魔法科高校の「大賢者(嘘)」   作:ギャングスタ

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とあるCADの独自解釈あります。


入学編5

 放課後。予定通り生徒会室に来た達也くんはお昼にいなかった副会長の服部くん……はんぞーくんと言い合いになって試合をすることになった。お昼に一回フォローしたから今回は達也くんの顔を立てて何も言わなかったら、案の定深雪ちゃんがキレた。

 で、ハンゾーくんと言い争いになったところで達也くんが喧嘩をふっかけた。本当にこの二人、兄妹のことになると沸点低いよね。

 まあボクだって?達也くんがいない人扱いされたのはムカついたし、あずちゃん貶されたらキレるだろうけど。

 みんなでゾロゾロと見学。試合の準備の際あずちゃんの悪いくせが出た。

 

「達也くんのそれ、シルバー・ホーンのカスタマイズモデル!?しかもストレージも複数とか、どういうことですか!?見せてください!」

「あずちゃん我慢して!アレ達也くんのコネで手に入れた奴だから!達也くんの魔法適性に合わせて注文したものだから!」

「やっぱり一品もの!どんなカスタマイズを!?事情は知ってますけど、すっごい高いんですよ!カスタマイズってなったら流石にシルバーさんに会っているのでは!?」

「あずちゃん!今度ドラクエシリーズの最新作都合するから!」

「それはそれでもらいますけど、シルバー・ホーンも見たいです!部品やデータだけなら見たことはありますけど、実物がそこにあるんですよ!?」

「二人つまみ出すぞ!!」

 

 摩利ちゃんの一喝で演習場の端っこに正座することになったボクたち。こしょこしょ話で一応シルバー・ホーンについて説明して、達也くんのコネで何とか手に入れたもの。ボクも口添えしたって話をして何とか説得した。

 あと、深雪ちゃん。こっち睨まないで。あずちゃんトーラス・シルバーの正体までは知らないから。達也くんのファンなだけだから。達也くんにもあずちゃんは渡さないから。

 ボクたちが静かになったことで、試合は始まった。一瞬で終わったけど。

 達也くん瞬殺。ほらー、達也くん強いでしょ?ボク全く動き見えなかったもん。

 

 それから鈴音先輩が見た限りの解説をして、あずちゃんがシルバー・ホーンによるループ・キャストの解説をして。はんぞーくんがサイオンの波に酔ったことを証明して。

 達也くん風紀委員決定。良かったね、深雪ちゃん。

 その後は仕事の説明ということで風紀委員会の詰所に案内されたんだけど、汚部屋だった。これに見かねたボクと達也くんがここの掃除を始める。魔工師志望として、そしてプロとしてこんな汚い現状を許せないんだよね。

 そうして掃除していくと。

 

「え?うえええ!?達也くん、これ!ローゼンの最高級モデルじゃないの!?型番は古いけど、今も人気の非接触型エキスパートモデル!」

「ん?ああ、そうだな。まさかそんなものがここで埃を被っているなんて……。宝の持ち腐れだな」

「うわ、これちょっといじれば全然使えるよ?あずちゃん!ちょっと降りてきて!ローゼンの腕輪型ハイエンドモデル27型があるよ!今やプレミアついてて日本じゃまずお目にかかれない!!」

「行きます!」

 

 生徒会室と繋がっている階段の上へ呼びかけると、すぐに降りてくるあずちゃん。そして27型を見て二人して発狂する。

 

「何で!?なんでこんなところにA級ライセンス持ちも使用しない超ハイエンド機がここに……!保有サイオンが尋常じゃない人向けの、ゲテモノCAD!!」

「調整難しいって聞くけど、どう難しいんだろうね?あずちゃん、この後部屋借りて調整しちゃおうよ!これ達也くんか深雪ちゃんなら使えるって!」

「このハイエンドモデルが動くところが見られる!?わたし、早速部屋の申請してくる!!」

「待て中条!生徒会としての仕事はいいのか!?」

「罰として服部くんに全部押し付けます!」

 

