夢無き少年のVtuber物語 ~Dream Stage Live!~ 作:瀧野瀬
「
「誘わなかったの……。お互い敵同士だから」
カルミアとレディアは珍しく二人でコラボをしていた。レディアが焔を誘わなかったのは彼の発言である主人公になるという言葉に心を打たれてその言葉を自分自身への挑戦状へと受け取り、「それでこそ私の白馬の王子様だよ」と心の中で喜んでいた。
その後、レディアは焔とコラボをするのを止めてお互い敵同士と考えるようにしたのだ。彼女は推しであろろうと彼にガチ恋していようと負けるつもりはないと強く胸に誓っていた。
第三回ヴィーナス杯二週間前……。
出場選手たちはそれぞれ練習を怠っていなかった。特に、マヤやアキラかなりの猛練習をしており他の選手とぶっちぎりの練度を見せている。そんな、アキラはとある日出場者の中でとある人物に注目していた。
その注目している人物は、天喰 焔。
天喰 焔は二週間前に主人公になるという発言が取り上げられていた。その発言から彼のことが気になっていたアキラ……。彼はちょっとした興味本位で彼にⅮMを送った。
「初めまして、個人勢の日比谷アキラです。先日の配信拝見させていただきました。俺が主人公になる。自分はその言葉に感銘を受けました。是非、天喰さんとはコラボしたいと考えていますのでお返事の方お待ちしております」
彼はその内容をDMに送った。
DMを送ったのを見てから、彼は今日も配信をしようとしていたがそんな彼にすぐに返事が返って来る。面白がって送った内容の返事はなんと了承の返事だったのだ。それを見てアキラは面白くなりそうだと少し笑みを浮かべていた。
コラボ当日……。
その日のコラボ相手は、マヤとアキラと焔の三人となっていた。マヤを誘ったのはアキラだった。このコラボでマヤを誘えば何か起きるかもしれないと期待感を抱いていたのだ。アキラがコメント欄を見ていると、待望のこの瞬間を待ち侘びていたかのように視聴者たちが集まっている。
この配信……。
もしかしたら、何か素晴らしいものが生まれるかもしれない。そんな期待をアキラは抱きながら配信を開始した。
「どうも、初めましての方は初めまして。日比谷アキラです」
マイクテストをした後、日比谷アキラは自己紹介をする。彼は他のVtuberのように異世界から来たような人間でもない。彼はバーチャルプロゲーマーを目指して活動を行っている個人勢のVtuberなのである。目指していると公言しているが、彼の実力を見て誰もがプロゲーマーの領域に達していると考えている人が多いのだ。彼のプレイに多くの人々が魅了され、彼の登録者数は50万人は突破しているのだ。
「今日は俺の宿敵であるマヤ・クラウスとコラボです」
「はーい!みんなのヒーロー、マヤ・クラウス参上だよー!!」
元気いっぱいな声が配信に響く……。
マヤ・クラウス……。彼女はバーチャルEスポーツグループに所属しているバーチャルプロゲーマーなのである。彼女の実力は折り紙つきだ。前回大会では組んだチームメンバー二名があまり高いランク帯ではないものの二位までに入り込んだのだ。その他の大会でも優勝していたり、必ず爪痕を残していたりしていたのだ。
「さて、今日は配信タイトルにある通りもう一人スペシャルゲストに来てもらっています。マヤさんは誰だと思いますか?」
「誰だろうかな?私の考えが正しければ今話題の人だったり?」
「おー、いい線行ってますね。それじゃあ、来てもらいましょうか……!!」
「どうも、
天喰 焔はロシア語で初めましてと挨拶する。
天喰 焔が登場するとアキラのコメ欄は半数以上は驚いている様子。おおよそレディア辺りだと考えていた人が多かったのだろう。だが、その他の人達は天喰焔ではないのか?と期待していたのだ。
「そうです!今回は天喰焔さんに来てもらいましたー!」
「俺は主人公になるという発言からあれから二週間ぐらい経ちましたが最近どうですか?」
彼の俺は主人公になるという発言は色んな人に切り抜かれて、色んな人たちのSNSでも話題になっていたのだ。
「かなり絶好調です」
と意気込む焔……。
「これは今回の練習でも期待できそうですねー」
「あの発言は私も聞いたよ!あんな発言をするなんてかっこいいじゃん……!凄くヒーローみたい……!でも、私は負けるつもないよ……!本物のヒーローだからね……!あっ、ほむっちって呼んでいい?」
