戦車長と音楽厨二人の鉄血世界   作:ナナシのG愛好家

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 すみません。最近スランプ気味で、この小説の展開を少々迷走していました。お待たせしました!!最新話をどうぞッ!!


槌頭の蛇との邂逅

 ドガァン!! と言う爆音がイオのヘルメットのスピーカーから聞こえてくる。

 

 

 

「くっ!! このッ!!」

 

 

 

 とっさにサブレッグを利用して飛びのいた時だった。爆炎の中から伸びたワイヤー付きの銛がシールドに突き刺さった。

 

 

 

「なっ!!」

 

『貰った!! シーサーペント!!』

 

 

 

 放たれた電流が、盾を持っていた左腕を駆け巡り、左腕のパワーが消失。シールドを離してしまう。

 

 

 

「しまっ!!」

 

 

 

 晴れて行く爆炎の中から現れたのは、ワイヤーを引いて銛を銃に引き戻す機体と、そのまま右手に持った薙刀のような武器を抜いて、突っ込んでくる機体。

 

 

 

『貰っ たあぁぁぁ!!』

 

 

 

 しかし、その刃を、素早く抜いたヒートサーベルで受け止める。

 

 

 

『止めてくる…………!!』

 

『やっぱりすごいわね、サンダーボルトの英雄は!!』

 

 

 

 そう響く二人の女性の声に、イオは笑みを浮かべる。

 

 

 

「テメェらも随分と成長したもんだな!! ナンシー、ルルー!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

[時は、三時間ほど前に遡る。]

 

 

 

「おう、来たか、イオ。」

 

 

 

 【サンクチュアリ】のブリッジに、パイロットや、ブリッジクルーに対する招集がかかり、一足遅れて到着したイオは、オルガにそう声をかけられた。

 

 

 

「ああ。で、何だ? 緊急収集って。」

 

 

 

 そう言うと、ダリルが、イオに、その義手で、正面のモニターを見せた。そこに映っていたのは、白い帽子をかぶった、黒髪のこじゃれた男。そして、見知った太った男。

 

 

 

「マルバのジジィ? なんせあんなとこにいるんだ?」

 

「開口一番それか!! 失礼な奴だな!!」

 

 

 

 イオの発言に、マルバが声を上げる。

 

 

 

「で、何でいるんだよ?」

 

 

 

 イオがダリルに問いかければ、ダリルが、

 

 

 

「ああ。どうやら、テイワズの幹部に、奴の知り合いが居たみたいだ。名瀬・タービン。テイワズの輸送部門を取り仕切るタービンズの首領で、テイワズのトップと親子の盃を交わしている。」

 

「オイオイ、それってもしかしなくてもヤバい?」

 

「ああ。」

 

 

 

 それもその筈。ヘブンズ・ナイツ・ブリケード。通称HKBだけでは、物資や航路に不安が残る。その為にテイワズを頼ろうとしていたところで、(多分)敵であるマルバの知り合いがテイワズの重鎮で、おまけにここに来ているという事は、選択を間違えればタービンズと、ひいてはテイワズとの戦いに発展してしまう可能性もある。

 

 

 

「しばらく前から背後を取られてます…………。レーダーがエイハヴウェーブをキャッチしたときにはもうなかなかの距離に。」

 

 

 

 オペレーターのハヤサカがそう教えてくれる。するとモグモグと火星ヤシを食べていた三日月が、問いかける。

 

 

 

「そう言うのが上手い相手だってこと?」

 

 

 

 それに頷いたのはソンネンで、

 

 

 

「ああ。用心しろよ。」

 

 

 

 と、三日月に檄を飛ばす。すると名瀬が、

 

 

 

『っと、何かコソコソしてるところ悪いな。これで、お前さんらのパイロットは全員そろったってことで良いんだよな?』

 

 

 

 その質問に、ケイジは、

 

 

 

「ああ。俺の方はそろってたけどね。オルガ君の方は?」

 

 

 

 と、ブリッジの艦長席から、オルガに問いかける。オルガは壁に寄りかかって腕を組んだまま、

 

 

 

「ああ。問題ねぇ。」

 

 

 

 とだけ。答えた。

 

 

 

「なぁ、それで、どういう状況なんだ?」

 

 

 

 結局、何故名瀬がこんな話をしてるのかわかってないイオが、ソンネンに問いかける。

 

 

 

「ああ、そもそも、俺たちが乗ってきた船。イサリビは、元々マルバの船だった。というか、俺達鉄華団は、マルバのCGSを乗っ取って出来上がった組織だ。あの名瀬は、クーデターを起こした俺達から、マルバの資産を取り返そうとしてんのさ。」

 