 ダダダダー!という勢いで部屋を出ていくあずちゃん。それにしても、こんな身近にあった高級品にあずちゃんが気付かないなんて。

 その理由はこの風紀委員会が男所帯で怖すぎて、近寄れなかったんだとか。あずちゃんらしい。

 ローゼン・マギクラフトって日本支社もあるけど、お家騒動か何かで日本への心象悪かったから最高級品については卸していなかったはずなのに。こんなところでお目にかかれるなんてなあ。

 

「それにしてもプレミアがつくとか言ってたが……。いくらするんだ?」

「達也くんのフルカスタマイズシルバー・ホーンが三つ買えるくらい?」

「……日本円で?」

「二億くらいでしょうか。それが二つですからね。新と中条先輩がこうなるのも頷けます。……ああ、『当時の値段で』です。今はその数倍はかかっているかと。A級ライセンスを持っている拘りのある方なら、是が非でも欲しい逸品ですね」

「それが埋まっていたわけか……。買ったのは誰だ?」

 

 その疑問はしばらくわからなかったけど、後日津久葉夕歌さんが備品として自腹で買ったものだということがわかった。一高OGの、四葉の分家のお姉さん。最高級品を、しかも外国の技術に触れることで魔工師を鍛え上げようとしたんだって。

 達也くんたちが魔法科高校に進むなら一高に行くだろうから、それも含めての出資だったみたい。もっとも夕歌さんも何で風紀委員会にあったのかは知らないみたいだけど。

 

 あずちゃんを待っている間、風紀委員として見回りをしていた辰巳先輩と沢木先輩が来て挨拶をした。二人ともかなり鍛えられているようで、すごくしっかりとした体型をしていた。筋肉質な男の人って割と羨ましい。

 辰巳先輩が達也くんの肩を見て二科生だと気付いて大丈夫?みたいなことを確認してきたけど、問題ないと摩利ちゃんが証言。むしろボクの心配をされた。

 まあ、ヒョロっちいし、実戦はダメダメだし。呪文使えないからなあ。困った困った。

 それから最終下校時間まであずちゃんと達也くんと一緒にローゼンの調整をした。深雪ちゃんに使い心地を確認してもらって、実際に起動しているところを見てあずちゃん大歓喜。

 

 採った実証データを次の日先生方に見せたらひっくり返られたそうで。まあ、ローゼンのハイエンドを使いこなせる人がいるのかって話だからねえ。調整も難しいし。あずちゃんならって納得されたようだけど、達也くんが片方をほぼほぼ一人で調整したんだよね。

 ボクはハードの構造を解析してばかりで、調整はほぼあずちゃん任せ。

 ボクがそんなにプログラミングができるなら、ドラクエシリーズだって達也くんに任せないし。そこらの高校生よりはよっぽどできるんだろうけどさ。

 

 

 次の日。一高ではお祭り週間が始まる。各クラブによる新入部員獲得合戦とのことで、これが学校の評判だったり夏の九校戦に繋がるから、学校も上級生も本気で一年生を獲りに来るとのこと。めんどくさ。

 これが一週間もあって、魔法も使われることがあるんだって。それで風紀委員会はその鎮圧をしなくちゃいけない。点数稼ぎのために頑張らないと。

 放課後はフル回転だ。それにあずちゃんが生徒会からの応援で一緒に巡回するらしいけど、心配。魔法のこと考えたら、適任かもしれないけど。

 というわけで放課後。風紀委員会の部屋に向かうと、同じクラスの森崎くんと合流した。こっちに向かってるってことは、風紀委員になったんだ。

 

「相田。もしかしてお前も風紀委員か?」

「うん。森崎くんもでしょ?よろしくー」

「一年生は三人だと聞いたが。もう一人は誰だ?『レンジ・ゼロ』の十三束か?」

「違うよ?E組の司波達也くん。総代の深雪ちゃんのお兄ちゃん」

「司波さんの?ということは入試では調子が悪かったのか?……二科生になったのは残念だが、実力ある人物であれば、這い上がってくるだろう。しかし……双子か?」

「ううん、年子。達也くんが四月生まれで、深雪ちゃんが三月生まれ」

 

