夢無き少年のVtuber物語 ~Dream Stage Live!~ 作:瀧野瀬
俺の名前は桔梗 伊織。
俺の苗字である桔梗と言う名前は、花のキキョウと言う意味もあるらしい。そして、そのキキョウと言う花の花言葉は誠実、従順と言った言葉だ。私は誠実でも無ければ、従順でもない。伊織と言う名は、元々武家の男性が名乗る事が多かったそうだ。
そして、俺のもう一つの名は『カルミア』。
カルミアも花が由来の名前だ。花言葉は、野心と言う意味がある。私はその野心と言う言葉をとても持っている。なにより、それはあの面接で証明している。
「俺がVtuberになりたい理由?」
「ああ、そうだ。キミは何故、Vtuberになりたい?」
俺がVtuberになりたい理由はそんなものは決まっている。
「そんなものは決まってる。俺はこの界隈をぶった斬る為に入るつもりだ。この界隈はコンテンツが大きい割には成長が乏しい。だから、俺がこの界隈に入って大きいことを成し遂げたい。それが俺の野望だ」
「随分な野望だ……」
その結果、あの社長の目に俺は止まったのか……。俺は応募枠で合格通知を貰ったのだ。それからは、正直言って大変だった。決まったRPとやらを俺は守りながら、配信して行かなければならないと私は思ったからだ。
初めて葵や菫と出会ったときは、こいつらとなら私はやっていけると思っていた。特に葵は俺のことをよく気にしていてくれていた。俺は葵や菫に俺が謹慎になってしまったことに関して言えば悪いことをしたと思っている。でも、俺はそれでも自分の信念を曲げたくない。
曲げてしまえば、俺は俺でなくなってしまうからだ。
◆
「よし、此処は冷静沈着に行け……!落ち着け、落ち着いて行けば一位を維持できる!」
俺が今やっているのはマ〇カーと呼ばれているゲーム。リスナーは一方的に俺にアイテムの暴力をしてきていたがそんな暴力を乗り越えて、俺は一位になっている。
「ぁん!?青甲羅!?やめろ、やめろ馬鹿……!」
ブレーキを掛けて青甲羅を避けようと試みるのであったが……。
「なんで当たるんだよ!ざけんな!」
机を強く叩き、俺は台パンをし怒りのあまりそのまま配信を終了する。
「これじゃあ、俺人のこと言えた義理じゃねえな……」
と配信を終えてふと我に返る。
それから、冷蔵庫から魔剤を取り出し飲み始める。一旦冷静になり、俺はパソコンの前に戻る。タブを閉じていくと、ある奴が目に入る。目に入った途端、七瀬が言っていた先輩のことを思い出していた。
七瀬が言っていたカルミアと言うVtuber。俺はその人の声を何処かで聞き覚えがあるような気がしていたのだ。俺の耳が腐っているだけかもしれないが、カルミア先輩の声を聞いたときあいつの声に似ていると思ったのだ。俺がゲーム実況者だった頃、同じくゲーム実況者をやっていたヒイロと言うゲーム実況者。あいつとは何度かコラボ動画を投稿したこともあった。もしかしたら、あいつがカルミアと言うVtuberなのではないか?と思っていたのだ。
そんなことを考えていると、俺の携帯に電話が掛かっていることに気づき電話に出る。
「俺だ、河本だ」
社長か、社長自ら何の御用だろうかと思いながら俺は電話に出る。
「キミに少し予定の確認をしたくてな。今日の夜は空いているか?」
今日の夜……。いったい、何のお誘いだろうかと思いながらその話を聞いていた。
「空いてますが……」
「そうか、それならば良かった。夜に少し食事でもどうかと思ってな」
食事か……。社長直々のお誘いだ。断るのは流石にマズいだろう。それに、社長と折角話せる機会ができたのだ。悪くない提案だろうと俺は思いながら、その話に乗るのであった。俺はその後、電話を切りどの服を着て行こうかと思いながら、準備をするのであった。
「すいません、お待たせいたしましたか?」
準備にかなり時間が掛かった俺は少し遅れてしまったことを社長に詫びる。
「気にしないでいい。俺も今来たところだからな」
少し乱れているスーツ姿でいる社長を見ながら、俺は隣に座る。もう一つの席を見ると、男の人が座っているのが見えて俺はその人に会釈をすると男の人も会釈をしてきた。
「キミに紹介しよう。彼は一期生のマネージャーを務めている青葉 陽翔だ」
一期生のマネージャーか……。身なりを見る限り、社長よりしっかりしていそうな人だなと俺は思っていた。
「初めまして、天喰 焔君だね。キミの噂はかねがね聞いているよ。キミと話すことはあまりないかも知れないけど、これも何かの縁。何かあったときにはよろしくね」
その口調は紳士的な人かと思わせる程の話し方であった。
俺はそう言われ、「よろしくお願いします」とだけ返した。俺の噂を聞いていると言う言葉に対して、俺をどんな風に聞いているのだろうかと思ったが聞かないでおいたのである。もしかしたら、恥ずかしいことを言われるかもしれないと思ったからだ。もしくは、今日の配信のことを言われるかもしれないと思っていた。
「さて、後一人だな……」
隣の席を見ると、どうやらもう一人此処に来るようだ。誰が来るのだろうかと思いながら、俺は待っていると……。
「どうやら、来たみたいですね」
社長は「そうだな」とだけ返し、俺が後ろを振り返ると高校生ぐらいの背丈の青のパーカーを着た女子と思われる人物が後ろに立っていた。
「来てやったぞ、河本社長……」
その声に俺は聞き覚えがあるような気がした。俺がゲーム実況者だった頃聞いたことがあった声だ。
「そして久しぶりだな。ソア」
聞き覚えがある声は間違いなかったのである。
そう、その声は……。
ヒイロだったのである。