「構いませんよ……」
ほむっちと呼ばれることに対して若干レディアのことを思い出しながら了承する。
「ありがとうー!ほむっちにも絶対に負けないよ!」
「勿論、ヒビアキにも負けないよー!私が一位になるからね……!」
いきなりの勝利宣言。
その発言の後ゲームが開始される。人数は、Vtuber三人と他8名の視聴者とのレース……。
コースが決まると、三人共息を吞んだ後レースが開始される。
最初に一位となったのはマヤ・クラウス……。バチャスポに入っているだけあって彼の実力は素晴らしいものだ。華麗なドリフトやアイテムを保持して攻撃から身を守っている。更に上級者が使うテクニックを駆使して彼女は進んでいる。初めて彼女の配信を見た人はこう思うだろう。
人間の動きではないと……。
彼女の独走が二週目まで続いたが……。その後ろにいるのは……。
日比谷アキラ……。こうなるのは理解していたと言わんばかりに彼女の後ろを並走している。マヤとしては後ろに張り付くとある虫の如く生命力を持つアキラを突き放したいと考えているだろう。
そんなマヤに好機がやって来る。アイテムがバナナとなり、彼女はこう考えていた。このアイテムを狭い道の前に置けばアキラを突き放すことができると……。そして、場所は狭い道へと変わり、マヤはバナナを設置するとその予想通りアキラはそのバナナに引っ掛かる……。
マヤはようやく突き放すことに成功し後ろを一旦見ると、そこにはもう一人の影があったのだ。そうそこに現れたのは、焔であった……。
「来たか、ほむっち……!いいよ、私を楽しませてよ……!」
先ほどまで焔は大群の群れの中に居たが、アイテムを使って此処まで上り詰めることに成功したのである。焔はこの戦いいつも以上に真剣にゲームをしている。配信中というのに喋ることを忘れるほどだ。他の二人は普通に喋りながら配信をしているため、他の二人と比べて実力差は出ているがそれでも此処まで追いついたことは素直に素晴らしいだろう。
場所はショートカットができる場所となり、二人はぶつかり合いながらショートカットを決めていた。今二人がプレイしているコースは初心者にとってはかなり難しいコースであり、加速系のアイテムはあまり意味が為さないコースである。先ほどショートカットした場所も加速系のアイテム無しでショートカットできる場所なのだ。
互いに火花を散らし合いながら走っていると……。
「ようやく温まって来ましたよ……。それじゃあ此処から本気見せしましょうか……!」
後ろからやって来たのはアキラ……。彼はこのコースが得意の為すぐにこの順位に戻ることが出来たのだ。そして、とうとうゴールまでやって来た三人であったが……。
「よし私が一位……!」
最初にゴールしたのは僅差であるもののマヤであった……。
「三位か……」
二位にはアキラ……。そして最後にゴールしたのは焔であった。
この前までならきっと彼は二人と走ることすらできていなかっただろう。一週間の練習は無駄ではなかったということが今此処で証明……。いや、一週間だけではない今まで彼が積み上げてきた練習の成果が実ったのだ。勿論、彼はこれで満足はしていなかった次はマヤを抜こうと考えていた。
その後も三人は何度も練習を続けた。焔が一位を取ることはなかったが、彼らに遅れは取っておらず中々な成績だったのだ。
「流石、主人公になるって発言しただけはあるね……!この調子なら私の
マヤは心の底から悦びを感じていた。
「ほむっちと戦えること楽しみにしてるね……!」
「ありがとうございます」
マヤは笑顔でそう言いながら、彼と戦えることを期待していた。
「それと敬語使わなくていいよ!私達もう友達なんだからね……!」
「え?あ、ありがとう……」
焔はマヤのフレンドリーさに少し驚いていたが、彼女はこういう人だと理解していた為すぐにそれを了承していた。
「まさか此処まで仕上がっているとは……。これは俺もうかうかしていられないですね。本戦で戦えることを楽しみにしているよ」
二人と互いに戦えることを期待すると言われた焔はその言葉を胸に本戦まで勝ち上がろうと魂に誓っていた。
アキラが期待していた通り……。
この日、この三人は互いにライバルと認め合うのであった……。