、だからといって何も知らないわけではないだろう?」
雪乃「そうね……あなたには話しておいた方がいいのかもしれないわね。どうしようもないことだけれども。」
神山高校エリア
奉太郎(彼女は今まで見て見ぬ振りをしてきたこの問いに俺なら答えられると期待しているのだろう。それは虚妄だ。俺は全知全能じゃない。たまたま少し運がいいだけの一介の高校生に過ぎないのだ。だが、俺はこの問いから逃げられない。いや、逃げちゃダメな気がするのだ。ふと、今回の事件がなぜ起こされたのかわかった気がした。)
北高エリア
ハルヒ「……なんで、どうして知ってるのよ! いったい誰に聞いて、いいえ、私は誰にも言ってない、なんであんたが、キョンがそんなことを知ってるのよ!」
キョン「ハルヒ! 俺は、俺は! ジョンスミスだ!」
ハルヒ「ジョン、スミス……あんたが? う、うそよ、、だってジョンは……四年前に会ったのに……」
キョン「本当だ。俺がジョンスミスだ。あの時、俺は時を超えてあそこにいたんだ。」
ハルヒ「そんな、非科学的なことがあるわけない……」
キョン「現に今こんな非科学的なことにあってるじゃないか」
ハルヒ「でも、そしたら今まで私は、なんで! ありえないわよ!!」
キョン「ハルヒ! 聞いてくれ!」
総武高校エリア
雪乃「ここは私の心を表した場所、らしいわ。といっても私にはどうしようもないし何もできないのだけれど。」
八幡(あいつの心の中はいつもこんななのか、いや、今だけってこともあるか。)
雪乃「私自身周りが雪だらけの中に閉じ込められて何も見えないの。幸い寒くもないし体も正常だから大丈夫よ。だからあなたは帰りなさい。」
八幡「帰れっていっても帰り方がわからねえからなどうしようもないんだが。」
雪乃「ここの外にいれば勝手に帰れるわ。なんとなくだけどそんな気がするの」
八幡「そうか……なあ雪ノ下、」
雪乃「なに?」
八幡「一つ聞いていいか?」
雪乃「どうぞ」
八幡「なんでこんなことをした?」
神山高校エリア
奉太郎「俺は、明確な回答は持ち合わせてない。今から言うことは単なるアドバイスに過ぎないから正しい保証もない。それでいいなら、俺はまだ決めなくてもいいと思う。」
千反田「……」
奉太郎「飛んだことがない鳥が飛んでいく場所なんてのを考えてもキリがない。まずは飛び方を覚えて、飛べるようになってから行く場所を考えればいい。最後の着地点を決めるまでにはまだまだ時間はある。もちろんもろもろの相談にも乗る。なんだったら色々手伝いもする。だから、結論を出すのはまだもう少し先でも、焦らなくても、いいと思う。」
北高エリア
キョン「ハルヒ、お前は団長であることにストレスを感じてたんだろ! 色々な人に変人と思われて、たまには普通に生きてみたかった! でも俺らが無理矢理連れ返そうとするからこんなことをした! 違うか!?」
ハルヒ「っ、、そうよ! だったらなんだって言うの!! 私は悪くないわ!」
キョン「違う! 俺はお前を叱りたいんじゃないんだ! 俺はお前に謝りたいんだ!」
ハルヒ「な、なによ急に」
キョン「ハルヒ! すまなかった。」
総武高校エリア
八幡「雪ノ下雪乃は嘘はつかない。だが、真実は隠す。お前は今さっき話した内容の中に動機については一切触れなかった。それは話したくないからだろう? だから俺は敢えて聞くぜ。雪ノ下、なんでこんなことをした?」
雪乃「言ったでしょ私にはどうにもできないって。ちゃんと人の話聞いてたかしら。」
八幡「とぼけるのはやめろよ。天下の雪ノ下雪乃の名が泣くぜ。」
雪乃「仮にあなたに話したところでなんになるのかしら?」
八幡「いやどうにもならない。」
雪乃「なら話す必要はないわ。早く出て行きなさい。じゃないと本当に死ぬわよ」
八幡「ああ、今さっきより吹雪が強くなってそろそろ口を動かすのも辛いんだ。だがお前が話さないと言うなら俺が突きつけてやるよ。」
