夢無き少年のVtuber物語 ~Dream Stage Live!~   作:瀧野瀬

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ゲーセン三昧

「よし、やるか……」

 

 ゲーセンに来た俺はガンシューティングゲーム、ザ・ホラー・オブ・デッドをやり始める。銃を持ちながら、世界観の説明がされる。俺は銃を動かしながら、ゲームが始まるのを待っていた。

 

 そして、ゲームが始まり俺は精神を研ぎ澄ませていた。このゲームは一発でも攻撃を受けたら終わりのゲームではない。だが、仮にいいスコアでもカッコつけたいなら普通にノーダメージの方がいいに決まっている。とりあえず、今はあいつらに負けない実力伯仲ぐらいの腕前はつけたい。あわよくばあいつらに勝ちたいが、今の俺の腕前で果たしてそれはできるだろうか……。

 

「チッ……」

 

 難関ステージで俺は何度もミスをしてしまい、ゾンビの頭をぶち抜くことができなかった。これが今の俺の実力……。認めたくはねえが、認めるしかないよな。

 

 最終的に、ゲームをクリアすることはできスコアランキングは6位という結果に終わった。このままじゃあいつらに並ぶことなんてできない。もう一回やるか……。俺は連コをして再びゲームを行う。

 

 

 その三日後……。

 昼間に配信を終えた俺は夕方に今日も今日とてゲーセンにやって来ている。今日の俺は一味違う。攻略サイトやSNSで情報を集めたりして、上達方を学んだのだ。そして、この三日間何度も練習し続けた。その結果だろうか、俺は確実に上達している。それは、このゲームだけではない。音ゲーや格ゲーなども俺は練習し続けた。伊織に負けたことが俺にとってかなり精神に来ていたのだろう。なにより、あの二人に後れを取るつもりはない。何故だろうか、何故こんなにもあの二人には負けたくないって気持ちが強いんだろうか……。自分でも分からないけど、誰かと競っているってのはなんかこう……。

 

 

 すっげえ楽しい。

 

 

 最終スコアが表示され、俺の名前が2位と表示されていた。なんと伊織のスコアを抜いたのだ。だけど、またしても難関ステージでミスをしてしまった俺は何とかそこを頑張ろうとしていた。再び百円を入れようとしたとき、隣のアーケードゲームで遊んでいる高校生ぐらいの奴らの声が聞こえてきた。

 

「そういや、もう直ヴィーナス杯の時期じゃね?」

 

 二人組の高校生の話は俺の耳に何故か凄く入ってきていた。まるで俺にも関わりがあるかのような気がしていたからだ。

 

「ヴィーナス杯ってあれか?バーチャル四天王のヴィーナスが大勢のVtuber集めてやってる奴か?」

 

 バーチャル四天王のヴィーナス。この界隈に入ってから少しだけだが動画を見た事がある。確か、自称天才AIを称しているVtuberだったはずだ。

 

「それそれ、今年はどのゲームが選ばれるんだろうな。てか、お前仮に今年もあるとしたら誰が優勝すると思う?」

 

「やっぱ、我らがヒーローのマヤっしょ。バチャスポ入ってるだけあって滅茶苦茶ゲーム上手いからな。今年こそは優勝してほしいもんだぜ!」

 

 いきなりテンションを上げる高校生。

 

「お前、マヤのことになると元気になるよな……。でも、やっぱ優勝候補と言えば日比谷アキラも外せないっしょ。なんせ前回大会の優勝チームの人間だからな。あいつもマヤ同様ゲームがなんでも上手いからな」

 

「そうなんだよなー。前回マヤもアキラと戦って負けたからなぁ……。今年こそは勝ってほしいもんだぜ」

 

 男子高校生の話は続いている……。

 マヤに日比谷アキラか……。ちょっとどんな奴らか気になるし、家に帰ったらアーカイブでも見てみるか……。俺は再び百円を入れてゲームを再開した。

 

 

 

 

 

 

 恐らく、今日はあいつらがゲーセンに来る日。確実に来るとは言い切れないが、今日もまた俺はゲーセンに来ていた。そして、俺はあいつらのことを探していた。探していると、グレーのスウェットに白のパンツを履いているカジュアルな感じな赤髪の女とボーイッシュな感じの服を着ている黒髪女子を見つけて俺は話しかける。

 