「ナルホド…………。って、それってヤバくね? 本格的にテイワズと敵対しちまうじゃねぇか。」

 

「ああ。だから、アイツ等は交換条件を出してきた。」

 

「条件?」

 

 

 

 イオが首をかしげると、ソンネンが、

 

 

 

「俺たち全員に、働き口を紹介するんだとよ。」

 

 

 

 と、答える。

 

 

 

「俺たち全員に、まっとうな仕事を用意するらしい。…………全員一緒、という訳にはいかないらしいがな。」

 

「おいおい、そりゃスゲェオイシイ話じゃねぇか。クーデリアは?」

 

「マルバの資産って扱いになってるらしい。」

 

 

 

 ソンネンのその言葉にイオは、

 

 

 

「前言撤回だ。最悪だな。あのデブにクーデリアを渡したらどうなる事やら…………。俺達がテイワズの配下になって、クーデリアの護衛の仕事を引き継ぐってのは?」

 

「すでにビスケットが提案した。」

 

「…………で、どうなった?」

 

「分かってんだろ?」

 

「そんなに甘いわけねぇよなぁ…………まぁ、そうなら、さっさと投降して働き口ってのを紹介してもらうのが、一見ベストな選択だけどよ、」

 

「ああ。」

 

 

 

 ソンネンとイオは、示し合わせたようにうなずく。近くにいたダリルも、同じことを考えていた。

 

 

 

「「オルガは絶対認めないだろうな。」」

 

 

 

『で、どうだ?お前らにとっても、悪い話じゃねぇだろ?』

 

 

 

 という名瀬の問いに、オルガの答えは、

 

 

 

「断る。」

 

 

 

 拒否一択だった。

 

 

 

『…………その答えは、何を意味するか分かってるんだろうな?』

 

 

 

 名瀬の眼光が鋭くなる。

 

 

 

「ああ。当然だ。」

 

 

 

 オルガは答える。その口元に笑みを浮かべて。

 

 

 

「やってやろうじゃねぇか。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 交信が終了し、サンクチュアリには第一種戦闘配備命令が出た。HKBも、鉄華団も、それぞれ戦闘準備を進める。サンクチュアリ内部に繋がっているイサリビのブリッジ。そこでは、艦長席に座ったユージンと、その隣に立つオルガ。そして、鉄華団員と、クーデリアのメイドであるフミタンで構成されたクルーたちがスタンバイしている。

 

 正面に映っているケイジが、

 

 

 

『確かに上手くいけば決まる作戦ではあるかもしれないけどね…………本気かい?』

 

 

 

 その問いに、オルガは、

 

 

 

「当然だ。これは、俺達とタービンズの勝負だ。アンタ等には手を貸してもらうが…………筋は俺達で通してぇ。」

 

 

 

 と頷く。

 

 

 

「それでこの作戦ねぇ…………いやはや、お兄さんの若い頃はそこまでぶっ飛んだ発想はなかったな~。」

 

 

 

 と、おどけて言って見せた後、真面目な顔で、

 

 

 

「ああ、そうそう。タービンズの船、ハンマーヘッドの背後から、三隻の宇宙戦艦が確認できた。エイハヴ・ウェーブの識別反応からして、【ファントム・ウルフ】の連中が来てるから。」

 

「ファントム・ウルフ?」

 

 

 

 ケイジの言葉に、オルガが問いかける、

 

 

 

「俺達と同じ、傭兵団さ。マルバ、いや、名瀬が保険で雇ったみたいだね。」

 

 

 

 と、首裏をかきながら言ってから、

 

 

 

「ま、アイツ等の相手は任せてよ。何かと因縁もあるからね。」

 

 

 

 と、けろりとした顔で言う。

 

 

 

「その言葉…………信頼していいんだろうな?」

 

 

 

 という言葉に、

 

 

 

「傭兵業は信頼第一さ。裏切った傭兵は、もう二度と雇ってもらえない。信頼を裏切った傭兵もね。」

 

 

 

 と、ウインクした。

 

 

 

「ああ。なら信頼させてもらうぜ。」

 

「任せてよ。サラさん、お願いできるかい?」

 

「ああ。ソウとレコ、ギンにも出てもらう。ヒナコ、ランマル、お前たちは、サンクチュアリの護衛を任せる。Q太郎それと、クルマダさんは艦内に残って、緊急発進スクランブルの準備を。」

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

 

 と、各地から声が響く。

 

 

 

「よぉし、作戦通りで行くぞ!!ミカ、明弘、イオ、ダリルの四人はサンクチュアリから発進だ!!任せるぞ!!」

 

 

 

 と、サンクチュアリのデッキで待機していた彼らにオルガが声をかける。

 