雪乃「……」
八幡「雪ノ下、お前は肩書きに見合う人間になれなかったからこんなことをしたんだ。雪ノ下家に生まれながらも姉よりも期待されず。姉を追い越してどうにか目を向けてもらおうと策を弄した。だが、やはり届かなかった。どれだけ努力しても陽乃さんには追いつかない、誰にも期待もされない。ただの置物。お前はそれが嫌だった。違うか?」
雪乃「……そうよ、私は憎かった。私を見てくれない周りも、振り向かせられない自分も、そんな現実から目を背けたかったの。だってどうしようもないじゃない。」
八幡「だから世界を変えるのか。それでどうする? 新世界の神にでもなるのか?」
雪乃「そんなつもりはないわ。ただ、もう少し私が生きやすいように改変するだけ。わかったら出で行きなさい。」
八幡(くそ、これ以上、なんて言えばいいんだ。吹雪も強くなって顔に当たる氷が痛い。このままじゃ本当に死んじまう。だが、俺のやり方では真っ向からこいつのやることを否定できない。考えろ、考えろ、)
神山高校エリア
千反田「それが折木さんの答えですか。」
奉太郎「まあそうだな、さっきも言った通りこれが正しいかどうかはわからない。決めるのはお前だからな。」
千反田「いえ、私は正しいと思います。折木さんはいつも正しいですから。でも、やっぱり怖いんです。ここを開けることが。このまま全てが変わってしまってくれればいいと思うぐらい。」
奉太郎(千反田が求めてるのは理論じゃない、ましてや方法論でもない。俺は彼女が何を求めているのかわかる。だが、俺はあいつにそれを与えていいのだろうか、いや、与えるなんてそんな大層なものじゃない。俺が決断できないのはあいつのせいじゃない。俺がそれを背負う覚悟が無いからだ。まだ心の中で日和っている自分がいるからだ。折木奉太郎、覚悟を決めろ。お前は今度こそ自分で休日を終わらせるんだ。)
北高エリア
キョン「俺は周りのことばかり気にしていた。だからお前を見ていなかった。いや違うな、心のどこかであいつはほっておいても大丈夫だと思っていたんだ。それだからお前の悩みにも気がついてやれなかった。悪い。ハルヒ。」
ハルヒ「ふっ、ふっん! 今更言っても遅いわよ! もう後戻りはできないわ!」
キョン「ああ、昔の話をしてもしょうがない。でもなハルヒ。俺はなんだかんだ言って今までの暮らしが結構好きだったんだ。アホの谷口や国木田も、古泉や長門や朝比奈さんも、そこに、消えちまった朝倉も含めてもいい。」
ハルヒ「あんた何言ってんの……」
キョン「俺は連中と会いたい。まだ話さなきゃいけないことがたくさんある気がするんだ。」
ハルヒ「あんたのために戻せっていうの!? 私にもっと我慢しろっていうの!?」
キョン「そうじゃない、そうじゃないんだハルヒ。」
総武高校エリア
八幡「……お前はそれで本物が得られるのか?」
雪乃「何を言って……」
八幡「お前はそれで本物を得られるのか? 都合のいいように発言する友達、都合のいいように変わる状況、そんな作り上げた世界で得られたものは本当に本物と言えるのか?」
雪乃「それは……っ」
八幡「言えねえよなあ。到底本物には程遠いから。」
雪乃「だからどうしたっていうの? 元の世界にも本物なんてなかったじゃない。」
八幡「そうじゃねぇ。確かに元の世界で本物は見つからなかったかもしれないが、それはお前が見えてないだけだ。由比ヶ浜のお前への信頼と友情は偽物だったか? 平塚先生の心配は偽物だったか? 陽乃さんの愛着は偽物だったか? いや違う。少なくとも俺はあれを偽物とは呼びたくない。世界を作り出すことはそれら全てを本物と呼べなくする行為だ。これから生まれてくる本物も含めて。全てを」
雪乃「……」
八幡「それでもまだお前が不安だというなら……俺が、お前の本物になってやる。」