「よぉ、今日も来ていたのか」

 

 気さくに声をかけると、城崎と伊織はこちらを見る。伊織はなんだ今日も来たのかって感じな目で俺を見ている。

 

「貴方こそ今日も来たの……?」

 

「ああ、今日もお前らに会えると思ってな……。それで今日もあのゲームをやるのか?」

 

「ええ、今日こそノーミスでクリアする」

 

 偉い自信だな。この感じを見る限り、嘘をついてる訳じゃなさそうだ。これは絶対にノーミスでクリアしてやるという意志が伝わってきている。

 

「そうか、じゃあその前にまず俺のプレイを見てもらってもいいか?凄い練習してきたんだ、退屈はさせねえぜ?」

 

「そう……。じゃあ、まず貴方のプレイを見せてもらおうかな」

 

 俺達は例のゲームのところまでやって来て、俺はゲームを開始する。今日の俺は絶好調だ。それに、何度も練習してきたんだ。此処でミスをする訳にはいかない。俺は朝飯前程度の感覚で徐々にステージをクリアしていき、今まで何度もミスしていた難関ステージまでやって来ていた。

 

「っ……!?」

 

 難関ステージを軽々と攻略していると、後ろから物凄い視線を感じたが俺は気にせずゲームを進めていた。この調子なら行ける……。次のステージもクリアして、最終ステージのボス戦までやって来ていた。異質な形、グロテスク、子供が見たら間違いなく一生もんのトラウマになるだろう。そのボスの頭に何度も何度もぶち抜いていた。すると、どうだろうか?最後の一発もボスの頭に命中し、ボスは倒れたかに見えたが……。

 

 

 

 

 なんと最後の最後で怪物のような姿に変わり、列車全体を飲み込もうとしていた。どういう条件でこの姿になるのかは知らないが……。面白い、隠し要素ってことか。何処を攻撃すればいいのか分からなかったが、一週間の勘が俺にひたすら撃ち続けろと命令してきた。ひたすら攻撃していると、核のようなものが現れ俺はそこを撃ち続けた。ボスは苦しみ始め、列車から剥がれて行くのであった……。それから、エピローグが流れてそのまま速いスタッフロールが流れて、ゲームはクリアし、最終的のスコアが表示される。

 

 当然、俺は一位となり心の中でガッツポーズした。

 

「随分と練習したんだな、彰斗」

 

 俺のプレイスキルを見て感心でもしていたのだろうか、珍しく伊織は俺のことを褒める。

 

「ああ、練習期間自体そんな長かった訳じゃないけどな……。城崎俺の腕前はどうだった?」

 

 俺のプレイを沈黙を続けながら見ていた城崎。

 この感じを見る限り、どうやら少しボッーとしているようだ。

 

「……いい腕前だった、完敗」

 

 出会ってまだ三日ぐらいしか経ってないが、城崎に勝ったことは俺の中でかなり嬉しかった。俺の中でこいつに勝つことがモチベになっていたからだな。

 

「藤堂、このゲームでは私の負け。これから二戦バトルしない?此処のゲーセンにあるゲームを使って」

 

 詰まるところ、俺と勝負したいってことか……。

 

「いいぜ、やってやるよ。その勝負」

 

 勝負は始まった。

 最初に音ゲーが選ばれた。俺は一応色んな音ゲーを上達しようとしていたがこの音ゲーか、少し疲れるかもしれないな。選曲は俺が選んでいいと譲られ、俺が選ぶことにした。ぶっちゃけ、音ゲーの方はそんなに仕上がっていない……。だから、正直この一戦目勝てる気がしない。俺はこの音ゲーの中では定番の曲である"夏祭り"を選んだ。

 

 これを選ぶと、後ろで見ている伊織が「その曲か……」みたいな感じでこちらを見ていた。曲は始まり、俺はバチを持って手首を動かし始めていた。このゲームの上達法は俺はある程度調べた。譜面を覚えること、左右で叩くこと……。それと至極当然だが、適当に叩かないこと。なにより、曲を極めることだ。高校時代の俺は難しいところになると、適当に叩いてたからな。実際、この練習期間中も最初は適当に叩いていた。

 

 曲も終わり、隣からノーミスの声が聞こえてくる。つまり、この一戦目は俺の負けだ。次の楽曲となるが、最初の一曲目だけでの勝負ってこともあったので、伊織に交代し代わりにやってもらった。二曲目を伊織が選んでいたのはかなり難しそうな曲であったが、伊織は涼しい顔をしながら曲をクリアしていた。

