戦車長と音楽厨二人の鉄血世界   作:ナナシのG愛好家

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第三話目覚める

 ソンネンが裏手で圧倒している一方、正面を守る参番組は、ソンネンが叩き込んだ動きと阿頼耶識の力も相まって、MW同士の戦闘は比較的互角に進んでいた。

 それも、隊長であるオルガが出した命令で、主力でありエースの、三日月が下がっている状態でである。

 その勝利に貢献しているのは、小高い丘に居る、ずんぐりとしたMSだった。右手の装甲が開き、そこから展開されているセンサーは、

【三次元スキャニングレーダー】。これにより敵の位置と味方の位置をスキャンし、レーザー通信機でその情報をリアルタイムで届け、団長であるオルガが適切な指示をしているのだ。

 その機体、【強行索敵型アッガイ改式】のコクピット内にはラジオがかかり、オールディーズが流れている。それを口ずさみながら、レーダーに目を向けているのは、ダリルだ。すると、ダリルのコクピットに、通信が入って来た。

 

『おいおい義足野郎、俺の出番はまだなのかよ?』

 

 イオだ。CGS一軍のジャージを身に纏い、話しかける金髪の男、イオだ。

 

「ダリル・ローレンツだ。名前くらい覚えろ。MSの反応はまだない。このレーダーならエイハブ・ウェーブも感知できるみたいだから見つけたら報告………反応が来た!!」

『マジか!!ようやくだな。』

「敵MW隊も下がり始めた。オルガ、オルガ聞こえるか⁉」

『おう、どうしました?ダリルさん。』

「MW隊が下がり出した。予定通り後退してくれ。」

『ああ、それなら教官に言われた通り後退してます。安心してください。』

「そうか、良かった。イオ、すぐに向かってくれ。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『そうか、良かった、イオ、すぐに向かってくれ。』

「ご注文承りました~♡」

 

 その報告を聞いて、イオはそんな調子付いたような返事をして通信を切り、コクピットにテープで張り付けてあるMP3プレーヤーのスイッチを入れた。

 すると、ハイテンポのトランペットソロから始まる、ジャズが流れた。

 

「こっちに受信できる放送局が無くなっちまったからな。テープ録音があって助かったぜ。」

 

 そう言うと、アクセルを踏み込む。

 

 アトラスの背中から生えたサブアームが持つ大型ブースターにより勢いよく飛び出すイオの愛機、アトラスガンダム。

 

 そのままアトラスの待機場所、CGS裏手から飛ぶと、まっすぐ飛んで行く。確認すると、CGS参番組のMW隊、そして、奥を確認すると、ギャラルホルンに追い掛け回されている、少年たちを置いて逃げようとしたCGS一軍のメンバーたち。

 

「ん?なんであいつら(ゴミどもが)追い回されてんだ?まあ、いいか。」

 

 更にMW隊の奥を見ると、右手にライフル、左手に無骨な斧、バトルアックスを構えたダークグリーンの機体、ギャラルホルンの量産MSグレイズが5機、ホバー移動で向かってきている。

 

「あいつらね。さてと、まずは警告から行きますか。」

 

 そう言うと、右手のレールガンを展開する。

 真ん中の機体の足元目掛けて、一発放った。

 

 吐き出された弾丸は、イオの知る由もないが、指揮官、オーリス・ステンジャの足元に命中した。

 

『な、何だ!!』

『慌てるなオーリス、上だ。』

 

 いきなり目の前に勢いよくレールガンの弾が着弾し、機体を止め驚くオーリス。

 しかし、オーリスの師であるクランクは、オーリスに上を確認するように促す。

 オーリスが上を見ると、そこにはブースターを下に向け、飛んでいるアトラスの姿があった。

 

『あ、あれは………』

『MSだ。まさか隠し持っていたとは、コーラル三佐がMSを出せと言ったのはこういう事だったのか。』

『オーリス一尉、指示を!!』

 

