夢無き少年のVtuber物語 ~Dream Stage Live!~   作:瀧野瀬

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懐かしの先輩

「イェ~イ!皆今日も元気~!こんかおる~!!だよ!」

 

 今日も一日水無月 薫こと、雛井 天音は飲酒配信をしている。

 視聴者は「やっぱり、これが素面なのでは?」と心配する人もいれば、「いや、それ怖いよ」と恐怖する人間もいるのであった。実際ネットでも、素面なのか?飲酒しているのか?と言う話題で盛り上がっていたのだが……。

 

「今日はこの銀色の奴飲んでいくよ~!美味い!やっぱス〇ゼロは最高だよ!」

 

 そして、このV界隈において一つの謎が解けた瞬間である。

 そう、やはり水無月 薫こと雛井 天音は飲酒配信をしていたのである。これは一気に話題となりSNSのトレンドにまたあがるのであった。

 

「あっ、でも今後のことを考えておいてサ〇トリ―のビールとか飲んで媚びた方がいいのかな!?」

 

 暴走機関車の如く、無限に続く酒のトーク。

 最早、女子大生ってなんだ?と言わんばかりにおっさんのように酒のトークをする。それのせいで、中の人おっさん疑惑まで浮上する。そして、なによりこの水無月 薫と言う女。彼女こそが2期生最大のヤベー奴と言うのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 俺達の初配信はある意味で話題となった。中二病、キャラ崩壊、嘔吐。

 中二病に関して言えば俺は認めるつもりはないが、悪くはねえスタートではないだろうかと俺は思いながら、今ゲーム配信をしている。久々にこのゲームをしてみたが勘は少し衰えたが、まだ戦えると言ったところか。それはコメント欄が一番表している。

 

『もしかして、焔って元プロゲーマー?』

 

「いや、俺元プロゲーマーじゃないぞ。俺が元プロゲーマーだったら誰でもプロゲーマーになれるぞ」

 

 コメント欄は「じゃあ俺達どうなるんだ!?」と言うコメントが続出。

 何度かこのゲームでプロとコラボをしたことがあるが醜態を晒しまくっていたからプロゲーマーと言えるほど強さはない。

 

『初配信の切り抜きから来ました。初見』

 

「いらっしゃい。言っておくが、俺は中二病じゃねえぞ」

 

 と言うと、コメント欄で「またまた」と言いながら、俺に中二病が言うような台詞を俺に言わせようとしている。今日この配信をやって一番思ったのが、やはり配信って言うのは慣れないな。と言うのも俺が元々ゲーム実況者と言うのもあったからこっちの方面はあんまりやってなかったから何を喋ればいいのか分からん。

 基本的、コメント欄を読んでそれに対して答えるって言う方式を俺は取っているがそれでいいんだろうか。

 

「中二病が言いそうなこと選手権、配信とかやらないのだって?面白そうだな、それ……」

 

 でも、なんでだろうか。俺より視聴者の方が発想力が良いってなんか腹立つな……。

 そして、それを言葉に出してしまう。

 

「なんか俺より視聴者の方が発想力良いの腹立つな。物理的に燃やすぞ、お前」

 

 物理的に燃やすぞ、お前と言うパワーワードに視聴者は笑う。

 笑ってくれたようだし、これはこれでいいか。それから、暫く配信を続けた結果言えることはただ一つ中二病を発揮した方がこの配信楽になれるかも知れない。

 

「それじゃあ、俺は今から魔法の鍛錬に出かけてくるから配信を切るぜ!!アディオス!!」

 

 と言いながら、配信を終えて俺は今後の問題点とやらを色々思いついた気がする。

 なんやかんや思いながら、配信を終えた。

 

 それから、数日が経ち俺の登録者は2万半になっていた。他の二人と比べると、若干出遅れているような気もするが初の男性Vtuberとこの登録者なら良い方だろう。登録者に関して言えば、ゲーム実況やっていたこともあるから辛さは充分に理解している。

 そんなことを思いながら、冷蔵庫に入れてある大量の魔剤の一つを取り、栓を開けて俺は飲み始める。すると、携帯から着信が来る。誰だろうか、と思いながら電話に出ると珍しい相手からであった。

 

「よぉー、彰斗。久しぶりだな」

 

「何の用ですか?仁先輩」

 

 男らしい豪快な声が聞こえてくる。東雲 仁(しののめ じん)

