戦車長と音楽厨二人の鉄血世界   作:ナナシのG愛好家

4 / 14
 投稿遅れて大変申し訳ない。楽しみにしてくださっていた方々、お待たせしました。それでは、どうぞ!
(後書き変なテンションで書きました。許して。)


第5話動き出す

 火星が騒がしくなっている頃、件の火星基地、アーレスへと向かっている船があった。ギャラルホルン監査局の船だ。

 

「特務三佐、あと数時間で、アーレスに到達します。」

 

 その声を聞き、船の艦長席に座る青年、セブン・スターズと呼ばれる七大貴族、その一角ファリド家の御曹司、マクギリス・ファリドは満足そうに微笑んだ。

 

「分かった。アーレスに付いたら仕事だ、皆、心してかかってくれよ。」

 

 と、マクギリスは声をかける。

 

「どうせ退屈な書類仕事だろう?そんな下らないことをするためにアーレスに出向くとは、監査局もやだねぇ。」

 

 すると、後ろからマクギリスと同じ年頃の青年が入って来た。整えられた、黒髪、目元の赤いチークは、持ち前の切れ長の目と合わさってどこか鳥を連想させる。

 

「お前は少し勤勉と言う言葉を覚えたほうがいいぞ。リーヴァル。」

 

 すると、ムッとした顔つきをした紫色の髪をした青年が入って来た。

 

「まぁそう言うなよガエリオ。それに、不正のあら捜しだなんて退屈な仕事、ボクには向かないよ。」

 

 ガエリオと呼ばれた青年に、切れ長の目の青年、リーヴァルはそう答える。

 

「仕事に退屈さで優劣をつけるな!!お前も俺も、セブンスターズの子孫として後に世を背負って立つ男なんだぞ!!ましてやお前の父上、バクラザン候は………。」

 

 セブンスターズの一席、ボードウィン家の末裔、ガエリオがそう言うと、同じくセブンスターズが一席、バクラザン家の嫡男、リーヴァルは肩を竦め。

 

「分かっているさ。ある程度の『政治』はやるつもりだよ。ただねぇ、ボクは相棒と空を掛け、MS戦を楽しむ方が好きなのさ。」

 

 そう言い、壁に寄り掛かるリーヴァル。それを見たガエリオは、

 

「全く、お前と言う奴は………!!」

 

 そう言いまだ何か言おうとしたが、

 

「まぁまぁいいじゃんガエリオ。リーヴァルのヤローには、MSに乗って厄災戦を終わりに導いた異次元の強さを持つイカレパイロットの先祖の血が色濃く流れてんだろ。」

 

 そう言って、オレンジ色の軍服を付けたオレンジ髪の青年が入って来た。どこか女性じみた顔つきの彼は、口元を口のイラストの付いたパネルで隠している。

 

「おいおいロエル。その言い方は無いんじゃないかい。消されても知らないよ。」

 

 肩を竦め、リーヴァルはそう言う。

 

「でもねぇ、陰じゃぁ、もっぱらの噂だよ。失われていたはずのバクラザン家のガンダムフレームをなぜか使う、戦闘狂の嫡男って。」

 

 パネルを誰かにひそひそ話しているような形の物に素早く、口元が見えないレベルのスピードで切り替え、そう言う。

 

「と言うか、相変わらずなんだそのパネルは、」

「え~別にいいじゃん。アクセサリーはオッケー何だからさぁ。」

 

 そう言う彼の名は、ノエル。トト・ノエルだ。名前は服装から勘違いされやすいが、彼曰く、れっきとした男性らしい。真実はさだかではないが。

 

「そう言う問題ではなくて、ギャラルホルンの軍人として、の責務を………。」

 

 そして、ブリッジで言い合いを始める三人。

 

「君たち、一応ここは公共のブリッジなんだ。そう言う言い合いは、自室でやってくれないかな。」

 

 すると、マクギリスがそう言う。

 

「おっとそうだね。すまなかったよ。それじゃぁボクは、自室に向かうとさせてもらうよ。」

「お、じゃぁ俺もそうしよ~。」

 

 そう言って、リーヴァルとノエルはブリッジを出て行く。

 

「あ、待て!!まだ話は終わっていないぞ!!」

 

 ガエリオも、それを追いかけて出て行った。

 

「全く、にぎやかだな。」

 

 それを見届けたマクギリスは、そう呟いた。その時、どんな表情をしていたのか、見る者はいない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 一方火星の地上基地、そのドックで、クランクは自分の愛機が、あと数日は出撃できない状況になっているのを知り、いらいらと壁を叩いていた。

