戦車長と音楽厨二人の鉄血世界   作:ナナシのG愛好家

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第五話 黄昏の果し合い

 見事にギャラルホルンを退けたCGS。しかし、囮にされたなってくれた優しい優しい一軍の方は、多数の死者が出た。

 一方で、ソンネンの薫陶を受けた参番組は、被害も少なく、死者0名と言う奇跡的な大金星だ。

 そしてその夜、

 

「はい、それじゃぁこのお鍋を、」

 

 と、ビスケットが鍋を置く。そして彼の妹の双子、クッキーとクラッカに、

 

「皆に取り分けて。」

「「はーい!!」」

 

 そう言うと双子はきびきびと仕事をする。

 この日は、ふもとの店の三日月に絶賛片想い中の少女、アトラ・ミクスタも来ている。

 みんなで食事を配る一方でビスケットは鍋を渡すと、一軍に【料理】を運びに行っていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「どうぞ。」

 

 そう言うと、一軍隊長のハエダに、スープを渡す。しかし、

 

「オイ、」

「はい?」

「具がすくねぇぞ!!テメェのダボついたケツの肉でも入れと………け!!」

「うわぁ!!」

 

 そう怒鳴りつけられ、蹴りつけられた。

 

「よ、相変わらず災難だな。」

 

 すると、追い出されたビスケットに、イオが話しかけて来た。

 

「あ、イオさん。」

「一軍に対するご奉仕も、もう飽き飽きだよなァ。こっちも見てるだけで嫌だぜ。」

 

 そう愚痴る。

 

「えっと、」

「俺もダリルも、ソンネンって奴も睨み効かせてるが、俺達だけじゃ人手不足だ。悪いな。」

 

 そう言って、奇策に微笑みかける。

 

「えっと、あの、食べますか?」

 

 そう言って、スープの入った皿を差し出すが、

 

「いやいいぜ。そこまで腹減ってねぇんだよな。妙だよな。久々の交戦(セッション)だったってのに。」

 

 そう言い、壁に寄り掛かる。

 

「せ?」

「戦いだ。俺はそう呼んでる。」

「はぁ………。あ、そう言えば?」

「あ?」

 

 すると、今度はビスケットが話題を振った。

 

「イオさんとダリルさんって、ここに来る前はどういった関係だったんですか?

 MWでも、この間の戦いでも、息ぴったりだったじゃないですか。」

 

 ビスケットがそう言うと、

 

「ああ、アイツと、か。聞きたい?」

 

 手元のMP3プレーヤーを弄くりながら、そう聞く。

 

「ええ、少し、気になりますから。」

「俺達は、ライバルさ。」

「ライバル?」

「ああ、戦場じゃ、幾度となく殺り合って来た。今仲間なのは、成り行きだな。」

「え?で、でも何で、と言うかそれって息会わないんじゃ………。」

「さっきも言ったがただの成り行きだよ。俺達は同類なんだ。」

「同類?」

「戦いの被害者であり、加害者、戦争を嫌いながら、戦争に魅入られて行く狂人。そして、幾度となく、俺とダリルは殺り合って来た。

 アイツの実力は俺が一番よく知ってる。だからこそ、その辺の味方より安心して、背中を任せられるのさ。」

 

 そう言い、シガレットバーを一本加えた。

 

「仲、いいんですね。」

「アァ?んなワケねーだろ。」

 

 第一音楽の趣味がイマイチだからな。と、愚痴をこぼす、

 

「アハハ、そうなんですかね~。」

 

 そもそも戦場で音楽を聴くことこそどうなんだ。そう思ったビスケットだったが、もちろん一切口には出していない。

 

「とまぁ、そろそろじゃね?」

「え?」

「クスリが効いてくる時間帯だよ。」

「え!?どうして僕たちが食事に睡眠薬仕込んでることを………。あっ!!」

 

 うっかり自白してしまうビスケットへぇ、やっぱり。と、イオはニヤリと笑った。

 

