夢無き少年のVtuber物語 ~Dream Stage Live!~ 作:瀧野瀬
季節も10月となり、暑さが秋を実感させられる今日この頃……。俺は今日も今日とて動画編集を行っていた。毎日投稿を繰り返すようになってから、動画伸びがかなり上がっている気がする。俺の登録者数が十二万人になったのもあるだろうが、動画の平均視聴回数は大体五万再生はされるようになった。一個だけぶち抜けて伸びている動画とかもあるけど、それはゲーム実況の頃からそうだったから気にしないようにしている。
「今日も配信して一日が終わるんだろうな……」
そんな日々に飽きて来たわけではない。ただ何か刺激とやらが欲しくなってきていた。刺激は、人生とやらを強くすることが多い。刺激さえあれば何とかやっていけるんだがな……。駄目人間みたいなことを言い始める俺。仕方ない、他箱とかのコラボを試みてみるか……。他箱なんて絡んだことないから、そもそもコラボすらできるなんて怪しいけど、なんとかなるだろ。コラボする前にちゃんと相手のこと調べないといけないのは分かっているが……。
「さてと調べるとしますか」
SNSで俺は他箱の人達のことを検索し始める。誰かコラボ相手になってくれそうな良い相手いないかな……?と一時間ぐらい調べていたが、どうにも声をかけようと思った瞬間俺の手が止まってしまう。ゲーム実況者をやっていた頃は、色んな人にボンボンとコラボできていたがいざ知らない人に声をかけるとなるとこんなにも大変なんだなと思い知らされる。俺がコミュ障ってだけなのかもしれないが……。てか、俺他のVtuberの人達にどう思われてるんだ……?中二病か、紅無限耐久の人とか思われてんのか……?
「ん?なんかⅮM来てるな……」
SNSを見ていると、DMに一件の通知が来ていた。またいつものか?と思いながらも、俺はそのDMを確認する。すると、どうやらVtuberの方から連絡が来ているようだ。初めてVtuberの方から連絡ということもあり、見るのに少し緊張しながらもそのDMを見る。
『初めまして、Live Star所属のレディアと申します!実は私、天喰さんの大ファンでして是非コラボしたいと思い、連絡させていただきました!』
Live Star……。あんまり知らないが確か、大きな箱だったな。
そんな箱に所属している方が俺にコラボのお誘いか……。有難い話だし、引き受けるとするか……。俺の大ファンってどういうことだ……?いや、今は気にすることじゃねえか……。俺は返信を返した。返信はすぐに返されて、コラボは成立した。俺はレディアさんの動画や配信を確認する。
「はーい、どうもどうもLive Star所属レディアと申します……。今日もお前らの為に動画を投稿していくぞー」
少し暗めの声で寝起きそうな声が聞こえてくる。再生回数の多い動画を見つけて、俺はその動画を再生する。登録者数は俺よりも多くて三十万人は突破しているようだ。動画を確認したところ、なんとなく分かったが彼女はクズ系Vtuberだということが分かった。この界隈でこれ系統って中々居ないんじゃないのか……?Youtuberでも中々少ないかもしれないが……。
その後、スマブラで一緒にコラボすることになり俺は久々にスマブラを練習することにした。久々にスマブラの練習をすることにした。スマブラなんてゲーム実況で動画を撮っていた頃以来だな……。
コラボ当日、配信開始時間……。
俺は焦っていた。何故、焦っているのか……。それは、レディアさんから連絡が来ないのだ。自分の配信や動画もあったから、そんなに彼女の配信や動画を見ていないが彼女が遅刻魔だということは理解していたのだ。だが初対面の人とのコラボだし、そんなヘマはやらかさないだろうと思っていた。
しかし、彼女は俺が想像していたよりやることが違った。
「よ、よぉ……みんな!」
「
此処はなんとか場を繋ぐしかない。