 

「伊織、中々やるね……」

 

「お前こそ結構やるじゃねえか」

 

 二人共、目線の間にバチバチとした火花が散っているように見えた。俺と城崎の勝負をしている間に新たな勝負が生まれそうになっている。次に俺が選んでいいことになり、俺はバスケットのゲームを選んだ。

 

 

 

 

 が……。此処で問題が発生する。俺のことをよく思い出してほしい。そう、俺は高校を卒業して以来運動などしていなかったのだ。なにより、俺は家に引き篭もっていた人間なのでどうなるのか想像がつくだろう。

 

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」

 

 ゲームが終わると、俺の呼吸は荒くなっていた。

 

「自分で選んだゲームで何疲れてんだ。そもそもお前女子と同点って恥ずかしくないのか?」

 

 隣の機械の点数を見ると、確かに俺と同点であった。

 嘘だろ、女子になら勝てると思ったんだが……。

 

「うるせえ……。運動してなかったんだからしょうがないだろ」

 

「お前、家に引き篭もってたもんな……」

 

 偶に飯買う為だけに家に出たり、していたけどな……。

 俺は隣にいた城崎を見ると、城崎の様子がおかしかった。

 

「はぁ……はぁ……。ごめんなさい、ちょっと飲み物買って来る……」

 

 どうやら城崎も疲れていたようで俺も一緒に自販機に行った。そして、俺は飲み物を飲んでいた。

 

「よくよく考えたら、これゲームじゃなくてスポーツだよな……」

 

「確かに……。今回は同点になったけど、次は絶対に負けない」

 

「ああ、望むところだ……」

 

 城崎も運動不足なのか、未だに息を荒くしている。そんな俺らの光景を見て、伊織は「なんだこいつら」と若干可哀想なやつを見るような目で見ていたが、伊織のお腹が鳴る。

 

「……腹減った。飯食べたい」

 

 そんな伊織の発言に俺と城崎は顔を見合いながら笑っていた。伊織の願いを聞いてやる為、俺たちは近場のファミレスでも探しに行こうとしていたとき……。クレーンゲームの前で城崎が止まっていた。俺はそんな城崎の前にあるクレーンゲームを確認する。

 クレーンゲームの中にあるのは羊のぬいぐるみだった。

 

「それ欲しいのか?」

 

「べ、別に……。少し気になっただけ」

 

 どう考えても欲しいって顔してるよな……。

 

「いいよ、俺が取ってやるよ。このぐらいなら楽勝だろ」

 

 と俺がクレーンゲームに挑戦する。こんなもんだろと調整して、羊がクレーンゲームに掴まれる。ぬいぐるみに感情があるのかは知らんが、こんな掴まれて痛くないんだろうか……。

 

「え?嘘、一発で……?」

 

 城崎の言葉通り、羊のぬいぐるみは一発で取れた。確率機ってのがあるぐらいだし、これがそれだったのかもしれないな。ラッキーって感じに俺は羊のぬいぐるみを渡す。

 

「あ、ありがとう……」

 

 少し嬉しそうにしながら、ぬいぐるみを抱きしめる城崎。

 表情硬い奴だけど、嬉しそうな顔を見るとなんか普通に可愛いらしい奴だな……。

 

「おい、お前ら早くしろ……。腹減って動けないんだ」

 

 腹を空かせている伊織はのっそりと動きながらこちらを急かしてくる。

 

「相変わらず燃費の悪い奴だな」

 

「黙れ、腹が減ってるんだからしょうがないだろ……」

 

 伊織の五月蠅い腹の音を聞きながら、俺達はゲーセンのすぐ真横にあるファミレスに入って行く……。俺はパスタを頼み、城崎はドリアを頼み、燃費の悪い伊織はチキン、ハンバーグ、グラタンにデザートとこれでもかとぐらいに頼んでいる。

 

「そんなに食べて入るの?」

 

「ああ、入る。普通に入る」

 

 若干引きながら城崎は伊織に質問していたが、俺にとっては予想通りの回答が返って来ていた。

 

「こいつの胃袋はブラックホールだからな」

 

「誰がブラックホールだ。この運動音痴、社会不適合者、中二病が」

 