 そんなことを話しながら歩く。外はもうテントを出したり、演目のための準備をしたりして騒がしい。それだけ重要視してるんだろうなあ。

 

「ドラクエシリーズ、また新しいのが出ていたな。『氷の杖』、凍結魔法専用の特化型だったか」

「そうそう。カスタムすることよりも、先に搭載する魔法を決めてそれしか使えないようにする専用CAD。『光魔の杖』もコンセプトは似てるけど、あっちはまだいくつか幅があるからね。今回のはCADの調整をしなくていい、調整師を必要としない奴。まあ、メンテくらいならFLTでできるし、ある程度スキルがあれば直したりも調整もできるけど」

「その人間に合ったCADではなく、誰でも同じような効果を発揮する画一的CADか。CADごとにある程度の特性はあったが、まさか魔法まで固定させた物を出すなんてな」

 

 でも欲しかったんだよね。最初のドラクエシリーズだって単一の特化型CADだし。それとほぼ一緒なんだけど、道具は作れそうだったら作りたかったんだよね。

 

「サイオン量とかによって少しは威力や範囲は変わるだろうけど、ある程度ブレ幅を整えたから、ほとんど同じ性能にしかならないようにはなってる。込める最大値と最小値が定められてるから。アイス・ピラーズ・ブレイクのために結構注文は入ったみたいだよ?」

「あれば便利だろうな。しかし見た目はただの杖だよな?ドラクエシリーズとして統一されて出される意味がわからないぞ……?」

 

 今の所、ボクしか知らない知識だからね。そうやって話していると、後ろからこっちに向かってくる足音が。先輩かなと思って二人して振り返ると、達也くんだった。

 

「達也くん。ヤッホー」

「ああ、新。そちらの人は?」

「ボクのクラスメイトで教職員枠の──」

「自分で自己紹介する。森崎駿だ。初めまして、司波達也。妹の司波深雪さんとは同じクラスだ」

「妹が世話になっている。1ーEの司波達也だ。生徒会推薦になる」

「生徒会。司波さんの推薦ということか?」

「それもあるけど、ちゃんと真由美ちゃんの推薦だよー」

「相田。お前、生徒会長に対して名前をちゃん付けとか正気か?あの人は十師族だぞ?」

「そういう差別反対だなー」

 

 お家が偉いからへりくだるとか、ホント嫌。お国のために頑張ってると言っても、真由美ちゃんはまだ学生なんだし、ただの先輩なんだから。利用する時は利用するけど。

 流石に自分の家の当主、真夜様相手とか、正式なパーティーとかの場だと相応の態度を取るけど、ここは学校なんだから。

 一人の女の子として接しないと、真由美ちゃんが可哀想だよ。

 

「新。十師族ということは抜きにしたって、あの人は先輩だ。先輩に対する態度を取れ」

「んー?善処するよ。でも癖だからねえ」

「教室でも司波さんをちゃん付けしていたよな……。同級生とはいえ、あんな綺麗な人をちゃん付けするお前の心臓はどうなってるんだ……?」

「どうする?達也『お兄ちゃん』。森崎くん、深雪ちゃんにお熱なんだってー」

「なぁ!?」

「……誰が誰を好きになろうが、勝手だ。深雪が誰を選ぶのかもな。深雪の学校生活を邪魔しなければいい。それと、『お兄ちゃん』はやめろ。お前本当に中条先輩に怒られるぞ?」

「あずちゃんはその辺りわかってるよー」

 

 冗談が通じないなあ。森崎くんは顔真っ赤だし。

 クラスの大半は深雪ちゃんにお熱だよねえ。他にも可愛い女の子多いのに。いや、深雪ちゃんが別格なのはわかるよ?

 だからって、ねえ?それを一歩引いて見てみるとって話。クラスの女の子の男子評価、ひどいと思うよ?

