夢無き少年のVtuber物語 ~Dream Stage Live!~ 作:瀧野瀬
レディアとのコラボから一週間ぐらいが経ち、俺は今日も今日とて配信をしようと考えていた。毎日配信や毎日動画投稿っていうのは当初はかなり疲れるものだったが……。今では仕事のように慣れていき、俺はせっせと動画編集などを行っていた。
時間帯も昼頃となり、俺はそろそろ飯でも食べるかと考えていた……。飯か、今日はどうしようかと思いながら俺は冷蔵庫の中身を覗いた。
「まさかの何も入ってないのか……」
開けた冷蔵庫の中を確認すると、中は調味料だけが入っておりほぼ空洞に近い状態になっていた。俺は面倒だから料理とかしないから、こうなっていても仕方ないだろう。料理の何が面倒って作るより片付けるのが面倒なんだよな……。
「仕方ない、何か買って来るか」
コンビニでも行くか……。
俺はせっせと着替えて、家から出て俺はコンビニに向かうことにした。コンビニに向かっている途中、俺はレディアとのコラボのことを思い出していた。あのコラボはかなり切り抜かれたり、反響があった。Dream Stage自体初めて他箱のコラボをした訳ではないが、俺自体が初めて他箱の人とコラボしたのがあったからだろう。そのおかげか、登録者数もかなり伸びてきている。ただ登録者数よりは気にするべきはどれだけの人が見てくれているのかってところだろうな……。
登録者数のことを考えていると、俺はチラッと見えた定食屋が目に入る。
「こんなところに定食屋なんてあったか……?」
新しく出来た店だろうか……。まだ新しく出来たばかりの感じの雰囲気が漂っている。
偶には定食屋に入ってみるのも悪くないのかもしれないと思った俺は定食屋の匂いに釣られるかの如く入って行くのであった。今日も飯はコンビニにしようかと考えていたが、偶には定食って言うのも悪くないかもしれない。
「いらっしゃいませー!」
中に入ると、定食屋のお祖母ちゃんが俺を迎え入れてくれた。中を見た感じ、かなり田舎にありそうな感じの定食屋って感じだろうか。お客さんを見ると、家族連れや一人で食べに来ている人が多かった。俺は席に座り、メニュー表を見る。
メニューを見た限りでは、THE・定食屋という感じがヒシヒシと伝わってくる。特に変わったメニューもある訳ではないが、俺はオススメの唐揚げ定食を注文した。注文した後、俺はゆっくりと水を飲む。水の味は美味かった。その辺に売っている水なんて日にならないほど美味かった。
水を飲んだだけだからまだ分からないが、当たりの店を引いたのかもしれない……。
「一名です」
また新しい客が入って来たようだ。
繁盛しているな。とこの店の人気度が伝わってくる。新しく入って来た客は俺の後ろにでも座るのか、俺の後ろを歩いていた。俺はその客をチラッと見ると……。
「隣いいか?」
後ろに立っていたのは、伊織だった。
俺はその言葉に「ああ」とだけ返し、伊織は俺の隣に座る。なんでこいつが此処に居るんだ?と思っていたが、前にこいつそういえばこっちに住んでいると言っていたのを思い出した俺。となると、飯を食べに来たということか……。弟は今日は居ないようだが、友達の家にでも遊びに行ったのだろうか……。
「最近の調子はどうなんだ?伊織」
伊織は最近かなり伸びてきている。有名な切り抜き師が
「別に有名になってもやることは変わらん。そういうお前はどうなんだ?遅刻魔の彼氏」
嫌がらせかのようにその名で呼ぶ伊織。
俺がその名で呼ばれている理由は、レディアが俺が知らないところで冒頭の挨拶で「ほむっちの彼女」と挨拶をしたのが原因だ。その結果、俺のマシュマロは「レディアさんと付き合ってるって本当なんですか!?」という質問で埋まっている。面倒だから無視しているが、あいつは俺にとんでもない爆弾を残していきやがった。
「その呼び方はやめろ。あいつが勝手にそう言っているだけなんだからな」
「知っている。生姜焼き定食と蕎麦お願いします」
店員を呼び止める伊織。相も変わらずかなりの量を食べる伊織。言葉に出すつもりはないが、よく太らないな……。運動とかしているのだろうか……。失礼なことを考えていると、顔に出ていたのか睨むようにしてこちらを見る伊織。俺は何事もなかったように水を飲む。
俺と伊織が飯が来るまでそれぞれしたいことをしながら待っていた。
「いただきます」
飯が来て、俺は偶にしか言わない「いただきます」の一言を言う。伊織の飯が来るまで待っているつもりだったが、「先に食べていい」と言われて俺は食べ始める。唐揚げにタルタルソースをつけて俺は口の中に唐揚げを入れる。口の中に入れると、唐揚げのサクサクの衣に、唐揚げの肉汁がたっぷりと口の中に広がる。この唐揚げかなり、美味しい。どうやら本当に当たりの定食屋だったようだ。
「こちら生姜焼き定食とお蕎麦になります~」
俺が唐揚げを堪能していると伊織の飯も来たようで、伊織は箸を取って食べ始める。まずは口の中に生姜焼きを入れると、伊織は目を思いっきり開き美味しいと言っているのが伝わってくる。伊織が食べている間俺は食べ終え、その後伊織も食べ終えた。食べるのも早いなこいつ……。
俺と伊織は飯を食べ終えた後、少し休憩してから立ち上がり俺が会計を済ませて店を出た。
「中々に美味かったな」
味噌汁もご飯も中々に美味かった。
「そうだな……。飯奢ってもらって悪いな。この後空いているならゲーセンにでも行くか?」