 滅茶苦茶に罵倒してくる伊織。

 その罵倒に俺は当然……。

 

「なんだと?この大食い女、一匹狼、口悪女。どうせ学校ではぼっちなんだろ」

 

「は?友達ぐらいいるが?」

 

 ……こいつ、カルミアのスイッチ入ってるだろ。このぐらいの罵倒なら普通に無視するだろ。多分、俺も天喰 焔スイッチ入ってるけど……。

 

「じゃあ、証拠あんのか?桔梗さんよぉ?」

 

「……友達いなくて悪かったな」

 

 潔く降参する伊織。うん、潔くてよろしい。まあ、こいつの性格じゃ友達作るのも難しいだろうな……。なんか悲しくなって来たな、なんで俺はこんな奴に同情してんだ……?俺と伊織が罵倒し合っていると、隣にいる城崎がクスクスと笑っていた。

 

「なに笑ってんだお前?」

 

「ごめんなさい、面白くて……。貴方達って仲良いんだね」

 

 仲良いのか……?俺達って、そんなにこいつと仲良い感じしていなかったけど……。ってよくよく考えてみたら、俺最近こいつとばっか話していたりしていた。そういや、そうだった……。

 

「別にそんなんじゃねえけどな……」

 

 伊織は気を紛らわらせる為か、ドリンクを取りに行った。二人で取り残された俺と城崎。

 

「藤堂って好きな食べ物とある?」

 

 俺に質問してくる城崎。

 

「好きな食べ物?まぁ、ラーメンとか」

 

 別にそこまで好きって訳じゃないけど……。

 

「そう、好きなゲームジャンルとかある?」

 

「好きなゲーム?大体なジャンルは好きだな。でも、俺ホラゲーだけは苦手だな。前にVRのホラゲーやったときにガチ泣きした」

 

 因みに、そのVRゲームを実況者だった頃、やろうとしたのだが……。結論だけ申すと、五月蠅過ぎて俺は結局却下した。ホラゲーであのゲームをオススメした奴マジで許さねえからな。てかこの会話の質問攻め感。まるで合コンみたいだな。合コン行ったことないから分からねえけど……。てか、合コンで好きなゲームジャンルとか聞かねえだろ。

 

「へぇ、ホラゲーが苦手なんだ……。少し意外」

 

「まあ、人はそれぞれ苦手なものがあるってことだ……。そういう城崎はなんであんなゲームに上手いんだ?」

 

 純粋に疑問だった。何故あんなにゲームが上手いのだろうと……。

 

「私?昔からゲームはよく触ってたんだけど、本当に上手くなったのは数年前。ゲームで負けるのが悔しいから強くなろうと努力した。そしたら、今みたいな感じになったの」

 

 悔しさをバネにして強くなったってことか……。そこまで努力できるってだけで凄いな……。

 

「俺も城崎みたいに上手くなるか?」

 

「藤堂の努力次第。でも、藤堂なら出来ると思う」

 

 気休めかもしれないその言葉に俺は納得していた。努力か、あんま好きじゃねえが今回のゲーセンでの一件を考える限り、俺ももっとゲームを上手くなれるかもしれないな。それこそ、カルミアやレディアに引けを取らないぐらいに……。

 俺と城崎が話していると、伊織が戻って来た。それと同時に料理が来て、俺達は食べ始めた。

 

 

 

 

 帰り際、俺達はファミレス前で城崎を見送ることにした。

 

「二人共、今日は楽しかった。そうだ、連絡先聞いてもいい?」

 

 俺達は連絡先を交換した。俺の連絡先どんどん女子ばっかになってんな……。

 

「また遊ぼうな」

 

 と俺が手を振ると、城崎は俺達に手を振っていた。伊織も軽く手を振っていた。

 

「楽しかったな、伊織」

 

「そうだな。俺達も帰るとするか……」

 

 城崎の姿は見えなくなり、俺と伊織は帰ろうとしたとき、俺の携帯に通知音が鳴る。そして、どうやらDMが送られて来ていたようだ。俺はその内容を確認する。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 城崎 紗月の自宅。

 帰って来た彼女は、持ってきたぬいぐるみを抱きながらベッドに入っていた。

 

「今日は楽しかったな。やっぱり、あの声は……。あっ、そういえばさっきⅮMが来ていた気がする」

 

 

 

 

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