 

「クソッ!!」

(戦っていたのは………子供だった………!!ギャラルホルンの軍人として、子供に危害を加える訳にはいかに。かといって単独で動こうにも機体が………。)

 

 そう呟く彼の焦りは、募るばかりだった、すると、

 

「どうも。」

「ッ!?」

 

 声がした。とっさにクランクが振り向くと、そこにいたのはギャラルホルンの軍服を着た、黒髪の男性だった。

 

「誰だ?」

「私はただの一般兵ですよ。貴方にこれを渡せと依頼を受けたので、渡しに来ました。」

 

 無表情で、長髪の男性はそう言う。

 

「依頼?誰からのだ?」

「申し訳ないですがそれは言えませんねぇ。それより、こちらを。」

 

 そう言って渡してきたのは、紙だった。

 

「何だ?これは。」

「さぁ?私は何も、ただ、子供を救う唯一の方法(・・・・・・・・・・)とだけしか。」

「何ッ!?」

「役目は果たしました。それでは。」

「待てっ!!」

 

 咄嗟にクランクは、男を呼びとめた。

 

「貴様、名前は。」

「………そうですね。一応、名乗っておきますか。カイと申します。それでは。」

 

 カイと名乗った男は、そう言って立ち去ろうとしたが、一度立ち止まり。

 

「ああ、忘れていました。これを。」

 

 そう言って、カイは何かを投げてよこした。とっさにクランクが受け止めると、ライターと、USBメモリだった。

 

「これは………。」

「これも渡しておけと言われていたんです。うっかりしていました。では。」

 

 そう言うと、今度こそ、通路を曲がり、消えて行った。

 

「何だったんだ。奴は。」

 

 そう呟いたクランクだったが、

 

「まぁ良い。子供たちを救う方法とは何だ?私も考えていたが、しかし機体が無い事には………。」

 

 そう思い、紙を見た。そこに書かれていたのは、

 

 クランク二尉、貴公の性格からして、CGSのヒューマンデブリたちを助けようとするだろう。だが、貴公のグレイズの状況を聞いた。

 実はエレベーターには、ある仕掛けがある。階数のボタンを正しい順番で押せば、地下の隠し部屋に行きつくようになっているのだ。

 そこに安置されているMSをくれてやる。それで、貴公の計画を遂行しろ。方法は下記に記す。

 かなりのじゃじゃ馬だが、お前なら使いこなせるだろう。後はこちらに任せておけばいい。私と『あの方』で何とかして見せよう。

 

 追伸 これは私からの選別だ。貴公の正義に、光があらんことを。

 

                                                     コーラル・コンラッド

 

 

「………感謝します。指令。」

 

 それを見たクランクは、紙をライターで燃やし、すぐさま実行に移した。

 

 誰も載っていないのを確認しエレベーターに乗り、階数ボタンを順番に押す。そして、エレベーターを降りて行った。

 

 チン。と音がして、クランクがドアを開けると、そこには白い装甲を持った中世騎士のような風貌をしたMSが、鎮座していた。

 

「この機体は………。」

 

 驚いたクランクだったが、すぐさまコクピットに飛び乗り、機体を起動させようとした。しかし、起動ボタンが見当たらない。

 すると、USBの差込口があるのに気が付いた。

 

「もしや、これがか?」

 

 そう思い、先ほどカイから受け取ったUSBを差し込む。

 すると、コクピットに光が灯った。画面に文字が映る。

 

「ヴァルキュリア、フレームタイプ。シグ………【シグルドリーヴァ】?それがこの機体の名前か。まずは………。」

 

 コクピットの操作マニュアルを映し出す。そこにあったのは、グレイズと全く同じの操作方式だった。

 

「動かし方はグレイズと変わらんか。次は、」

 

 武装のデータを起こす。

 

「【ドーバーライフル】?レールガンと実弾二種類の弾を発射可能な武装か。使い慣れたグレイズ・ライフルもあるのか。

 そしてシールドと、サーベル。武装は分かった。あとは、動かしながらなれるか。」

 

 立ち上がり、辺りを見渡すと、赤い布が置いてあった。

 

「これは、」

 

 見ると、マッキーで、何か書かれていた。

 

 選別です。先生。止めはしません。

                 ツィリ・リヒテンダール

 

 それを見ると、クランクはフッ、と笑った。

 

「恩に着るぞ………。ツィリ。」

 

 肩のクロス・ホルダーに布を掛けた。

 

