魔法科高校の「大賢者(嘘)」   作:ギャングスタ

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入学編2

 うーん……?朝ですか?なんだか寝心地がいつもと違うような……修学旅行先の、ホテルのまくらのような柔らかさのような。

 カーテンから漏れる日差しを確認した寝ぼけまなこで辺りを見ると、わたしの部屋じゃなかった。あれ、ここどこ?

 手を動かすと、とても暖かいものがそこに……。

 

「あ、あずちゃん。オハヨー」

「〜〜〜〜〜〜ッ!」

 

 声にならない悲鳴がわたしの喉から出た。そういえばあっくんの家にお泊まりしたんでした!?

 

「もう。ご近所迷惑だよ?」

 

 そう言いながらあっくんはわたしの唇を優しく塞ぐ。

 隔世遺伝ってものなのか、あっくんは女の子にとても優しい。欧州の血がそうさせるんでしょうか。

 今日もわたしの彼氏は、カッコよくて素敵だ。いつもはもっと子供っぽいと思うのに、こういう時はカッコいいから、困ります。

 

 

「あずちゃん、家よりこっちの方が一高近いから朝楽でしょー」

「そ、そうだね。コミューターの駅も近いし」

 

 入学二日目から、彼女のあずちゃんと一緒に登校。ボクは昔住んでいた家に戻って来て一人暮らしをしている。警備の関係で本当は水波ちゃんが来る予定だったみたいだけど、むしろボクは普通にしていた方が四葉の関係者ってバレないだろうからって、普通に暮らしてる。

 電子的な防衛網はしっかりしてるみたいだけど。

 ボクとあずちゃんは両家公認の元、同棲生活をしている。一人暮らしは初日だけだった。でも同棲している理由って純粋にあずちゃんの家が一高から離れているからなんだよね。ボクの家ならCADの調整部屋もあるから、色々やるには便利でやれることは多いし。家事はHARに任せておけばいいし。

 勉学に力入れるには自由な時間があった方がいい。

 

「そういえば今回の総代の深雪さん。司波くんの妹さんなんだってね」

「あ。あずちゃんって深雪ちゃんに会ったことなかったっけ?……そっか。深雪ちゃん、龍郎さんのこと嫌いだからFLTには顔を出してなかったね」

「そうなんだ。深雪さん、社長令嬢なのにお父さんのこと嫌いなんだ……」

「表立ってそんなこと言ってないけどね。FLTの功績のほとんどはシルバー様のおかげで、あの人はただ上にいるだけの人ですからって」

「あれ?あっくんのことは知らないの?」

「知ってるだろうけど、ドラクエシリーズのプログラミングもほぼ全部シルバーさんに任せてるからね。ボクはほぼほぼデザイン案だけで、CAD本体としての機能はシルバーさんのおかげだから」

 

 深雪ちゃんはその辺りの事情全部わかってるからね。ドラクエシリーズだってトーラス・シルバーの片割れ、牛山さんの助力あってこそだし。術式は全部達也くんや四葉の研究者に丸投げ。ボクの功績は大したことない。

 それに深雪ちゃん、かなりのブラコンさんだし。達也くんを冷遇する父親なんて大嫌いだろうなあ。

 

「それにしても意外だね。深雪さん、シルバーさんのファンなんだ。いや、わかるよ?数々の偉業を成し遂げた天才魔工師だもん。憧れるのもわかるなー。謎に包まれてるからこそ、余計気になっちゃうし」

「うんうん。凄いよ、シルバーさん」

 

 もとい、達也くん。そんな魔工師としても凄いのに戦ったら負け知らず。それで非公式戦略級魔法師で、イケメンさんだもんね。

 

「あっくんはシルバーさんに会ったことあるんでしょ?いいなー」

「まあ、仕事一緒にするからね。飛行術式のデバイスには一枚噛ませてもらえたし」

「あれ?ドラクエシリーズで飛行術式って出てたっけ?」

「いや?出てないよ。あれすっごくサイオン消費激しいから、並の魔法師じゃそんなに使えないし。でもセーフティーをつける関係でドラクエシリーズにも似てて、デバイスの構造は結構似てるんだよ」

「そうなんだ。ああ、いつか会えないかなー。シルバーさん。サイン欲しい」

 

 もう会ってるんだよね。あずちゃんと達也くん。もちろんシルバーとして紹介されていないだけで。

 達也くんがシルバーだって知ったらあずちゃん驚くかなあ?それもいつかのサプライズプレゼントとしていいかもしれない。

 ボクたちはそれからも雑談しながらちょっと早目に学校に着いていた。ボクが履修登録あるから早目に来たかっただけ。あずちゃんも生徒会室の整理がしたかったみたいだからちょうど良かった。深雪ちゃんを呼ぶために部屋を綺麗にしておきたいんだって。

 

 

 ボクがせっせかせっせか履修登録をしていると、昨日知り合った雫ちゃんとほのかちゃんがやって来た。それで一旦履修登録をやめて雑談をしていると、驚くことがあった。

 

「え。ほのかちゃん、達也くんのこと知ってるの?」

「達也さん、っていうんですか?おそらく司波さんと同じ名字で、背の高い方でしたけど」

「うん。達也くんは深雪ちゃんのお兄ちゃんだよ。二人は年子で、魔法科高校における実技は苦手だから二科生になっちゃって。入試では並び番号だったらしいから、深雪ちゃんの前は多分達也くん。なんだぁ、もう見てたのかぁ」

「新って、二人と仲いいの?」

「達也くんと幼馴染でね。深雪ちゃんとは最近知り合ったの。達也くん酷くない?あんな可愛い深雪ちゃんを幼馴染のボクに紹介してくれないなんてさ」

 

 達也くんを悪者にしちゃってるけど、これ四葉の決定なんだよね。これで達也くんが極度のシスコンってことが外堀として埋められてるような。

 でも達也くんはシスコンか!間違ってないね!