「まぁ良いよ。」

「へ?」

「そもそもあいつら気に入らなかったし?無能だし?クーデター賛成~。」

 

 そう言い、手をひらひらふるイオ。

 

「全く、お前は軽すぎるんだよ。」

 

 そう言って、後ろからやって来たのはダリルだ。

 

「そこに隠れてる奴、もう一軍は眠ったぞ。随分とキツイの盛ったんだな。」

 

 ダリルが指すと、通路の奥からこっそり二人の会話を盗み聞いていたユージンとシノが出て来た。

 

「教官おすすめってやつを使ったんだ。」

「俺達に知識なんざある訳ね―からな!!」

 

 とニヤニヤして胸をはって言うと、

 

「マジかよ、あのヤク中。そんなもん知ってんのかよ。」

「悪かったな。教え子に詳しい奴がいたんだよ。」

 

 イオのつぶやきを、ちょうどやって来たソンネンに聞かれていた。

 

「で、こいつら、ふん縛ればいいのか?」

 

 とダリルが言うと、

 

「ああ、頼む。」

 

 と、オルガが、三日月をひきつれてやって来た。

 

「こいつらには、落とし前を付けさせなきゃんねぇからな。」

 

 と言い、作業に取り掛かった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 そして、クーデターを見事に成功させたオルガ達は、CGSを乗っ取ることに成功した。

 ハエダには落とし前を付けさせ、始末したものの、退職している奴には退職金を払うなど、経営者として、やるべきことをオルガはこなしていた。

 しかし、事態は突如急変する。赤い布を肩にかけた、白いMSが向かって来たのだ。

 オルガは慌てて事務所の外に出ると、少年組のリーダー、タカキ・ウノと、

 おやっさんと呼ばれる整備し、ナディ・雪之丞・カッサパが、双眼鏡を覗き込んでいた。

 

「何なんです?あれ。」

 

 タカキが聞くと、雪之丞は、

 

「ありゃぁ決闘の合図だな………。」

「決闘だぁ?」

 

 ソンネンが聞き返すと、

 

「ああ、三百年前の厄災戦の時代は何でもかんでも決闘で決めてたそうなんだが、まさかこの時代にやるバカがいるとは………。」

 

 雪之丞が呟くと。白いMSのコクピットから、獅子を連想させる風貌の、いかつい男が出て来た。

 

『私は、ギャラルホルン火星支部、実動部隊クランク・ゼント!!諸君らに、MSで、一対一での決闘を申し込む!!』

 

 と、拡声器を使って声を上げる。

 

『私が勝った場合は、クーデリア・藍那・バーンスタインを、速やかに引き渡してもらう!!』

「え?私?」

 

 出て来た深紅のドレスを着た金髪の少女、クーデリアはとっさに聞き返した。

 

『なお、引き渡しに応じてくれた場合、ここでギャラルホルンとCGSのしがらみは、きれいさっぱり手打ちとしよう。』

「何だそれ?」

「負けてもこっちには何のデメリットも無いぞ?」

 

 ダリルがそう言うと、イオは、何かに気が付いたように、タカキの手から双眼鏡をもぎ取った。そして、

 

「………やっぱり、そう言う魂胆か。」

「え?罠って事?」

 

 彼のつぶやきに、三日月が反応するが。

 

「ちげぇよ。」

 

 とだけ言い、オルガに向きなおった。

 

「社長、あれ、俺に任せてもらえませんか?」

「………大丈夫なのか?」

「ああ。問題ねぇ。手土産に、あのMSを持って帰ってきてやるよ。」

「……………。」

 

 笑って言うイオを見据えるオルガ、そして、

 

「分かった。行って来い。」

「おう。必ず帰ってくるぜ。」

 

 とだけ言うと、アトラスガンダムに飛び乗った。

 

『おーい、クランク、だっけか?その決闘、こっちで受けさせてもらうぜ!!』

「………。感謝。」

 

 イオの返答に、クランクはそう呟いた。そして、CGSの前で、お互い向き合う。

 