「出撃の方法は………少し荒っぽくなるが、仕方ないだろう。」

 

 そう言うと、ドーバーライフルを構え、ハッチを吹き飛ばし、背部の大型バーニアを吹かし、飛び上がった。しかし、驚くべきはそのスピードだ。

 

「ぐっ、何と言う出力、たしかに、相当なじゃじゃ馬だな………何と言うプレゼントだ。コーラル。」

 

 フットペダルを小刻みに動かし移動する。

 

「しかしたとえじゃじゃ馬だとしても、乗りこなして見せるさ。このシグルドリーヴァを!!」

 

 そう言い、フットペダルを操る足に力を込めた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『へぇ、あのクランクに、シグルドリーヴァを与えたのか。』

「はい。独断での勝手な行動、申し訳ありません。」

コーラルは、通信機からの謎の男の声に、頭を下げた。

 

『いや、ボクには支障が無いけれどねぇ、いいのかい?コーラル、アレは元々君の頼みでそっちに送った品だけど。』

「いえ、いいのです。上手く運べば、例の組織に鹵獲されるはずです。その後は。」

『フフフ、いくら『先見の赤星』と言えども、その後は分からないか。』

「………お止め下さい。その名は………、過去の物です。」

 

 コーラルは、少し暗い表情で、男の茶化しを流した。

 

『そうかい。まぁ良いさ。それに、上手く成長してくれれば、奴らへの切り札に成長してくれるかもしれないよ。』

「そこまでは………、私にも。」

『いいんだ。これはボクの予感さ。』

 

 男はそう言った。

 

「予感………ですか。」

『ああ、それより、他にも用件があるんだろうねぇ。』

「ええ、実はつい先ほど、タレこみがありまして、」

『タレこみ?』

「はい。トド・ミルコネンと名乗る男から。」

『へぇ、どんなだい?』

 

 男がそう聞くと、

 

「『二週間以内にクーデリア・藍那・バーンスタインが件の組織と共に宇宙へ上がる。

 そうしたら、クーデリアの身柄を引き渡すから、自分の事は助けてくれ。』という。」

『おや?例の組織は一枚岩じゃないのかい?君の見立てでは、』

「はい、実力のない無能な大人たちはそのうちクーデターで死ぬ。そして、阿頼耶識を持つ子供らの組織となるというのが見た手ですが、」

『同時に、経営の仕方が分からないから、何人かの大人たちを生かすだろう。というものだったね。しかし、やり方に関しては分かれた。』

「はい。私は自分にとって信頼できるものを置くだろうと言いましたし、」

『ボクは恐怖で押さえつけると予想した。ボクの見立てなら。立場逆転した大人たちは、こんなことできる度胸は無いと思うよ。』

 

 そう言った。

 

「なら、信頼できるものが、」

『そんな中途半端な奴を、彼らは選ばないさ。ウィリアムもそうだっただろう?』

「おいおい、俺の事を引き合いに出さないでもらえます?」

 

 男がウィリアムを引き合いに出すと、壁にもたれ掛って話を聞いていたウィリアムが口を挟んだ。

 

『そうだね………。なら、見に行ってみると言い。』

「は?」

 

 コーラルが素頓狂な声を上げた。

 

『聞こえていなかったのかい?頃合いを見て、会いに行ってみると言いよ。何時、とは言わないけどね。』

 

 フフフ、と静かに笑いながらそう言った。

 

『タレこみの事に関しては、ロトス・ケーオを頼ってみるさ。彼らなら、案内人としては最適だからねぇ。』

 

 さらに、

 

『後の事は、ボクに任せてくれ。期待しててくれていいよ。』

 

 と続けて言うと、通信が切れた。

 

「………で、どうするの?コーラル。」

 

 相変わらずの軽口を叩くウィリアムに、コーラルは「本部長を付けろ。」と一言疲れたように言ってから。

 

「今は監査官たちが来るのを待つ他あるまい。それに、クーデリアの件は動かなければならない。

 お前にも出てもらうぞウィリアム。グラシャラボラスの準備をしておけ。」

 

 と言うとウィリアムは、笑って、

 

「了解。待ってました。」

 

 そう言うと、本部長室を出て行こうとした。

 

「待て、ウィリアム。」

 

 しかし、すかさずコーラルが呼びとめる。

 

「手は抜けよ。船は壊すな。敵も壊すな。誰も殺すな。いいな?」

「えー。一人くらいいいじゃん。」

「駄目だ。」

「せっかくガンダム相手に出来るのに。」

「駄目と言ったら駄目だ。」

「ケチ。」

「何とでも言え。」

 