 オーリスと同じクランクの教え子、アインがオーリスに指示を促す。しかし、アトラスとイオはオーリスの判断など待ってくれなかった。

 

「もたもたしてると、撃ち抜くぜ!!オラァ!!」

 

 一発、またレールガンが放たれる。

 クランクに向けて放たれたそれを、クランクはとっさに躱した。

 

『オーリス!!しっかりしろ、ええい、散開してライフルで攻撃しろ、あのブースターを狙えそうすれば地上戦になる。』

 

 クランクが、指示を出す。

 

『『『了解!!』』』

 

 オーリス以外の3人は即座に従い、右手のライフルで攻撃する。

 

『あ、わ、私も………』

 

 オーリスも我に返り、アトラスに向け銃を放つが、アトラスは地上とは思えないバーニアで飛び回る。

 

「オラどうした!!天下のギャラルホルンってのはその程度か!!」

 

 急停止、急加速、急旋回、そして、獲物をレールガンからアサルトライフルに持ち替え、発砲する。

 そして、動きが鈍いオーリス機に向かってバーニアを吹かす。

 

『ヒッ!!く、来るなぁッ!!』

 

 脅えてライフルを乱射するが素早く背後に回り込み躱し、コクピットを狙う。が、

 

「オラァッ!!」

『オーリス!!』

 

 いざ振り抜かんとした時、クランクが放ったライフルの弾丸で体勢が崩れ、イオの一閃はグレイズの右腕を切り飛ばすのに終わった。更に、スピードを出していたこともあり、体制が崩れ、ブースターを吹かすことで何とか着地した。

 

『ツィリ、レイ、アイン!!押さえろ、接近戦で仕留める!!』

『『『はい!!』』』

 

 クランクがライフルを捨て、バトルアックスを構えてアトラスに向かった。

 

『な、何なんだ………。』

 

 その様子を見てオーリスは、恐怖した。あの黄色と白のMSに、それもそのはず、MSの動力源、エイハブ・リアクターが発するエイハブ・ウェーブと、特殊コーティングが生み出すナノラミネートアーマーは並みの射撃武器では撃ち抜けない堅牢な装甲だ。それを、あのMSはいともたやすく斬って見せたのだ。正確には、発熱する刀身がナノラミネートアーマーを焼き溶断したのだが、絡繰りを知る由もないオーリスはただただ、恐怖した。だが、

 

『………?あれは………。』

 

 ふと、メインカメラがとらえたのは、撤退するCGSのMW部隊、それも見た瞬間、オーリスは思った。

 

『や、奴らを………人質にとれば………。』

 

 あの化け物のようなMSも動かなくなるに違いないと考えた。

 見せしめでもすれば、嫌でも従うだろうと。

 

『フ、フフフ。あれで、あれでぇ!!』

 

 コーラルはグレイズのバーニアを吹かし、飛び上がった。

 

「ッ!?しまっ………。」

 

 それにイオが気付き、コーラルを止めようとするが、運悪く、クランクがバトルアックスをぶつけて来た。

 

『行かせん!!』

「チッ、邪魔なんだよ!!」

 

 再びヒートソードを発熱させ、アックスを溶断しグレイズの頭部カバーまでも溶断する。

 

『ぐぅ……ォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!!!!!』

 

 しかしクランクのグレイズはそのままアトラスに組み付き、バーニアを吹かせた。

 

「ッ!!退けっつってんだよこのッ!!」

 

 それを振りほどき、レールガンを構えるが、

 

『させない!!』

『コーラル隊長はやらせません!!』

 

 双子の兄弟、ツィリとレイがライフルを撃てくる。

 

「ッ!!クソが!!間に合え………。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 同じころダリルも、オルガも、グレイズが一機、こちらへ向かってくるのに気が付いた。

 

「おいおいどうするよオルガ!!頼みの綱のMSが抜かれ………。」

「まだだ!!まだ終わっちゃいない!!なぁ、そうだろ?」

 