 この人は、俺によくゲーム実況を教えてくれたゲーム実況界隈の先輩だ。確か、今は引退して家の稼業を継いでいると聞いたが……。結婚もしていると聞いたが、本当かは知らない。

 

「いや、少し話でも久々にしようかと思ってな。どうだ最近は?」

 

 最近か……。

 最近になってから妙に忙しいとは思う。でも、前より充実した感じの生活はできているような気がする。七瀬や、雛井と出会って……。そして、なにより俺がVtuberになってから……。

 

「悪くはないと思います。寧ろ、良いかなって……」

 

 俺の生活は前よりいいものになっている、それは事実だ。

 

「おお、そりゃあ良かった。ゲーム実況最後に出していた頃のお前は見ていられなかったからな」

 

 確かにあのときの俺は見ていられないと、言われても仕方ないだろう。実際俺も自分で迷走しているなと思っていたからな。なにより、コメント欄でも言われていたからな。

 

「そういや、お前今Vtuberと言うのをやっているらしいな?」

 

 ……その言葉に俺は飲んでいた魔剤を喉に詰まらせる。

 え?俺この人にVtuberになったって言った覚えねえぞ……。まさか……?

 

「なんで知っているんですか?」

 

 あるとすれば……。

 

「ゲーム実況者界隈で少し言われてたぞ。後、お前もう中の人バレしてるぞ」

 

「はぁ!!?」

 

 俺は急いで、グークルで天喰 焔 中の人と調べる。

 すると、一番最初に出てきたのを見ると……。俺の中の人の解説で『THOR』と言う名前が出ている。っざけんな、クソ。こういうときは、お得意の結果、わかりませんでした。って書いておけと言わんばかりに俺はすぐタブを閉じる。

 と言うか、ゲーム実況者界隈でも俺がVtuberやっているって言うこと気づかれているのか。気づいていなかったが何とも面倒なこった。

 

「これ消せって言えないんですかね?」

 

「言ったら、面倒なことになるだろうな」

 

 だろうな……。

 個人で好き勝手やっているプログだろうし、好きにやらせてやるか。俺の場合、顔バレとかしてねえし……。

 

「例えバレても、お前はお前らしくやればいいだろ。過去のソアとしてじゃなくて、今の天喰 焔としてな」

 

「分かっていますよ、俺は‥‥…」

 

 そんなのは分かっているつもりだ。

 と思いながら、俺は魔剤を飲み干し、缶を握り潰す。

 

「そうか。それにしても、安心したぞ」

 

「何をですか?」

 

 何を安心したんだろうか……。

 と不思議に思いながら電話を出ている。

 

「いや、お前のことだからありえないと思うが初配信や配信をしてて自信を無くして意気消沈していると思ったからな」

 

 自信を無くして意気消沈か……。爺ちゃんの遺言や、俺が中途半端な覚悟でVをやらなかった、からなのだろうか。俺自身の強い意志が頑張ろうと言っているのだろうか。きっと、そうだろうな。

 

「だけど、お前はもうちょっと周りを見てやれ」

 

 周りを見てやれ……?

 何故、そんなことを……。と思ったが、俺には心当たりがない訳ではなかった。そう、それは雛井のことだ。ただ酒を飲んでいたんじゃない。何か理由があるはずだ。

 

「ひな……水無月のことですか?」

 

 危ない、雛井って言いそうになった……。

 

「ああ、あの茶髪で胸が大きい子だ」

 

 この人、この土壇場でぶち込んできやがった。

 この人はいつもこんな感じの人だから別に俺は気にしてないが……。

 

「普通こういうところでそういうこと言いますか?」

 

「いいだろ、別に大きいの好きなんだからな」

 

 本当この先輩は……。

 

「話戻すがお前も分かっているようだから、これ以上何も言わねえぞ」

 

 「はい」と言って、電話を急いで切ってすぐに七瀬と雛井に電話を入れて集まって欲しいと言おうとしたときであった。仁先輩が俺の電話を切ろうとしているのがすぐに伝わったのか。

 

「ああ、そうそう。お前に何れとんでもないサプライズを持ってきてやるから覚悟しておけよ」

 

 そう言われた後、俺は電話を切る。とんでもないサプライズ……。

 なんだ?子供でも出来たとかの報告を俺にするつもりなのか?と思っていたが、そんなことを考えている場合じゃないと思った俺はすぐに七瀬と雛井に連絡をする。

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