東方艦隊娘 〜 往日を引き継ぐ者   作:久里浜燐

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参話:射命丸の幻想郷講座

????.05.11 幻想郷/霧の湖

 

「……と、言うのがここ、幻想郷と思っていただいていいですかね」

「ふーん、なるほどね」

 

霧の湖の湖畔。山城を中心とした特設連合艦隊の面々は射命丸の話を聞いていた。

 

「つまるところ、この幻想郷は僕たちのいた世界とは微妙に違う……ってとこ、かな?」

「うーん、だったらどうして夕立達は入れたっぽい?」

 

射命丸の説明を飲み込む時雨と、浮かび上がってきた疑問を零す夕立。

 

「でも、神様や妖怪がいるなんて……信じられないわね」

「うー……いつになったら帰れるんですかぁー……」

 

半信半疑であるが、能力の一片を見せられて無理やり納得しようとする大井と、帰還できる予定が見えずに僅かにホームシックを起こす阿武隈。

 

「……まあ、こんな状況になったら仕方ないんじゃないの?私たちがいなくてもまあ、翔鶴姉たちが何とかしてくれるって」

「でも大丈夫かしら、私たちって鎮守府でも主力だし……」

「確かに、言われてみればそうですね……」

 

現状を受け止めてる瑞鶴と、鎮守府を案じる祥鳳と速吸。

 

「うーん、やっぱり何度試しても通信は繋がらないですね……国際周波数帯も、発信源がないみたいに静かです」

「私の通信機も全く反応しないわ。全く……不幸だわ」

 

ダメもとで無線機を操作し、再度現状を認識させられる比叡と山城。

 

「……どうするの、若葉?」

「と、言われてもだな……若葉ではなく、阿武隈や山城が指揮を執るべきだろう」

「……そういえば、山城殿。司令から密書を渡されてなかったでありますか?」

 

不安そうに姉に尋ねる初霜と、極力平静を保とうとする若葉。そして、ふと思い出したあきつ丸のその一言で11人の艦娘の視線は山城に注がれる。

 

「あれは、緊急事態が落ち着いたら開封って……」

「……確かに、今は緊急事態の真っ只中でありますなぁ」

「いや、案外違うのではないか?」

 

腕を組みながら考え込む若葉は思わず呟く。

 

「緊急事態は幻想郷への転移、あるいは悪天候下の航行を抜けたときではないのだろうか?その混乱を抜けて落ち着いたとき……それが今という認識であったら、この瞬間に開封するべきだろう」

 

無論、山城に判断は任せるがと若葉は続ける。

提督に一番近いところで働いていた若葉の言うことには一理ある。なんだかんだで数年も傍にいるのだ、以心伝心の仲だろうから恐らく若葉の意思は提督のそれに近いだろう。

 

「……開けるわ、もし違ったら私の責任でいいわよ」

 

艤装に備え付けられたコンテナを開き、封蝋の施された封筒を開封する。

 

「……はぁー、不幸だわ」

 

その文面をちらと見た山城は、大きく溜息をついた。

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