 ユージンは慌てふためくがオルガは叫ぶ。友に向けて、

 

「間に合ってくれ、頼む、」

 

 ダリルは祈るとある少年に向けて。

 

『ヒャハハッ!!貴様が見せしめだぁ――――ッ!!』

 

 そして、オルガの機体に、グレイズの斧が振り下ろされようとした時、

 

「三日月っ!!」

「ミカァッ!!」

「三日月君!!」

 

 三人の思いが、叫びが、祈りが届いたかのように、正面の地面が砕け、一機のMSが飛び出してきた。

 これこそが、エースの三日月が欠席だった理由。彼の駆るMS、ガンダム・バルバトスがこの地に、オルガを守るように立ちはだかった。

 

『…………え?』

 

 コーラルが最後に呟いたのは、そんな声だった。その瞬間、

 

 グシャァッ!!

 

 と凄まじい音がし、コーラルの駆るグレイズを叩き潰した。

 

『もう一機いたのか⁉』

『クランク先生!!』

 

 双子の兄、銀髪で右目が黄色左目が青のオッドアイの青年士官、ツィリ・リヒテンダールはクランクを先生と呼び慕っている。弟で金髪青目のレイのグレイズとアトラスにライフルを発砲している。

 

『MW隊の撤退を確認。俺達も退却を俺たち三機とその機体では、あの二機には勝てません。先生、撤退の指示を!!』

 

 ツィリの言うとおり、クランクの機体は頭部カバーが破損し、アックスも失っている。

 

『裏手の強襲部隊とも連絡が取れねぇ。化け物が!!ッつう通信が入ってそれっきりだ。CGSを落とすのは今の戦力じゃ無理だぜ!!そこらの海賊より手ごわいじゃねぇか!!』

 

 弟のレイもそそう言い指示を仰ぐと、

 

『そうだな。撤退する!!しんがりは俺が………』

『だから無茶しない!!』

 

 ツィリがそう言い自分がしんがりを務めようとした時、

 

『逃がすわけないだろ。』

 

 バルバトスがメイスを振るい突っ込んで来た。

 

『ッ!?先生、下がって!!』

 

 ツィリがバルバトスのメイスを止めると、

 

『チッ。邪魔だなぁ。』

 

 と、三日月が呟いた。

 

『ッ!?その声、お前、まさか………子供!?』

『何ッ!?』

 

 ツィリの声にクランクも驚くが、

 

『ああそうだよ。お前たちが殺しまくったのも、』

『ぐっ、も、申し訳な………』

『これから、アンタらを殺すのも………!!』

 

 明確な殺意を持ち、バルバトスがメイスを振り抜く。

 

『ぐぁッ!!』

『兄ちゃん!!』

 

 ツィリも吹き飛ばされる。

 

『レイ!!ツィリを担げ!!ここは退くぞ!!』

『りょ、了解。』

 

 レイはそう言うとオプション武装であるスタングレネードを投げつけた。

 

『ッ!?前が………。』

 

 その隙を突き、彼らは撤退していった。

 

『チッ、逃がすか………!!』

『待てよ。ここはひとまず戻ろうぜ。』

 

 三日月がバルバトスのバーニアを吹かせ追撃しようとしたが、それをイオがとめた。

 

『………うる………さ………い………。』

『おい、おいどうした!?おいミカ坊、返事をしろ!!』

 

 しかし、 バルバトスは動かなくなり、三日月は意識を手放した。




 次回は、火星基地に進展が?コーラルの懐刀、ウィリアム・ニルバーの正体が明らかに!!一方で決闘に出るという考えを思いついたクランクだが、自機が中破し戦闘を行うことが出来ない。悩むクランクに、コーラルからの手紙が………

 キャラ解説

 ツィリとレイ

 二卵性双生児の兄弟。兄のツィリは落ち着いた物腰で交渉上手。射撃戦、主に狙撃が得意。
 弟のレイは体育会系。近接戦闘が得意。
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