神山高校エリア
奉太郎「ところで千反田」
える「はい。」
奉太郎「いつかお前は自分は文系は諦めて理系に行くって言ってたな。」
える「そうです。今では関係なくなってしまいましたが。」
奉太郎「そうかもしれないが、もしかしたら必要になることもあるだろ?」
える「そう……ですね。」
奉太郎「なら隣にに文系の人間がいた方がいいな」
える「そうかもしれません。」
奉太郎「それを、俺が治めるというのはどうだろう」
える「っ……」
北高エリア
キョン「お前は我慢する必要なんてなかったんだよ。俺はここ一年かなり面白い目に合ってきたんだ。俺がジョンスミスだってことがその証拠だ。俺はそんな面白いことを独り占めしたくないんだ。楽しいことは共有したいだろ? だからだな、うまく言えないんだが。俺はもっとお前と元の世界に居たいんだ。お前と一緒に辛いことも楽しいことも共有していきたいんだ!」
ハルヒ「そんなの……信用できない。そんな言葉だけじゃ信用できないわよ!!」
総武高校エリア
八幡「吹雪がやんだな。よお雪ノ下。久しぶりだな。」
雪乃「あなたの顔ガチガチ震えて、まるで陸に打ち上げられた魚みたいになってるわよ。」
八幡「うるせ、寒いところから普通の温度に戻ると変に痙攣するんだよ。」
雪乃「それであの言葉は嘘じゃないでしょうね。」
八幡「もし嘘だったらどうなるんだよ。」
雪乃「地の果てまで追い詰めてやるわ。私こう見えて結構根に持つタイプだから。」
八幡「見たまんまだよ。」
雪乃「で、あなたはどうやって証明してくれるのかしら。」
八幡「あー、どうすっかな。今が8時53、4分か、まあ頃合いだな。」
神山高校エリア
える「それは……そういうことだと思っていいんですか?」
奉太郎「ああ、」
える「でも私きっとまたご迷惑をかけてしまうと思います……」
奉太郎「気にすんな。それも覚悟の上だ。」
える「っ、ありがとうございます。ありがとうございます折木さん。」
奉太郎「あー今更なんだが、中入ってもいいか?」
える「だ、ダメですダメです!」
奉太郎「なんで?」
える「えっと、それはですね。きっと今私すごい顔しちゃってると思いますから……ちょっと恥ずかしいというか、なんというか。」
奉太郎「入るぞ」
える「えっちょっと、待ってくださいよ折木さん! ダメですこっち見ないでください!」
奉太郎「うずくまって隠すほどじゃないだろ。俺も正直表情冷静に保っておく自信はないし」
える「そ、そうですね。ちょっ、と待ってください今落ち着かせますので。すーはー。」
奉太郎「落ち着いたか?」
える「はい、とりあえずは。なんだかこうして顔を見るのも久しぶりな気がしますね。」
奉太郎「まあ一週間ぐらい会ってなかったからな」
える「そうですね。あっ、でもどうやって元の世界に戻ればいいんでしょうか?」
奉太郎「ああ、それは、確実な方法がある。」
える「折木さん知ってるんですか!?」
奉太郎「まあな、軽く指示に従ってくれるか?」
える「わかりました! 私なんでもします!」
奉太郎「そりゃありがたい」
北高エリア
キョン「なら態度で表せばいいんだな。」
ハルヒ「なによ」
キョン「ハルヒ、いつだったか言ったかもしれないが、俺、ポニーテール萌えなんだ」
ハルヒ「はぁ?」
キョン「お前のポニーテールは反則なまでに似合ってたぞ。」
ハルヒ「あんたなに言っ……」
総武高校エリア
八幡「あとあと訴えられるのが怖いがしょうがねえ。その時はその時だ。」
雪乃「?」
八幡「したことないからうまくいかないかも知れないが怒るなよ」
雪乃「なんのこ……」
神山高校エリア
奉太郎「じゃあ軽く目を瞑ってもらって」
える「はい」
奉太郎「若干上向いといてくれ」
える「はい。折木さん、これってもしかし……」
ハルヒ「っ……!」
雪乃「とっ……!!」
える「んむっ……!!」