夢無き少年のVtuber物語 ~Dream Stage Live!~ 作:瀧野瀬
――花咲 葵先輩か。
家に帰って来た俺は葵先輩のことを考えていた。あのとき感じ気持ち、この人は俺と似ていると言う感じがしていた気持ち……。なんで俺はそんなことを思ったのだろうか?とばかり考えていた。そんなことをしているうちに俺は一昨日の配信の件についての謝罪をSNSに投稿する。
投稿した後にすぐにリプが飛んできて「気にしていない」などと言うリプが飛んできたり、言いたい事はわかるような内容も飛んできていた。こればかりはしょうがない、俺が悪いのだから。
「もしもしー!」
昨日連絡先を教えたばかりと言うのにこの橘 菫先輩は俺に連絡をよこす。
「なんですか先輩?」
「ーん、今日の夜空いてる?」
今日の夜か……。
俺は予定を確認すると、別に何も入ってないなと思いながら先輩との電話を続ける。
「いえ、空いてますけど」
「そっか、じゃあ今日の夜待ってるから絶対来てねー!」
その後、待ち合わせの場所の駅を知らせてくる菫先輩。
先輩のお誘いだ、行かない訳にはいかないだろうと思いながら俺はSNSを見るのであった。
「やっほー、お待たせ!待った!?待ったかな!?」
服装を煌びやかに見せつけながら俺に笑ってくる。
周りを見ると、チラチラと見ている人が何人か見ている人が多かった。スタイル良いし、そうなっても仕方ないよなと思いながら、俺は先輩に声を掛ける。
「いや、俺も今さっき来たばっかですから気にしないでもらって大丈夫ですよ」
「そっか、彰斗君は優しいねー。葵はいっつも数分遅刻だって怒るんだよ」
菫先輩にも菫先輩の事情があるのだろうと思いながらも、俺は葵先輩ならそう言うだろうなと俺は聞いていた。
「それで今日はどちらに?」
「あっ、決めてなかった。彰斗君は今お腹空けてる?」
「空いてると思います」
そう言えば、もう夜なのに何も食べてなかった……。
「そっか、彰斗君は甘いものとか好き?」
甘い物か……。俺は好きだが……。
「好きですよ」
「そっか、じゃあちょっと甘い物食べにいこうか」
菫先輩は俺に近づき、肩を一瞬寄せて「どう?」と俺に言ってきた。俺はそれに何も言わず、下を向いていた。昨日も思っていたが菫先輩は距離感が近くて頭がおかしくなることが多い。
「彰斗君って甘い物だったら何か好きなものある?」
「クレープですかね」
ザ・無難って感じだが……。
「おっ、無難だねぇ……。私もクレープ好きだよ」
と言っていると、目的地に着いたのか菫先輩がスマホをみながら「此処だね」と言っているのが聞こえた。そのお店の中に入るのであった。
中に入ると、オシャレって感じの雰囲気がすぐに伝わってくるような形になっている店内だった。
「こういうお店よく来るんですか?」
「偶にね、違うお店とかの視察でよく来るよ」
違うお店の視察……。
と言うことは……。
「菫先輩って何かお店開いたりしているんですか?」
「私がっていうより私のお祖母ちゃんがね。
七兎……。俺はそのお店の名前に聞き覚えがあった。
そう言えば、菫先輩の声や容姿も何処かで見た事があるような……。
「その七兎って言うお店もしかして……」
「あっ、やっと思い出してくれたんだ!」
確か雛井と七瀬と行ったお店と言うのを思い出した。
そうか、あのときの人だったのか……。なんとなく、菫先輩とは何処かで会ったことがあるような気がしていたが……。
「彰斗君、あのとき凄い楽しそうにしてたよねー。あそこにいた二人って同期の子達でしょ?」
「はい……。でもよく俺のことを覚えていましたね」
ただ一回しか来ていないお客さんだと言うのに……。
「一人の子がよくお店に来ていた子だし、それに彰斗君達みたいな子。そんな簡単に忘れないよ」
菫先輩は俺達のことを言っていると、注文したものが机の上に置かれ菫先輩は食べ始める。