 ほのかちゃんは入学試験で見た達也くんの魔法が、とても丁寧で綺麗だったから覚えてるんだって。ラグがなかったとかなんとか。術式にラグを出さないようにって難しいけど、達也くんはそんなものを出さない、最効率の術式とかなんとか。

 

 そんな深雪ちゃんが教室に入ってきたんだけど、すぐに男子生徒に囲まれた。深雪ちゃん可愛いからね。昨日の総代としての挨拶でA組ってわかってたから男子は早目に学校に来たんじゃないかな。

 でも深雪ちゃんもブラコンだからなあ。よく接してるボクがたまに兄妹?って疑っちゃうくらいラブラブだし。

 クラスメイトの女子がいい顔してないなあ。ほのかちゃんたちもどうにかしようとしてるし。

 しょうがない。ボクがなんとかしよう。

 

「あー!深雪ちゃん!!やっぱり同じクラスだったんだぁ!」

「新さん。おはようございます」

「うん、おはよう!」

 

 わざと大きく声を出す。周りの男子は「憧れの美少女」にいきなりちゃん付けするボクをギョッと見てくる隙をついて、深雪ちゃんがこっちに来てくれた。

 なんだっけ?忍びに体術教わってるんだっけ?だから深雪ちゃんはあれくらいの隙間なら縫って出てこられるんだろうね。深雪ちゃんはボクのちゃん付け慣れてるだろうし。

 

「深雪ちゃん、紹介するね。こっちが光井ほのかちゃん。こっちは北山雫ちゃん。試験の時に深雪ちゃんと達也くん見てて、それでご挨拶をって」

「ご、ご紹介に預かりました!みみみ光井ほにょかですっ!?」

 

 あ、噛んで顔真っ赤にしてる。深雪ちゃんを前に緊張するのは仕方ないかも。

 

「北山雫。ほのかとは幼馴染。新は、昨日知り合った」

「新さんはすぐに女の子を引っ掛けるのをやめなさい……。泣かせる女の子がいるでしょう?」

「えー?袖振り合うも多生(他生)の縁だよ?」

「こういう時だけ頭良くならないで。御免なさい、新さんとは旧知の仲で。司波深雪です。一年間よろしくお願いいたします」

 

 ボクへのお小言もあったけど、ミッションコンプリート。深雪ちゃんは相変わらず所作が綺麗だなあ。まあ、いいところのお嬢様だからそうもなるかもね。

 男子の群れから逃れられて、女子のお友達ができる。これが健全な学生生活だと思う。

 ボクは今生で初めての学校生活だけど。

 男子ってダメだなーと思いながら人だかりを見ていると、見覚えのある人を見付けた。まさか深雪ちゃん以外にも知り合いがいるなんて。

 

「森崎くん!?久しぶりだねえ!」

「お前……相田新か!?魔法師だったのか!」

「あれだけドラクエシリーズについて話し合ったのに、それはなくない?」

「CADの性能についてじゃなくて、外装についてばかり話してたら魔法師なんて気付くか!あれはただのキーホルダーとしても人気なんだぞ?それに!お前は二つくらい歳下だと思ってたんだ!」

 

 あー、まあ。二年前くらいはそれで達也くんにもいじられたからなあ。今ではちゃんと身長は168cmあるから、同年代の男子に見えるだろうけど。

 それでも平均より小さいんだよね。あずちゃんと並ぶとちょうどいい身長差だけど。

 森崎くんとは十三歳の時にFLTで会った。家業で使う専用のCADを拵えて欲しいとのことで訪れたんだよね。シルバーモデルが目当てで、家族で来てた。

 そこにボクが出会って、ドラクエシリーズもいいんじゃないって宣伝したわけだ。

 結果、モンスターズシリーズは全く売れなかったけど、他のドラクエシリーズはそこそこ売れたわけ。買ったのは森崎くんじゃなくて、そのご両親とか、血筋の人だけど。

 

「そうだ!あの『光魔(こうま)の杖』ってなんだよ!危うくサイオン切れになりかけて、三日間くらいあの世を彷徨ったんだぞ!?」

「危ないって言ったのに買ったのは森崎くん家じゃない。護衛として使うなら最終手段ですよって説明したでしょ?」

「何でドラクエシリーズにある最終セーフティーがあれにだけないんだよ!それのおかげもあって護衛はしっかりできたけど!!」

「なら良かったんじゃ?今の所、あれって森崎くん家にしか売ってなかったはずだし」

「魔法師生命が脅かされたんだぞ!?」

「護衛対象も無事。森崎くんも無事。万々歳」

「お前本当に変わってないなあ!!」

 

 人がそう変わるもんか。

 ボクにはどうしたって、「11歳のボク」が奥底にいる。それは忘れられないことなんだから。

 旧知の仲の人が他にもいて嬉しかったってことで一つ。皆予鈴がなる前には着席して、担当の先生が来て色々説明をしてからボクの高校生活が始まった。

 




森崎くんは突発な事故で「きれいな森崎くん」になっています。
某青いタヌキ映画の「きれいなガキ大将」みたいなもんです。

あと新作も一時間後に投稿します。
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