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「ほほぉ……最近の外来人は水の上を歩けるのですか。ぜひ、取材させてもらいましょう!」
「ガイライジン?……いえ、お前は誰なのだ?」
興奮した様子で翼をはためかせて湖面ギリギリでホバリングする黒髪の少女。眼前の彼女への警戒の目を若葉は向け続ける。
「ああ、自己紹介が遅れましたね。私は射命丸文、しがない新聞記者ですよ」
射命丸文、と名乗って一礼をする、名乗り通りの新聞記者……というよりは、新聞部の女学生然としている少女に意識を向けたまま、若葉は比叡とアイコンタクトを取る。
「記者さんですか?でしたら、そのー……鎮守府を通して、取材許可を取ってからでいいですか?」
「む、こんなスクープを前にして踵を返すのは癪ですが、仕方ないですね……」
余所行きモードのスイッチを入れた比叡は、"取材拒否"の常套句を並べて引き取ってもらおうと思案した。
「そうですねぇ……では、取引です。貴女方が置かれている環境をお教えする代わりに取材を受けてもらう、という取引はどうでしょうか?」
「それは、不要でありますな」
いつつ、と後頭部をさすりながら身体を起こして射命丸をじっと睨む、モノクロの制服と艤装を身に着けた艦娘、あきつ丸が口を開く。
「自分たちは自前の眼を持っていますので、初対面のブンヤなんぞに頼るほど落ちぶれたわけではないのであります」
「ほう、《眼》ですか。それはぜひ見てみたいものですねぇ」
射命丸もあきつ丸に、評価をするような視線を向ける。
「……若葉殿、意見具申するであります。三式を飛ばして偵察を行うのはどうでありますか?」
「そう、だな……悪くない、と思うぞ」
その返答を肯定と捉えたあきつ丸は艤装の巻物を広げ、走馬灯のスクリーンを通した影を巻物に描かれた飛行甲板に投影する。
投影された影が飛行甲板上を滑走すると同時に三次元的な質量を帯び、飛行甲板から飛び立つ瞬間にはその影は実態を持った、スケールダウンしたラジコン大の飛行機のようなものとして大空に飛び立った。
「……なるほど、確かにこれは眼ですね」
カメラを構えていた射命丸は時折シャッターを切りつつぼそりと呟く。
これだけの"力"があれば先ほどまでの態度も納得できる。となれば。
「……そうですね、今回は無償で情報を渡しますよ」
「えっ、いいんですか!?」
余所行きのヴェールが僅かに剥がれた比叡が思わず声を上げる。
ええもちろん、と頷いた射命丸は一つの条件を掲示する。
「その代わり、信頼していただいた時でいいので私の取材を受けてもらえれば」
「……まあ、それならいいだろう。」
若葉がそれを呑めば、射命丸は"この世界"のことを若葉らに伝えるのであった。