「ーん!美味しい!この味ならお店の参考になりそう!」
そんなことを言いながらケーキを食べ始める菫先輩。
そして、一口食べ終えた菫先輩は俺にこう言うのであった。
「葵とは仲良くしてあげてね」
「それはそのつもりです」
いきなりそんなことを言われたが俺はそのつもりだった。
「葵はさ、きっと彰斗君のことを自分と似ていると思っているんだろうね。だから、葵はあんなふうに初めて顔を合わせた子相手に話せたんだと思う」
自分と似ているか……。
確かに俺も葵先輩は何処か自分と似ていると思っていた。
「だから初配信のときのことは許してあげてね。葵は元々人とそんないっぱい喋れるような人間じゃないんだ。きっと、アイドル時代の人間関係で傷ついてあんまり人と関わりたくなくなってるんだと思う」
確かに葵先輩はあんまり人と喋れるような人間じゃなかったのは俺にはすぐ理解できた。でも、俺に興味が湧いたと言われたとき、葵先輩は何処か嬉しそうにしているような気もしていたのだ。
「それは分かっているつもりです」
「そっか、じゃあ大丈夫だね」
菫先輩はそう言いながら、ケーキを切り崩す。
「食べる?」
俺はその言葉に一瞬脳が爆発しそうになった。
推しと言う訳ではないが、目の前にいるのが憧れの人だから。そんなことを言われて距離感がバグり過ぎて頭が破裂しそうになっていたのだ。
「い、いや…大丈夫です」
俺は思春期男子みたいに恥ずかしがりながら拒否した。少し食べてみたかったけど恥ずかしさが上回り過ぎて駄目だった……。菫先輩って距離感近くて本当どう反応すればいいのか分からなくなってしまうことが多いことに悩みつつ俺はケーキを食べ終えるのであった。
「ねぇ、彰斗君この後映画でも見に行かない?」
「構いませんよ」
俺がそう言うと、菫先輩は眩しいような深い喜びにでも包まれたのか嬉しそうにしている。此処から近くの映画館へと向かい、俺と菫先輩は映画までやって来るのであった。
「菫先輩ってどんな映画見るんですか?」
「私?メジャーなのから色んな作品見るよ」
なるほど、と思っていると菫先輩の目には何かの映画が目に入ったのか……。菫先輩は「これ見ようよ」と言ってくるのであった。菫先輩が見ようと言ってきた映画はどうやらホラー映画のようだ。俺は別にホラーとか嫌いじゃないから別に構わないが……。
なんだろうか、嫌な予感がする……。菫先輩と俺は飲み物を買って、映画を見に行くのであった。
見に行くのまでは良かった……。
舞台設定はよくあるホラー映画で無難と言った感じなのだが、言っちゃ悪いのだがB級映画感が半端ない映画なのである。言葉で表そうにもなんだろうか?言葉が詰まって何も言えない作品なのである。後、なんかこれパクリ臭が半端なかった……。
「どうだった彰斗君?」
映画を見終えた菫先輩。
俺に感想を聞いて来た。
「お、俺ですか……?あんまって感じですね」
「そう?私は普通に面白かったよ」
まあ人の感性なんてものはそれぞれだし別にいいか……。
ちょっとズレているような気もするけど……。
「うー、もうこんな時間か」
映画館を出て携帯で時間を確認する菫先輩。
時間を見ると、既に時間帯は夜の10時となっていた。俺達は駅へと走って行った。
「彰斗君、また会おうね。絶対だよ?」
電車が来る前にそんな会話をする俺と菫先輩。
「分かってますよ。菫先輩こそまた誘ってくださいよ」
「当たり前じゃん!絶対誘うからね、お店の方も来てね!」
と先輩は手を振りながら俺を笑顔で見送って行った。電車が行った後、携帯を見ると「またね!」と送られてきているのに気づいた俺は「また会いましょう」と送るのであった。一期生か……。とても良い人達が多いな。でも、一期生って確か三人だったよな……。もう一人の人はどうしているんだろうか?と思っていた。