 

 

「ああ。任せてよ、オルガ。」

 

「応!!」

 

「さぁて、セッションの時間だな。」

 

「役割は果たす。信頼してくれ。」

 

 

 

 と、それぞれが言葉を投げかけ、モビルスーツに搭乗した。

 

 

 

『ファントムウルフの連中は私たちが何とかする。露払いをするから、ハンマーヘッドに向かってくれ。』

 

 

 

 と、パイロットスーツに着替えたサラが声をかけた。

 

 

 

「ああ。信頼してるぜ。」

 

 

 

と、アトラスで準備運動の様にコクピットの様々な個所をまるでドラムを叩くように叩きならしているイオが答えた。

 

 その答えに、サラは、フッ、と笑って、

 

 

 

『千堂院・サラ。ヘルフィヨトゥル、出るぞ!!』

 

 

 

 と言って、彼女の駆るヴァルキュリア・フレーム、へルフィヨトゥルが飛び出し、ギンたちのMSもそれに続く。

 

 

 

「イオ・フレミング、アトラスガンダム、行くぜ!!」

 

 

 

 カタパルトなんていらないとばかりにサブレックからバーニアを噴き出して飛び出す。

 

 

 

『カタパルト、接続完了しました。いつでも行けます。』

 

「分かったよ。…………でも、いいの? 先に出て。」

 

 

 

 イオの隣のカタパルトデッキに居たのは、三日月。サンクチュアリは、カタパルトデッキが前方、後方に3づつと、後方に一台、前方に一台、そして、両横から、カタパルトこそないものの、MS搬出口がある。後方の大型搬出口で、スタンバイしてるダリルに、そう三日月は問いかけた。

 

 

 

『問題ない、サイコ・ザクの速度ならな。』

 

「そ。じゃぁ、俺と昭弘の後ろは任せるよ。」

 

 

 

 そう言ってから、前を見る。

 

 

 

『進路クリア。ガンダム・バルバトス、グレイズ改、発進どうぞ。』

 

「んじゃぁ、三日月・オーガス。」

 

「昭弘・アルトランド!!」

 

「「いくよ。(行くぜ!!)」」

 

 

 

 先ほどまで無口だった昭弘と三日月、二人が同時に発進した。

 

 

 

『続いて、サイコ・ザク、発進どうぞ。』

 

「ああ。」

 

 

 

 サイコ・ザクのコネクタに接続されている義肢に目をやったダリルは、ハヤサカの声に返事をし、サイコ・ザクのブースターを点火させる。

 

 

 

「ダリル・ローレンツ。サイコ・ザク、出る!!」

 

 

 

 そして、すさまじ勢いで発進した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「敵モビルスーツの出撃を確認。こちらに向かってきます。」

 

 

 

 タービンズのブリッジでは、浅黒い肌をした黒髪の少女、クロエ・タービンがそう声を上げる。

 

 

 

「数は?」

 

「エイハヴ・ウェーブを特定できたHKBの連中は四機!! へルフィヨトゥルと、ガンダム・アミー、ガンダム・ヴァッサーゴ、あと、バウンド・ハウンドです!!」

 

「あの四人が出て来たのか。」

 

 

 

 クロエの声に応えたのは、ハンマーヘッドに居た白コートの男だ。

 

 

 

「で、どうするんだい?」

 

「俺達が出る。HKBの奴らはなんとかするから、お前達は鉄華団を相手にしろ。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 そう答えた名瀬に、フン、という言葉だけを返し、コートをひるがえす。ブリッジを出て行くと。そこの壁に寄りかかっていた小柄な少女が、

 

 

 

「よっ、聞いたぜ。コウ。HKBの奴らが出たんだろ?」

 

 

 

 と、男に声をかける。

 

 

 

「ああ。壱番艦のユキナリとリンタロウにも声をかけろ。四機出て来た。こっちも四機で迎え撃つ。」

 

 

 

 MSデッキに辿り着いた男と少女。どちらもノーマルスーツをつけないまま、MSに乗り込む。

 

 

 

『緊急発進スクランブルの準備は出来てるぜ。そっちは?』

 

「いつでも問題ねぇぞ~。」

 

 

 

 名瀬の問いに少女の方がそう答えた。

 

 

 

『じゃ、出すぜ。』

 

『射出準備完了!! タイミングをお二人に譲渡しま~す。』

 

 

 

 というエーコの声に、二人は不敵に笑った。

 

 

 

「新村・コウ。 白式ビャクシキ」

 

「神木・リツ!! ガンダム・アンドラス!!」

 

「「行くぞ(行くぜぇ!!)。」」

 

 

 

