戦車長と音楽厨二人の鉄血世界   作:ナナシのG愛好家

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緑狼は鉄血の孤児たちの元へ

「へ………へへ………、惜しかったな………。」

 

 俺と相棒を潰した男が、去って行くのを感じる、俺と相棒の命が、潰えて行くのを感じる。だが、まだ死んじゃぁいねぇ。

 最後の力を振り絞り、照準鏡を覗きこむ。去って行く06の姿が見える。死ねよ。盗人野郎。お前なんかに、俺達の誇りを潰させやしねぇよ。

 装填されていた装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)を、引き金を引きぶっ放した。

 

「はん。一発あれば十分だ。」

 

 もう俺の命ももたねぇか。そんな事を思いながら、いらなくなったドロップの箱を捨てる。

 

「ヒルドルブ………俺はまだ………戦えるん………だ。」

 

 チクショウ。こいつの有用性がやっと示されたんだ。やっと。こんなとこでまた沈んで………たまる………かよ………。

 

アオオオオォォォォォォォン

 狼の遠吠えが聞こえた気がした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「………い、……ンタ、…………ぶか?」

 

 何やら声が聞こえる。どうやらお迎えが来たらしい。

 

「ああ、大丈夫だ。今起きる。」

 

 俺が起きたのは簡易ベットの上だ。俺の隣にいるのは緑のジャージを羽織って、質素な服に身を包んでいる。褐色肌で白髪の男。その風貌はまるで少年兵だ。

 

「驚いたぜ。アンタがこの間見つけたデカい戦車の中でぶっ倒れてたんだからよ。」

「戦車!?ヒルドルブ(俺の相棒)の事か⁉」

 

 こいつら何だ?ゲリラか?だとしたら何で俺を助ける?

 

「あ、ああ。多分その事だと思うぜ。」

「というか、ここは何処なんだ?」

「は?アンタ頭でも打ったのか?ここは火星だろ?」

「へ?火星?あの?」

「太陽系の火星がアンタが言う火星ならその火星だ。」

 

 !?!?!?!?!?おいおい、こいつはどういう事だ?俺は地球で死んだはずじゃ………。

 

「おい、お前、ジオンって聞いた事あるか?」

「ジオン?いや、聞いた事ねぇな。どこかの都市か?」

 

 ジオンを知らない、ってことはやっぱり、

 

「なあ、今は何年だ?」

「おいおいアンタ、マジで大丈夫か?医者行ったほうが良いんじゃないだろうな?今はP.D(Post Disaster)323年に決まってんだろ?」

 

 聞いた事のない年号、やっぱここは異世界なのか?

 

「悪い、情報が欲しい。この世界の事とかお前の事とか、いろいろ教えてくれ。」

「は、はあ、良いぜ。」

 

 そうして、話してくれたことをまとめるとこうだ。

 

 1.この世界は、無人型殺戮兵器モビルアーマーとの戦争【厄災戦】で駄目になった。

 2.地球はギャラルホルンという連邦のパチモンが支配してる。

 3.火星は掃き溜め。彼、参番組隊長のオルガ・イツカらはCGSという派遣警備会社の社員。ただし、阿頼耶識というデバイスを付けているため『宇宙鼠』と蔑まれているそうな。

 

「なるほどな。」

「ったく、この説明したのお前で三人目だぞ。」

 

 ん?ちょっと待て、それって、俺以外にも転生者がいるって事か?

 

「そいつらは何処にいるんだ?案内してくれ!」

「あ、ああ、ウチで雇って、今一軍に居るからまずはお前を雇わないと、」

「じゃあ雇ってくれ!面接なら受ける、俺は戦車訓練場の元教官だったんだ。お前らの教育係にピッタリだと思うぜ。」

「そ、そうか、待ってくれ、社長に話をつけてくる。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「で、アンタが今回の行き倒れか。アンタ、元は遠くで教官をやっていたそうだな。ガキ共のしつけ、頼めるか?」

 

 そう言ってくる肥満体型の男、社長のマルバ・アーケイだ。いったいいちで面接をしている。

 

「応よ!任せとけ。どこに出しても恥ずかしくない様な立派な軍人に仕立て上げてやるぜ!」

「いや、うち等は軍じゃないんだが………まあ何でもいい。よろしく頼むぞ。」

「応よ!こっちも頼むぜ!!」

「ああ。」

 

 マルバの手をガッチリと握った。

 社長室を出て行くときに、

 

「今月三人目の行き倒れ………ウチは慈善事業じゃねぇんだぞ。まったく………。」

 

 とぼやくのが聞こえた。なんだかんだで雇ってくれんのは優しさだろうが。とにかく、今日から頑張るとするか。

 とりあえず、今の時間は午後十時、勤務は明日からだそうなので、一軍を覗きに行った。オルガに俺と同じことを言った二人の名前は教えてもらった。

 

「おい、ダリルとイオってやつらは居るか?」

 

 一軍の寝床に顔を出すと、ごつい顔の男が出て来た。

 

「あいつらは別室だ。うるさいからな。」

「そうか。じゃ、道を教えてくれ。」

 

 そう言うと、男の表情が急変した。

 

「何だその態度はぁ!!」

「うおっと!」

 

 いきなり拳が飛んできたので、避けた。

 

「いきなり何すんだよ!危ねぇな!」

「貴様こそなんだ!!俺は一軍の隊長だぞ!!敬語を使わないなんてふざけた話があるか!!」

「悪かったな知らなかったんだよ!!」

「知らなかったですませられるか!!そんな甘ったれた根性は俺が叩き直してやる!!」

 

 あ?お前喧嘩売ってんのか?

 次の瞬間、男に俺の右ストレートが直撃した。男はドスン!と大きな音を立てて倒れ、頬を抑えた。

 

「テメェ!ハエダさんに何しやがる!」

「キンギョのフンは黙っとけ。」

「なっ………。フ………。おまっ………。」

 

 出っ歯の野郎が何か言って来たが一睨みで黙らせた。」

 

「『知らなかったは甘え』だぁ?お前よくそんな口が聞けるな。」

「ひ、ヒィッ。」

 

 胸ぐらをつかみ上げる。

 

「俺は元々ある場所で教官をやっててな、お前みたいな薄汚い教え子はどうしたと思う?」

「え、えっと………」

「こうすんだよ!!!!」

 

 殴る。

 

「お前みたいなぁ!!!!!!」

 

 殴る。

 

「心の底から腐ったようなやつはぁ!!!!!!!!」

 

 殴る。

 

「修正してやる!!!!!!!!!!」

 

 ただひたすらに顔面を殴る。

 ハエダの顔面が腫れあがり、もう顔の原型がわからなくなったところで、

 

「その辺にしておけ。確かに煮ても焼いても揚げても茹でても食えない様なクソ野郎だけど、生かしておかないと困る。」

 

 という声が聞こえ、振り向くと、そこに居たのは天然パーマの男だ。両腕は義手になっており、片手に古いラジオを抱えている。

 

「お前は?」

「ダリル・ローレンツだ。ここの一軍の人間だよ。」

「お前がダリルか、丁度いい。話したいことがあったんだよ。」

「?」

「ジーク・ジオン。」

「ッ!」

 

 俺が耳元で囁いてやると目を見開いた。

 

「今、空いてるか?」

 

 そう聞くと、ダリルは無言でうなずいた。




 はい、プロローグ。そしてハエダフルボッコ回です。このシーンはぱっと思い浮かんだんですが、やっぱ快感ですね。こういうクズキャラがのめされるのは。
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