「気にすんな、ゲーセンか……。構わないが……」
俺は伊織の提案でゲーセンに行くことになり、ゲーセンへと向かうことにした。
ゲーセンに辿り着いた俺と伊織。伊織はまず俺と一緒に最近流行りの音ゲーをやりたいということで一緒にやることにした。実を言うと、音ゲーはそんなに得意の方ではない。ソシャゲの音ゲーだってかなり出来ない方の人間だし……。
「お前凄いな……」
ある程度対戦を終えて、俺は伊織のスコアの方を見る。かなり難しいと思われる曲を難なくクリアしている伊織。流石元ゲーム実況者ってだけあってかなりの実力者ってところか……。
「この程度練習すればお前でも出来るようになる」
本当にそうだろうか……。俺は比較的簡単と言われている曲でもミスする人間だからな……。次に、伊織が目をつけたのは対戦格闘ゲーム。無論このゲームも俺との対戦を提案された。提案された俺は初心者で使いやすいと言われている機体を使う。伊織は玄人向けの機体を使うようだ。
ゲームが始まると、俺達は互いにボタンとレバーを触る。俺はあいつの機体にまずは近づかないよう射撃を試みる。射撃を試みたが、全て回避され間合いに入られ何とか逃げようとするが、機動力では向こうの方が上で俺はコンボを決められる。あいつが使っている機体、かなり早い。近づかれたら、一瞬の隙を見て攻撃するしかない。
そう思っていたのだが……。
俺は目の前で挑発されていることに気づく……。そうこの煽り行為、この界隈ではかなりの煽り行為。俺はそれに灼熱に燃え盛る火山の噴火が発生し、俺の怒りは頂点へと達した。俺はボタンとレバーを強く押し始める。
戦いというのは頭に血が上るほど冷静では居られなくなり、考えが纏まることができなくなる。その一人が俺だ。
「俺の勝ちだ。お前、対戦ゲーム弱いな」
「認めねえ、絶対機体の性能のが良かっただけだ」
伊織は椅子から立ち上がり、俺は敗北を認めたくなくて椅子から立ち上がろうとはしなかった。
「機体の性能のせいにしている暇があるなら、精々自分の腕を磨くことだな」
あまりにも言い返せないほどの正論に返す言葉もなく、俺はただ黙るしかなかった。相変わらず血も涙もない言い方をする女だ……。
「ぐうの音も出ねえ正論どうもありがとう……。次は何をやるんだ?」
伊織は何も言わず、有名な射撃ゲームの前にやって来ていた。
この手のゲームを久々に見た気がする。大手ショッピングモールとかでは偶に見かけるけど、普通のゲーセンとなるとあんまり見かける機会が減った気がする。
「最高スコアは……。なるほど、この程度なら余裕だな」
どうやら伊織一人でこのゲームに挑むようだ。伊織は百円を入れてゲームを開始する。ゲームを開始すると、少し世界観の説明が入った後ゾンビが現れそのゾンビをひたすら伊織は撃ち続けていた。そして、最終ステージまで行ったが、ラスボスを目の前にして破れていた。そして、スコア表示画面になり最高スコアを圧倒的実力で抜いていた。
「流石だな、この程度朝飯前ってところか?」
伊織は後ろに並んでいる人が居ることに気づき、俺の話を無視してその人のゲーム画面を見るのであった。
「あいつ、かなりの腕前だな」
「まだゲーム始めていないのにそんなこと分かるのか?」
見たところ、かなり普通な感じがするが一体何処が普通の人と違うのだろう。とゲーム画面を見ていると、すぐにそれを分からされた。なるほど、これは確かにかなりの腕前だ。この様子なら、最後のボスだって倒せるかもしれない。
「GAME CLEAR」
ラスボスも難なく倒し終えた彼女。疲れたのか、息を吐いていた。そしてスコアの表示され、満足げに伊織の方を見ていた。まるで「越えられるものなら超えてみろ」と言っているかのように……。そして、そんな目で見られた伊織は火がついたのか、百円を入れてゲームを開始する。
先ほどまでの伊織とは違い、かなり早くテンポよくゾンビを倒せている。この調子ならラスボスも倒せるんじゃないのか?と思っていると、そのラスボスへと辿り着き、伊織は頭に何度も何度も弾を当てていた。このゲームヘッドショットで当てると、ボーナスポイントがもらえるからだ。
そして……。
「GAME CLEAR」
の音源が流れて、伊織はラスボスを倒すことに成功した。そして、表示されたスコアを見て伊織は「勝った」と嬉しそうにはしていなかった。あいつのことだ、喜んでいても顔には出さないだろう。すると、自分のスコアを抜かれたことに驚いているのか、先ほどまでいた彼女がゲーム画面を見ている。
「驚いた。まさか私のスコアを越せる人がいるなんて……」
長い赤髪の彼女は伊織に対して声をかける。
「だけど、次は負けない」
「そうかよ、お前名は?」
「城崎 紗月」
紗月と名乗った彼女は伊織のことを挑発的な目で見ながら言う。紗月と名乗った彼女は、そのまま帰って行くのであった。伊織はこちらを見て、何かを言おうとしている。何を言おうとしているのだろうか?と待っていると、
「腹減った……」
ゲームをし過ぎた伊織は、腹を鳴らしながら俺の方を見る。時間帯を見ると、まだ15時ぐらいだが仕方ない。こいつの腹を満たしてやるかと思っていた……。
◆
此処はとあるVtuberの中の人の一室。かなり広々とした家に住んでおり、彼女は鼻歌を歌いながらある計画を練っていた。
「第三回ヴィーナス杯もそろそろ考えないとな~。今回も色んなVtuberの皆を招待したいな~」