 取りつく島もないと分かったウィリアムは

 

「ちぇ。まぁ良いや。今度ガンダム・フレーム持ちの海賊でもいたら教えてよ。そいつらならいいでしょ?」

「そんなお前にばっかり都合のいい輩いるか。」

「俺を拾ったのもそこだったろ?忘れたとは言わせないよ。」

「………。ああ。分かっている。」

 

 それだけ聞くと、ウィリアムは部屋を出て行った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 本部長室を出て行った彼は、MSデッキに行きついた。

 そして、奥にある、一台のMSの肩に座った。そのMSはグレイズではない。

 頭部のブレードアンテナとツインアイは、ガンダムフレームの証だった。後ろには、白銀の鮮やかな尻尾が付いている。

 両腕は鍵爪の様になっており、武装の類は一切ない。

 

「次の任務は楽しめそうにないや、相棒。」

 

 その機体に、ウィリアムは話しかける。

 

「たまには派手に暴れたいよねぇ。このところ手加減ばっか。」

 

 と、不満をぶーたれるウィリアム。

 

「でもさ、ガンダム・フレーム持ちの海賊いたら、僕にくれるって、でてくるまで楽しみにしていようぜ。ねぇ、グラシャラボラス。」

 

 グラシャラボラスと呼ばれた機体は、何もしゃべらない。ただ、鎮座しているだけだったが、それでも彼は、何か感じ取ったように細く笑んでいた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 一方、木星兼のデブリ帯。そこを、一機のMSが飛んでいた。オレンジと白のカラーリングで、両手にライフル、

 背部にもキャノン砲のようなものがあり、脚部はブースターだ。

 コクピットの中にいるのは、奇妙なパイロットスーツの少年だった。

 彼のどこが奇妙なのかというと、パイロットスーツの上から茶虎の猫耳フードの付いた黒いマントを羽織っているのだ。

 さらに、灰色のハイネックのインナーを伸ばし、口元を覆っている。

 手の傍には、猫の手の様な大きなグローブも置いてある。

 しかし、背丈は低く、年齢は十代になったばかりの様に感じる。

 コクピットの傍には、大きな猫の顔の人形が、スタンドに収まっている。

 

「ふぅ。もうすぐ哨戒も終わりワン。このところ平和ニャン。帰ったらゴロゴロするとするワン。」

 

 と、犬なのか猫なのか分からない喋り方をしながら、辺りを警戒する。すると、機体のコクピットに通信が入った。

 

「ん?母艦から通信だニャン。何かあったワン?」

 

 そう言いながら、通信を開く。すると、そこに映ったのは、黒髪のパンク風のメイクをした女性だった。

 

「あ、レコ姉ちゃん!!何かあったニャン?」

 

 少年がそう言うと、レコと呼ばれた女性は、

 

『おう。それがな、ボスのヤロー、どうも無茶な任務を引き受けたみたいでな。』

 

 と、腕を組み、困った顔でそう言った。

 

「無茶な任務ワン?全くボスも困った奴ニャン。で、どんな任務ワン?」

『それがな、どうも5日以内に火星まで行きたいそうなんだ。』

「火星ニャン?でも今ボクらって………。」

『ああ、木星圏だ。こっからじゃどう見積もっても一週間はかかる。』

「確かにむちゃくちゃだワン!!」

 

 少年が突っ込む。

 

『だろ?で、頼みがあるんだ。お前のアミーなら五日以内に行けるだろ?』

「一週間の連続飛行が出来る分の酸素はあるニャン。でも、食料と水が無いから一旦取りに戻るワン。

 トイレもあるから自動運転モードにすれば大丈夫だニャン。問題ないワン!!」

 

 顔を輝かせそう言うと、

 

『おう。カンナに伝えとくよ。』

 

 レコはそう言うと通信を切った。すると少年は、ため息を付き、

 

「ゴロゴロしたいとか言った矢先がこれニャン。こんなんなら言わなきゃよかったワン。」

 

 と言い、

 

「まぁ起きたことはしょうが無いニャン。母艦に帰るワン。ニャーちゃん、サポート頼むニャン。」

 

 そう言って人形の方に顔を向けると、ニャーちゃんと呼ばれた人形は、

 

『リョウカイ、リョウカイ。』

 

 と電子音を立てた。

 

「ギン・イブシ、ガンダム・アミー。母艦に帰還するニャン。」

 

 そう言うと、ガンダム・アミーは飛行機のような姿に変形し、飛び去って行った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。