八雲廻戦   作:シーボーギウム

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投稿遅れてすいません。
撃墜兄弟特別でライザップサトシで超必キメるのにハマってました。
ドスケベフレイムちゃんとKEN☆ZENシャイニングちゃんキツすぎるッピ!




八雲と七海

(なるほど、地頭はかなり良いようですね)

 

 問題をスラスラと解答していく紫月の様子に七海建人はそう結論付けた。今、七海は簡単な四則演算から高校レベルの問題まで様々な数学の問題を用意し、それを紫月に解かせている。初め紫月は四則演算以上の知識を持ち合わせておらず、√やサインコサインなどに関しては全くの無知だった。が、しかしそれはあくまで概念を知らないだけで、七海が解き方を一度説明すれば後は少しも止まらずに問題を解き進めていた。

 

「これは一体なんの意味があるのよ」

「………常識とは、本来学ぶものではありません」

「質問に答えろ」

「質問に答える為の説明です」

「………」

「続けます。常識はあくまで身に付けるもの(・・・・・・・)。意識的にその常識を守ろうとする時点でそれは間違っている。それに、そもそも常識何てものは視点を変えればいくらでも変化します。日本の常識もアメリカから見れば非常識な部分がある。貴女が閉鎖的な環境で育ち、そこで身に付けた常識は、あくまで私達から見ると非常識なだけです」

「………あめりか?」

「………なるほど、それはおいおい教えます。簡単に言えば、住む場所、環境によって常識は変わるということです」

「そんなもの、不和しか生まれないだろう」

「そうですね。事実、昔はそれで戦争が起こったことすらあります。ですが今は国際化社会、技術の進歩で人は簡単に遠く離れた人とも関わりを持てるようになった。結果として、ある程度の常識の画一化(・・・・・・)が起こった」

「………要するに、私の持つ常識はその画一化された部分にすら届いていないと」

「そういうことです」

 

 はぁ、不快………と紫月が呟く。

 

「それで、どうしてこの問題を解くことに繋がるの?」

「常識を身に付ける上で最も簡単なのは学校に通うことです」

「がっこう………?」

「ええ、貴女はまだ高専に通う年齢にも届いていない。不安はありますが高専に来るまではそうするのが最善と判断しました」

「そこに女はいるの?」

「聞き方に疑問は尽きませんが、ええ、いますよ。男女共学の学校であれば普通に」

「男女共学………女だけの学校も「常識を学ぶ上で女子高は環境として不充分です」ちっ………」

 

 清々しいまでに欲望に忠実な紫月に、七海は思わずため息をもらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「98点です。学力には何ら問題ありませんね」

「ちっ、一問間違えた…………」

 

 その一問もケアレスミスだ。解き方を学んだ直後で数3レベルの問題までほぼ全問正解しているあたり相当に知力は高いと言える。

 

「学校に関しては適当な所を選んでおきます」

「問題は無いの?」

「何がですか?」

「お前ら、私のことを舐めすぎだ。私は紫様の血を引く存在だぞ?お前ら呪術師がそれを事実としているのかどうかは知らないけど、術式が同じことは認めざるを得ない」

「………」

「つまりお前らからすれば、私は特級相当の呪霊になりうる不確定要素。それを野放しにすることになると、理解できていないわけが無いだろ」

「………貴女がそれを心配する必要はありません」

「何故?」

「貴女が子供だからです」

「はぁ?」

「私達大人には子供を守る義務がある。それだけです」

「………」

「今日はこれで終わりにしましょう。入学などの手続きはコチラで済ましておきます。明日の予定は伊地知君に伝えておくので彼に聞いて下さい。では」

 

 それだけ告げて七海は部屋から出ていく。数分して、そこに入れ替わりで入ってきたのは伊地知だった。伊地知は部屋の中で中空を見つめながら考え込む紫月に首を傾げる。

 