 こんな軽薄そうなボクよりも。

 

「ゴホンっ!司波達也。二科生になったのは残念だったが、司波さんと同様、優秀なんだろう。きっと君は入試で101番だったんだろ?それなら仕方がない。風紀委員で挽回すればいいんだから」

「……何か勘違いしていないか?俺は実力で二科生なんだが?」

「だが、風紀委員になる力はあるんだろう?」

「達也くんは実戦は凄いからね。森崎くんと一緒」

「『クイック・ドロウ』の森崎一門と比べられても困るんだが。まあ、いい。集合に遅れるわけにはいかないからな」

 

 二人って似た者同士な気がするんだけどなあ。二人ともボディーガードみたいなことが仕事なんだから。そんなことを考えながら部屋に入って、先輩方に顔通しをする。その後摩利ちゃんから仕事の説明をされて、ボクはあずちゃんと一緒に校内を巡ることになった。

 

「さすが摩利ちゃん。わかってる〜」

「相田。お前、渡辺委員長にもそんな感じなのか……?」

「森崎、諦めろ。新はこうなってしまったんだ。今更戻せない」

「私も慣れてしまったよ。妙に上下関係で縛っても意味はない。それは一科と二科の確執と同じだからな。そういう意味では森崎。君はそういう上下関係を気にしていないのか?達也くんと問題なくやれそうなのは嬉しい限りだが」

 

 ボクのクラスメイトのように、華があることを威張ることが普通だったら、ボクや森崎くんは異端になる。

 そうは思いたくないけど、それだけ根深い問題っぽい。だからこそ、摩利ちゃんは改めて聞いているんだろうけど。

 

「……結局、その区別は一高の中にしかないものです。上の魔法大学にはありません。そして二科生であっても、優秀な者なら入学できます。それ以前に。社会に出れば一だの二だの関係なく魔法師の一人として見られます。十師族や二十八家ならともかく、それ以外の魔法師であれば大別されないでしょう。そして、どんな魔法師でも、実戦では一つの命です。

 力を持っていても、命は一つです。守る側も、守られる側も。自分は一年前、偶発的に魔法師による事件に遭遇し、一般人を守りました。その無茶で数日寝込みましたが。自分は誰かを守れた(・・・・・・)のです。まだまだ魔法師とは呼べない未熟な自分が、その時なりふり構わず行動した結果、守れた命があるのです。

 そんな自分に、自信を持っています。そして、その日の未熟な自分に笑われないように精進するのみです。護衛対象は選べません。仕事は全うします。そして自分は、森崎に名を連ねる者です。自分は誰かを守る側の人間です。そんな自分が、誰かを貶すことをすると?」

 

「ふむ。君の考えはよくわかった。そして最もだ。だが、魔法師にとって大事なものはイメージだ。プライド──自信を得るために、保つために。誇ることも大事じゃないか?」

「他者と比較する必要はありません。自分は自分です。自分より優れた人間は同学年だけでも三人います。上級生となればもっといるでしょう。自分も、下です。さらに下を見て優越に浸るよりも、上を目指す。そしていつかまた、誰かを守る時に不甲斐ない自分ではいないために。やるべきことをやるだけです」

 

 ほえー。森崎くんちゃんと自分があるんだなあ。さすがボディーガードの名門。そのきっかけが「光魔の杖」を使うしかなかった事件だって言うんだから驚きだ。

 追い詰められた時に親に持たされていた「光魔の杖」でサイオンを思いっきり込めて障壁魔法を作って、魔法を何でも防いだんだって。

 マホカンタとアタックカンタを再現しようとした障壁魔法を搭載したんだけど、サイオンバカ喰いだから使える人が限られるんだよね。達也くんには試作品を二つ渡してあるけど。

 

「そういう人間が風紀委員に来てくれて助かるよ。すまない、確認で時間を取らせたな。三人とも出動してくれ。新くんは上にいる中条と合流して二人で巡回するように」

「「「はい」」」

 

 さーて、初仕事だ!頑張るぞぉ!

 え?達也くん二つのハイモデル持っていくの?使えるものは使う?

 うーん。さすが達也くん。ボクにできないことをやってのけるなんて。

 

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