ある日突然《解放》として艦これの世界に漂着した件について。   作:久里浜燐

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2話 ランデヴー・提督

入港と同時に出撃用の設備(ドック)で背負っていた艤装を下ろせば、ディスプレイの向こうに見慣れた妖精さんたちが私が降ろしたばかりの艤装を奥に運んでいく。

よくもまああの小さな体で艤装なんて重そうなものを運べるなぁ、と思ったけれど、よくよく考えれば私も重さすら感じないでここまであの艤装を担いできたしな、と納得する。

と、そこにカツカツと他の物音よりは聞きなれた足音。

見ると、20代後半、という若い見た目の第二種軍装、記憶の中にある海上自衛隊のそれに近い制服を纏った青年がこちらに視線を向けてくる。

 

「君が、連絡に有った艦娘か」

 

どうやらあの艦隊の誰か、恐らく旗艦のガングートが予め連絡してくれたのだろう。

 

「ええ、ソビエツカヤ・ベロルーシヤです。どうかお見知りおきを、提督」

 

少し畏まった言い方で軽く挨拶をすれば、宜しくと手を差し出してくる。

 

「この鎮守府の提督です、なれない日本かもしれませんが……まあ、何かありましたら言ってくださいね?」

「ええ、宜しくお願いします」

 

その手を取って握手をし返す。提督の手はあまりごつごつしておらず、武人というよりかは文官みたいだな、なんて印象を抱いた。

 

「……おや、どうしましたか?」

 

その手を凝視していたからか、不思議そうな視線を向けられる。

 

「ああ、いえ……ちょっと、軍人の方らしくないな、と」

 

《解放》の記憶と私の認識は、目の前の彼が軍に所属するような体つきの人間ではない、という共通の見解を導き出す。

 

「ああ……私、元々海自の出身じゃないですからね」

 

なるほど?と首を傾げる私に提督は、この世界での"艦娘"と"深海棲艦"、そして"提督"の解説をする。

 

突如としてこの世界に現れ、人類の制海権を脅かす異物たる"深海棲艦"。

それらに対する人類側のカウンターパートとして現れた"艦娘"。

その艦娘に選ばれた、彼女らを指揮する"提督"。

 

科学的・魔術的に構築された体躯と艤装で構築された艦娘と深海棲艦。

そして、その艦娘と魔術的(どちらかというと陰陽術的)に結びつきを強いられた提督。

 

22世紀に26世紀から来た侵略者と戦うゲームの、26世紀に生み出された侵略者の側のようだと思いながらもその説明を受け止める。

この世界に来る前、提督仲間の友人とジョークで『艦これの2次創作で艦娘を定義するとき、科学的に考えると非人道的になるよね』って話していたのを思い出した。

なるほど、既存の技術体系に魔道工学をぶち込んでしまえばいいのか、と納得しつつもどういう研究をしているんだろうかと新しい疑問が浮かび上がる。

……まあ、その辺はここでの生活が安定してからでいいか。

 

とにかく要約するとこの提督は少しミリオタの入っていただけの一般人で、たまたま"提督"として選ばれたからこうしてここにいる……と。

尤も、最低限の適性は"提督"として選ばれる段階で備えられているらしく、眼前の提督もまた防衛大学校やらで受けるようなことをがっつり詰め込んだらしい。

 

 

「……なるほど、ありがとうございます」

「納得してくれたようで何よりです。それで、ベロルーシヤさんの部屋は……ガングート、君の隣の部屋が空いてましたよね?そこに案内を」

「うむ、了解したぞ。ほら来い、同志」

 

私にそう声をかけて鎮守府建屋の砲に行くガングートの後を追って、私は出撃ドックを後にした。

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