チラッとコメント欄を見ると、察したのかレディアさんの視聴者がこちらにやってきて謝罪をしている。
『すいません、うちのレディアが……』
『ごめんなさい、あの馬鹿が遅刻して……』
俺は視聴者と一緒にスマブラをしながら場を繋いでいた。
それから一時間ぐらいが経ち、俺はまだレディアさんは起きないのかと若干不安を覚えながらも俺は冷静を保ちつつ、魔剤を飲んでいた。魔剤を飲んでいると、ディスコードの通知の方に「今何時ですか?」というとぼけた連絡が来る。「22時です」と送ると、慌てたのか何も連絡は返さなかった。連絡を見ていると、ディスコードに入って来たのか声が聞こえてくる。
「おはようございます……」
欠伸をした後に挨拶をしてくるレディア。
動画や配信を見たときにも思ったが、この人ⅮMのときとかなり感じが違うよな。
「集合時間が22時だと思っていました……」
「えぇ……。ごほん、そうですか……。何か言うことありますか?」
「え?何か言うことありますか?あっ、Live Star所属レディアでーす。今日はよろしくですー」
こういう女だというのは知っていた。知っていたが、それを目の当たりにすると此処までのものとは思っていた……。
「いや、そうじゃなくて……。俺はともかく俺の視聴者の皆に言うことあるんじゃないかなって思って……」
「え……?そうなんですか?私、何か挨拶以外に言うことありますかー?」
この人マジでそう思って……。いや、そう思っていそうだな。
「いや、遅れて来たんで謝罪とか……」
滅茶苦茶間を空けてから言う俺。
「謝罪ってなに?私謝罪なんかしませんよ。謝りたくないんで」
「そうっすか……レディアさんって常識とかあんま知らない感じですか……?」
「常識ってなに……?私の辞書にそんな言葉ないよ」
知ってた……。
遅刻した配信でもそう言っていたのを聞いたから知っていた。まさかその言葉を此処で聞かされることになるとは思わなかった。
「なんか空気悪いね、スマブラする?リスナーとしてたの楽しかった?私のこと無視してリスナーとするスマブラ楽しかった?私の体よりリスナーの体の方が良かった?」
「さらっと爆弾発言するのやめてくれませんか……?俺達まだ初対面なんですけど……?」
コメント欄では「レディほむてぇてぇ……?」や俺の配信では炎が燃え上がっている。やめろ、俺はまだ何もしてねえ。
「そうだね、でも私はキミの配信を初期から追ってたよ。だからキミのことは隅々まで知っているつもりだよ」
「えっと……ありがとうございます?」
コメント欄では再度てぇてぇムードになっているが、これをてぇてぇなんて認めたくない。
「お礼言われちゃった……。それと普通にタメでいいし、私のことは普通にレディアでいいよ」
初対面の人に対していきなり呼び捨てで呼ぶのはかなり抵抗があるが、本人がそれを望んでいるのならば呼んだ方がいいだろう。
「ああ、じゃあレディアスマブラしよっか」
「うわぁ、尊い。推しに呼び捨てで呼ばれたー。マジ尊い」
完全に視聴者になっているレディア。
俺達はスマブラを始めていた。因みに、俺がよく使うキャラはアイクだ。剣キャラなんてよく居るが、俺にとって一番アイクが使いやすい。
「おっ、アイク使うんだ。じゃあ私は……ガノンかな」
言動に反して使うのは脳筋キャラか……。意外だな……。
視聴者と肩慣らしは済んでいるからは全力で挑むことができる。こんな寝起き野郎に負けるわけがない。
だが……。
「私の勝ち―。ほむっちって弱いな……」
一戦目、俺は負けた。負けた理由は、即死コンボを使われたからだ。
因みにレディアは俺のことを気軽にほむっちと呼んでいる。
「即死コンボは卑怯じゃね……?」
「いや、卑怯もクソもないよ。そんなことより上Bで道連れにしようとしていたほむっちの方が卑怯だよー」