 勢いよく、ハンマーヘッドから二機のMSが飛び出した。白と水色のカラーリングに、金色のラインで鮮やかな紋章を引かれた、機体と、数本のダガーを装備し、ショットガンをその手に持った、魚をくわえた猫のエンブレムの付いたツインアイのMS、コウの百式とリツのガンダム・アンドラスは、迫りくる四機に向かって行く。すると、ハンマーヘッドの傍で隊列を組んでいた三機の高速戦艦から、二機のMSが飛び出していた。

 

 

 

『おっす!!来たか、ユキナリ、リンタロウ!!』

 

 

 

 と、リツが声を上げる。

 

 

 

『やっほ~、リツちゃん。』

 

 

 

 と、やたらとカラフルな、サイケデリック的カラーリングをしたMSが、そんな気の抜けた声と共に、リツのアンドラス声をかける。すると、コクピットのモニターに、これまたサイケデリックなバンダナに、先端が緑、黄色、赤とカラフルな白髪の青年が浮かび上がる。

 

 

 

『ゲッ、リンタロウ…………。』

 

 

 

 リツはリンタロウの事が苦手だ。何故か以前コウが聞いた時は、本能的に気に入らないと答えたらしい。

 

 

 

『ん~? リツちゃん、どうしたの?』

 

『な、なんでもねぇよ…………それよりユキナリ、お前は大丈夫なのか? 疲れてっから仮眠取ってるって話だったろ?』

 

 

 

 と、白髪で眼鏡をかけた青年、ユキナリにリツが問いかける。

 

 

 

『ああ、大丈夫だよ、リツさん。さっきミサキさんに起こしてもらったし、十分寝たし、それに、』

 

『ちょっと待って、今聞き捨てならない言葉が聞こえた気がしたんだけど?』

 

 

 

 リンタロウの姉、ミサキの名前が出てきて、リンタロウの表情が急変する。それと同時にユキナリの顔が蒼くなったところで、

 

 

 

「おい、いつまで茶番をやってるつもりだ。」

 

 

 

 と、コウが声をかける。もう、HKBの部隊は近くまで迫っていた。先頭の機体、サラのへルフィヨトゥルが刀を抜いて加速する。

 

 

 

『ッ!!』

 

 

 

 そして、ユキナリのMS、リック・グレイズの長剣が、サラの剣戟を受け止める。

 

 

 

『千堂院・サラ!!』

 

『久しぶりだな、霜月・ユキナリ!!』

 

 

 

 それが合図だった。両者各機散開し、二大傭兵組織の戦いの火ぶたが切られた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ヒュウ♪」

 

 

 

 その交戦の光を確認し、イオが口笛を吹く。

 

 

 

「あいつ等は始めたか。なら、俺も始めるとするかね!!」

 

 

 

 アトラスガンダムのブースターを吹かして、ハンマーヘッドに急襲を仕掛けようとするその瞬間、二機のMSが、飛び出してきた。片方はロングレンジライフル、もう片方は、薙刀の様な装備をした、テイワズのMS百錬だ。

 

 

 

「アイツらは…………。」

 

 

 

 二ィ。と、イオの口に笑みが浮かぶ。携帯音楽プレーヤーのスイッチを入れる。

 

 

 

「いいねぇ、そう来なくっちゃ!! オーディエンスがダボついた鼻チョウチンぶら下げた鈍重なデブだけじゃ物足りねえ!!」

 

 

 

 そして、勢いよくブースターを吹かせ、ヒートサーベルを抜いて薙刀を持った百錬に切りかかる。そして、それを受け止めた百錬のスピーカーから。

 

 

 

『流石ですね、イオ少尉!!』

 

 

 

 と、声が聞こえた。 イオの事を少尉、と、連邦軍の階級で呼ぶ者。そして、呼び捨てが基本の彼に階級を突ける人物…そんな人間は限られている。

 

 

 

「その声は、お前…………、ナンシーか!?」

 

 

 

 イオの問いに答える様に、百錬のコクピット内映像が、アトラスのコクピットに映し出された。そこに映っていたのは、金髪のロングヘアーの少女。

 

 

 

『アタリです。イオ少尉!!』

 

 

 

 サンダーボルト宙域で散った学徒兵の一人、ナンシーが、そこに居た。




 ちなみに、ナンシーはオリキャラではありません。コミック版で、漫画の開始早々フィッシャーのドムにヒートホークでぶった切られた少女です。
 ちなみに瑠 と呼ばれた少女は名前はオリキャラですが、彼女も、サンダーボルト宙域に登場した学徒兵の一人と言う設定です。漫画版のコマに居る、アジア系のツインテールの少女。と言えば分かる人は分かると思います。
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