「八雲さん、どうなさいましたか?」

「…………おい伊地知」

「はい?」

「敬意を払うに値する人間に対する相応しい態度を教えろ」

「え?は、はい、構いませんが………」

 

 奇しくも、紫月の成長を見ることとなったのだった。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「紫月の調子は?」

「問題ありません」

 

 任務を終えた後、五条に高級焼肉店へ呼び出された七海は紫月に関することの報告をしていた。

 

「それで、要件は?」

「七海はせっかちだなぁ!もう少し先輩とのトークを楽しもうぜ?」

「要件は?」

「………案の定、上層部の動きがきな臭い」

 

 その言葉に七海は特筆反応は返さない。それは五条に紫月の教育を頼まれた時点で想定していたことだった。

 

「対応策はどうするつもりですか?」

「紫月はもう呪術師として登録はしておいた。とりあえず二級。んでもって僕と冥さんで一級に推薦しておいた。ついでに僕の権限フルで使って付き添いの術師を七海にした。これでしばらくは七海がそばにいる大義名分ができる」

 

 七海がそばにいれば流石の上層部も手は出せないでしょ!と五条。将来の不確定要素と現一級術師であり、その中でも高い実力を持つ七海では、現状その価値は確実に七海に傾く。その間に紫月を殺しうる程に強力な呪霊の任務を受けさせれば七海も死にかねない。

 

「刺客を送り込まれるのも七海がいれば抑制できる」

「その後は?」

「なぁに言ってんの?あの子は現状最も僕を殺せる可能性の高い術師だよ?それまでに特級殺せるぐらいに強くすればいいだけだよ」

「簡単に言いますね………」

「簡単だよ。紫月はもうゴールを見てるんだから」

「…………」

 

 八雲紫月の完成形(八雲紫)。辿り着くべき終着点を知っている、というのは呪術師にとって変え難いメリットだ。

 

「七海はゴールするまでの手助けをしてあげてよ。そんで特級になれば、上層部がちょっかいかけても意味が無くなる」

「特級ですか………」

「無理だと思う?」

 

 五条の言葉に七海は少しだけ考え、

 

「いえ、彼女なら容易く辿り着くでしょう」

「そ!だから僕達は辿り着くまで守ってあげればそれでいいんだよ。あ、七海呼び出しボタン押して」

「ご自分でどうぞ」

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「夏油様」

「うん?」

 

 ある施設、そこにある自室にいた男、夏油傑は己の側近として仕える菅田に声をかけられ、思考から意識を浮上させた。

 

「少しお耳に入れたいお話が」

「言ってごらん」

「五条悟に娘が出来ました」

「!?」

 

 夏油傑。彼は呪術界最悪の呪詛師だ。だが初めからそうだった訳では無い。その詳細は省くが彼は五条悟と親友と言える間柄にいた存在でもある。だからこそ彼は五条という人間の性格を良く理解していた。故に今彼は人生最大、今後更新されることのないレベルの困惑に襲われていた。

 

「どういう………」

「ある少女を養子に取ったようです」

「その子の名前は?」

「五条紫月です。ただ………」

「うん?」

 

 言葉を濁した菅田に夏油は首を傾げる。しかし続く言葉に、その意味を理解した。

 

「少女自身は、自分を八雲紫月と名乗っているようです」

「っ!へぇ………」

 

 ニヤリ、と夏油の口が弧を描く。八雲の名は軽くない。その名を己のものと語り、その上で五条悟という最強の庇護に入れられた少女。その名が嘘にしろ真実にしろ何かあるのは確定だ。

 

「もう少し調べてくれ、私も別口で調べるよ」

「了解しました」

 

 部屋を出ていく菅田を見届けつつ夏油の表情はより深い笑みを浮かべていく。

 

「上手くコチラに引き込めないかな」

 

 一人の少女を中心に、大きな流れが生まれ始めていた。

 





サマーオイル傑登場。

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