対戦中、この勝負は勝てないと踏んだ俺は道連れができる技を使用した。結果、不発に終わり俺は自滅した。二戦目になり、俺とレディアは同じキャラを使用した。
「さっき道連れ技は卑怯って言ったばっかじゃねえか!」
二戦目、接戦になっていたがレディがいきなり道連れ技を使用し、勝負を決めてきた。先ほど道連れ技は卑怯と言っていた奴のすることかよと俺は思っていた。
「卑怯?勝負に卑怯もクソもないよ。分かる?これは勝負だよ、遊びじゃないんだよ」
「さっきと言っていること全然違うじゃねえか!」
思わずコントローラーを投げそうになる俺。
危ない、マジでコントローラーを投げるところだった。それから、俺達は三戦目を行い、勝負は俺が勝った。次に四戦目となり、キャラを変えて戦ったがこの勝負も俺が勝った。お互いの勝敗は同じになり、俺はガッツポーズをしていた。
「思っていたよりやるね……。あっ、そういえば知ってた?今回避を使うとこのゲームゲーム機ごとフリーズするんだよー」
そんな見え透いた嘘信じる奴いるのかよ……。
てかさっきから回避使いまくってたろうが……。
「そうか、じゃあフリーズ起こしまくってこのゲームの勝敗が決まらないようにしてやるよ」
「そこまでして負けるのが怖いの?それとも、そんなに私とコラボしていたの?」
コントローラーを力強く握り締める。握り締めた後、一気に力を解放し俺はレディアに対してキレそうになっていた。キレそうになっているのを我慢しながら、俺は無言のまま立ち上がった。
「照れるなぁ……。そういうのは裏でやってほしいなぁ」
が……。我慢とやらはどうにも限界があるようだ。
「上等だ!やってやらぁ!!ぶっ殺してやるよぉ!!!」
こんな遅刻野郎で嘘つき野郎に負けるわけにはいかない。此処で分からせてやる……。
五戦目となり、俺達は互いにキャラを選び戦いを開始する。
「絶対に倒してやる!絶対に倒す!」
互角の戦いを繰り広げていた。お互い接戦になっていた。俺は即死コンボだけには気をつけながら戦っていた。
結果……。
「なんだほむっちって雑魚だなー」
負けた。俺は負けた。勝てるつもりだった……。勝てるつもりだったが、俺は負けた。
「ねぇ、ほむっち最後に聞きたいんだけど私のこと好きー?」
「嫌いだ!誰がお前みたいな遅刻野郎で嘘つき野郎好きか!」
手に握っていたコントローラーを投げながら俺は言う。
こんな奴に負けたのはかなり屈辱的だ。
「まだ遅刻したこと怒ってたんだ。私実は睡眠障害持っているんだ。だから遅刻しちゃったんだー」
「え?そうだったのか?それはすまなかった」
いきなりの持病の告白に驚いた俺。俺が謝ると、クスクスと笑うレディア。
「嘘だよ。睡眠障害なんて持ってないよ。騙されてやんのー」
「うっざ……!ガチで殴りそうなんだが……!」
俺は立ち上がり、台パンしそうになった気持ちをぐっと堪えていた。
「うわっ……。ほむっちって女の子を殴るタイプなんだ……。ちょっと引くわー。てか、今日は楽しかったねー」
いきなり話題を切り替えてくるレディア。
切り替えの早さに俺は驚いていたが、この程度で驚いては仕方ないと思った。
「何良い感じに終わらせようとしている……。まあ、楽しかったのは認めるが……。ところでなんで俺とコラボしてくれたんだ?」
少し気になっていた。
なんで俺みたいな奴とコラボしてくれたんだろうと……。
「あっ、それ気になるー?えっとねー、最初に言ったけど私実はキミのこと最初から知ってたんだ。面白そうだし、後単純に推しだしいつかコラボしたいなーと思ってたんだけど中々声掛けられなくてようやく声掛けられたんだー」
「ほむっちとコラボできたのとても嬉しかったよー。またコラボしようねー」
コメント欄ではてぇてぇムードになっている。
俺はコメント欄を見た後にこう言う。
「断る。遅刻しないって約束できるならいいぞ」
「酷いなー。それはほむっちの態度次第と私の気分次第かな」