『ギャラルホルン実動部隊!!クランク・ゼント!!』

「ちk………じゃなかった、CGS所属、イオ・フレミング!!」

 

 そう名乗ると、MP3プレーヤーを起動し、軽快なジャズを流す。

 

『参る!!』

「行くぜ!!」

 

 その言葉と共に、アトラスとシグルドリーヴァのブースターが火を噴く。

 アトラスのヒートサーベルと、シグルドリーヴァのシグルブレイドが衝突する。

 

「パワーは若干こっちが上だ!!押し切る!!」

 

 ブースターを最大側で吹かせ、剣を弾き飛ばそうとする。しかし、

 

『ぬん!!』

 

 シグルドリーヴァはその瞬間、流れるような動作で剣を流し、背後を取る。

 

「何ッ!?」

『せいっ!!』

 

 そして、拳の一撃が入る。よろけたアトラスだったが、とっさに体制を持ち直す。

 

「あの腕前とセンス、エースパイロット並みかよ………!!」

 

 そのままブースターを吹かし、距離を取る。すると、

 

『まだまだぁ!!』

 

 シグルドリーヴァもスラスターを吹かして追従する。その手には、グレイズライフルが握られている。

 しかし、 アトラスは放たれた弾丸を巧みにかわす。

 

「そっちがその気なら………。」

 

 アトラスも、アサルトライフルを構える。

 

「こうだ!!」

 

 照準を合わせ、アサルトライフルを撃つ。しかし、急制動を駆使したカクカクした軌道に付いていけない。

 

「相手が早すぎる!!」

「照準システムが追いついていない………!!この速さ………当然か。」

 

 そう、アトラス、シグルドリーヴァ、お互いに推力に物を言わせた機動戦が重視となっている。

 とてつもないスピードで駆け回ってる機体の照準補正は、とてつもなく難しい、そのうえ、相手も同じとなると、システムだけではカバーしきれない。

 

「けどよ………!!」

「しかし………!!」

 

 イオもクランクも、一流のパイロット。その動きは当然の如く洗練されている。その動きで、ライフルを当てて行く。

 しかし、お互いがお互いの銃撃をシールドで受け、どちらも無傷だ。

 

「射撃じゃらちが明かない………。なら!!」

『接近戦で!!』

 

 再びサーベルをぶつけ合わせ、離脱し、またぶつけ合わせる。地面すれすれを飛び、上空を飛び、剣をぶつけ合う。

 

「オラァッ!!」

『ゼアァッ!!』

 

 渾身の一撃。そして、

 キィン!!

 と音が響き、アトラスのサーベルが宙をまった。

 

『終わりだ!!』

 

 返す刀でシグルブレイドを振り抜こうとするシグルドリーヴァ。しかし、

 

「誰が………。」

 

 アトラスのバーニアが火を噴く。

 

「終わりだって!?」

 

 一回転、バク中の要領で機体を蹴りつけた。その衝撃で機体がふらつく。

 更に、その際に両足にスラスターを付け、飛び上がる。そのままもう一本のヒートサーベルを抜き放ち。

 

「オラァッ!!」

 

 飛び降りざまに唐竹割り。とっさに防ぐクランクだが、

 再びアトラスの右足がシグルドリーヴァを蹴りつけ、今度はシグルブレイドが宙を飛んだ。

 そしてそのまま、体勢を崩したシグルドリーヴァを押さえつけた。

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、俺の………、勝ちだ………!!」

 

 イオはコクピットの中で、ニヤリと笑んだ。

 

「負けたのか………私は………。」

 

 クランクは一人、呟くと、コクピットを開けた。

 

「投降する。私の身柄は、好きに扱うと言い。」

 

 そう言い、両手を挙げた。




 次回、クランクを下した一行は、宇宙(そら)へと上がるそこに待ち受けていたのは、監査官三人と、火星最強の名を欲しいままにする男、ウィリアだった。
 しかし、そこに思わぬ助っ人が? 
 次回【犬と猫の宇宙】

「宇宙と書いて空と読むニャン!!」
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